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映画「すばらしき世界」を観る [映画(さ行)]

予告編を見て気になっていた作品です。

すばらしき世界.jpg


あらすじやYahoo!映画より。

下町で暮らす短期な性格の三上(役所広司)は、
強面な外見とは裏腹に困っている人を放っておけない優しい一面も持っていた。
過去に殺人を犯し、人生のほとんどを刑務所の中で過ごしてきた彼は、
何とかまっとうに生きようともがき苦しむ。
そんな三上に目をつけた、テレビマンの津乃田(仲野太賀)と
プロデュ―サーの吉澤(長澤まさみ)は、彼に取り入って彼をネタにしようと考えていた。

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ドキュメンタリーのように三上と彼を取り巻く人たちに引き込まれました。

タイトルの「すばらしき世界」とは一体どういうものなのか、
三上にとって何がすばらしき世界なのか、
人生の大半を刑務所で過ごした男が塀の外に出てきて自由なはずなのに、
抑圧された塀の中よりも息苦しさを感じる、世間の不寛容によるもの、
それがいけないものと私もわかっていますが、犯罪者が刑期満了で出てきた、
と聞いてもその罪状によっては警戒してしまうかもしれないな、と
その人の今を見て受け入れることができるかと問われれば、
本音と建前で受け入れられないこともあるのではないか、人として自分の
足りなさを感じました。

三上の生い立ちを聞いていると、本人が思い込んでいる母との記憶と実際は
違っていたのではないか、施設で暮らす三上を母が迎えにきたと思うことで
(実際は迎えにきていないのではないか)自分の気持ちを落ち着かせて、
母に対して憤怒の気持ちを抱かないようにしているのか、その思いを
維持するために時に困っている人を助けようとするのではないか、
そのために困らせる人に対しては異常な怒りを抱き暴力をふるうような
瞬間湯沸かし的な行動に出てしまう三上の行動自体は、本人の生い立ちに
よるものなのかと思いながら見ていましたが、そこに社会の不寛容と、
それでも温かい気持ちで接してくれる人たち、という、辛くも優しい世界を
描いているのかなと思いました。

三上を取り巻く人共感できなかったのはプロデューサー(長澤まさみ)くらいで、
三上の人生を考えるのではなく取材対象として興味を持っただけという、
ゲスなマスコミだなと思いましたが、そのほかの人たちはみな温かい、
プロデューサーの津乃田やスーパーの店長(六角精児)、
身元引受人の弁護士(橋爪功)と奥さん(梶芽衣子)、
ケースワーカーや兄貴分のヤクザ(白竜)と奥さん(キムラ緑子)など、
三上を思うが故のやさしさだったり厳しさだったり、特に、キムラ緑子が
三上がこれ以上ヤクザの世界に巻き込まれないように突き放す場面は
思わず泣いてしまいました。

三上は前科者として社会の不寛容もあって生きづらいわけですが、
おそらく前科がなくても生きづらいことはあって、自分のやったことが
報われないことも多いのが世の中なのかなと思うこともあったりします。
そんなことも考えさせられるような作りの映画だったのかと思いますが、
役所広司だからこそ監督の西川美和さんがそれを表現できたのかなと。

今回、亀有のシネコンで鑑賞したところ、

IMG_2848.JPGこんな冊子をいただきました。
シネコンのある葛飾区でロケされたとのことで
(六角さんが店長のスーパーや区役所、病院、工事現場の4か所)
川とスカイツリーの見える風景で描いた監督の気持ちなどがインタビューで
つづられていて、それも併せて鑑賞したので三上が過ごした環境の雰囲気も
感じることができました。

凡庸な言い方しかできませんが、役所広司が演じてくれてよかった、
見てよかったと思えた良作「すばらしき世界」でありました。








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