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映画「すべてうまくいきますように」を観る [映画(さ行)]

ソフィー・マルソー主演の映画、映画館で観ることができました。
すべてうまく.jpg
あらすじはYahoo!映画さんより。

人生を謳歌(おうか)していた85歳のアンドレ(アンドレ・デュソリエ)は
脳卒中で倒れて体が不自由になり、娘のエマニュエル(ソフィー・マルソー)に
人生を終わらせる手助けをしてほしいと頼む。
戸惑う彼女は父の考えが変わることを期待しつつも、合法的な安楽死を支援する
スイスの協会と連絡を取り合う。
一方、リハビリによって順調に回復するアンドレは積極的に日々を楽しみ、
生きる希望を取り戻したかのようだった。
しかし、彼は自ら定めた最期の日を娘たちに告げ、娘たちは葛藤しながらも
父の決断を尊重しようとする。


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ソフィー・マルソーが美しく年を重ねている姿に見惚れてしまいました。
ソフィー・マルソー 「ラ・ブーム」 [DVD]

ソフィー・マルソー 「ラ・ブーム」 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 2007/11/24
  • メディア: DVD
1、2と映画館で観た世代です。(パンフレットも持ってます(笑))

と、美しい中年女性になった(あちこち疲れる世代を好演しつつも美しい)姿を
羨望の眼差しで観ていたのは本筋の感想ではないのですが、
自分の人生は自分で決める、出来そうで出来ないような、でも自分で決められれば
そこに後悔はないのかな、という気持で観終わりました。

原題は”Everything went fine”、と過去形の文章なので、
原題を先に知っていると先が見えてしまいますね。(^-^;

尊厳死がテーマになっている作品ですが、
世界一キライなあなたに [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

世界一キライなあなたに [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2018/01/17
  • メディア: Blu-ray
不慮の事故で半身不随になってしまった富豪が尊厳死を選ぶ、という映画と
どこか重なってしまったのですが、今作では脳卒中で思うように動けない自分の人生を
終わらせたいと願う実業家のアンドレの様子が丁寧に描かれていたと思います。
自分の体が思うように動かないことによる自暴自棄、私自身も昨年の骨折で
(いずれこの件については備忘録として記事を書こうと思っています)
思うように動けないことへのイライラがありました。
(当然ですが歩いたりは出来たので、今作ほど辛い状況ではありませんでしたが)

アンドレの人生を終わらせたいという言葉に娘のエマニュエル(ソフィー・マルソー)が
葛藤しながらも願いを叶えてあげよう(翻意する可能性にも期待しながら)と
そのために必要なことはなにか、調べて行動する姿を見ていると、老いた親を持つ自分も
どこか姿を重ねてみていました。

実業家で裕福なアンドレ、長らく別居中の妻(シャーロット・ランプリング!)、
妻の親にゲイと昔罵られたことをずっと恨んでいるのですが、
付き合っていた男性(ジェラール)がまたクズ(DVでアンドレのお金目当てみたいな)で
エマニュエルも遠ざけておきたかったものの父が最期を迎える前にと対面の機会を作る、
自分の気持ちより父の気持ちを慮る姿には自分が母のやりたいことを葛藤しながらでも
叶えてあげられるだろうかという気持ちになりました。

スイスに移動して安楽死の手続きを行う日を決めた後、色々な人に話してしまったが故に
話を聞いた誰か(父の交際相手のジェラールではないかと暗示されますが真相不明)が通報、
実行寸前で警察に呼ばれるエマニュエルと妹パスカル、弁護士に相談するものの
(本人の安楽死の意思表示の動画も撮って公証人に提出していたからなのかもしれませんが)
正直に話すように言われて計画について一通り説明したら帰ってよいと言われ、
その後、アンドレをスイスに向かう車に乗せて見送る、そんなにスムーズにいくわけも
ないと思いながら見ていましたが、エマニュエルの準備に漏れがなかったお陰で警察も
違法だと手出しできなかったのかな、と推測しました。

スイスの尊厳死協会の担当女性(演じていたのはハンナ・シグラ)が、
定年までは司法官として働いていたこと、退職後は友人の活動(尊厳死協会)を手伝って
いることをエマニュエルに説明した後、スイスまで行って計画中止をした人もいる、という
事例を聞くのですが、ここでエマニュエルがこの女性や団体の支援活動について理解できた
ような(信頼を持てるような)表情になったように観えました。

フランソワ・オゾン監督作品でこれまで観たいくつかの作品は、
自分にしっくりくるようなこないような、という感じの作品が多かったのですが、
今作は悲壮感漂うつくりにはなっておらず、どこかクスっとしてしまう場面もあって
内容が内容なのですが、陰鬱な気持ちになることなく観ることができました。

尊厳死を希望してスイスまでいって実行できるのはそれなりに裕福でないと難しそうで、
一般庶民がそう思っても簡単にできる話ではないとは思いますが、
1人の人間としての尊厳をもって死を迎えられるのは幸せなことなのかもしれない、
そう思いながら自分もいつか迎えるときどうしたいのか考えた方がいいのだろうな、
と思った「すべてうまくいきますように」でありました。

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Amazon Prime「サウンド・オブ・007」を観る [映画(さ行)]

アマゾンプライムで観つけたドキュメンタリーです。


サウンド・オブ・007

サウンド・オブ・007

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2022/10/05
  • メディア: Prime Video

内容はAmazon Primeさんより。

マット・ホワイトクロス製作の新ドキュメンタリー。
象徴的なテーマソングの1962年製作「007/ドクター・ノオ」の誕生から、
ビリー・アイリッシュがアカデミー賞(R)を受賞した2021製作、
「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」まで、ボンド音楽の歴史を紐解く。



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1作目から改めて観たくなりました。(^O^)/

007シリーズの音楽(ここまで長くシリーズが続いている映画も他にありませんが)、
テーマ曲のフレーズがバックに聞こえる主題歌(初期の作品はそうでないのもありますが)、
映画の中で特にジェームズ・ボンドの内面を表すのにアレンジされて流れるテーマ曲、
私自身、テーマ曲がすっかり刷り込まれている独特の世界だと思っていますが、
携わった方々によるインタビューで説明してもらうと合点することが多く、
今回見たことを映画で見て作品を観ながら確認してみたい気持ちになりました。

007/ドクター・ノオ [Blu-ray]

007/ドクター・ノオ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2021/09/29
  • メディア: Blu-ray
1作目は主題歌がなかった、というか成功するかもまだ未知の007作品1作目、
ミュージカル音楽を制作するモンティ・ノーマンがシタールで演奏していた
"House of Biswas”をエレキギターで奏で、更に力強さが足りないという指摘に
新たに参加したジョン・バリーがアレンジしてあのテーマ曲が誕生したことも
今回初めて知りました。

(時代と共にテーマ曲のアレンジも進化しているんですね)



ロシアより愛をこめて [Blu-ray]

ロシアより愛をこめて [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日: 2015/10/07
  • メディア: Blu-ray
2作目からは主題歌も登場(トム・ジョーンズの熱唱)しますが、
主題歌に盛り込む要素がたくさんあり(殺人、セッ〇ス、キス、などなど)、
禁断の魅惑、そして切ない気持ちになる、謎と陰謀渦巻く世界に導く役割の主題歌、
その後、シャーリー・バッシーによる「ゴールド・フィンガー」から
最新作のビリー・アイリッシュによる「ノー・タイム・トゥ・ダイ」まで、
時代の流れとともに変わっていくのを興味深く観られました。
映画の中で主題歌のメロディがアレンジされて流れるのが007シリーズらしく、
特に、最新作ではアレンジせずにビリー・アイリッシュの歌声が流れますが、
それがもう(後半)泣きのツボにはまったことを思い出しました。(:_;)

主題歌も熱唱からポール・マッカートニーやデュラン・デュランなどの
(インタビューに登場するジョン・テイラーのおでこ皺に時の流れを感じました)
ミュージシャンが自分で作って自分で歌うというスタイルに変わっていき、
007シリーズ50周年の作品、
007/スカイフォール [Blu-ray]

007/スカイフォール [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2020/11/11
  • メディア: Blu-ray
「スカイフォール」では、シャーリー・バッシーのファンでもあるアデルが、
脚本をお風呂でお湯が冷えるまで読み込み作った作品が一切の手直しが要らない
完璧な作品であったと音楽プロデューサーのハンス・ジマーから語られる、
ああ、そのくらいアデルの思いが入った歌なんだなあと熱い気持ちになりました。

一方で、
007/ゴールデンアイ [Blu-ray]

007/ゴールデンアイ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2021/09/29
  • メディア: Blu-ray
U2のボノとエッジがつくった主題歌ですが、雑につくられたデモテープが
ティナ・ターナーの手元に届き、彼女が一体どう歌えばよいのか困惑した、
というエピソードに、実際のデモテープが流れると、ああこれじゃあ確かに(笑)、
と思いつつ、スタジオでティナとボノ、エッジがあの主題歌まで仕上げていった、
さすがプロ、という気持にもなりました。

また、レディオヘッドの曲(Man of War)が未公開曲でなかったために
作り直している間に、サム・スミスの曲が選ばれてしまった「Spectre」、
プロデューサーのバーバラ・ブロッコリが主題歌を依頼したエイミー・ワインハウス、
薬とアルコール漬けでとても歌を作れる精神状態ではなく、結果的には
ジャック・ホワイトと、アリシア・キースによる「Another Way to Die」が
採用された話、ブロンディ、エイスオブベイスなども主題歌を歌う候補だったなど、
個人的にはエイミー・ハインハウスの主題歌、聴いて観たかったなあ。。。。

007/女王陛下の007 [Blu-ray]

007/女王陛下の007 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2021/09/29
  • メディア: Blu-ray
観た当時、個人的には響かなかったこの作品、
主題歌を歌うルイ・アームストロングのエピソード(闘病中に録音)や
007/ノー・タイム・トゥ・ダイ ブルーレイ+DVD (ボーナスブルーレイ付) [Blu-ray]

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ ブルーレイ+DVD (ボーナスブルーレイ付) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
  • 発売日: 2022/03/02
  • メディア: Blu-ray
ボンドがマドレーヌとドライブしている場面で、ボンドが「時間はたっぷりある」と
いうのですが、女王陛下の007での場面を最新作でも演出し、そこに流れていたのが
ルイ・アームストロングの主題歌(のメロディ)、こんな演出ができるのも長らく続く
007シリーズならではだと思いますが、音楽を分解して蓄積を足して組みなおす、
とハンス・ジマーが語るのを聞いて、他のシリーズでは不可能なことであり、
長年の蓄積があってこそなのだと思いました。

と主題歌について楽しく観ていたのですが、一方で失敗作として取り上げられたのが
007/オクトパシー [Blu-ray]

007/オクトパシー [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2021/09/29
  • メディア: Blu-ray
007/ムーンレイカー [Blu-ray]

007/ムーンレイカー [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2021/09/29
  • メディア: Blu-ray
この2作品。私は別にそう思っていないのですが、どうしても他と比較されますし、
シャーリー・バッシーはこの歌はもう歌いたくないと言っているくらいなので、
製作側としては不満足、なのでしょうね。
(マドンナとかアハの主題歌は映画の中で取り上げられることもなく残念)

米ソ冷戦の頃から50年以上経って想定する敵国も変わり、ピアース・ブロスナンが
ボンドを演じていたころの敵はメディア王だったりと世の中が大きく変化する中で
それでもシリーズを制作し続けられるのは物語の設定だけでなく音楽によるところも
大きいのだと思うと、やっぱりドクター・ノオから見直して音楽も楽しみたいと
思った「サウンド・オブ・007」でありました。








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映画「世界で一番ゴッホを描いた男」を観る [映画(さ行)]

アマゾンプライムで見つけたドキュメンタリーです。

世界で一番ゴッホを描いた男(字幕版)

世界で一番ゴッホを描いた男(字幕版)

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2019/05/10
  • メディア: Prime Video
内容はYahoo!映画さんより。

中国の湖南省出身のチャオ・シャオヨンさんは、
1996年、大芬(ダーフェン)に出稼ぎにやって来る。
そこではゴッホなど有名画家の複製画を作ることが産業として成り立っていた。
彼は、初めてゴッホの絵画と出会い、独学で油絵の描き方を勉強して、
およそ20年にわたって狭い工房でゴッホの複製画を描き続けてきたが、
本物を目にしたことは一度もなかった。

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ゴッホの複製画を10万点描いた男。

絵心のない私には、絵画(しかも油彩)が描ける人は尊敬の対象ですが、
しかも10万点も描いてきたということにただ驚きました。

深圳の大芬(ダーフェン)に絵画村と呼ばれる複製画を描く職人が集まるエリアが
あることを今作で初めて知ったのですが、注文を受けて奧さんや兄弟、弟子と手分け
しながら描く(家内制工業のような、工房というよりは小さな工場のような場所)
ゴッホの実際の作品を観たことがないシャオヨンさんが画集やテレビからの情報のみで
筆遣いを研究して次から次へと絵を完成させて注文主の元(オランダ)へ送る繰り返し。

大量の複製画注文を低価格で請け負い、描いても描いても貧しい生活は変わらない中、
(深圳が急速な経済発展を遂げる中、シャオヨンさんの零細企業は請負金額が上がらず)
ゴッホの描いた本物の作品を観にオランダに行きたいと奧さんに言うのですが、
お金がないのにどうやっていくのか、と、奧さんには当然反対されます。
オランダに行って学ぶことで作品の質が上がって収益向上につながるなどと
繰り返し説明してやっと承諾してもらいますが、渡航するまでの道のりも長く、
農民戸籍のシャオヨンさんは故郷の湖南省まで行ってパスポートを取得し、
オランダ渡航のビザが下り、お金も工面できてやっとアムステルダムを訪れることに。

念願のアムステルダム、意気揚々と模造画の注文主に会うのですが、
自分の描いたゴッホの複製画が飾られているのを見て誇らしげな気分になった後、
そこがギャラリーではなく土産物店で請負額の10倍の値段で売られていることを知り、
シャオヤンさんはショックを受け落胆します。

映画の前半で描かれる姿は複製画を描く職人であって芸術家ではない、
シャオヤンさんは都市戸籍がなく地方の貧しい土地で育ち、学歴も小学校卒業、
職を探して深圳にやってきて見つけたのがゴッホの複製画制作だったわけですが、
(母一人に育てられた環境では仕方なく、苦しい中育ててくれた母には感謝している
というシャオヨンさんの姿に思わずウルっとしてしまいました)
自分が一生懸命研究して描いた絵の行先を目の当たりして、また、ゴッホの実際の作品を
直に観ることでシャオヨンさんの気持ちにはゴッホへの更なる尊敬の気持ちと、
自分の描きたいを描いてみたいという気持ちに変化していきます。

生活の糧を得るために複製画を描き続けながら、
50年、100年先に評価されるかもしれない自分の作品を描きたい、と、
最初に描いたのが辛く貧しい思い出のある湖南省の故郷に住む大好きな祖母、
深い皺が刻まれたおばあちゃんを描くシャオヨンさんの姿はとても楽しそうでした。
アムステルダムでゴッホの作品を観たことでゴッホへの尊敬が更に強まって
自分のやりたいことが見つかったこと、シャオヤンさんがとても真面目な人なんだろうな
と画面越しに伝わってきましたが、ゴッホと出会ったことで前向きな気持ちになれた
シャオヤンさんが自分の描きたいものを心の思うままに描けることの幸せを感じている
のではないかと思った「世界で一番ゴッホを描いた男」でありました。











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映画「すずめの戸締り」を観る [映画(さ行)]

新海誠監督の最新作、やっぱり見ておこうかな、と映画館で鑑賞しました。
すずめ.jpg
あらすじはYahoo!映画さんより。

九州の静かな町で生活している17歳の岩戸鈴芽は、
”扉”を探しているという青年、宗像草太に出会う。
草太の後を追って山中の廃虚にたどり着いた鈴芽は、
そこにあった古い扉に手を伸ばす。
やがて、日本各地で扉が開き始めるが、
それらの扉は向こう側から災いをもたらすのだという。
鈴芽は、災いの元となる扉を閉めるために旅立つ。


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ダイジン。。。(;_:)

恐らく多くの方がダイジン(という名前の猫)が主人公の鈴芽(すずめ)のために
とった行動に最後ウルっとしたと思いますが、私もウルウルでした。

これまで新海監督作品というと、「君の名は。」「天気の子」を観ましたが、
毎回予習せずにぶっつけで観ているせいか、前の2作品はちょっと分かりづらい部分が
あったものの、今作はすんなり入ってくるような感覚で観ることができました。
話の展開もあまり違和感や疑問がなく入ってきたのですが、
音楽(前2作品はRADWIMPSの耳に残るメロディがここぞといいう場面で流れる)も
劇中には流れなかったのも音楽に集中力を持っていかれなくて済んだのかもしれません。

地震を引き起こすと言われた鯰を押さえるために要石を東西に置いたという話から
今作も作られていて(要石が鹿島神宮や香取神宮にあると今回初めて知りました)
鯰の代わりにミミズとして描かれていました。

かつて人々が楽しい時間を過ごした場所(廃園になった遊園地など)にある後ろ戸、
その扉を開けると常世(死後の世界)につながるという設定になっていて、
地震で被災した4歳のすずめが後ろ戸を開けて亡くなった母親を見つけた思い出が
高校生になってからも続いていることが最初に描かれるので、
その後、後ろ戸を閉じる閉じ師の草太と共に開いた後ろ戸を探していく、という展開も
さほど違和感なく観られました。

ただ、イマドキなんだろうなと思ったのがスマホだけ持って飛び出したすずめ、
電子マネーで決済して移動していくのが凄いなあと思ってしまいました。
充電大丈夫かな、バッテリーなくなったりしないかな、本筋とは違うところでも
すずめの行動が心配になってしまいました。(笑)

更に次々に親切な人に出会って難を逃れるのですが、後ろ戸を閉めることによって、
その土地が災いから守られて助けた人たちに幸運をもたらしていったので、
性善説の気持ちで見続けていると非常に楽しい展開でした。

鑑賞後に色々レビューを観ていると、ジブリ作品へのオマージュもあったそうですが
ジブリ作品はトトロと千尋しか見たことがないのでその場面が全く分からず、
知っていればそういう点でも楽しめたのかもしれなかったというのが残念ですが、
知らなくても楽しめると思います。

あらゆるところに神様が宿っているのかな、と今作をみて改めて思ったのですが
(トイレにも神様がいますもんね)
すずめの勇気ある行動、それを受けての最後のダイジンのとった行動、
(序盤から中盤以降までダイジンのことを悪いやつだと思い込んでいて
 終盤に申し訳ない気持ちになりました)
私も面倒とかやりたくないとかネガティブなことばかり言わずに、
やってみようという気持を思い出して行動に移さないとな、という気持になりました。

小説版もあるそうなので読んでみたいですね。
すずめの戸締まり (角川つばさ文庫)

すずめの戸締まり (角川つばさ文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2022/10/13
  • メディア: 新書
新海監督作品というと空や水の描き方が特徴的で好きなのですが、
今作でも常世の空、現世の空の対比が印象的でした。

1回では分からない場面もあったのであと1回は観てみようと思いますが、
「いってきます」「いってらっしゃい」
「ただいま」「おかえりなさい」
当たり前に思えるやりとりが実はとても大切なものなのだと思いながら
新海監督の世界観に浸って楽しめた「すずめの戸締り」でありました。






要石を取り除いたことからミミズが暴れ出し、地震が起きる、
それを

3.11のことも含まれていて、地震の警報音も頻繁に出てくるので、被害に遭われた方は
観て辛いお気持ちになるかもしれません。







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映画「SAD VACATION ラストデイズ・オブ・シド&ナンシー」を観る [映画(さ行)]

Amazonプライムで「間もなく見放題終了」に表示されていた映画というだけで
観てしまいました。
SAD VACATION ラストデイズ・オブ・シド&ナンシー [DVD]

SAD VACATION ラストデイズ・オブ・シド&ナンシー [DVD]

  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2018/03/21
  • メディア: DVD
あらすじはYahoo!映画さんより。

Sex Pistols のベーシストとして活躍し、薬物の過剰摂取で若くして亡くなった後も
パンクロックの伝説的な存在として圧倒的な人気を誇るシド・ヴィシャス。
そして彼の恋人で、不可解な死を遂げたナンシー・スパンゲン。
二人の幼少期、関係を終わらせることになった1978年にニューヨークにあるホテルで
起きた事件、いまだ完全に解明されていないナンシーの死にまつわる謎に迫る。

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切ない。(:_;)

Sex Pistolsというと、


この曲や、ブルーマンの舞台で流れる"Anarchy in the U.K.”くらいしか知らず、
パンクブームの火付け役とはいえ、当時の私と言えば、
News of the World [12 inch Analog]

News of the World [12 inch Analog]

  • アーティスト: Queen
  • 出版社/メーカー: Imports
  • 発売日: 2015/10/02
  • メディア: LP Record
お小遣いで買った初めてのレコードがクイーンの「愛にすべてを」で、
パンクとは真逆の世界にいたので高校生くらいになって買ったananで
ロンドンのパンク(失業率が高かった頃のイギリス)について知った程度、
あとは、マネージャーだったマルコム・マクラーレンがその後、
Duck Rock

Duck Rock

  • アーティスト: Mclaren, Malcolm
  • 出版社/メーカー: EMI Import
  • 発売日: 1993/05/19
  • メディア: CD
”ダブルダッチ”という曲でヒットしていたという記憶くらいだったので、
今回の映画を観てもジャンキー沼に落ちていったカップルの話程度で
観始めたものの、才能があってこの先も期待されていたシド・ヴィシャスが
グルーピーからのし上がっていったナンシー・スパンゲンとの出会いによって
薬漬けになり、果てはナンシー殺しで収監され、出所した後、薬物過剰摂取で
21歳でこの世を去るという、ドラマチックすぎる人生、今回wikiで観たら、
21年という短い人生、非常に濃くて切なくて悲しいと思ってしまいました。
(Sex Pistols加入前はドラマーとしてスージー&ザ・バンシーズにいたという
 説明に個人的にびっくりしました)

ミュージシャンが薬物中毒、というのは他でも色々見ましたが、
AMY エイミー [Blu-ray]

AMY エイミー [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2017/01/11
  • メディア: Blu-ray
時代が違うとはいえエイミー・ワインハウスと同じような、
とても優しくて真面目な人が周囲(恋人や配偶者)によって薬漬けにされ、
心身ぼろぼろになっていき最後には命を落とす、エイミー・ワインハウスの場合は
クズ夫が原因ですが、シド・ヴィシャスは恋人ナンシーとの出会いによって
その人生を短いものにしてしまったように見えました。
(長生きするだけがよいことではないとは思いますが、短すぎます)

様々な証言を元に2人の関係を炙り出すようなドキュメンタリー作品ですが、
当時交友のあった方々の年齢のとりかたをみると、ずいぶん昔のことだったんだな、
なんて思いつつ、
シド・アンド・ナンシー [DVD]

シド・アンド・ナンシー [DVD]

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2017/08/25
  • メディア: DVD
未見のこの作品(ゲイリー・オールドマンが演じているんですよね)も
観てみようかなという気持になった、
「SAD VACATION ラストデイズ・オブ・シド&ナンシー」でありました。









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映画「さかなのこ」」を観る [映画(さ行)]

テレビチャンピオンの頃から見ているさかなクンをのんが演じる、
どんな感じなのかな、と思って観に行きました。
さかな.jpg
あらすじはYahoo!映画さんより。

魚類学者でタレントのさかなクンが、幼いころから魚に夢中だった自身の半生を
つづった著書を映画化。魚が大好きな少年がさまざまな出会いを経ながら、
好きなことを究めようとまい進していく。『子供はわかってあげない』などの
沖田修一が監督・脚本を務め、同監督作『横道世之介』で組んだ前田司郎が共同で
脚本を担当。子供のように真っすぐに大好きな魚を追い続ける主人公を、
『私をくいとめて』などののんが演じる。

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コタツ会長!!

(本筋の感想そこじゃない)


俺の家の話 DVD-BOX

俺の家の話 DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2021/08/13
  • メディア: DVD
昨年初めに私がどっぷりはまり、骨折入院中もAmazonプライムで観返して
笑って泣いたドラマですが、主人公の寿一(長瀬智也)が所属していたプロレス団体の
掘コタツ会長(試合ではレフリー兼務)がこのドラマの中で結構いい役回りで、
セリフをやっとこなす長州力をサポートしていたのですが、
この役を演じていた三宅弘城さんがミー坊(のん)の父親役ジロウを演じていて、
最初の頃に登場して、コタツ会長がお父さん、なのにあまり目立たないかと思ったら、
海でミー坊がつかまえた巨大タコを(ミー坊は家で飼いたかった)の頭をぐりっと外し、
足を全力でコンクリートにたたきつける荒業を見せる、という衝撃的な場面を演じ
観客を驚かせ笑わせてくれて、そこからすっかり映画の世界に入り込めました。

のん演じるミー坊(幼少期を演じた西村瑞季ちゃんもよかった)をとりまく同級生、
大きくなって大人になってもその関係性が続いていく、
(ももちゃんは離れていったけれど遠くでつながっていたように見えた)
年月が経っても変わらないさかなクン(ご本人もギョギョおじさんとして登場)、
のんとさかなクンを重ねてみても違和感がないのが不思議というか面白いというか、
冒頭で「女か男かはどっちだっていい(記憶曖昧ですがこんな感じ)」という言葉が
描かれた後に、ミー坊が女のコっぽかったり、学ランを着て男の子ぽかったり、
それがのんが演じていると全く違和感なく、逆に彼女以外が演じたら、この世界観は
描けなかったのではないかと思いました。
この冒頭の言葉、さかなクンが男であっても女であってもさかなクンはさかなクン、
さかなクンという一人の人間を描く中で語られた言葉だと思いました。

で、この映画、ミー坊を演じたのん本人も当然よいのですが、
ミー坊を取り巻く人たちもとても好演されていて、お母さん役の井川遥、
総長役の磯村勇斗(この人は作品によって物凄く変わりますね)、
幼馴染のヒヨ役の柳楽優弥(高校生時代の狂犬と呼ばれる不良姿に爆笑)、
高校の理科の先生(さかなクンと同級生の鈴木拓也⇐ドランクドラゴン)、
のんを中心に周囲との相乗効果というか化学反応というかで2時間あっと言う間で
観終わりました。

個人的には高校の総長グループ、敵対する他校のヤンキーたちのやりとりが
かなりツボに入ったのですが、ヤンキーホーンをつけた魔改造の原付(笑)、
強がっているけれど(短ランに時代を感じました)実は優しい人たち、
ミー坊が釣ったばかりの鯵を総長の子分で気が弱そうな青鬼からナイフを借りて
えらの下にナイフを入れて〆ると、総長が何やってんだよというのですが、
「〆てるんだよ、総長だってシメタことあるでしょ?」とミー坊が切り返し、
総長が答えに窮する場面、両隣が同年代おじさんたちだったのですが、
この場面、3人でほぼ同時に噴いてしまいました。
(アオリイカの件も後日に続いて笑ったりじんわりしたり)

また、先日記事にした「サバカン」とおそらく同時代を描いているので、
家の中にある掃除機や麦茶ポット、コップの再現力にも驚いたのですが、
ミー坊が履く上履き(青と灰色を混ぜたような色、私も履いていた)、
大学時代まで実家で使っていたオレンジ色のデスクライトに思わず目が
釘付けになってしまった私です。(昔を懐かしむ世代にはドンピシャ)

冒頭から音楽を聴いていて、え、パスカルズ?と思ったらやはりそうだったのですが、
昨日記事にした「川っぺりのムコリッタ」と同様、のんの魚が大好きでひたむきな姿、
海、たくさんの自然、優しいひとたち、音楽がそれをまとめていく効果も大きかったと
思います。さかなクンも本編でバスクラリネットを演奏していますが、本当に温かい、
聴いていてほんわかする音楽でした。

ひとつだけ残念だったのが、エンドロールで流れた曲が急にアップテンポで
(違うアーティストだったみたいです)
それまでの世界観にふわふわ浸っていたところから急に現実に引き戻された感じで、
ここだけが本当に残念でした。(:_;)

テレビチャンピオンに出ていたころのさかなクンが高校生だということを
今更知ったのですが、好きなことをやりなさいといつも見守ってくれたお母さんのお陰で
大学には行けなかったけれどその後、唯一無二な魚博士となっている姿を見ると、
反対ばかりしないで本人の気持ちを尊重することの大切さを学んだ気分です。

さかなクンの魚愛(魚を愛でるだけでなく、美味しく食べることで更に魚を愛する)は
観ていて凄すぎて想像が及ばないときもありますが、これだけ長い間さかなクンと呼ばれて
親しまれている人って他にはいないな、と思いながらたくさん笑って見ることができた
「さかなのこ」でありました。


 

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映画「セイント・フランシス」を観る [映画(さ行)]

予告編を観て気になっていた作品です。
セイントフランシス.jpg
あらすじはYahoo!映画さんより。

大学を中退し、ウェイトレスとして働きながらぱっとしない日々を送る
34歳の独身女性ブリジット(ケリー・オサリヴァン)。
ある日、知人から夏限定のナニー(子守)の仕事を紹介された彼女は、
同性カップルの両親(チャリン・アルバレス、リリー・モジェク)に代わり、
6歳の少女フランシス(ラモナ・エディス=ウィリアムズ)の面倒を見ることになる。
当初は軽い気持ちで仕事をするブリジットだったが、
フランシスや彼女の両親をはじめ、皆それぞれに葛藤を抱えて生きていることに気付き、
気持ちが変化し始める。


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ジョーン・ジェット。

久しぶりに聞いた名前にあのアイラインの濃いお顔が浮かびました。
THE RUNAWAYS

THE RUNAWAYS

  • アーティスト: THE RUNAWAYS
  • 出版社/メーカー: CHERRY RED
  • 発売日: 2015/07/05
  • メディア: CD
このジャケットに写っているのはボーカルのシェリー・カリーですが、
「チェリー・ボンブ」のシングル盤、実家にまだあると思います。(うつぼ兄所有)

主人公は34歳で大学中退、バイト暮らしのブリジット、
パーティで知り合った年下男性ジェイスとは体の付き合い、で、妊娠、
(この人もバイト暮らしでちょっと頼りないが血を見ても怖がらないのはいい人)
同性カップル(マヤと兄―)の娘フランシス(6歳)の子守を請け負いながら
躊躇することなく中絶(薬で行うみたいでした)したら、
その後、体調が思わしくなくなります(やたらと出血してしまう)。

ブリジットとフランシス、この2人を軸に話が展開していくのですが、
フランシスも最初は可愛げが無くてブリジットもバイトがちょっと手抜き(に見えた)、
かみ合わない中で色々なエピソードを通じて2人が心を通わせていく、
その中のエピソードにジョーン・ジェットの名前が登場し、
更に、同じ名前の女性(態度悪い)が出てきてフランシスがジョーン・ジェットと
同じ名前ね、という場面がどこか印象的でリアルタイムで聞いていた私には
ちょっと懐かしい気持ちになりました。

今までありそうでなかったような題材(生理、妊娠、中絶+同性愛)を
リアル生活にありそうな演出で描いているので、血をみるのに慣れていないような
男性にはちょっとというかかなり引いてしまいそうな気がしたのですが、
私自身はきれいにさらっと描くのではなく結構リアルに描いているのが興味深く
観ていました。

また、細かいことは分からないのですが、宗教(カソリック)に関することも
盛り込まれているような(マヤが敬虔なカソリック教徒)感じでした。
このあたりは自分に知識があったらもっと深く見ることが出来たかもしれません。

子供が生まれる前の同性カップルは将来ある子供を授かったことで明るいのですが、
出産した女性(マヤ)は常に疲れていて、パートナー(仕事継を続するアニー)は、
外出している間にマヤが浮気しているのではと疑って関係がぎくしゃくしていく、
そこにブリジットの存在がほどよく絡んでいくのが私には心地よく感じられました。
(途中までは浮気を疑うアニーにイラついてしまいましたが(^-^;)

アニーもただ神経質なのではなく、出血したブリジットが中絶したことを聞き、
それ自体ではなく病院に行かないことを責めてブリジットの体を心から心配する、
その優しさが垣間見える場面(後半)にホッとしながら、マヤとアニーが互いを
理解し尊重する流れにブリジットがさりげなく存在していたこともいい終わり方に
なっていたと思います。

高齢出産と言われる35歳まであと1年、焦りつつも愛していない人の子供は中絶、
離れて暮らす母親に結婚、出産のプレッシャーをかけられつつも、
自分を育ていたときの母のイライラ(子供を痛めつける妄想場面は結構怖い)を
聞き子供を産み育てることの大変さを感じる、私自身はそういう機会に恵まれず
気づけば五十路になっていましたが、未婚の30代、こんな感じだろうな、
共感しながら見られました。

主役を演じたケリー・オサリヴァン自身の体験も盛り込みつつの脚本らしく、
少々盛り込みすぎな感じもなくはなくはなかったのですが、
ブリジットが最後の場面でフランシスに語る言葉にジワって観終わりましたが、
(I'm smart, I'm brave, I'm the coolest!)
大学中退から社会的にはバイト暮らしから脱出できず
(同級生でセレブな生活を送る嫌な奴が対比するため登場する演出も(笑))
なんとか這い上がりたい、脱出したいと思うブリジットがフランシスとの
出会いで成長?変化していく様子はほほえましく、難点を挙げると、
しょうもないギター教室の講師はエピソードとしても不快で要らなかった、
という感想ですが、それ以外は34歳と6歳の成長記といった感じで
フィクションながら共感出来て応援したい気持ちで見られた
「セイント・フランシス」でありました。


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映画「瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと」を観る [映画(さ行)]

田端のチュプキさんで鑑賞した映画です。
寂聴.jpg
内容はYahoo!映画さんより。

100歳を目前にこの世を去った僧侶・作家の瀬戸内寂聴氏。
死の直前まで月刊誌や新聞の連載をこなし、亡くなる直前まで
月に1回の法話を続けていた。
自らの体験を私小説として赤裸々につづり、51歳で出家した寂聴氏は、
何歳になっても女性であることを忘れず、人生を謳歌(おうか)していた。


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死ぬときは一人。

寂聴さんの法話の場面が何度か登場するのですが、
そこで語られた言葉で印象的だったのが死ぬときは一人、でした。

中村裕さんというディレクターによるドキュメンタリーで、
中村さんと共に語り食事する寂聴さんはどこか可愛らしいのですが、
プライベートな場面を公開して儲けなさいと言う寂聴さんの気持ちに反して
いないとはいえ、中村さんという人に共感できたかというとよく分からず、
(話し方があまり好きになれなかったのかもしれません)
晩年、中村さんを頼りきっているように見えてしまう寂聴さんの姿を見て
羨ましいとは思えないというか、少々モヤモヤの残る作品でした。

悪くはない、でもなにかあまり響いてこない。そんな感じです。

夏の終り (新潮文庫)

夏の終り (新潮文庫)

  • 作者: 寂聴, 瀬戸内
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2022/08/30
  • メディア: 文庫
30代前半くらいのころこの本を読んで、
情熱的な、自分の気持ちに正直な人なんだと思った寂聴さん、
出家したことについても語っていますが禁欲だけは守っている、
戒律の1つはずっと守っていると語り、もし出家していなければ、
もっと大変なことになっていただろう、とと語る場面は
自分の気持ちに正直に生きてきたことにどこか折り合いをつけようと
していたようにも見えました。

法話でも参加者を笑わせ、親身になって考える姿、は心に響くのですが、
中村さんとの会話の場面は最初から最後までしっくりこない、
中村さんが最後にもらった留守電メッセージについても、
私たちが聴くものなのかな、という気持で観終わりました。

2人が長年の交流を通じて築いた関係を垣間見せてもらっている感覚ですが、
映像からはうかがえないものもあると思いつつ、
その関係を見ても憧れたり羨ましかったり共感することがなくて、
17年間追い続けてきた寂聴さんだからこそ、晩年ともに過ごしていた
秘書の瀬尾さんについてもう少し描いてほしかったかな(登場時間ごくわずか)
寂庵を管理する馬場さんももうちょっと描いてほしかったかも、と思いました。

今作自体が中村さんの視点で描いた寂聴さん、なのだろうと思いますが、
中村さんに共感できないがために寂聴さんの姿を素直に受け入れられない、
お肉を食べお酒を呑む寂聴さんの姿は観ていて豪快でしたが、
中村さんがそこに入ってくるともやッとしてしまう、全編そんな感じでした。

老いていく寂聴さん(普通にできていたことができなくなっていく)を観ると、
自分の母(婆1号)と重なってしまい、歳をとるとはこういうことなんだろうな、
母の次は自分が辿る道なのだろう、と途中から自分寄りの目線になってしまい、
そこでウルルとなってしまいました。

ドキュメンタリーは作り手の編集や描きたい形に寄るのかと思いますが、
(見る側の求めるものや好みにもよるのかと思っています)
寂聴さんのドキュメンタリーを観たい、でもどちらかといえば、若いころの映像に
晩年の瀬尾さんとの交流を描いた映像が見たかったかもなあ、と思ってしまった、
「瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと」でありました。
(全体的にモヤモヤな感想になってしまいすみません)



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映画「サバカン」を観る [映画(さ行)]

何も予習せず、タイトルだけで選んで鑑賞した映画です。
サバカン.jpg
あらすじはYahoo!映画さんより。

1986年、長崎。小学5年生の久田(番家一路)は、
愛情深い両親(尾野真千子、竹原ピストル)と弟と共に
時にはけんかもしながら暮らしていた。
彼はあることを機に、家が貧しいためにクラスメートから避けられている
竹本(原田琥之佑)とイルカを見るためにブーメラン島に行くことになる。
この冒険をきっかけに二人の絆は深まっていくが、ある事件が起きる。


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またねー!

じわり。(:_;)



主役の2人(久ちゃんと竹ちゃん)が互いが見えなくなるまで
またねー!と言い続ける場面を見て、私も昔は友達とバイバイする時にまたねー!って
言ってたなあ、いつから言わなくなっちゃったんだろう、と思いました。

長崎というと大学生の頃、1度しか行ったことのない場所ですが、
今作を見て長崎にって島原鉄道に乗りたくなりました。
(舞台の長与駅はJRですが映画で使われたのは島原鉄道の古部駅)

映画の舞台は1986年、私はそのひと昔前位に小学生だったので、
映画と時代がずれているものの、それでもどこか懐かしい風景は変わらず
自分が小学生の頃のことを思い出しました。

個人的にツボにはまったのは、
LARKの傘立て(同じものが実家にあった(笑))、
久ちゃんのひもぐつ(私は同じようなデザインで緑色の靴を履いていた)、
リュック(紐でキュッと絞るタイプ)にチェック柄の水筒、
麦茶ポットにストライプ柄のベルトに自転車、、あたりです。

あと、ブーメラン島にイルカがいる、という噂、
ヤンキーが言ってるから間違いない、と真顔で言う竹ちゃんに
ヤンキーを信じるなんて、と思わず噴いた私です。
そして、イルカに乗る、という竹ちゃんの発言に、
海のトリトン DVD-BOX

海のトリトン DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: パイオニアLDC
  • 発売日: 2001/09/21
  • メディア: DVD
海のトリトン、懐かしいなあ、と思い出しましたが、
それより早く頭に浮かんだのは城みちるでした。(^-^;

漁師の父親を亡くした竹ちゃんが、貧乏を同級生にからかわれて笑われて
でも、久ちゃんだけが笑わなかったという理由で夏休みの冒険に誘う、
竹ちゃんがタンクトップ2枚を着まわしていることから貧乏といじめられるのですが、
その後の場面でいや、タンクトップ以外も持ってるじゃん、という、
若干冷めてた自分のツッコミもあったのですが(心が汚れた大人です(笑))
急こう配のタンタン岩、ブーメラン島、長崎の海と山とミカン畑、
自然が少年たちの夏休みを盛り上げて見せてくれるような心持でした。

この2人の冒険と友情を育んでいくのを周りで盛り上げるのが、
久ちゃんの両親(尾野真千子と竹原ピストルの掛け合いが楽しかった)、
久ちゃんの弟(久ちゃんを演じた番家一路君の実弟だそうですね)、
感激屋の小学校の担任、みかん畑を所有する内田のじいさん(岩松了が好演)、
ヤンキーに絡まれる2人を助ける金山とブーメラン島で出会う由香、など、
悪い人が竹ちゃんをいじめる同級生くらいで、他はみんないい人で、
もちろん久ちゃんと竹ちゃんをたくさん盛り上げてくれました。

竹ちゃんを演じる原田琥之佑君が原田芳雄のお孫さんというのを鑑賞後に
インタビュー記事で知ったのですが、彼が見たおじいちゃんの演技(作品)で
挙げていたのが
大鹿村騒動記【DVD】

大鹿村騒動記【DVD】

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • 発売日: 2012/01/21
  • メディア: DVD
この作品で、今後俳優の道を進むのであれば楽しみだなと思いました。

2人の夏休みがある事件で終わってしまい、離れ離れにという展開に
驚きつつ、その後の2人(久ちゃんのその後は草彅君)についても描かれていて
温かい気持ちで観終わりましたが、忘れかけていたころの気持ちを思い出させて
もらったような「サバカン」でありました。



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映画「シンクロ・ダンディーズ!」を観る [映画(さ行)]

Amazonプライムに勧められるまま鑑賞した作品です。
シンクロ・ダンディーズ! [DVD]

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  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2020/03/11
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あらすじはYahoo!映画さんより。

妻と仲が悪く息子にはバカにされてきた会計士のエリック(ロブ・ブライドン)は、
なじみの公営プールで中年男性ばかりが集うアーティスティックスイミングチームと
出会う。
メンバー入りすることになった彼は、仲間と一緒にイギリス代表チームの一員として
世界選手権に出場することになった。
エリックは、厳しい特訓に励むうちに生きがいを見いだす。

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おじさんたちの成長記。

シンクロ(今って、アーティスティックスイミングっていうんですね)ものといえば、

シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: Happinet
  • 発売日: 2020/02/04
  • メディア: DVD
中年おじさんたちが奮闘するシンクロ映画とか、
(”Easy Lover"に合わせて泳ぐ姿に笑いながらじわり)
シャイニー・シュリンプス! 愉快で愛しい仲間たち DVD(特典なし)

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  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2021/12/03
  • メディア: DVD
お釜ちゃんたちが世界最大のLGBTQスポーツ大会に出場する映画を思い出しますが、
今作も結構同じような時期に公開されていて、中年おじさん(お釜ちゃん)の
ユルめなスポコンものって流行っていたのかなと思ってしまいました。(^-^;

ま、それを無意識に3本も見ている己もどうかと思いますが。(笑)

どの作品も、個々に色々な悩みや問題を抱えている人たちが集まって
時にぶつかり合いながらも同じ目標に向かってがんばっていく、という結末を
期待しながら見られるというのが同じ中年(おばさんですが中身はほぼおじさん)と
して共感しやすいのだと思いました。

今作の主人公エリックも会計士(節税策を考えるのが得意ぽい)で、
個室で仕事しているくらいなのである程度のポジションなのだと思いますが
(とはいえ、日中うとうとしている光景が多い気もした(笑))
仕事帰りに公営プールで泳いでいた時にみかけたおじさんたちのシンクロ練習に
出会って気づけばメンバーになって世界大会にも出場する、という話。

家に帰ると議員に当選した妻に思春期の息子、妻が不倫しているのではと勘違いし、
息子にもバカにされて家を飛び出しホテル暮らし。
宿泊代がベラボーに高いロンドンのホテルで暮らせるくらいのお金はあるのだな、
と思うと、エリックの生活レベルが垣間見えつつ、銀行口座の残高が減っているのを
妻が見つけて怒られる場面では、ま、当然だよな、とエリックに共感できそうな、
場面場面で出来なさそうな、どっちにも気持ちが振れながら見続けていきましたが、
ハッピーエンドになるはずなので(毎度そういう目線で映画を見る自分がいます)、
シンクロを通じておじさんたちがぶつかり合いながら互いを尊重しあうようになって
最後の世界大会につながっていきます。

数字に強い会計士のエリックならではの提案(偶数がおさまりがいい)で、
様々なフォーメーションを考えていくのが面白いのですが、途中咲いた花が
しおれていく様子をシンクロで表現しようとするのが、
つぼみから咲くのではなく、咲いた花がしおれていく様子を表現するって、
と笑ってしまいました。(発想がどこか湿気のあるイギリスぽい(笑))

上に書いたフランス映画でもそうでしたが、こういう時にパンチをきかせるのが
女性の鬼コーチ、今作でも登場しますが、シンクロチームのバツイチおじさんの
鬼コーチへの切ない片思いもほんわか漂わせていて、この結末も想像できましたが
本筋を盛り上げるエピソードとしてはよかったと思います。

ハリウッド映画と違ってイケメンが殆ど出てこないので(すみません)
実際こういうおじさんたちのシンクロチームがあったりして、と思わせるような
親近感を感じる(しょーもないところも見ていると許せる感じ)メンバーでしたが
中年だから諦めることなくやってみることが大事なんだろうな、と思わせてくれた
「シンクロ・ダンディーズ!」でありました。






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