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「貧困大国アメリカ」を読む [本・ゲーム・テレビ]

本屋で平積みだったので購入した本「貧困大国アメリカ」を読みました。

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

  • 作者: 堤 未果
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 新書

「貧困が生み出す肥満国民」

「民営化による国内難民と自由化による経済難民」

「一度の病気で貧困層に転落する人々」

「出口をふさがれる若者たち」

「世界中のワーキングプアが支える民営化された戦争」

5章から構成されるルポです。



いや~、、、読むにつれ驚くばかりの本でした。

私自身、テレビなどでアメリカについて薄らボンヤリの知識があると思っていましたが、
アメリカという国の行く末が非常に心配になるばかりでなく、
日本国民の私自身は日本のことをまず心配すべきだと思いつつ、
アメリカが病んでいく現状を知ると、日本の行く末はアメリカと同様で、
今後益々、格差が広がる社会になるのではないか、、、と思ったり。。。

世界を同時不況に陥れたサブプライムローン問題も要は貧困ビジネスの一環であり、
この金融商品が破綻したことからアメリカの貧困層が増大したこと、

低所得者層が政府から支給されるフードスタンプで得られる食料は
逆に肥満国民を激増させるだけで、これで富むのは巨大食品企業であること、

スーパーサイズ・ミー [DVD]

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  • 出版社/メーカー: レントラックジャパン
  • メディア: DVD

このあたりは“スーパーサイズ・ミー”でも描かれていますが、
低所得者層が食べられる学校給食などもカロリーばかりで栄養バランスは一切無視、
そんな子供達が増えると同時に肥満児童も増えていること、


ニューオリンズのハリケーンカトリーナ被害は人災であり、
危機対策機関までもがブッシュ政権時代に民営化されていったことが大きな原因であること、


保険会社の巨大化、権限増大化によってもたらされた国民の格差拡大、、、
一度病気にかかると高額医療費で自己破産に追いやられる中流層、
病後、職場復帰しようにも企業が保険料負担増額に応じたくないばかりに復職させない現実、
出産であっても高い医療費で日帰り出産する現状、、、
効率主義で過酷な労働に向きあわざるを得ない医師たち、、、

シッコ [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ギャガ・コミュニケーションズ
  • メディア: DVD

この作品、未見ですが、これもアメリカの医療制度についてのドキュメンタリーですよね。
3割負担が高い、、、とか言っている私など甘いんだろうな、とつくづく思いました。


また、貧困層を言葉巧みに取り込む裏口徴兵制度。
市民権供与をエサに不法移民を軍隊に誘うリクルーターたち。


戦争ビジネスによって世界中から集められ米国の為に働く傭兵や労働者。
世界の貧困層が、アメリカの戦争ビジネスを支えている事実。



一部の富裕層、政治家、巨大企業が甘い汁を吸う為に
その何倍も何十倍もそれ以上もの人々が貧困層へ転落し、
一度転落したら二度と上には上がれない社会システム、、、

アメリカは日本よりずっと病んでいると改めて思いました。

だからといって日本がいいとも思いませんし、
その一方では、これは対岸の火事ではないとも思いました。

全て民営化すればよい、という考えを捨て、
用途によって民営化すべきもの、国営で残すものを分けるべきだと考えを改め、
アメリカと同じ轍を踏んで失敗しないよう、今よく考えるべき時期ではないのだろうか、、
と思った「貧困大国アメリカ」でありました。。


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コメント 16

hideyuki2007y

米国発の金融危機に世界が飲み込まれている、、、という現状認識でした。食生活、医療でもアメリカシステムの危機なんでしょうか。医療(医学)の水準は、日本は米国に比べて随分遅れていると聴いていましたが、実際に高度医療を受けるにはお金が必要?
by hideyuki2007y (2009-07-22 23:13) 

Krause

ハリケーンカトリーナの被害で、アメリカの貧富の差の問題に気付きました。アメリカとは、「奥様は魔女」や[フリッパー」のような生活をしている国かと思っていたらずいぶん大変なことになっているのですね。
by Krause (2009-07-23 06:35) 

へろーめ

日本でも小泉政権の下で格差拡大が行われました。
派遣法の改正による低所得者層の増大、
介護保険・年金等の公的負担の増大による経済の縮小、
どれも確信犯的にやられてますなぁ。
今回の金融危機もなんか臭いんですよね。
アメリカの住宅がバブル状態である事は判っていたのだから
その為替対策をしていない企業は金融担当重役の首を切るべきですね。
どこかで、儲けてる奴がいるんだろうなw
by へろーめ (2009-07-23 06:40) 

snorita

でも、小泉さんは、米国式にしたかったんですよね?
何も気がつかず支持してきた日本国民は、とってもめでたい。
そんな人のおかげで、日本はすでにアメリカにむけて走り出しちゃってますよね。
すくなくとも、医療界は、そうなりつつあります。
まあ、そうなった頃には自分は生きてないからいいかなとか思ったりもするんだけどね。
税金の使い方を考えると、暗澹たる気持ちになります。他人事じゃないよ。本当に。
by snorita (2009-07-23 09:44) 

cocoa051

この本、読みました。
これほどアメリカという国を冷徹にルポした本は、ほかには多分ないのでは、と思うほどの印象でした。
日本の為政者にもかなり読まれたようです。いい意味で日本の政治に生かされるといいでしょうが・・・。
by cocoa051 (2009-07-23 10:02) 

うたに

よく"アメリカン・ドリーム"って言葉を聞きますよね。
確かに一発逆転がありえなくも無い国ですが、多くは一度転落すると這い上がれない。
「アメリカとは、そういう国だ」と、サブプライムローン問題を取り上げたドキュメンタリー番組で、車上生活をする人の言葉を思い出しました。
by うたに (2009-07-23 12:40) 

うつぼ

hideyuki2007yさん、こんばんは。
医療水準は確かに米国の方が進んでいるのかもしれませんが、
それを享受できる人はごくごく一握り、貧困層は医者にかかれず市販の薬で
なんとか治そうとしてギリギリまで病院にはいけない、、、というのが
現実のようです。。
日本も近い内にこうなるのではと読みながら不安に思いました。。。
by うつぼ (2009-07-23 22:46) 

うつぼ

Krauseさん、こんばんは。
貧困層を巧みに利用しながら甘い汁を吸う一握りの富裕層、、、という
イメージが強くなりました。。
日本はこうなってはいけないという警鐘の本の一冊であると思います。。
by うつぼ (2009-07-23 22:48) 

うつぼ

へろーめさん、こんばんは。
日本の政治家がアメリカがやっているから、、、と同じことを進めるのが
心配ですね。
サブプライムローンに関しても、商品自体がハイリスクなのですから、
それに対して十分なヘッジもせず破綻しても責任も取らない、、、というのは
その後の世界中に及ぼした影響を考えると???ですね。
by うつぼ (2009-07-23 22:53) 

うつぼ

snorita姐さん、こんばんは。
小泉さんが目新しくて気付かなかったのは国民の責任大ですね。
走り出したものの、今なら立ち止まって見直せるのではないかと私自身は
思っていますが、医療の世界に身を置かれる姐さんご自身が既に色々
感じていると聞くと、、危機感を感じますね。。。
自分が年くった時に医療費が膨大で診療受けられない、、、となったら
どうしたらよいのだろう、、、深く考えてしまいます。(-_-;)
by うつぼ (2009-07-23 22:57) 

うつぼ

cocoa051さん、こんばんは。
この本、お読みになったんですね。。。 
私もここまで酷い状態だとは思っていなかったので、日本がこれ以上
アメリカを追いかけてはいけない、、、とこの本を読んで実感しました。
仰る通り、良い意味で日本の政治が変革することを願っていますが。。。
by うつぼ (2009-07-23 22:59) 

うつぼ

うたにさん、こんばんは。
"アメリカン・ドリーム"、、、あるのでしょうが、叶う人の確率を考えると、
その裏に、何万倍何十万倍という転落組がいるということでしょうね。
ごくごく普通に生活していた人がたった一つの躓きで転落したら二度と
這い上がれない、、日本はそんな国になってほしくないと強く思いました。
by うつぼ (2009-07-23 23:03) 

bluebird

シッコ・・見て恐ろしくなったのを思い出しました。
日本もそうなっていくのかな・・って。
ドキュメンタリー番組で見たんですが、実際、病院難民みたいな人たちが、メキシコへ安い医薬品を買うために処方箋を持って国境へバスツアーしているんですよね。
読みたいような、読みたくないような・・・
by bluebird (2009-07-24 13:16) 

satokot

アメリカがヤバイことはうすうす感じてはいるけれど実際にどのくらい酷いのかって知らないんですよね。この本はそういう部分がはっきりと分かってきそうですね。
日本もかなり近づいているというか同じ轍をふみつつありますよね。なんとか轍から脱してほしいものです。
by satokot (2009-07-24 18:01) 

うつぼ

bluebird姐さん、こんちは。
シッコ、、、見ようと思いつつ怖くて見られないと思いつつ今に至っております。
やっぱり見ないと。。
日本がアメリカと同じ道を進んでいくのが心配とはいえ今なら見直せると
思うんだけどね。。。。
by うつぼ (2009-07-25 10:53) 

うつぼ

satokotさん、こんにちは。
日本の政治家達が日々茶番を繰り広げるのをテレビで見るにつれ
自分の老後も含めて不安で一杯ですが、アメリカの酷い現実を知ると
同じ轍は踏んでほしくないものですね。。。

by うつぼ (2009-07-25 10:59) 

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