SSブログ

映画「あゝひめゆりの塔」 [映画(あ行)]

以前、田端のチュプキさんで見た柴田昌平監督の「ひめゆり」のお陰で
昨年、沖縄を四半世紀ぶりに訪れ、ひめゆりの塔と平和記念館を見学しましたが、
吉永小百合さんの映画を見ていなかったので、チュプキさんで鑑賞しました。
日活100周年邦画クラシック GREAT20 あゝひめゆりの塔 HDリマスター版 [DVD]

日活100周年邦画クラシック GREAT20 あゝひめゆりの塔 HDリマスター版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • 発売日: 2011/11/02
  • メディア: DVD
あらすじは映画.comさんより。

昭和18年。まだ戦争の影の薄い沖縄で級友たちと運動会を楽しんでいた
沖縄師範女子部の与那嶺和子は、師範男子の西里順一郎と出会う。
翌19年になると戦局は悪化。ついに沖縄も戦場になろうとする中、
陣地構築の作業に従事するようになった和子と順一郎は、
互いに愛情を抱き始める。やがてサイパン島が陥落。
小学校教員である和子の母ハツは、内地への疎開が決まった学童たちに同行するため
輸送船に乗るが、船を撃沈され帰らぬ人となってしまう。
10月、ついに空襲が始まる。全島に非常戦時体制が敷かれ、
女子学生は臨時看護師として南風原陸軍病院へ、男子学生は鉄血勤皇隊として
陸軍と行動を共にすることになる。


-------------------------------------------------------------------------------


私が見た初めての吉永小百合作品となりました。
(なぜか今まで一本も彼女の出演作品を観たことがありませんでした)

昨年、30年ぶりくらいで沖縄を訪れるきっかけになった映画「ひめゆり」

ひめゆり.jpg柴田昌平監督とトークショーでお話できました
生き残ったひめゆり学徒隊の方々によるインタビューの映像を
当時の野戦病院だった防空壕の様子や青い空、青い海をまじえて描く、
今は自然豊かな沖縄の地でかつて何があったのか、戦後80年近く経った今でも
凄まじとしかいえない光景を思い浮かべながら沖縄の地を訪れたのですが、
ひめゆり平和祈念館で映画でも見た方々の映像を再び見ることが出来て、
今自分が平和の中で過ごせることに感謝しました。

今作は公開当時と今とでは見る立場や時代背景が異なるので、
当時みたら(公開当時、産まれていましたがまだ映画を観る年頃でなかった)
どう思ったかな、と考えたものの、戦争未体験な立場だと、やはり柴田監督の
「ひめゆり」の方がその場面がなくてもよりリアルに想像することが出来た、
と思いました。

決して今作が悪い訳ではないのですが、
戦後(60年代)のゴーゴーバーで踊る若者たちが映るところから始まり、
そこでインタビューに答える男(渡哲也)が内田裕也の歌う「相思樹」の流れる中、
沖縄で起きたことを知ってほしいと答えた後に、戦時中の沖縄に舞台が変わる、
おそらく、当時の若者に対して戦争のことを忘れないでほしいという気持から
冒頭の場面をつくったのか思ったのですが、今の時代に見るとこの場面は逆の効果、
この場面なしで沖縄の舞台から始まってもよいかなと思えました。

「ひめゆり」と異なるのは、ひめゆり学徒隊で動員される前の平和な様子が
かなり長めに描かれていたことで、そこで先生を目指す生徒たち真剣な姿、が、
政府(軍)の命令によって一転、野戦病院(壕)での負傷兵の手当てに従事、
そして解散命令を受けて逃げるときに大勢の生徒たちが命を落とす、
この展開は、「ひめゆり」を観ていたせいか、この先どうなるのか理解しながら
観ていたので吉永小百合演じる和子が助かるのかなと思って観ていたら、
手りゅう弾で自害するという選択をしたので驚いたまま映画が終っていました。

見る順番が逆であったらもうちょっと違う印象だったかもしれませんが、
先にドキュメンタリーを観てしまうとやはり今作は心打たれるものの
フィクション(史実に基づく映画ではありますが)なんだなあというのが
正直な感想でした。

冒頭に出演者が映ったところに「野呂圭介」の名前を発見し、
「え、ドッキリカメラ!のおじさん、どこに出るんだろう」と
不謹慎ながら全然違う視点で見ている自分がいたのも原因かもしれません。
(野呂圭介、野戦病院の衛生兵としてちょびっと登場していました)

あと、南極に行ったり銀座をママチャリで爆走する姿しか知らなかった和泉雅子、
今作では悲しい最期だったトミを好演していて、若いときは可愛かったんだ、
新たな発見となりました。

と、ずれた感想を書いてしまいましたが、今作で思ったのは今と違う時代、
先生と生徒の信頼関係がとてもつよいこと(「ひめゆり」でも感じましたが)、
先生が生徒のために命をかけることを厭わないこと
(東野英治郎の校長先生や乙羽信子の先生の姿に泣いてしまった)
今の荒れた教育環境(⇐ニュースでその一端を観るとそう思う)と比べると、
学ぶことに真剣な生徒とその生徒と真摯に向き合う教師、という図式が
羨ましく思えました。

先生だけでなく当時は政治家ももっとまともだったのだろうな、なんて
見ながらふと思ってしまったのですが(^-^;
今こうやって(不平不満は山盛り状態ですが)平和で過ごせることに
感謝しないといけませんね。

私としてはどちらか一本だったら「ひめゆり」をお勧めしますが、
できれば両方見て戦争のない世界を作ってこうと気持ちをまず持つこと、
そのために自分でもできることはないか探すことが大事なのだろうと思った
「あゝひめゆりの塔」でありました。






nice!(6)  コメント(4) 
共通テーマ:映画

nice! 6

コメント 4

溺愛猫的女人

観たら号泣しそうです。
by 溺愛猫的女人 (2023-06-25 12:32) 

うつぼ

溺愛猫的女人さん、こんにちは。
ウルっとしてしまうのですが戦争があったことは忘れてはいけないな、
と思いながら観ました。
by うつぼ (2023-06-25 15:42) 

夏炉冬扇

戦争のない日本に感謝。
by 夏炉冬扇 (2023-06-25 18:48) 

うつぼ

夏炉冬扇さん、こんばんは。
世界のどこかで戦争が起きている中で日本は平和でいられる、
本当に感謝しないとですね。
by うつぼ (2023-06-26 18:46) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。