SSブログ

映画「ミナリ」を観る [映画(ま行)]

YouTubeの広告で何度も予告編が出てきたのを観た勢いで映画館で鑑賞しました。
minari.jpg
あらすじはYahoo!映画さんより。

1980年代、農業で成功したいと意気込む韓国系移民の
ジェイコブ(スティーヴン・ユァン)は、アメリカ・アーカンソー州に家族と共に移住。
広大な荒地とおんぼろのトレーラーハウスを見た妻は、
夫の無謀な冒険に危うさを感じる。
一方、しっかり者の長女アンと好奇心豊かな弟デビッドは新天地に希望を見いだし、
デビッドは口の悪い破天荒な祖母とも風変わりな絆を育む。
しかし、干ばつなどのために窮地に立たされた一家をさらなる試練が襲う。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アメリカ映画だったんですねぇ。(ブラピが製作総指揮)


アカデミー賞最有力と謳っていますが、
パラサイト 半地下の家族 [DVD]

パラサイト 半地下の家族 [DVD]

  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2020/07/22
  • メディア: DVD
この作品のようなじめっとした湿度というか、人間の奥底まで炙るような、
そういう深みをあまり感じられないまま鑑賞終了しました。
配給側は敢えてアカデミー賞、韓国の共通項でパラサイトと関連付けようと
したのかもしれませんが、そうしない方が素直に見られたかもしれません。

1980年代にアメリカに移住した家族の話ですが、
以前、西ドイツに移住した(というか出稼ぎに行って戻らなかった)韓国人について、
国際市場で逢いましょう [DVD]

国際市場で逢いましょう [DVD]

  • 出版社/メーカー: 株式会社ツイン
  • 発売日: 2020/04/29
  • メディア: DVD
以前の勤め先でお世話になった韓国人のおじさんから聞いた話やこの映画で知っていましたが、
アメリカへの移住というのも多いというのをwikiで知りました。
映画が描かれている頃は第三期にあたりますが、
経済的な理由だけでなく、北朝鮮との不安定な情勢、国内の軍事独裁政権を好まずに
遠くアメリカへ移住する人も多かったのですね。
ロス暴動の時、ライフルで防御しようとする韓国系アメリカ人の男性の姿を
今でも思い出しますが、LAのコリアンタウンの大きさ(とても大きい)からも、
新たな生活を始める場所としてアメリカ西海岸を選んだ韓国人が多かったのが分かります。

映画では、韓国野菜の栽培で一攫千金を狙うお父さんがアーカンソーの荒れ地を買い
LAから家族と共に引っ越しますが、トレーラーハウス、いわくつき(訳アリ)の土地、
お父さんは大きな夢を抱く一方、お母さんは現実を観るという万国共通アルアル。
韓国野菜がやっと栽培できるようになるとLAの業者には仕入れるという約束を反故にされ、
自暴自棄になりつつもオクラホマの業者と仕入れの約束を取り付ける。

そこに納屋が火事。

お父さん(ジェイコブ)を演じているのがスティーヴン・ユァン、
バーニング 劇場版 [DVD]

バーニング 劇場版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 株式会社ツイン
  • 発売日: 2019/08/07
  • メディア: DVD
鼻持ちならない金持ちのお兄さん役で、ビニールハウスを燃やすのが趣味
と言っていたのが印象的だったのですが、今回、納屋が燃えるという、
なんとなくこの納屋が燃えるシーンという印象的な光景をエンディングに
据えるのがこの映画のメインなのかな、と思いました。

個人的には、世代交代の話として見るのが面白いと思いました。
主役はお父さんですが、共感し難い感あり、で、
(お父さんを観るとき奥さん側目線で観てしまうからかもしれない)
LAからやってきたおばあちゃん(スンジャ)と孫息子(デヴィッド)の関係の変化を
おばあちゃんが持ってきたセリ(韓国語でミナリ)の成長と重ね合わせて見せる演出は
映画の中でも印象的でした。

あとは、孵卵場の煙突から出る黒い煙。
オスに仕分けされたヒヨコが儲からないという理由で燃やされる場面が
映画の最初の方に出てくるのですが、それが終盤の納屋の火事につながる、、、
というわけじゃないだろうと、今この記事を書きながら考えましたが違うだろうな。

LAの巨大な韓国移民のコミュニティ(韓国教会も)からお父さんは逃げたかったのか、
一方のお母さんは、(韓国教会がないので)キリスト教の教会で祈ることで
心の平穏を得ようとしているように見えました。

その土地の言い伝えやルールに耳を傾けなかった(ダウジングで水脈を探すことなど)
お父さんに対して納屋の火事、という構図を描きたかったのかもしれない、
とも思ったのですが、一旦植えるとその土地に根付くミナリのように、この家族が
土地に根付いていくのではないかと思わせるところで映画は終わります。

心臓病の息子を案じて都会に残るべきだというお母さんの心配に反して、
息子の心臓はアーカンソーでの生活(おばあちゃんとの触れあいもプラスだったのでは)で
快復していく、家族が強く生きていくきっかけを作ったのはおばあちゃんだったのかも、
と思いました。

とはいえ、全体的に浅い感じ(どろどろ感もなく)だったので、
折々に出てくるおばあちゃんの様子だけが印象深かった映画でした。
演じていたユン・ヨジョン、
それだけが、僕の世界 [DVD]

それだけが、僕の世界 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 株式会社ツイン
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: DVD

イ・ビョンホンのお母さん役、とてもよかったのですが、
今作でも、娘に韓国食材を大量に持ってくる場面、孫たちに花札を教える場面、
露の水(マウンテンビュー)を孫にちょうだいとねだる場面、
孫と一緒に水辺にセリを植えにいく場面、
病に倒れ、四肢が不自由な中、ごみを片づけて燃やそうとする場面、
納屋に火が飛んで燃えるのを茫然と見ている場面、
どの場面もこの映画のことを思い出すとき目に浮かびそうです。

英語のできないおばあちゃんが孫たちとの交流を経て、
カタコトの英語を話そうとするのですが、

おばあちゃん→99%韓国語+ちょっとカタコト英語
お父さん、お母さん→70%韓国語+必要な時に英語
子供たち→70%英語+英語の中に混じる韓国語

適応能力のある子供たちはネイティブな発音で英語を話し、
白人の子供たちともすぐ仲良くなりますが、
親の世代は、新しい土地でもなかなか知り合いを作れない、
という世代のギャップも描いていたのですが、字幕だと全部日本語なので(仕方ない)
韓国語と英語のミックスの会話を聞いていて、
中国語と英語を混ぜながら会話するシンガポールの人たちをふと思い出しました。

と、いろいろ感想はあるのですが、映画全体が起伏に乏しい感じの展開なので、
はっきりした起承転結でドラマチックな展開を好む人には物足りないかもしれないな、
と思った「ミナリ」でありました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
映画と直接関係ない話ですが。

公開3日目(日曜日)に亀有のシネコンで観たのですがお昼の時間帯、
前から5列目の真ん中の席を2日前に予約してシネコンに行きました。
さほど混んでいないのでほっとしていたら、一席空けてお父さんと小学生の娘が座り。
一列後ろにお母さんともう一人の娘(小学校低学年くらい)。
予告編が始まっても家族で話しているのが鬱陶しかったのですが、
お父さんの隣に座る娘が真ん中に座れないとごねだして。(V)o¥o(V)
お父さんが内側、娘が外側という座り方を逆にすればいいじゃん、と思っていたら、
私が隣の席に置いていたリュックをお母さんが指差して、
「カバン、除けてもらってそこに座ればいいじゃない」と長女に大声で言いながら、
「すみませんけど、カバン、除けてもらっていいですか?」と
お母さん、まるでそこにカバンを置いている私のせいで座れないだろうと言わんばかり。
真ん中に座りたかったら一列前の真ん中はがら空きだから移動すればいいのに、
と思いながら無言でカバンを除けたものの、長女、知らないおばさん(私)の隣に
座るのが嫌だったみたいで結局「この席でいい」と言って移動せず。
予告編が始まる直前に入ってきたのもイラっとしたのですが、
真ん中に座れないとごねる娘に我慢しろとか、お父さんと席替わりなさい、とかではなく、
私のカバンを除けてくれ、ってなんか自己中ですごいよな、私より早く予約していれば
真ん中に座れたのにね、と心中思いながら本編が始まると、
今度は長女がお父さんに観ていて分からない場面について逐一質問するという事態。
おまけに、終盤の納屋が燃える場面では後ろに座る次女が火の勢いの場面に大泣き。
アメリカではPGがついている作品、なぜ日本ではPGがつかなかったのか分かりませんが
この作品、予告編がほのぼのして見えますが決してお子様向けではない作品、
おそらく親のどちらかが見たいと言ったら家族がついてきたのではないかと思いますが、
映画館での座席は行ってみるまで誰と隣り合わせるか分からないしなあ、と
今回は残念な座席での鑑賞となりました。(;_:)

nice!(5)  コメント(2) 
共通テーマ:映画

nice! 5

コメント 2

lovin

直接関係ないほうの話、
最近、ネットで席予約するとき、隣空いててほしいから、
けっこうぎりぎりで予約したりします。
新幹線とか映画館とか、予約席になると逆に避けられない辛さになる
時ありますよね。子供、香水、などなど。(;^_^A
しかし、この家族はイライラするな~~。
オツカレサマデシタ。
by lovin (2021-04-04 11:49) 

うつぼ

lovin姐さん、おはようございます。
普段は右端か左端の席を予約するのですが
(本編ぎりぎりに映画館について真ん中の席に座るのが苦手)
今回は絶対時間に余裕あるからと真ん中の席を予約してこの珍事。(笑)
ぎりぎりの予約だと逆に好きな位置で席が選べないかと思って
毎度前日か2日前くらいに予約していたのが裏目に出ました。
この家族、映画観る度にこんな感じなのかもしれませんが
文句あるなら自宅で映画観とけって思います。(V)o¥o(V)
by うつぼ (2021-04-05 08:28) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。