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映画「再会の食卓」を観る [映画(さ行)]

予告した通り、昨日の記事が呑み記事でしたので本日は映画記事。




予告編が気になっていたので劇場で見ようと思いながら機会を逸した作品です。

再会の食卓 [DVD]

再会の食卓 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 松竹
  • メディア: DVD

あらすじは毎度のamazonさんより。

ある日、上海で暮らすユィアーのもとに届いた一通の手紙。
そこには、中国と台湾の隔てられた悲しい歴史により、
かつて生き別れた夫イェンションが40数年ぶりに台湾から帰ってくると記されていた。
しかしユィアーには、すでに新しい夫ルーと家族がいた。
戸惑いながらも男を食事に招き、精一杯もてなす一家。
しかし、彼には元妻に対するひそかな願いがあった。
「これからの人生、私と一緒に台湾で暮らしてほしい。」
イェンションの予期せぬ告白に、ユィアーの心は揺れ動く。
猛反対する娘、自分には関係ないとうそぶく長男、金銭で解決しようとする娘婿。
円満だったはずの一家がにわかに揺れ始める。はたして、ユィアーが下した決断とは―。




予告編でちょっと期待し過ぎたのか、ちょっと肩透かしを食らった感あり、でした。


 


話の流れとしては↓の感じ。
 

1949年、共産党に敗れた国民党は台湾に退却、
殆どの軍人が家族を本土に残したまま台湾に渡り、数十万世帯が生き別れの状態に。
その後、1987年、台湾当局が退役軍人の本土帰省を許可し、
引き裂かれた家族の音信不通状態にやっと終止符が打たれました。

1949年、身重の妻を残して台湾に退却した燕生(イエンション)、
その5年後、現地の女性と結婚し子供をもうけますが、妻も3年前にこの世を去り、
自分の人生の心残りが元妻との約束を果たせなかったことだと思うイエンションは
帰郷団に参加して上海に住む元妻ユィアー(玉娥)に会いにやってきます。
イエンションから手紙をもらって困惑するユィアー。 子供達は猛反対します。 
台湾で結婚した奥さんが死んだからといって急に思い出してやってくるとは身勝手、
と皆が反対する中(2人の間に生まれた建国だけはどうでもいい、という様子)、
ユィアーはイエンションと会うことを決断します。

イエンションが本土に到着する日、ユィアーと子供たちはご馳走を用意して
楽隊の演奏と共にイエンションを迎えようとしますが、
(子供や孫、近所の人達はイエンション達を「台湾人」と呼んでいました)
会うと決めていたものの、いざ本人がやってくるとなると複雑な気分に。。。
大勢の人に迎えられタクシーを降りたイエンションは、
ユィアーと今の夫、子供、孫、近所の人たち、に迎えられます。
固い表情で挨拶をするイエンションに家族を紹介するユィアー。 
今の夫ルーはイエンションを歓迎し、家に泊まればいいと勧め、
イエンションは迷いながらもユィアーの家に泊めてもらいます。


上海語は覚えている?とユィアーに聞かれたイエンションは、
聞くことはできるものの、もう話すことは出来ないと答えます。
(本土を離れて50年、という月日の長さを感じるシーンです)


翌日、2人は孫のナナと一緒に帰省団のバスで市内観光します。
(上海は中国のニューヨーク、というガイドさんが説明していました(^_^.))
見違える発展ぶりに右に左に説明を受けて帰省団の人たちは驚くばかり。
その後、イエンション、ユィアー、孫のナナは帰省団から離れ、
近々完成しユィアー一家が入居予定の超高層マンションを訪れます。
(リニアモーターカーで二人は手をつなぎながら寝入ってしまいます。)
70平米で百数十万元。(2000万円くらい?)のマンションで高額なものの、
今の住居の立ち退き料もあるので引っ越せると言うユィアー、
月日の流れを感じながら別れた日のことを話し始めます。


約束した場所で合流して一緒に台湾に行くはずだったのに
どうして会えなかったのか、その後なぜ連絡をくれなかったのか、
一体なにがあったのか?? 問い詰めるユィアーに、
今回上海にやって来たのはあなたを台湾に連れていく為、とイエンションは答えます。
困惑するユィアーは、夫のあなたは台湾から戻らなかった、
今更戻ってこられても私は他の人と家族を築いて暮らしている、家族にどう話せばいいのか、
とイエンションに問い質します。
イエンションはそれに答えず、ユィアーが今の夫ルーとうまくいっているのか問います。
自分は数十年の間、ただ生きてきただけ、
子供を抱えた国民党軍人の妻が生き延びられただけでも幸せ、
文革のときは川で身投げも考えたけれど、夫ルーが息子・建国を連れて探しにきてくれた、
その時にはルーの子供がお腹にいた、とユィアーは答えます。


金門島に逃げた時、望郷の念が湧いたものの敵前逃亡は銃殺されたし、
泳いでで本土へ戻ろうと大勢が海に入ったが戻ってきたものはいなかった、
台湾に花蓮という場所がある、そこに広い家を買おう、海も見えるし冬も温かい、
先はお互い長くない、と申し出るイエンションに、
文革中に苦労した今の夫はどうするのか、とユィアーが聞くと、
彼にはできる限りの償いをするから、とイエンションは答えます。


その頃、イエンションを歓迎する為、食材を買いにいったユィアーの夫ルーは
少ない手持ちから、店で一番高い大きい蟹を無理して4杯も買います。
(そのことを後でユィアーに責められてしまうのが見ていて可哀相でした)
そんなルーの態度を観ていると台湾行きのことをイエンションはなかなか切り出せなかったが
わずかな蓄えしかないが、それをルーに全部渡して認めてもらおうと、
イエンション、ユィアー、ルーの3人で食卓を囲んでいるとき台湾行の話をします。
台湾行の話を聞いたルーは、2人で決めたことなら構わない、お金をもらうつもりもない、
この年だし一人で大丈夫だから、ただ、子供たちと相談しないと、と答えます。


次女は、イエンションがやってくるのはいいが、母を連れ去れるのはあり得ない、と反対し、
長女夫婦は連れていくなら大金を払うべきだと主張します。
それを聞いていたルーはユィアーとの離婚に同意し、翌日役所に手続に行くと、
離婚するためには結婚証明書が必要だが2人のような事実婚は手続は不要と言われます。
それを聞いたルーが、どうしても離婚しないといけないと、言うと、
役所の人も困惑しながら、写真を撮ってまず結婚証明書をもらった後、離婚手続きすればよい、
と答え、2人はまず写真をとることにします。


結婚は喜びごとだから嬉しそうに笑ってください、と言われるものの心中複雑な2人、
老いらくの恋で結婚するんでしょう、とカメラマンに言われ、結局2人笑顔で写真を撮ります。
(ここまで観ている、多分ユィアーは上海に残るんだろうなって気がしてきます)
写真を撮って結婚証明書をとった2人、次は離婚の届けに行くと、
財産分与で証明書が(マンション建築中の為)がないことを指摘され手続出来ずに帰宅します。


その日の夜は、イエンションとユィアー、ルーと家族たち大勢での食事会。


いつもは倹約しているルーが急に高い白酒(パイチュー)を注文しタバコを吸い始め
これまで節約してきたが、この2日で気持ちが変わった、生きているうちに楽しまないと、
自分は人生を笑い飛ばしてやる、国民党の妻だった女と結婚したから出世できなかった、
一生は金と無縁だし才能もない、ユィアーの意思を尊重するから台湾で幸せになってほしい、
と言って気を失い病院に運ばれます。


診断は軽い脳梗塞。


退院して自宅に戻ったルーにイエンションは自ら市場で調達した素材で仏跳牆を作ります。
料理を囲むルー、イエンション、ユィアーの3人。
酒が進むにつれて互いのことを話し始め、歌を歌い、酒を酌み交わします。
そして、ユィアーは連れていかないとイエンションはルーに伝えます。(頷くユィアー。)
驚くルーは、ユィアーを台湾に連れて帰ってほしいと言いますが、無理だとイエンションは答えます。

沈黙の後、思い出の歌を3人で歌って夜が明けて、イエンションが台湾に帰る日。


涙ぐむユィアーに見送られて、イエンションが乗った船は出航していきます。




予告編で期待しすぎちゃったかというか、ちょっと描き方が浅かったというか、
ユィアーが意外とあっさり台湾行きを決断してしまうので、
「もうちょっと考えないの?悩まないの?」と画面に突っ込みいれそうになりました。(^_^.)
現在の夫のルーが倒れてしまったことが原因で台湾行きを諦めてようにも見えてしまい、
じゃ、倒れなければ台湾に行っちゃったのかしら、もし、ルーが亡くなったら台湾に行くのかな
そんなことを色々と考えてみてしまいました。


ルーは本当は心中複雑だったはずなのに、妻の意志を尊重してあっさり台湾行を認めるのですが
お酒が入ったところで本音が出る場面には見ていて「やっぱりそうだよね」なんてホッとしたり。
妻を台湾に行かせるためには離婚しないといけない、事実婚なら手続不要と言われても
じゃ、一度結婚証明をとって離婚すればよいと一生懸命手続するルーの姿に
真面目にこつこつ妻と家族の為に働いてきたお父さんの姿を観た思いでした。


抗えない歴史の波にのまれて離れ離れになってから長い年月が流れて再会し
若かった頃の熱い思いがよみがえり、それで気持ちが盛り上がる、、、のはわかりますが、
流れた月日はとても長く、昔のまま、という訳にはいかないでしょうから、
結局はお互いそれぞれの生活を送っていくのがよいのかな、なんて思いました。
(昔の思い出って現実に比べて美しく見えるものだと思いますし。。。)


ただ、中国映画で台湾問題や文化大革命についてふれているというのは凄いことですね。
これも月日の流れなのかと思います。


原題は「團圓(APART TOGETHER)」で、団らん、という意味らしいのですが、
食卓を囲んで食事する場面が何度も出てきます。
食を囲むということで気持ちが和らいだり言いにくいことがいえたり、
そういう意味もあるのかと思いましたが、最後にイエンションが作った仏跳牆
一度も食べたことがないので食べてみたいな、なんて見ながら思ったり、と、
食事の場面や上海の風景などにも視覚的に楽しめましたが、
気持ちの揺らぎ(特にユィアー)をもうちょっと深く書いてくれたら素晴らしい作品だったかな、
と思った「再会の食卓」でありました。


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