映画「ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ」 [映画(ま行)]
久しぶりの映画館、シネスイッチ銀座で見た映画です。
あらすじはYahoo!映画さんより。
2012年、ウルグアイ大統領のホセ・ムヒカは、
リオデジャネイロで開催された国連会議で現代の度を越した消費社会を激しく批判した。
人間にとっての本当の幸せを人々に問う心に響くスピーチ動画は世界中に拡散し、
ムヒカ氏は脚光を浴びる。田部井一真監督は当時ディレクターをしていたテレビ番組で
ムヒカ氏を取り上げることになり、ウルグアイに出向く。
リオデジャネイロで開催された国連会議で現代の度を越した消費社会を激しく批判した。
人間にとっての本当の幸せを人々に問う心に響くスピーチ動画は世界中に拡散し、
ムヒカ氏は脚光を浴びる。田部井一真監督は当時ディレクターをしていたテレビ番組で
ムヒカ氏を取り上げることになり、ウルグアイに出向く。
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世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ [DVD]
- 出版社/メーカー: ニューセレクト
- 発売日: 2020/09/02
- メディア: DVD
元フジテレビで番組制作されていた田部井さんという方が、
情報番組の取材でムヒカ大統領を訪れたことがきっかけでこの作品も出来たと
冒頭で紹介されて、あ、違う、と思いながら見ていたのですが、
ムヒカ大統領の人間としての魅力に惹かれていく田部井さんの姿を想像すると
なかなか面白い作品だと思いました。
(国連でのスピーチや、取材以外で使われていた映像などは、
以前のドキュメンタリーでも使われていたのかなとも思いましたが(^^;)
国連でのスピーチで、地球が今後も継続していくために何が必要なのか、
わかりやすく説明するムヒカさん、その中でも、そうだなあと思ったのは、
我々は発展するために生まれたのではなく、幸せになるために地球に生まれてきた、
という言葉。
私自身も物欲も含めて欲にまみれた生活を送っているわけですが、
幸せかどうか、についてはこのブログで何度も書いているとおり、
自分が幸せかどうかは自分の気持ちだと思っていますので
(時に気持ちがササクレダッタリ怒りに震えるときもありますが)
今の自分もまあ幸せよね、って感じです。
ムヒカ大統領の言う貧しい人というのは、少ししか物をを持っていない人ではなく、
もっともっといくらあっても満足しない人、とのこと。
足るを知るってことなんだと思いますが、映画の冒頭で映される国連でのスピーチは
ごく一部ながら言葉の羅列ではなく心のこもった、また誰にでもわかりやすい話し方で
改めて自分だけでなく家族や地球が幸せになることが大切だということを感じました。
地球規模となれば壮大過ぎて私の想像は及びませんが自分にできることを積み上げていくこと、
それを多くの人が実行していくことによって地球全体の幸せにつながるという、
昨今SDG'sというキーワードだけが先行しているような(色々読んでも難しい)気がして
いたのですが、自分にできることを実践するためにムヒカ大統領のような話し方、
また、自ら実践する姿を見せることは大事ですよね。
貧困層に生まれ、日系移民の花卉栽培(菊のことをよくご存じでびっくり)や
家畜の世話を手伝ったりしながら家計を支え、その後極左都市ゲリラ活動に参加して、
度々の逮捕、脱獄、12年超の刑務所生活ののち、左派政治団体の活動家として下院議員に、
2010年から5年間大統領として様々な施策を実施して退任後は議員として生活、
そして今年10月に政治家を引退、、、と非常に波乱に満ちているように見えました。
(いまの優しそうなおじいちゃんの表情からは想像できなかった私)
アポなしで話しかけた田部井さんにも「日本人かい?」と答え、
時間がないからということなく(お付きの人たちもそれを見守る感じ)田部井さんの
質問に答える姿(カメラが回っているから、ということでもなさそうで)を見ると、
政治家として国民の幸せのために働く姿、どこかの国も見習ったらどうなの、と
思ってしまいました。
自宅の書棚にたくさんある本、チェ・ゲバラの日記(を精密に復刻)などを
見せてくれながら、どれが一番好きな本か田部井さんに聞かれても、一番といわれても
本は全部違うからね、と答えるムヒカ大統領。そんな考え方に共感しました。
チェ・ゲバラと同じ時期に活動していたので知っているけれど、じっくり話したことはない、
と、つい天狗になって話を盛る人もいる中で、そういうことはしない、あくまでも謙虚に
相手と同じ目線で話すムヒカ大統領が日本の政治家だったらどうなんだろうな、なんて
国会でヤジ飛ばしたり、真摯に受け止めるとか、遺憾とか、抜本的に改革とか、
お決まりフレーズしか言わなかったり、居眠りしていたり、みたいな政治家の多い日本の
政治家はこういう姿を見て恥ずかしくないのかよ、となんだか見ていて怒りが湧いて
きたりもしました。
国連でのスピーチで注目され、日本に招かれてやってきてくれたムヒカ大統領と
奥様のルシアさん(ムヒカ大統領とゲリラ活動で共闘し、現在ウルグアイの副大統領)、
広島の原爆記念館を訪れるシーンが中盤で紹介されます。
原爆を投下された唯一の国でありながら、経済を重視して国民の意思を重視しない
エネルギー政策を進めた結果、震災での原発事故が発生していることを憂いています。
地球の反対の国の大統領が日本のことをそう憂う気持ち、日本人としてもっと考えないと
いけないのではないかという気持ちにもなりました。
政治家として、大統領として実行した政策が成功だったのかどうなのか、
色々な側面で見ると意見が分かれそうですが、ムヒカ大統領が日本の大学生たちと
対話したときに、人生で大事なことは成功することではなく歩むことだ、と
語りかけたときに、果たして私は生まれてから五十を過ぎるまできちんと歩いて
きたのか、大学生だけでなく私自身も自分に問いかけていました。
自分の思ったとおりにいかないと他責にしがちですが、自分の行ったことの責任は自分、
自分がこれまでの人生を振り返ってきちんと歩いてきたと思えるような、そんな生き方を
しないといけないのだと(小さなことにも真面目に向き合わないと)思った、
「ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ」でありました。
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