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映画「ラストエンペラー」を観る [映画(や・ら・わ行)]

リアルタイムに映画館で観た映画ですが(当時20代)、公開から36年後(50代)、
田端のチュプキさんで、坂本龍一さん追悼上映として見る機会を持つことができました。
ラストエンペラー [DVD]

ラストエンペラー [DVD]

  • 出版社/メーカー: 松竹ホームビデオ
  • 発売日: 2001/06/21
  • メディア: DVD
あらすじは映画.comさんより。

1950年、ハルピン。
ソ連での抑留を解かれ母国へ送還された大勢の中国人戦犯の中に、
清朝最後の皇帝・溥儀の姿があった。
手首を切って自殺を図った彼は、薄れゆく意識の中、
波乱に満ちた自身の半生 を思い起こしていく。


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観てよかった。(^-^)

今作でアカデミー賞最優秀音楽賞を受賞された坂本龍一さんの追悼上映で
観る機会を得ましたが、自分が大幅に歳をとったことによって溥儀の時代の荒波に
翻弄された人生を更に深く感じることができたような気がします。

3歳で皇帝になって年長者が皆自分の言うことを聞くとなれば、
世間知らずで傲慢な人間に成長していってしまうのですが、
(宦官に墨汁を飲めと命令するあたりは本当に酷いなと思いながら見ていました)
その後、紫禁城の中だけの皇帝となり(紫禁城の外では袁世凱が皇帝)、
あれだけ紫禁城の外に出たくても叶わなかったのに、今度は北京政変によって
1時間以内に紫禁城から出ていけと言われてしまう。
その後は、満州人としての誇りをもって満州に移動し、満州国の皇帝なる、
とはいえ、そこには日本軍の力が大きく働いているわけで、
傀儡政権(英語だとPuppet governmentと言っていて妙に納得)の
皇帝として結局は操られる立場だったこと、第二次世界大戦で日本が敗戦し、
再び皇帝の座を降りて亡命中にソ連軍につかまり収容所へ。。。

ベルナルド・ベルトルッチ監督によって脚色されている部分もたくさんあるとは
思うものの、敗戦後と幼い頃からの流れを交互に映し出すことで、
運命に翻弄された溥儀の人生がより深く描かれているように思えました。

・今回観てウルっとしてしまったのは、西太后の命令で母親から引き離されて
 紫禁城に連れていかれるところ(でも乳母のアーモも一緒)

・出かけている間に太妃たちの策略でアーモから引き離されてしまうところ、
 (小学校高学年くらいで乳母のおっぱいを恋しがるのも親の愛を知らず、
 また、アーモに恋心を抱いていたのかな、と思うと胸熱)

・満州に移って皇帝として君臨(宣言)するところ、

・婉容(第一妃)の寂しさからくるアヘン中毒への道まっしぐら、と、
 生まれた子供を殺され更にアヘン中毒で精神破綻した姿

・文繍(第二妃)の紫禁城を出たらただの愛人扱いに対する悲しみ、と、
 この先辛いだろうに溥儀と婉容の元から去っていく姿

・収容所の所長が紅衛兵に暴行され罪人として晒される姿
 (ここだけ急に時間が流れているけれどなぜか)

こういう胸熱ポイントの他に、
家庭教師のジョンストンを演じるピーター・オトゥールの素敵な姿に
(結構おじいちゃんだけれど)萌えました。
溥儀にとって人生の折々に出会った人たちの中でもジョンストンの存在が
非常に大きく思えたのですが(皇帝相手でもいいなりにならない姿)
20年くらい一緒に過ごしていたということなので、人格形成にも彼の影響は
大きかったのではないかと思いました。

公開当時(20代)の頃、一番記憶に残ったのが、コオロギを入れた缶を
紫禁城の玉座の裏に隠しておいたのを晩年紫禁城に行った溥儀が探す場面、
その5年後に北京にツアーで行って紫禁城も見学したのですが、
映画で見たよりも紫禁城が意外と小さく見えたこと、玉座の周りをぐるぐると
歩いてコオロギ缶があるんじゃないかと探そうとしたことを思い出しました。
(同じことをやっている人が他にもいました(笑))

今の時代ではあり得ないのだと思いますが(絶対CGで再現するでしょうね)
実際の紫禁城が撮影に使われたというのはスケール感を画面越しに感じることが出来て、
今回も感激しました。昔だから撮影許可されたのんでしょうね。

坂本龍一教授(と、デヴィッド・バーン)による音楽がアカデミー賞を受賞、
今回観てもその音楽の存在感と画面の迫力との相乗効果を見ると納得ですが、
この時に受賞を逃したエンニオ・モリコーネについて映画で見たばかりなので
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こういう賞レースも運やタイミング、縁もあるのかなと思いました。

自分の平々凡々な人生と比較するのもおこがましい(不敬ですみません)のですが
どいういう立場で生まれるか、どの時代に生まれるかは自分で決められないとはいえ、
ここまで時代に翻弄される方の人生を(映画の中の全てが事実ではないとは思いますが)
垣間見せてもらった気持ちになって36年の時を経てまた観られてよかったと思えた
「ラストエンペラー」でありました。








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コメント 6

溺愛猫的女人

昔々に観ました。コオロギの缶のシーンはとても切なかったです。
by 溺愛猫的女人 (2023-06-23 13:42) 

夏炉冬扇

時代の犠牲者かもしれませんね。
by 夏炉冬扇 (2023-06-23 21:03) 

lovin

そうだった!私も当時映画館で観ましたが、
記憶もうっすらになってるので、もう1回観たいと、
教授の件で思ってたの、思い出しました。観ないと!
by lovin (2023-06-24 08:49) 

うつぼ

溺愛猫的女人さん、おはようございます。
コオロギの缶、演出なのかもしれませんが印象に残るシーンですよね。

by うつぼ (2023-06-24 09:13) 

うつぼ

夏炉冬扇さん、おはようございます。
皇帝に生まれても時代が違っていたら、、、なんて思いながら
見ましたが、誰一人同じ人生はないのだなあと思いました。
by うつぼ (2023-06-24 09:14) 

うつぼ

lovin姐さん、おはようございます。
姐さんも公開当時ご覧になっていますよね。(^-^)
都内の映画館でぽつぽつ上映されていたみたいですが(池袋と田端)、
神奈川県では上映ないみたいです。。。
ジャック&ベティさんで取り上げられそうな気もしますが。

by うつぼ (2023-06-24 09:17) 

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