映画「ディア・ハンター」を観る [映画(た行)]
久しぶりに借りました。
あらすじはAmazonさんより。
ヴェトナム戦争のさなか、
ペンシルバニア州のロシア系アメリカ人のマイケル(ロバート・デ・ニーロ)、
ニック(クリストファー・ウォーケン)、スティーヴン(ジョン・サベージ)の3人が徴兵され、
戦場で地獄の体験をする。
やがて帰還したマイケルは、行方不明となったニックを探しに、再びヴェトナムへ赴く…。
昔観たときの印象といえば、どうしてもロシアン・ルーレットの場面なのですが、
それだけではないというか、そうではない映画なのかな、と今回思いました。
登場人物の住む土地は自然がいっぱいの田舎で、ロシア系移民のコミュニティがあって、
そこで小さい頃から育って仲の良い3人がベトナムの戦場に送られるのですが、
その場面までの1時間といえば、長閑な風景、その中での仲間たちの触れ合い、
タイトルにもなっている自然の中での鹿狩り、、仲間の結婚、、、などなど、
どこかゆったりとした流れで映像が流れていきます。
が、その後一転、戦地でのマイケルたち、戦争のシーンは少ないながらも非常に残酷であり、
(狭いところに逃げ込むベトナム人たちの中に手りゅう弾を投げ込んで殺してしまったり、など)
そして、捕虜となったマイケルたちがやらされるロシアン・ルーレット。
戦争が終わったら結婚しよう、すぐ帰ってくるから、そういって旅立ったニックも、
戦争という非日常の過酷な体験で精神的に大きなダメージを受けます。
それが最後の衝撃的な結末にもつながっていくわけですが、
比較的ダメージが少ないと思われたマイケルでさえ、
故郷に帰っても以前のように鹿狩りで一発で鹿を仕留めることができなくなっていたり、
精神的にやはりダメージを受けていることが分かります。
戦地から戻ってきて、故郷が変わっていないのに、自分は変わってしまった、
そんな自分を迎える人達もその変化を感じて、コミュニティにどこかネガティブな影響を及ぼしていく、
そんな様子が後半までずっと続いていくわけですが、
アメリカは正義であり、故郷が理想の日常であったはずが、
戦争を経験することによって変わっていく、
アメリカの正義は戦地では通用せず、精神にダメージを受けるだけ、
でも、最後の最後に残った仲間たちで歌う場面を観て、
決して裕福でない彼らが、それでもアメリカで生きていくしかない、と
そう彼らが思っているのではないかと思いながら観終わりました。
何も起きない人生はないと思っていますが、
自分が受け止められないくらいの流れに飲みこまれてしまう運命、
精神に異常をきたしてもそれでも仲間のことを思うマイケルたちの姿に、
戦争映画ではなく、友情を描いた作品だと思いました。
観るのにかなりエネルギーが要るのでそうそうしょっちゅうは見られませんが、
数年に一度くらいは観ようと思った「ディア・ハンター」でありました。
(おまけ)
作品の中で何度も何度も流れるのが「CAVATINA」で、印象的です。