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「対岸の彼女」を読む [本・ゲーム・テレビ]

本のネタに呑み記事を挟んだところで、今日も本ネタです。(^_^.)


 

こちらもゴールデンウィーク中に読んだ本。

本屋でタイトルとか軽く見ただけで買いました。

対岸の彼女 (文春文庫)

対岸の彼女 (文春文庫)

  • 作者: 角田 光代
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 文庫

角田光代の作品、、読むのは初めてです。

 


 

あらすじは毎度のamazonから拝借。

30代、既婚、子持ちの「勝ち犬」小夜子と、独身、子なしの「負け犬」葵。
性格も生活環境も全く違う二人の女性の友情は成立するのか!?

以上です。(短い)


 

上の図式から当てはめると、私は「負け犬」の葵です。

なので、やはり負け犬目線で作品を読み進んでしまいました。


まあ、読んでみるとどちらが勝ち犬でどちらが負け犬ってことはないのですが。


勝ち犬の小夜子が子供を保育所に預けて働こうと面接に行ったのが葵の経営する会社。
旅行会社なのですが、新規事業として始めようとしたハウスクリーニングの仕事を任され
小夜子は慣れぬ仕事と久しぶりの社会人生活で苦戦しますが、真面目な性格なので
丁寧に仕事をこなし、葵に信頼されます。

この2人は同じ大学の同窓生で30代半ば。

さばさばした性格の葵のペースに巻き込まれるように仕事を始めた小夜子が
結婚退職してから久しぶりに勤めるようになってからの現在、と、
苛めが原因で転校した高校で葵が出会ったナナコとの過去、が交互に描かれています。


今の葵は非常にさばけた性格なのですが、高校時代はイジメにあったことからも内向的、
常に他人の目を気にするような女の子で、他人の目を気にせず明るく振舞うナナコに
惹かれていきます。

交互に描かれる過去と現在を読み比べていると、
高校時代のナナコと葵の関係が、現在の葵と小夜子と重なりました。

高校時代のナナコと葵、を観ていると、
同じ時間を共有しながら互いのことを分かろうとして近づいていくのですが、
元々の暮らしというか生活が違いすぎてどうしても溝があるというか、
相手は対岸にいて川の向こうにいるような、でも、過ごした時間の大切さというか、
その後2人が離れ離れになったとしても、影響を与え続けられる関係に思えました。

私自身も、これまでの四十年余りで色々な折に出会った人に影響を受けたし、
今は会わなくなったとしても、その人との出会いがその後の人生にも影響を与えている、
そんなことあるんだよな、なんてわが身に置き換えて考えてみたり。


どこか自分にも当てはめて読んでしまうような、そんな作品でした。


で、本筋には関係ないんですが、小夜子のダンナは読んでいてホントにいやーな感じ。


専業主婦の小夜子が働きに出ようとすると不快感をあらわにする、
誰にでも出来る仕事だろう、と懸命に仕事を覚えようとする小夜子に言ってみたり、
ダンナの母親も同じなのですが、結婚した奥さんが家事をするのは当たり前、
仕事に出てちょっと家事がおろそかになると文句を言う、なんてあたりが本当に嫌で。(ーー;)

でも、こういう男性の方が世の中には多いのかもしれませんね。
(今の若い人はどうか分からないけど)

と、負け犬の葵のように家がちょっと散らかっていても気にしない私としては、
こういうダンナの狭量な心持ちにガッカリしちゃったわけで。。。


男性が読むとどう感じるのかな、とも思いましたが、
私は、自分を登場人物に置き換えたりして読みながら、
これまで私が出会った人、影響を受けた人などを思い出したりして読めたので、
決してハッピー一辺倒ではなく辛かったり嫌なこともあるけれど、
人との出会いを大切にしながら(時に反面教師との出会いもあると思うけど(^_^.))
前向きに生きていきたいな、と思った「対岸の彼女」でありました。 


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