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寿輔の「生徒の作文」 [落語・お笑い]

今年初の浅草演芸ホールです。 行ったのは2月上席後半の昼席。
当初の(浅草演芸ホールホームページの)番組表では
2月上席は前半後半とも夜の部に寿輔師匠が出演する予定だったのですが、
いつの間にか後半の番組表から名前が消えてしまい、
「このままではいつまで経っても浅草で寿輔師匠に会えない・・・」と焦っていたら
2/9の昼席途中で登場することが判明し、急遽出動いたしました。(笑)

 もー、当分会えないかと思いましたよー、師匠。
13時半少し前に到着、一般料金(2500円)を支払うと、
入口で客寄せをしていたホールのオニイチャンが「お席までご案内します」と言う。
新宿末廣亭なら空いている席まで案内してもらったことあるけれど、
浅草演芸ホールで案内してくれると言われたのは初めてです。
ナゼ?と思って中に入ると、場内はいっぱいで、立ち見も数十人。
オニイチャンは「団体予約席」と書いてある最後列の空席に案内してくれました。
でも、立ち見の人達はナゼ案内してもらえないのだろう?と考えて思い出しました。
ここ、「無料招待券」で入ってくる人が多いんです。
私もたまに招待券で入ることがありますが、とにかく多い。
そして平日の昼間からこんなに混んでいるのはナゼ?と思ったのですが、
行った2/9は1月半ばから使える招待券の期限ぎりぎりの日だったわけで、
駆け込み入場者が多かったのかもしれません。
とはいえ、14時には私の案内された団体予約席さえ満席になってしまったので
タイミングよく座れてラッキーでした。。。。。

入って最初に観たのは、
 雷門助六 「初天神」の後半から少しだけ聞いて
 続いて兄弟コンビ「コントD51」
モンペを穿いたオバアチャンと建築士がリフォームで揉めるコントで
大分前にも何度か見たことがあるのですが私はちょっと苦手。。。 

そして、落語芸術協会で2番目の高齢噺家(82歳だっけ)、
三笑亭笑三
この歳で高座に上がるのはスゴイしそれなりに笑いを取るのは凄いと思うのですが、
毎回漫談のような話で終わってしまうのが残念。
今回も交通安全というのかパトカーの話で終わってしまい。。
更に、続いて出てきた
 三笑亭可楽も毎回漫談風の話ばかり
笑三が明るい笑いを誘う一方、可楽は暗い笑いを誘うというか、
私が今まで聞いた限りですが、毎回「こんな教養ある噺家は私以外いない」と
イスラム教がどうとかこうとか、中近東の国名が全部言える(と全部言う)とか、
談志みたいなつまんない噺家にどうして客が集まるのが分からない、とか
ある程度パターン化していて聞いていても何だか暗い気持ちになりがち。。。。

今日は早く来て折角座れたのに寿輔師匠までこの調子じゃないよねー、と
少々心配になったところで出てきたのが、
 東京ボーイズ
今回は、三味線担当「六郎さん(一番左のオジサン)」が一人大活躍というか、
客に背中を見せながら後ろ向きで「はぐれこきりこ」を歌ったり、
大泉逸郎の「孫」をリーダーの五郎さん(アコーディオン担当)に煽られて
自分の不細工な孫になぞらえて歌詞を替えて歌わされたり、と場内大爆笑。
楽しみにしていた「謎掛け問答」は今回ありませんでしたが、
やっと楽しくなってきて一安心。。。

 お次は三遊亭小遊三
出てきただけで大拍手。
テレビに出る噺家さんって収入がいいのかな、と毎回思ってしまうのですが、
確かに高そうな着物を着ていました。(笑)
噺は「替り目」。
酔っ払って家まで帰った亭主が家でも呑みたいと女房に言うと、                                                                                                                              外で呑んできたのだから寝るようにと言う女房。                                                                                                              それでも酒が呑みたいと粘る亭主に押し切られて女房が酒を出すと、                                                                                                               今度はツマミが欲しいと言い出す亭主に「全部いただきました」と答える女房。 
・・・・・・・・・・・。
本当はこの後、仕方なく女房が外へおでんを買いに行っている間に
うどん屋を呼びとめて酒の燗を頼んで、、、、と続くのですが、
何だか私にとってはすごく中途半端なところで終わってしまって残念。
小遊三の師匠の遊三がこのネタを話したのも聞いたことがありますが
酔っ払った雰囲気は遊三の方が筋金入りかも。
そして、久しぶりに、
玉川スミの登場です
御歳86歳の三味線漫談家のスミさんですが、
1月中席の初日を終えた後、心臓発作で倒れて2週間入院してたから、
今日は久しぶりに舞台に上がるのよ、と嬉しそうに言っていました。
そんな訳で小柄な体がまたまた縮んでいたような。ちょっと心配ですね。
ちょっとした都都逸などの後は、自分の半生についての話。
3歳で実の親に27円(当時この金額で総檜の二階建ての家が建てられたとか)で
女流歌舞伎の一座に売られた後、14歳までの間に13人親が変わった話から、
その後三味線漫談家になるまでの話と、毎回同じ話なんですが、
毎回「もうこれでスミさんが見られるのは最後かも」と思っているだけあって
私も生でスミさんの姿を拝めるだけで御利益ありそう、なんて思ってしまいます。
来年は数えで米寿なので秋に大々的に米寿祝をやりますよー、と
仰っていたのでこのまま元気でまた寄席でお会いしたいものだと思いました。
スミさんの姿を観ただけで感動してしまった後は、
三遊亭栄馬の「二番煎じ」  前回の新宿で聴いたばかりです
町内で2組に分かれて火の用心の夜回りをすることになった。
最初に出発した黒川先生、大宮、辰などであったが、
あまりの寒さに拍子木や鳴子提灯を腰にぶら下げて火の用心の声も出せない。
これじゃ火の用心にならないからと、一人ずつ「火の用心」と声に出そうとするが、
長唄調になったり、売り声調になったり、、トホホなことになってしまう。
というところで今回は終わり。
この後、夜回りが終わって小屋に戻ってお酒を飲み始め、、、というのが
また面白かったりするのに。。。
同じ噺を2度続けて聞いて2度目は短め、というのは何だか物足りないものです。。

そして、やっとお待ちかねの寿輔師匠。
 今回も黄色のお召し物で登場。
仲入りの時、師匠にいじってもらえる前から2列目に移動しようと思ったのですが、
全然席が空かず、結局最後列でそのまま鑑賞することとなりチト残念。。。
大拍手と「待ってました!」の声に迎えられてジメジメと登場した寿輔師匠、
「そんな拍手いりませんよ、アタシは名人でも超一流落語家でもないんだからさ。
 といっても、ご祝儀ならもらうけどね。」
「今日は満員で沢山お客さんが入っているけど、
 このくらいの人数だと歌舞伎座ならガラガラだよね。
 ま、モノは思いよう、ってことだけど」
「高座に出てきて何が一番悲しくて屈辱かっていうと
 噺家見ないで手元に置いたプログラムをジッと見てるだけの人を見つけた時。
 一番前の奥さん、あなたですよ、ア・ナ・タ。
 アタシの名前はプログラムに載ってないの。代演なんだから。
 舞台のめくりを観れば分かるでしょ、寿輔って書いてあるんだからさ。
 といっても上に“花柳”がつけば一流だけど、
 アタシの場合は上についてるのが“古今亭”だし、産業廃棄物みたいなもん」
更に、最前列右寄りで爆睡するオジサンを発見し、
「すごいよー、一番前で熟睡してるんだからさ、
 このオジサン、起こしちゃいけないからこれ以上笑っちゃダメだからね」

などと、ネチネチと客いじりで場内を沸かせた後は「生徒の作文」。
小学生に書かせた作文の中から面白い作文を読んでみる、という噺で
(他の噺家さんも結構やるネタらしいのですが、
寿輔師匠のは他の噺家さんとは大分違うだろうな、と思われます)
噺をしながらも師匠は最前列爆睡オジサンが気になるらしく、
途中観客の爆笑で起きたオジサンを観て
「あー、起きちゃったよ、皆が大きな声出すから起きちゃったじゃないの、
 これからアタシも声のボリュームは二分の一にするから皆も笑わないでね。
 寄席で寝る客ってのは大切な客なんだからさ」
とジメッと言った途端、場内再び大爆笑。
と、「もう時間ないから、作品あと一つで終わりね。」と言って
「寄席見物に行きました。落語を聴いたのですが、
 落語は破れた金魚すくい(=すくいようがない)か稚内(=はじ)だと思いました。
 中で不味い弁当を食べました。
 こんな不味いものは2つとないと思いましたが、ありました。
 それは寿輔の落語です。」
とボソボソ言った後、時間になったことを確認した寿輔師匠。
「はい、“生徒の作文~いねむり編~”これまで」と言って袖に去っていきました。

今回は客をいじり過ぎたせいか噺は非常に簡単に終わってしまいましたが
新宿末廣亭より浅草演芸ホールの方が場所柄か寄席の空気なのか、
師匠の客いじりが更に生き生きしているように見えて満足いたしました。

馬鹿笑いで笑い皺が出来た後は
 やなぎ南玉の曲ごま
巨大こまが扇子や真剣の上を移動したり、とハラハラドキドキの伝統芸でした。

そして、昼の部主任は
三笑亭夢丸 噺は「えんぜる」
夢丸さんが古典落語存続を目的に自腹で企画し公募している
「夢丸新江戸噺」の大賞作品。
今までの受賞作10選が書籍化&CD化されています。

えんぜる―夢丸新江戸噺

えんぜる―夢丸新江戸噺

  • 作者: 三笑亭 夢丸
  • 出版社/メーカー: 水曜社
  • 発売日: 2006/10
  • メディア: 単行本

あらすじは、豆細工職人の新吉が、お春といっしょに足抜けしようとした夜、
船に置き去りにされた金髪碧眼の女の子の赤ん坊を見つける。
置いていけという新吉に対して、寒い夜に置いたままにはできないというお春。
お春の強い意志に負けた新吉は、足抜けを諦めて赤ん坊を連れて店に戻り、
「えんぜる」と名づけて本当の親が出てくるまで育てることにする。
店の主人も、新吉がお春と共にえんぜるを育てながら豆細工の技術を磨けば、
独立して店を出す為の金を出してやろうと、言ってくれたので、
新吉は仕事に育児に勤しむ日々を送るようになり、父性愛に目覚めていく。
そんなある日、えんぜるの本当の親が現れる。
えんぜるに愛情を注いでいた新吉とお春本当の両親の出現に驚き戸惑うが、
両親がえんぜると離れ離れになってしまった事情を聞き、
子供は本当の親が育てるのが一番だ、明日一日だけ猶予をもらって、
えんぜるとの思い出を沢山つくってから本当の両親におかえししよう、と
翌日お春がえんぜると出かけて一日遊んで思い出を作って帰ってくると、
新吉は豆細工でえんぜるが過ごした新吉の家の様子を再現し、
えんぜるに持たせて両親に返すのだった。
それから、30年経ったが、えんぜるは何処へ。。。。。。

持ち時間45分、と主任にしても通常よりずっと長い時間をかけて
話し続けた夢丸さんの心意気に感心しつつ、
ファンタジーというかほのぼのとする噺で聞きながら
「こういう噺も落語なんだなあ」などとしみじみ思いました。

と、入場後直後~前半に抱いた心配も後半ですっかり払拭され、
寿輔師匠の観客への突っ込み満載の噺にほっとしながら爆笑した
今年初の浅草演芸ホールでありました。 


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寿輔師匠のいびりを生で聞いてみたいですね。でも、いびられたらどうしようと心配になります。
このところちょっと忙しくて浅草も行ってないんですが、寿輔師匠の出番を探して行ってみたいですね。
by (2007-02-20 13:20) 

うつぼ

cocoa051さん、こんばんは。
寿輔師匠に関しては、「いびり」ではなく「いじり」なんですよね。
いびるほど観客に意地悪くないのですが、相手にジメジメ言ったりして
いじってナンボって感じのパフォーマンスです。多分、「いびり」比べて相手がさほど不快感を感じないあたりが「いじり」なんですよね。
一度ご覧いただければ理解していただけるとは思うんですけれど。。
by うつぼ (2007-02-20 23:54) 

堀越ヨッシー

寿輔師匠、相変わらずのようですね(笑)。記事を読みながら爆笑してしまいました。うーん。これが寄席の良さですね、オイラもイジられてみたい!(苦笑)。
東京ボーイズ!、生で見てみたいですね。なぞかけ問答を是非生で♪。
玉川スミさんにもまだまだ頑張って欲しいですね。しかし、スミさんの病気の件を記事で読みながら、改めて森光子の頑丈さにちょっと不気味さを感じてしまったオイラです..。
by 堀越ヨッシー (2007-02-21 10:53) 

うつぼ

堀越ヨッシーさん、こんばんは。
寿輔師匠、かなり調子良かったようですよ。ヨッシーさんも前の方に座っていじられたらクセになるハズ。最前列の真ん中か2~3列目のちょっと右か左寄りがおススメのポジションです。一度いかがです?(笑)
東京ボーイズは色物の中では私のお気に入りトップ3に入ります。3人がそれぞれが個性的で何度観ても飽きませんのでおススメですよ。
>森光子の頑丈さ
ジャニーズ事務所の若人達からたっぷりエネルギーを吸い取ってるからでしょうか。(笑)
by うつぼ (2007-02-21 23:10) 

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