「ドア・イン・ザ・フロア」を観る [映画(た行)]
レンタルDVDで「ドア・イン・ザ・フロア」を観る。
2004年トッド・ウィリアムズ監督作品。
お気に入りの米国人作家ジョン・アーヴィング原作(「未亡人の一年」の最初の3分の1)の
映画、ということで借りました。
舞台は、アメリカ東部の海辺の町ロングアイランド。
著名な小説家のテッド・コール(ジェフ・ブリッジズ)は夏の間、
妻のマリアン(キム・ベイシンガー)と別居することに。
但し、幼い娘のルース(エル・ファニング)の面倒を見る為、一日おきに家を交代することで合意する。
そんなテッドの助手兼(免停になったテッドの)運転手として夏の間だけ
高校生のエディ(ジョン・フォスター)がやってくる。
船着場までエディを迎えにきたマリアンに大人の女性の雰囲気を感じたエディは
小説家のテッドの側で働けば多くのことが学べるだろうと期待していたが、
テッドは、いつ小説を書いているのか、スカッシュしたり、近所の金持ち女性の裸体画を描いたり、
(裸を披露する近所の金持ち婦人がトム・クルーズの元妻ミミ・ロジャースでビックリ)
勝手気ままに過ごしながら、エディには原稿のタイピングや講演・パーティ会場への送迎、
趣味の絵を描くための材料(時にイカ墨)を買いに行く程度の仕事しか与えない。
テッドの娘ルースと遊ぶものの、テッドから大した仕事を頼まれないエディは
一日おきにやってくるマリアンに惹かれるようになり、更にそんなエディにマリアンも惹かれて
まもなく2人は関係を持つようになる。
ある日、
マリアンは、家中に沢山飾ってある写真の中の少年達は自分の息子2人で
事故で亡くしたこと、遠くに引っ越して子供が生まれれば(生まれたのがルース)
息子を失った悲しみから立ち直れると思ったが無理だったことを告白する。
マリアンの話を聞いたエディは益々惹かれるようになり、会う度に関係を持つようになるが、
ある日2人が関係しているところをルースが見てショックで泣き叫んでしまう。
2人の関係をルースから聞いたテッドは、娘にそういうところは見られるな、とマリアンを叱責する。
エディとの情事を重ねたものの立ち直ることが出来なかった上にテッドから叱責されたマリアンは
家中の写真を(額を修理に出していたマリアン&息子2人の写真以外)全て持って消えてしまう。
マリアンが消えてしまい怒ったテッドは、原因はお前にある、とエディにクビを言い渡す。
が、クビになったテッドが帰ろうと思っていた夜、テッドが息子が亡くなった事故の話をし始めた。
17歳と15歳になる息子、トムとティムを連れて雪の日に一家で車で出かけた帰り、
息子2人が運転席と助手席、マリアンとテッドが後部座席に座って走っていると
視界不良の中、雪でテールランプが隠れてしまった除雪車と衝突し、車が真っ二つに。
トムは即死、出血のひどいティムが救急車で運ばれた後、
マリアンが車に残されたティムの靴を取ろうとするとそこには切断されたティムの足が残っていた。
ティムは病院に運ばれた後出血多量で亡くなり、
その後、マリアンは2人の息子を亡くしたショックから立ち直れずにいた。。。
テッドが2人の息子の話をした後、
「君(エディ)はトムに似ていたから雇ったんだ、マリアンの為に。」とエディに告げる。
エディはテッドの話を聞いた後、
今までつかみどころのなかったエディの人間らしい部分をやっと見られたと思いながら
ロングアイランドを去っていく。。。。
テッドを演じるジェフ・ブリッジズですが、
この2作品でのイメージが結構強かったものの、
今作での無精ひげにだらしない格好のテッド役もなかなかはまり役に見えました。
また、映画化されたジョン・アーヴィングの作品といえば、
これらの作品と今作を観て思ったのは、海(か水)や家が結構印象深く描かれていて
どれもハッピーエンドにはならないというか、設定自体はあり得ない話ながら、
無常観とか人間の弱さ儚さのようなもので、といっても話の進行が非常に淡々としているので
どちらかというと悲しい結末が多いのに鑑賞後にドンヨリすることもあまりなく、
人生ちゃんと真摯に生きないといけないな、などと我が身を振り返りたくなる不思議な作品。
映画のタイトルは、テッドの著作で、テッドが講演会で朗読するシーンがあるのですが、
お母さんから産まれる前の男の子が床の下のドアを開けようかどうしようか考えている、という話。
つまり、「床の下のドア」というのは女性器のことなのかな、と思いました。
個人的には「ああ、ジョン・アーヴィングらしいなあ」と思ったのでなかなか満足の作品ですが
興行的には失敗だったと聞くと「そうだろうなあ」と思ったりもして、
上のジョン・アーヴィング作品の中で1つでも良いな、と思った人にはおススメしたいけれど
未見もしくは良いと思わなかった人には多分おススメできないだろうな、
と複雑な気分になってしまった「ドア・イン・ザ・フロア」でありました。
(おまけ)
ルース役、最初「あれ、ダコタ・ファニングが幼くなっている・・・」と思ったら
ダコタ・ファニングの妹でエル・ファニングでした。
姉妹揃ってのツーショット
2人で共演というのは「となりのトトロ」での英語吹替え(サツキとメイ)だけらしいのですが、
エルちゃんはダコタをお気に入りの女優でいずれ共演していたい、と言っているとか。
結末があまりに悲しいというか、映画の世界では難しいところがあるのかなって思いましたが・・・うつぼさんのレビューを読んでると観てきたような感覚になりますよ。
by (2007-04-24 21:09)
cocoa051さん、こんばんは。
ジョン・アーヴィングの作品は、人が意外と呆気なく死んでしまう場面が良く出てくるのですが、あり得ないなーと思いつつ、人間なんていつどこでどうなるか分からないもんなあー、とも思ってしまい不思議な気分になります。1本くらいおススメしたいのですが、どれもあまり普通じゃなくて。(笑) 私は「ガープの世界」が一番好きなのですが、初心者の方には「サイダーハウス・ルール」あたりがよろしいかと。。
by うつぼ (2007-04-25 21:41)