映画「ブエノスアイレス」を観る [映画(は行)]
今までレンタルされてなかったと思うのですが、
先日ツタヤで見ていたらラインアップに並んでいたので借りました。
あらすじはYahoo!映画さんより。
南米アルゼンチンへとやってきた、ウィンとファイ。
幾度となく別れを繰り返してきた2人は、ここでも些細な諍いを繰り返し別れてしまう。
そして、ファイが働くタンゴ・バーで再会を果たすが。。。
トニー・レオン。
萌えぇ。。。
って、萌え萌え書きましたが。
話は切なく哀しく。
そして、濃い。
男性が観るとどうかな、かもしれません。
ただ、同性愛者の作品というだけではなく、
人を心の底から愛し傷ついたことがある人であれば、
きっと性にかかわらず引きこまれる作品だと思っています。
wikipediaやこの作品を観た友人に聞いた話が多少先入観でありましたが、
(監督に騙されてアルゼンチンに行った主演の方々)→ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%82%A8%E3%83%8E%E3%82%B9%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%82%B9_(%E6%98%A0%E7%94%BB)
トニー・レオンが嫌だけれど役者魂で演じているようにも、、、見えた気がします。
最初はモノクロでいきなり男2人のベッドシーン(しかも結構激しめ)なので驚きましたが、
話が進むにつれ映像が淡いカラー、フルカラーに移り変わっていくのが印象的でした。
(ファイの気持の移り変わり、を表現する為だったのかな、と思いました)
自分の気持で好き勝手な態度をとるウィン(レスリー・チャン)、
そのウィンに苛々しながらも「やり直そう」と言われると許してしまうファイ(トニー・レオン)。
なんとなくね、ファイの立場に自分を重ねて観てしまったのもあったりして
尚更切ない気持ちになってしまったのもありました。
旅行の途中で喧嘩別れ、久しぶりに再会したら、ウィンには白人の彼氏ができていて、
でも、白人彼氏と喧嘩して転がり込んできたウィンを部屋に受け入れるファイ。
怪我で働けず家でゴロゴロするウィンにタバコを与え、食事をつくり、体を拭いてあげるファイ。
もうねぇ、甲斐甲斐しいくらい甲斐甲斐しいんです。(;_;)
そのファイが、仕事先で出会った台湾人旅行客(旅費を稼ぐ為にバイト中)のチャンと知り合い、
(チャンとそういう関係になってしまうことはございませんで、そこはホッとしたのですが)
気持がウィンから外に向かって解き放たれていく様子に引きこまれていきました。
ファイが自分の元を去っていったことを知ったウィンが、
ファイと住んでいたアパートの部屋で泣きじゃくるシーンが、
これまで身勝手だったのにもう今更気づいたの?なんて思いつつ、その姿には私まで。(泣)
きっと、ファイの愛情がほしくてたまらなくて我儘自分勝手な態度をとっていたのかな、
それが、ウィンが離れていってしまった現実を知らされて、これまでの態度を後悔したのかな、
何て色々考えてしまいました。。。。
資金を溜めて再び旅に出たチャンにメッセージを吹き込んで、と言われて
ファイがウォークマン(みたいなカセット)に何やらメッセージを吹き込んでいる場面で、
何を思い出したのか、涙が止まらなくなってるファイの姿にもジーンときたのですが、
それを聞いたチャンが聞き取れず、泣き声しか聞こえなかった、と旅先で思い出す、
ファイは一体何をテープに話しかけていたのか、それがとても気になりましたが、
きっとメッセージを録音しようとしながら、ウィンのことを思い出して声にならなかった、
そうなのかもしれない、、と思いました。
トニー・レオンは、話し自体が・・・な作品でも基本的には萌えるのですが(笑)
タンゴバーのドアマン姿から他作品でも観た白ブリーフ姿(!)まで、
もうトニー・レオンにはすっかり萌え萌えでございました。
おそらく、これってアジア人が演じるから作品として素晴らしくなるような気がします。
別に差別ってことはないのですが、同じ内容をハリウッド映画にしたらきっとウソクサくなる。
そういう点では監督のウォン・カーワイは素晴らしいと思います。
(トニー・レオンたちをだましたってのは問題かもしれないけど)
画面の色彩の変化、ピアソラのタンゴの音色から、最後はタートルズの「Happy Together」へ、
BGMも変化していくのですが、ファイが前向きな表情になっていく最後の場面には、
どこかホッとさせられました。
人を愛することは人間として大事なこと、でも、それで傷つくこともあったりするわけで、
そこからどうやって前向きに生きていけるか、時間は辛いけれど優しいものであって、
自分で前に向かっていけばきっといいことに巡り合える、
そんな気持ちになれた「ブエノスアイレス」でありました。