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映画「マルジェラが語る”マルタン・マルジェラ”」を観る [映画(ま行)]

「アイダよ、何処へ?」を観たシアターと同じ場所なので、
ダッシュで移動することなく、そのまま続けて鑑賞した4本目です。
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予告編を観て気になっていた作品です。
マルジェラマルタン.jpg

あらすじはYahoo!映画さんより。

ファッションデザイナーのマルタン・マルジェラ氏は、
ジャン=ポール・ゴルチエ氏のアシスタントを経て、自身のブランドを立ち上げる。
彼は公の場にはほとんど姿を見せず、取材や撮影も断り続けてきた。
だが今回、初めて本人がドキュメンタリーの制作に協力し、
ドローイングやプライベートな記録を初めて公開するとともに、
ドレスメーカーだった祖母の影響などについてコメントする。

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ファッションにはあまり(というか殆ど)興味のない私ですが、
芸術家としてのマルタン・マルジェラ、という視点で観ると
興味深いというか面白いな、と思える作品でした。

ファッションのデザイナーというと、春夏、秋冬のファッションショー、
その最後にモデルと一緒に華々しく登場する、というイメージでしたが、
マルタン・マルジェラは一切表には出てこない、その理由が戦略的なものではなく、
単に人見知りで表に出るのが苦手という理由、逆にそれがミステリアスな印象になって
作品とともに評価されていったようにみえました。

60年代、幼い頃に見ていたパリのファッションデザイナーの番組、
クレージュのデザインした洋服に靴、靴のつま先がカットされているのを観て
自分が持っているバービー人形の靴のつま先もカットしてしまう、
将来の夢は「パリのデザイナー」になりたい、その一途な思いと自分の考えを
具現化することに楽しみを見出していったんだろうなと思いながら観ていたのですが、
マルタン・マルジェラが活躍し始めた1988年ごろの日本といえばDCブランド、
当時、ちゅーちゅーねずみーランドでバイトしていた私、同じ店舗にいた先輩が
(今ならフリーターと言われる方ですが当時は専業さんと呼ばれていた)
シーズンが始まると丸井で思いきり洋服を買って分割払いにして、
その支払のためにせっせとバイトする、みたいな人で、何十万円分の洋服を
一度に買ってしまうその先輩が信じられなかったのを思い出しました。
その先輩が好きだったのはピンクハウス(みたいな他のブランドかも)で
同じシフトで一緒に帰るときにフリフリした可愛らしい洋服を楽しそうに着ていた、
そんな姿をふとこの映画を観ながら思い出しました。

ちなみに、当時の私も丸井でブランド品を買いたいという若い女子でしたが、
洋服を丸井で買う勇気はなく、クレージュのバッグを2つだけ買いました。
まだ一つ、使わないのに持っています。(笑)

と、話が丸井にそれてしまいましたが、マルタン・マルジェラのすごいところは
高級な素材を使うといよりはビンテージの洋服や身近な素材(スーパーの袋とか)を
使っているところ、時に、洋服にかけてあるビニール袋までドレスに仕立てるという、
それを着たいかといわれたら、セレブの方に着てもらってください、と答えますが
既成概念にとらわれない(奇をてらうわけではなく)自分の思ったように作る、
ときに過去の作品を改めて構築しなおして発表していく、常に前向きな気持ちで
創作していたように見えました。

会社が買収され、創作する側からディレクター的な立場で好きなように創作できず
マーケティング部門による戦略やキーワードに合わせて洋服を作っていくようになって
マルタン・マルジェラ自身、それが自分のやりたいことではないと思って20年の節目で
引退していったように見えましたが、20年間の自分の創作について語る様子、
姿は見えませんがその声はどこか温かさが感じられて、
様々な制約から解放されて今は好きなように創作活動を続けていることで
穏やかに過ごしているように思えました。

ファッションショーの会場選びから作り出す洋服の型破りな様子を観ると
一時代を築いた方なんだと思いましたが、ファストファッションが主流となって
こういうブランドも当時のような勢いはなくなっているのように見える現在、
とりあえずなにか着ればいい、程度の手抜き状態の私も、
(在宅勤務1年半で今まで以上にズボラになってしまいました)
気分が盛り上がるような洋服を選んで出かけるようにしてみようかな、と
思った、「マルジェラが語る”マルタン・マルジェラ”」でありました。






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映画「モロッコ、彼女たちの朝」を観る [映画(ま行)]

銚子電鉄と久しぶりの成田空港への旅記事を書き終えたのですが、
こういうご時世なので呑み記事のストックはございません。

というわけで、映画記事をちょっと続けたらまた旅記事をアップする予定です。
ブログからお酒の香りがあまりしておりませんが、家で呑んでいますので、
ガス欠ということは全くございません。でも、早く外で呑みたい!

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予告編で観て気になっていた作品、シャンテシネマで鑑賞しました。
adam.png
あらすじはYahoo!映画さんより。

妊娠中のサミア(ニスリン・エラディ)は美容師の職と住む場所を失い、
大きなお腹を抱えてカサブランカの街をさまよっていた。
ある晩、幼い娘ワルダを一人で育てながら小さなパン屋を営む
アブラ(ルブナ・アザバル)が、路上にいた彼女を家に招き入れる。
夫を亡くして以来孤独だった母娘二人の生活に、
おしゃれ好きでパン作りが上手なサミアが加わり、暮らしに明るさが戻る。

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辛さを背負うサミアとアブラに思わず涙。(;O;)

今回は邦題は酷くはないというか、映画の内容に即した邦題だったと思います。
原題は”Adam”。
どうしてかな、と思って観ていると最後の最後で、その意味が分かります。
(だからネタバレはしません)

アフガニスタンの緊迫した情勢をニュースで見ると
イスラム社会での女性の立場というのは非常に低く見られていて、
性差のない(それ以外のことでも差別のない)社会を目指していこう、という
世界的な動きとは全く連動しない、イスラム教の教義に基づく解釈によって
いつまで経っても変わらないように見えるのが残念ですが、
今作もイスラム教の多いモロッコが舞台、ブルカを強要されている地域に比べると
服装などはまだ自由度が高いように見えますが、映画の中でも描かれていたり、
wikiにも書いてあるように人工中絶が禁止されている国。
未婚で妊娠、夫を亡くした寡婦、どちらも社会的地位が特に低い、
サミアがどうして妊娠したのか描かれてはいませんが、
望まない妊娠であっても中絶することができず産むしかない、
世間はそんなサミアに手を差し伸べず冷たく接するだけ、という冒頭の場面、
そこでサミアを一旦追い返したものの、夫を事故で亡くし、
一人で娘を育てるアブラがサミアを無視しきれなかったのも、
つらい立場であることを同じ女性として理解できたからだったのだろう、
と思いました。

やっと雨露を凌げる場所を見つけたサミアもお礼のつもりなのか、
モロッコの伝統的なパンを焼き、アブラや娘のワルダと心を通じさせていく、
(ルジザというパンが美味しそうで画面を見ながら食べたくなりました)
3人にとって穏やかな時間が流れていくのを観ながらホッとしたものの、
サミアのお腹がどんどん大きくなって出産となるとどうなるのか、
サミアは未婚の母の子が自分と一緒にいても幸せになれるわけはないので
産んだらすぐ養子に出せばいい、養子縁組を探してくれる人に子供を預ければ
自分の手から離れて子供は幸せになると信じていますが、
そんなサミアに対して、アブラは、養子縁組先を探すといっても、
中には物のように子供を売り飛ばす人もいるから施設に連れて行こうと諭します。
ちょうど出産がモロッコのお祭りの最中、自らの心の中に母性が芽生える前に
自分の産んだ子供をすぐ養子に出したいサミアに対し、お祭りが終わって施設が
開いたら連れていこうというアブラの言葉にサミアが葛藤する場面には
思わずダダ泣きしてしまったのですが、お腹が大きくなってからずっとずっと、
中絶することもできず、実家(田舎)に帰ることもできず、親戚にも電話しても
嘘をつき通して一人で考えて悩んですぐ養子に出そうと決めていた気持ち、
それがお祭りが終わるまでの間、サミアに母性が芽生える場面、それを温かく見守る
アブラの表情がそれまでずっと悲しげだったのに急に明るく見えて更にジワリました。

お祭りが終わった翌朝、サミアは赤ちゃんと一緒にアブラの家を去りますが、
この後、サミアがどうしたのか、子供を施設に預けて実家に帰って結婚するのか、
それとも違う道を歩むのか、敢えて描いていないのですが、出発する時の
サミアの明るい表情を見ると強く生きていってくれるのではないかな、という
気持ちになって観終わりました。

日本でもまだ給与格差や会社での昇進でも差があったりするという認識ですが、
レディースデーなんて逆に恩恵受けたりすることもあったりして、
差別だ差別だと声高に言うばかりの活動家たちをみるとゲンナリしますが
教義によっていつまで経っても社会的地位が低いままという状況の他国を見ると
自分の意見を言える世界、教育を受ける、望むところで働く権利、
未婚だから、寡婦だからといってそのこと自体が罪であるといわれてしまうことが
なくなって、女性だからという括られることなく自らの意思を尊重されるような世界が
少しずつでも実現していくべきだと思った「モロッコ、彼女たちの朝」でありました。



(映画と全然関係のない話)
モロッコといえば、私にとってはカルーセル麻紀がお直しに行った国というイメージが
ずっとあったのですが、wikiを見ると担当していたお医者さんが亡くなってからは
お直しの主流がタイになったと書いてあったのを見て、ああ、それで最近テレビに
出ているタレントさんなどはタイに行きましたと言っていたんだなあと納得しました。
ホント、映画とまったく関係のない話で恐縮です。(^-^;



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映画「モルモン教徒殺人事件 マーク・ホフマンのいびつな執念」を観る [映画(ま行)]

Netflixのおすすめに出てきたドキュメンタリー映画です。

mormon.jpg
内容はNetflixさんより。

一か八かの企みは死者を出し、世界中に信者を持つ教会を根幹から揺るがした。
実際に起こった事件を検証する犯罪ドキュメンタリー。


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モルモン教といえば以前NYで観たミュージカルとか、
(大爆笑だった)https://utsubohan.blog.ss-blog.jp/2012-05-14-4
最寄り駅でも見かけるエルダーたち(布教のために日本にきた人達)とか、
ソルトレイクシティが総本山的な場所だとか、
ユタ州という存在を教えてくれたケント・デリカットとか、
そういうばらばらとしたキーワードを並べた程度の知識ですが、
ミュージカル「The Book Of Mormon」を観ていたお陰で、
作品の冒頭から???となることなく見られました。

幸いなことに、タイトルにあるマーク・ホフマンのことも知らなかったのですが
いびつな執念の持ち主なんだというのは頭の隅に置きながら素直に50分程度のエピソードを
3話見たので、そんなに驚くこともなく鑑賞終了。

モルモン教に関する古文書を次々と発見するマーク・ホフマン、
本人もモルモン教の熱心な信者の息子で当然信者、モルモン教のインディ・ジョーンズと
言われていたほど(インディジョーンズが公開されたころの話なんですね)、
その後、モルモン教の起源が違うのでは、と根幹を揺るがしかねない手紙が発見される。
「サラマンダーの手紙」を見つけたのもマーク・ホフマン、なんか出来過ぎじゃないの、
と思いながら見続けていると、モルモン教でその手紙の真偽のほどは分からないものの、
モルモン教そのものに対する影響を考えて購入すると、それに関わった人たちが
次々と爆弾をしかけられて命を落とし、マーク・ホフマンも爆弾で重症を負う。
という描き方だと、モルモン教の本部による事件かと一瞬思ってしまうのですが、
そうだとこのドキュメンタリー映画も問題作、あのミュージカルが生まれるわけもなく、
じゃあ、怪我したマーク・ホフマンの自作自演?と思って見続けていると、
やはり彼による犯行だったということが中盤で分かります。

やっぱりそうだったんだ、と思う一方、なぜモルモン教徒なのにそういうことをするのか、
と思っていると、タイトルにあるようないびつな執念によるものだったということが
次々と掘り下げられていきます。

親が熱心な信者だからといって子供もそうかといえばそうでないこともあるわけで、
マーク・ホフマン自身は10代のころから教義を信じることもなく疑いを抱きながら
古文書の偽造を始め、それが偽造でなく本物であると鑑定されてから加速していく。
モルモン教を憎んでその存在の破滅を望んで偽造したサラマンダーの手紙。
巨額の富を稼いでおきながら浪費で借金を抱える生活、自己顕示欲と承認欲求が強い人、
そうなってしまったのも歪んだ親子関係などが理由のひとつになっているのかもしれませんね。
モルモン教徒の女性と結婚し、子供を授かり、表面上は敬虔なモルモン教徒で
モルモン教の古文書界のインディ・ジョーンズと評される、そんなマーク・ホフマンが
自分で蒔いた種(偽造した古文書)でちやほやされながら、それで自分の首をしめてしまい、
困ったからと関係者を爆弾で殺す、自分でも後退は出来ないと思って行ったことなのかも
しれませんが、今の時代であれば、鑑定方法ももっと進んでいるでしょうから、
彼の偽造した古文書も簡単に偽物と鑑定されて富を得ることもなかったかもしれません。

作品の終盤で、収監されたマーク・ホフマンの姿が年代ごとに紹介されるのですが、
(まだユタ州で収監されているみたいですね)
視線が狂気に満ちた感じで偽造や爆弾による殺人を行った人の行く末なんだな、と
思って作品を見終わりました。

信仰の自由があるといっても、親から信仰の強要があったとしたら、
こういうマーク・ホフマンのような人間が生まれてしまうのかもしれない、と
思いながら信じることの大切さがある一方で信じすぎる怖さのようなものも感じた、
「モルモン教徒殺人事件 マーク・ホフマンのいびつな執念」でありました。






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映画「ミナリ」を観る [映画(ま行)]

YouTubeの広告で何度も予告編が出てきたのを観た勢いで映画館で鑑賞しました。
minari.jpg
あらすじはYahoo!映画さんより。

1980年代、農業で成功したいと意気込む韓国系移民の
ジェイコブ(スティーヴン・ユァン)は、アメリカ・アーカンソー州に家族と共に移住。
広大な荒地とおんぼろのトレーラーハウスを見た妻は、
夫の無謀な冒険に危うさを感じる。
一方、しっかり者の長女アンと好奇心豊かな弟デビッドは新天地に希望を見いだし、
デビッドは口の悪い破天荒な祖母とも風変わりな絆を育む。
しかし、干ばつなどのために窮地に立たされた一家をさらなる試練が襲う。



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アメリカ映画だったんですねぇ。(ブラピが製作総指揮)


アカデミー賞最有力と謳っていますが、
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この作品のようなじめっとした湿度というか、人間の奥底まで炙るような、
そういう深みをあまり感じられないまま鑑賞終了しました。
配給側は敢えてアカデミー賞、韓国の共通項でパラサイトと関連付けようと
したのかもしれませんが、そうしない方が素直に見られたかもしれません。

1980年代にアメリカに移住した家族の話ですが、
以前、西ドイツに移住した(というか出稼ぎに行って戻らなかった)韓国人について、
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以前の勤め先でお世話になった韓国人のおじさんから聞いた話やこの映画で知っていましたが、
アメリカへの移住というのも多いというのをwikiで知りました。
映画が描かれている頃は第三期にあたりますが、
経済的な理由だけでなく、北朝鮮との不安定な情勢、国内の軍事独裁政権を好まずに
遠くアメリカへ移住する人も多かったのですね。
ロス暴動の時、ライフルで防御しようとする韓国系アメリカ人の男性の姿を
今でも思い出しますが、LAのコリアンタウンの大きさ(とても大きい)からも、
新たな生活を始める場所としてアメリカ西海岸を選んだ韓国人が多かったのが分かります。

映画では、韓国野菜の栽培で一攫千金を狙うお父さんがアーカンソーの荒れ地を買い
LAから家族と共に引っ越しますが、トレーラーハウス、いわくつき(訳アリ)の土地、
お父さんは大きな夢を抱く一方、お母さんは現実を観るという万国共通アルアル。
韓国野菜がやっと栽培できるようになるとLAの業者には仕入れるという約束を反故にされ、
自暴自棄になりつつもオクラホマの業者と仕入れの約束を取り付ける。

そこに納屋が火事。

お父さん(ジェイコブ)を演じているのがスティーヴン・ユァン、
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鼻持ちならない金持ちのお兄さん役で、ビニールハウスを燃やすのが趣味
と言っていたのが印象的だったのですが、今回、納屋が燃えるという、
なんとなくこの納屋が燃えるシーンという印象的な光景をエンディングに
据えるのがこの映画のメインなのかな、と思いました。

個人的には、世代交代の話として見るのが面白いと思いました。
主役はお父さんですが、共感し難い感あり、で、
(お父さんを観るとき奥さん側目線で観てしまうからかもしれない)
LAからやってきたおばあちゃん(スンジャ)と孫息子(デヴィッド)の関係の変化を
おばあちゃんが持ってきたセリ(韓国語でミナリ)の成長と重ね合わせて見せる演出は
映画の中でも印象的でした。

あとは、孵卵場の煙突から出る黒い煙。
オスに仕分けされたヒヨコが儲からないという理由で燃やされる場面が
映画の最初の方に出てくるのですが、それが終盤の納屋の火事につながる、、、
というわけじゃないだろうと、今この記事を書きながら考えましたが違うだろうな。

LAの巨大な韓国移民のコミュニティ(韓国教会も)からお父さんは逃げたかったのか、
一方のお母さんは、(韓国教会がないので)キリスト教の教会で祈ることで
心の平穏を得ようとしているように見えました。

その土地の言い伝えやルールに耳を傾けなかった(ダウジングで水脈を探すことなど)
お父さんに対して納屋の火事、という構図を描きたかったのかもしれない、
とも思ったのですが、一旦植えるとその土地に根付くミナリのように、この家族が
土地に根付いていくのではないかと思わせるところで映画は終わります。

心臓病の息子を案じて都会に残るべきだというお母さんの心配に反して、
息子の心臓はアーカンソーでの生活(おばあちゃんとの触れあいもプラスだったのでは)で
快復していく、家族が強く生きていくきっかけを作ったのはおばあちゃんだったのかも、
と思いました。

とはいえ、全体的に浅い感じ(どろどろ感もなく)だったので、
折々に出てくるおばあちゃんの様子だけが印象深かった映画でした。
演じていたユン・ヨジョン、
それだけが、僕の世界 [DVD]

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イ・ビョンホンのお母さん役、とてもよかったのですが、
今作でも、娘に韓国食材を大量に持ってくる場面、孫たちに花札を教える場面、
露の水(マウンテンビュー)を孫にちょうだいとねだる場面、
孫と一緒に水辺にセリを植えにいく場面、
病に倒れ、四肢が不自由な中、ごみを片づけて燃やそうとする場面、
納屋に火が飛んで燃えるのを茫然と見ている場面、
どの場面もこの映画のことを思い出すとき目に浮かびそうです。

英語のできないおばあちゃんが孫たちとの交流を経て、
カタコトの英語を話そうとするのですが、

おばあちゃん→99%韓国語+ちょっとカタコト英語
お父さん、お母さん→70%韓国語+必要な時に英語
子供たち→70%英語+英語の中に混じる韓国語

適応能力のある子供たちはネイティブな発音で英語を話し、
白人の子供たちともすぐ仲良くなりますが、
親の世代は、新しい土地でもなかなか知り合いを作れない、
という世代のギャップも描いていたのですが、字幕だと全部日本語なので(仕方ない)
韓国語と英語のミックスの会話を聞いていて、
中国語と英語を混ぜながら会話するシンガポールの人たちをふと思い出しました。

と、いろいろ感想はあるのですが、映画全体が起伏に乏しい感じの展開なので、
はっきりした起承転結でドラマチックな展開を好む人には物足りないかもしれないな、
と思った「ミナリ」でありました。

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映画と直接関係ない話ですが。

公開3日目(日曜日)に亀有のシネコンで観たのですがお昼の時間帯、
前から5列目の真ん中の席を2日前に予約してシネコンに行きました。
さほど混んでいないのでほっとしていたら、一席空けてお父さんと小学生の娘が座り。
一列後ろにお母さんともう一人の娘(小学校低学年くらい)。
予告編が始まっても家族で話しているのが鬱陶しかったのですが、
お父さんの隣に座る娘が真ん中に座れないとごねだして。(V)o¥o(V)
お父さんが内側、娘が外側という座り方を逆にすればいいじゃん、と思っていたら、
私が隣の席に置いていたリュックをお母さんが指差して、
「カバン、除けてもらってそこに座ればいいじゃない」と長女に大声で言いながら、
「すみませんけど、カバン、除けてもらっていいですか?」と
お母さん、まるでそこにカバンを置いている私のせいで座れないだろうと言わんばかり。
真ん中に座りたかったら一列前の真ん中はがら空きだから移動すればいいのに、
と思いながら無言でカバンを除けたものの、長女、知らないおばさん(私)の隣に
座るのが嫌だったみたいで結局「この席でいい」と言って移動せず。
予告編が始まる直前に入ってきたのもイラっとしたのですが、
真ん中に座れないとごねる娘に我慢しろとか、お父さんと席替わりなさい、とかではなく、
私のカバンを除けてくれ、ってなんか自己中ですごいよな、私より早く予約していれば
真ん中に座れたのにね、と心中思いながら本編が始まると、
今度は長女がお父さんに観ていて分からない場面について逐一質問するという事態。
おまけに、終盤の納屋が燃える場面では後ろに座る次女が火の勢いの場面に大泣き。
アメリカではPGがついている作品、なぜ日本ではPGがつかなかったのか分かりませんが
この作品、予告編がほのぼのして見えますが決してお子様向けではない作品、
おそらく親のどちらかが見たいと言ったら家族がついてきたのではないかと思いますが、
映画館での座席は行ってみるまで誰と隣り合わせるか分からないしなあ、と
今回は残念な座席での鑑賞となりました。(;_:)

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映画「マーメイド・イン・パリ」を観る [映画(ま行)]

予告編を見て気になっていた作品です。

mermaid.jpg

あらすじはYahoo!映画さんより。

老舗のバーでパフォーマーとして勤めるガスパール(ニコラ・デュヴォシェル)は、
ある夜傷を負って倒れていた人魚のルラ(マリリン・リマ)を見つけ、保護する。
出会った男たちを美しい歌声で魅了し、彼らの命を奪ってきた彼女はガスパールも
手にかけようとするが、恋に破れた経験から恋する感情を無くした彼には
その歌声が全く効かない。そんな二人が、いつしか恋に落ちていく。



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フランスらしい映画。

莫大な予算でハリウッドリメイクしたら全く面白くない作品になりそうですが(笑)
なんか、フランスだからこういう作りはOK、みたいな自分の折り合いのつけ方が
もうそんな感じになっているので楽しく見られました。

シェイプ・オブ・ウォーター オリジナル無修正版 2枚組ブルーレイ&DVD [Blu-ray]

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この作品と比べちゃった方が多いと思うのですが私も比べてしまいました。(笑)
シェイプオブ・・・は苦みのあるファンタジーとブログ記事に書いたのですが、
今作はそんなに苦みはなく、人魚のルラの可愛らしく不思議な表情で怖い、という
感情はないまま見られます。
人間の愚行でつらい思いをした人魚、と魚人間?というのはどこか道徳的な
観点も入っているかなと思いましたが、流れる音楽や、ガスパールが大事に
持っている飛び出す絵本が開く度に観ていてワクワクする感覚など、
重たくならないような演出、冒頭とエンディングに繰り広げられる、
ストップモーションアニメで描かれるガスパールとルラ、おそらく、
細かくみると突っ込みどころの多い設定もあると思われますが、
私自身はそんな集中力もないので、原題の人魚とおじさんの恋物語、
そんな感じで楽しく見られました。

海に戻っていく人魚との別れは想定していましたが、ガスパールがルラを
連れていく道中が一筋縄でいかないことや、ルラがガスパールに残したもの、
それがその後のガスパールの新しい世界を開く支えになっていくのでは?
そんな含みを持たせたエンディングも見ていて納得できるものでした。

今作が重たくならなかったのが、ガスパールの隣の部屋に住むマダムロッシ、
どこかで見たことがあるな、と思ったら、「マダムのおかしな晩餐会」で
スペイン人のメイド役を演じていたロッシ・デ・パルマ。
見た目もそうなのですがキャラクター設定も存在感の大きいので、
彼女の好演もガスパールとルラの恋を大きく後押しする感じで、
映画の印象がプラスに伸びる一因だったと思います。

悲しい話ながら登場するキャラクターには共感できましたし
(女医さんはちょっと共感しづらい部分もありましたが)
軽すぎず重すぎず、どこかポップなアニメのような雰囲気の中で
考えすぎず笑って楽しめた「マーメイド・イン・パリ」でありました。









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映画「ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ」 [映画(ま行)]

久しぶりの映画館、シネスイッチ銀座で見た映画です。

ムヒカ.PNG



あらすじはYahoo!映画さんより。


2012年、ウルグアイ大統領のホセ・ムヒカは、
リオデジャネイロで開催された国連会議で現代の度を越した消費社会を激しく批判した。
人間にとっての本当の幸せを人々に問う心に響くスピーチ動画は世界中に拡散し、
ムヒカ氏は脚光を浴びる。田部井一真監督は当時ディレクターをしていたテレビ番組で
ムヒカ氏を取り上げることになり、ウルグアイに出向く。




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世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ [DVD]

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このドキュメンタリーだと思っていたら違うドキュメンタリーでした。(笑)

元フジテレビで番組制作されていた田部井さんという方が、
情報番組の取材でムヒカ大統領を訪れたことがきっかけでこの作品も出来たと
冒頭で紹介されて、あ、違う、と思いながら見ていたのですが、
ムヒカ大統領の人間としての魅力に惹かれていく田部井さんの姿を想像すると
なかなか面白い作品だと思いました。
(国連でのスピーチや、取材以外で使われていた映像などは、
 以前のドキュメンタリーでも使われていたのかなとも思いましたが(^^;)

国連でのスピーチで、地球が今後も継続していくために何が必要なのか、
わかりやすく説明するムヒカさん、その中でも、そうだなあと思ったのは、
我々は発展するために生まれたのではなく、幸せになるために地球に生まれてきた、
という言葉。

私自身も物欲も含めて欲にまみれた生活を送っているわけですが、
幸せかどうか、についてはこのブログで何度も書いているとおり、
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自分が幸せかどうかは自分の気持ちだと思っていますので
(時に気持ちがササクレダッタリ怒りに震えるときもありますが)
今の自分もまあ幸せよね、って感じです。
ムヒカ大統領の言う貧しい人というのは、少ししか物をを持っていない人ではなく、
もっともっといくらあっても満足しない人、とのこと。
足るを知るってことなんだと思いますが、映画の冒頭で映される国連でのスピーチは
ごく一部ながら言葉の羅列ではなく心のこもった、また誰にでもわかりやすい話し方で
改めて自分だけでなく家族や地球が幸せになることが大切だということを感じました。
地球規模となれば壮大過ぎて私の想像は及びませんが自分にできることを積み上げていくこと、
それを多くの人が実行していくことによって地球全体の幸せにつながるという、
昨今SDG'sというキーワードだけが先行しているような(色々読んでも難しい)気がして
いたのですが、自分にできることを実践するためにムヒカ大統領のような話し方、
また、自ら実践する姿を見せることは大事ですよね。

貧困層に生まれ、日系移民の花卉栽培(菊のことをよくご存じでびっくり)や
家畜の世話を手伝ったりしながら家計を支え、その後極左都市ゲリラ活動に参加して、
度々の逮捕、脱獄、12年超の刑務所生活ののち、左派政治団体の活動家として下院議員に、
2010年から5年間大統領として様々な施策を実施して退任後は議員として生活、
そして今年10月に政治家を引退、、、と非常に波乱に満ちているように見えました。
(いまの優しそうなおじいちゃんの表情からは想像できなかった私)

アポなしで話しかけた田部井さんにも「日本人かい?」と答え、
時間がないからということなく(お付きの人たちもそれを見守る感じ)田部井さんの
質問に答える姿(カメラが回っているから、ということでもなさそうで)を見ると、
政治家として国民の幸せのために働く姿、どこかの国も見習ったらどうなの、と
思ってしまいました。

自宅の書棚にたくさんある本、チェ・ゲバラの日記(を精密に復刻)などを
見せてくれながら、どれが一番好きな本か田部井さんに聞かれても、一番といわれても
本は全部違うからね、と答えるムヒカ大統領。そんな考え方に共感しました。
チェ・ゲバラと同じ時期に活動していたので知っているけれど、じっくり話したことはない、
と、つい天狗になって話を盛る人もいる中で、そういうことはしない、あくまでも謙虚に
相手と同じ目線で話すムヒカ大統領が日本の政治家だったらどうなんだろうな、なんて
国会でヤジ飛ばしたり、真摯に受け止めるとか、遺憾とか、抜本的に改革とか、
お決まりフレーズしか言わなかったり、居眠りしていたり、みたいな政治家の多い日本の
政治家はこういう姿を見て恥ずかしくないのかよ、となんだか見ていて怒りが湧いて
きたりもしました。

国連でのスピーチで注目され、日本に招かれてやってきてくれたムヒカ大統領と
奥様のルシアさん(ムヒカ大統領とゲリラ活動で共闘し、現在ウルグアイの副大統領)、
広島の原爆記念館を訪れるシーンが中盤で紹介されます。
原爆を投下された唯一の国でありながら、経済を重視して国民の意思を重視しない
エネルギー政策を進めた結果、震災での原発事故が発生していることを憂いています。
地球の反対の国の大統領が日本のことをそう憂う気持ち、日本人としてもっと考えないと
いけないのではないかという気持ちにもなりました。

政治家として、大統領として実行した政策が成功だったのかどうなのか、
色々な側面で見ると意見が分かれそうですが、ムヒカ大統領が日本の大学生たちと
対話したときに、人生で大事なことは成功することではなく歩むことだ、と
語りかけたときに、果たして私は生まれてから五十を過ぎるまできちんと歩いて
きたのか、大学生だけでなく私自身も自分に問いかけていました。

自分の思ったとおりにいかないと他責にしがちですが、自分の行ったことの責任は自分、
自分がこれまでの人生を振り返ってきちんと歩いてきたと思えるような、そんな生き方を
しないといけないのだと(小さなことにも真面目に向き合わないと)思った、
「ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ」でありました。



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映画「マリッジ・ストーリー」を観る [映画(ま行)]

ローラ・ダーンがアカデミー賞助演女優賞を受賞した作品というだけで、
Netflixで観ました。

マリッジストーリー.jpg

あらすじはYahoo!映画さんより。

女優のニコール(スカーレット・ヨハンソン)と
監督兼脚本家のチャーリー(アダム・ドライヴァー)は、
かわいい息子がいる仲のいい家庭を築いていたが、
夫婦の関係は少しずつ悪化していき、離婚を決める。
円満な協議離婚を望んでいたが、ため込んできた相手への怒りを爆発させ、
負けず嫌いの二人は離婚弁護士を雇って争う。




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いやー、もどかしい。(^^;

どの立場(妻、夫、子供、、その他)から見るかで感想も変わるとは思いますが、
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中学生の時にみたときと最近見たときの感想が変わってしまった、
その時と同じような気がします。見る年代とどの立場から見るかで。

元のさやに戻るというあまり現実的でない結末にはならないだろう、という
気持ちで見ていましたが、互いへの愛情がありつつも別れてしまう結果、
(別々に暮らした方が逆に関係がよくなるだろうという期待はありますが)
夫の成功を願って女優のキャリアを捨てて一緒にNYに引っ越したものの、
やはり自分は女優として活躍したいと思ったニコールが行動に出る、
その行動に夫が予想外だと戸惑い、どろどろ法廷へ、、、となるわけですが、
何が起きたか分からない夫に対して、ずっと思っていたことが噴出して行動に出る妻、
ああ、そういうことになっちゃうよね、なんて見ていました。
結局2人で解決できず、弁護士を雇って法廷で争うようになるわけで、
そこに登場する敏腕弁護士(ローラ・ダーンが怪演)を観ると、
こういうときに弁護士が強い方が勝つんだな、という双方の事情よりも
弁護士の力関係が大きいんだなって。 こういうのってアメリカらしいですね。

ローラ・ダーン演じる弁護士(露出度高いお召し物が凄い)を観ると、
クライアントが勝つためには、かなりエゲツナイ態度で相手を攻める、
見ていておえっという気持ちになるほどでこんな弁護士、実際いっぱいいるんだろうけど、
こんな仕事で大金稼いで楽しいのかな、なんて気持ちになりました。

一緒に住んでいてもギスギスしていれば子どもにいい影響はないと思いますが、
離れて良好な関係でもその間を行ったり来たりする子供は大変だろうな、
自分が大人になって両親のとった行動を理解できる日がくるのかな、なんて、
独身の私には想像の範囲を超えて(笑)おりますが、セリフの多さがどこか舞台ぽく、
サービスカットなのか、スカジョーのボウイ様コスプレなども(喜)あったり、
ネタ的にはクレイマークレイマーぽいものの、もどかしい気持ちになりながらも
そこそこ楽しめた「マリッジ・ストーリー」でありました。



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映画「モーリス」を観る [映画(ま行)]

ヒュー・グラント出演にもかかわらずなぜか未見だった作品です。

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あらすじはYahoo!映画より。

ケンブリッジ大学へ進学した青年モーリスは、
上流階級のクライブという男とホモ・セクシャルの関係になる。
やがてクライブは卒業を迎え、弁護士になるため、
モーリスとの関係を清算するが……。
同性愛の世界を耽美的な映像で描いた青春ロマン。


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モーリスってヒュー・グラントじゃないんだ。(^_^;)

もう最初の最初というか、入口から勘違いして鑑賞し始めて、
え、ヒュー・グラントはクライヴって役柄なんだという、
観ていてそこで気づく失態鰤での鑑賞となりましたっが、
主人公はモーリス、演じているのはジェームズ・ウィルビー。
(彼の他の出演作品、Yahoo!映画で見ましたが見たことないです。。。)

大学生の頃に公開された映画で、もう30年以上も昔なのですが、
大学生の多感な頃なら、ドキドキしっぱなしだったと思います。(笑)
まあ、この歳になると、夢より現実がよく見えている年ごろですから、
同性愛を公にできない時代、愛より保身のクライヴと、何より愛のモーリス、
この2人の時の流れを描いていく映画、当時は大変だったんだなあ、という
気持ちで見続けておりました。

お坊ちゃんでウブなモーリス、彼の部屋に窓から乱入して愛を語るクライヴ。
その気持ちに盛り上がるモーリスに対して、同性愛で酷い目に遭っている人を観て
自分はそうならないとモーリスに別れを告げながら友人としては側に置いておく、
どこかズルい(といってもこれが当時はそうせざるを得なかったのかな)クライヴに
別れてもクライヴの側にいたいがためにそれを受け入れるモーリス。

モーリスが中年になっていってもひたすらモーリスへの愛を一途に貫いていくのに、
一方、結婚して社会的地位を築いていくクライヴの姿には不快感しかないのですが、
いつまでも自分のことが好きだから側にいるだろうと思い込んでいたクライヴに、
モーリスは身分の違う使用人に(同じく部屋の窓から乱入するのはクライヴと同じ)
惹かれていき、使用人にクライヴとの仲も感づかれてしまうという展開。

どこまで脇が甘いんだモーリス、と心中思いながら見続けていくと、
最後には使用人とモーリスは身分などを捨ててでも生きていこうとする、
と思わせるような結末で作品は終わるわけです。

そうなると、モーリスを自分の側に都合よく置いていたクライヴにとっては、
モーリスを恋人としても友人としても失う、そんな象徴的な場面なのね、と
クライヴも自業自得であろう、と共感することもなくバッサリ斬ってしまう
自分がおりました。。。

時代が違っていれば、出会うタイミングが違っていれば、、
たらればで考えると違う展開もあったかもしれないなと思いましたが、
時代、身分、いろいろなことが原因で結果的には結ばれなくて残念ですが、
イギリスの美しい風景と上流社会の文化を織り交ぜながら、
正直に生きることより体裁を選んだクライヴと
自分に正直に生きていくことを選んだモーリス、
対照的な2人を観ながら、どこか悲しいけれど美しい世界を
垣間見られたような気持ちになった「モーリス」でありました。





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映画「マン・アップ!60億分の1のサイテーな恋のはじまり」を観る [映画(ま行)]

酷い邦題の副題ですが、サイモン・ペッグの主演映画ということで借りてみました。

マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり [レンタル落ち]

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  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2016/09/02
  • メディア: DVD
あらすじはYahoo!映画さんより。

恋人と別れてから4年が経過した34歳のナンシー(レイク・ベル)は、
ひょんなことから中年男ジャック(サイモン・ペッグ)にブ
ラインドデートの相手と間違われ、
陽気に話し掛けられる。
人違いだと本当のことを言いだせないまま、これも出会いのチャンスと
24歳の女子と偽って
ジャックとデートすることに。
意外にも二人は意気投合するが……。

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クダラナイけれど、中年女にはツボ。(笑)


自己啓発本とか出会い系サイトとか、私は特に興味なく、なタイプですが、
登場人物がこれらに振り回される感じが笑えました。

勘違いから進むさらなる勘違い。(笑)

勘違いから生じる出会いが主軸なのですが、
映画を観るとき、本筋ではないところにハマる性格のワタクシ、
今回個人的にツボにはまったのが、ナンシーの元カレを演じているショーン。

彼を演じていたのはロリー・キニアなのですが、
007/スカイフォール [AmazonDVDコレクション]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD
どこかで見たことある人だ、と思い出したら、
ジュディ・デンチがMを演じていたときの秘書タナ―を演じていた人だ、
と途中から気づいたのですが。

元カレが気持ち悪くて(どこかぬめっとしている)ダメなおっさんで、
え、この人、MI6で真顔で秘書やってたじゃん(あくまでも演技)、
その対比に主役よりも元カレが変にツボにはまってしまい、
最後の最後までダメなくず男を好演していたのに大爆笑でした。

本筋である主役の2人がハッピーエンドになるだろうと見ているので、
安心して見られるわけですが(だから本筋以外で笑ってしまい)
ハッピーに終わるまでの過程があり得ない展開の連続で笑えました。

啓発本で出会いたいと思う感覚は理解しづらいというか
個人的には興味がないのですが、
出会い系サイトからの勘違いから出会う不思議、
サイモン・ペッグが設定の割に老けて見えるのは違和感ありましたが、
勘違いから出会ったもののナンシーの行動力には羨ましさをちょっと感じました。

時にお下劣な場面もあり(そこが笑える)つつ、
サイモン・ペッグ演じるダメおやじにもナンシーの行動力にも共感できた、
「マン・アップ!60億分の1のサイテーな恋のはじまり」でありました。


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映画「ミラクル・ニール」を観る [映画(ま行)]

サイモン・ペッグ主演というだけで借りた作品です。

ミラクル・ニール! スペシャル・プライス [DVD]

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あらすじはYahoo!映画さんより。

はるか銀河系の彼方ではエイリアンたちが地球を滅ぼそうと画策していたが、
一度だけ地球存続のチャンスを与えなくてはならないというルールが存在していた。
そこで彼らはロンドンの教師ニール(サイモン・ペッグ)を適当に選出し、
全知全能の力を授ける。
何も知らぬまま地球の命運を託されたニールだったが、そのパワーで愛犬デニスと
会話をするなど、くだらないことに能力を使ってばかりで……。





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適当に選んだのがこいつ。(笑)


まあ、そういう仕立てなので笑って観られますが、
全体的に毒っぽい表現が少な目でブラックに笑うというより、
常軌を逸脱することない笑いの中で見終わりました。

サイモン・ペッグだからしょーもなくて下品な笑いを期待していたら、
なんだか普通で。(笑)

ケイト・ベッキンセールは相変わらずきれいだな、っていうのは
本筋と違うところでプラスポイント。(^-^)

飼っている犬が話せるようになって、実は飼い主の想像していたことと
まったく違うことばかり考えていた(欲望まみれな)ところだけは
結構ツボにはまりましたが、あとは安定した範囲内でのくだらなさ。

犬のデニスの声がロビン・ウィリアムズで、声を聴いて
ああもうこの世にいないんだなあ、と違うところで切なくなりましたが、
(エイリアンの声をモンティ・パイソンのメンバーが演じていたりと意外と豪華)
人間、欲張りで願いが何でも叶うとなっても、それで幸せにはなれないんだな、と
どこか道徳ぽいエンディングは納得しました。

もしも願いが叶うなら、私なら何を望むかな、と考えたのですが、
欲張ったところで幸せに思えるのかな、なんて思ったり。

もちろん、お金がほしい、とか無駄肉なくしたい(笑)、とか、
細かいところであれこれ思うことはありますが、
今過ごしていることが不幸せだとは思わないので、
あまり欲張ってもいけないですし、良いことも悪いこともいろいろあるから
日々過ごしていけるのかな、なんて思った「ミラクル・ニール」でありました。



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