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「キャンディ」を観る [映画(か行)]

映画「キャンディ」を観る。

 2005年オーストラリア映画  
  
2006年のベルリン国際映画祭に出品されたニール・アームフィールド監督作品。
レディースデーに日比谷シャンテに行きましたが、5割くらいの入りでその内1割くらいが男性。
日比谷シャンテ、出来たばかりの頃は豪華な映画館だと思っていたのですが、
最近郊外のシネコンの大画面&ゆったりフカフカシートに慣れてしまったせいか
何だか画面が小さく見えるし座席もちょっと狭いかなあ、、、なんて思ってしまいました。
おまけに都心の映画館は皆そうなのでしょうが予告が長いですね。
20分くらい映画の予告編の他に、ふつうのCMも流れていてちょっとダレ気味。。。

とはいえ、映画自体は大変ようございました。


映画は1組のカップルを「天国」「地上」「地獄」と3つに分けて描いています。。。


「天国」
詩人志望のダン(ヒース・レジャー)と画家の卵のキャンディ(アビー・コーニッシュ)、
出会った途端に恋に落ち、一緒に住むようになり、
 熱く互いを求め合い、
 幸せな日々を過ごしていた。
ドラッグを打つダンの影響でキャンディもドラッグを覚えてしまう。
オーバードーズで意識を失い、死にそうになってもキャンディはダンとの生活が楽しかった。

ダンが理想の父と呼ぶゲイの大学教授で合成ドラッグを作るキャスパー(ジェフリーラッシュ)は、
2人がドラッグ中毒になっていくことを知りながら2人にドラッグを買う金やドラッグを与えるのだった。

それでもドラッグを買うお金に困ると、2人は、キャンディの父親にウソをういて金を借り、
身の回りのものを質屋で売り、遂にキャンディが祖母からもらった指輪も質に入れるが
キャンディが一旦質入をためらうほど大切にしていた品物なのに借りられたのはたった25ドル。
これではドラッグが買えない、、と思ったキャンディは質屋の主人と寝て50ドルを得るのだった。
すまない、というダンに対して、気にしないで、とさらっと答えるキャンディ。。
それからはドラッグを買うために、キャンディは街娼として体を売り、
ダンは咎めず黙っているだけだったが、それでも愛し合う2人は結婚することに。
 幸せな2人
結婚式の途中、ドラッグを打ってフラフラ状態のダンを見てキャンディの両親は不安になるが、
 2人は互いを愛し幸せだった。


「地上」
結婚後も愛し合う二人だったが、詩を雑誌に送るものの収入のないダンは、
キャンディが娼婦として稼いだ金でドラッグを買うようになり、少しずつ2人雰囲気が悪くなる。
ドラッグは止めたい時に止められる、といっていた2人だったが、
好きな絵も描けず体を売って疲れ果てたキャンディに気遣いを見せないダン、
遂にキャンディが怒りダンに向かって物を投げるとダンは頭を切り2人で病院へ。。。
病院から帰宅した後、ダンに謝るキャンディ、、
 2人は仲直りして久しぶりに熱く求め合う。
と、翌日、不動産屋が現れ家賃滞納分を1週間以内に支払わないと立ち退きすると通告する。
滞納分は1000ドル以上。。。 急いでキャスパーのところに相談に行く2人。
ダンが作った合成ヘロインを売って恍惚感を味わいながら、
ダンが自分も体を売って稼ごうとキャスパーに言うと公園のトイレに行くように教えられ、
実際行くものの勇気が出ない。と、近くに停めてあった車の中に財布が置いてあるのを発見し、
ドアの鍵が開いているのをみて迷いながらも財布を盗んでしまう。。
現金が殆どなくキャッシュカードで引き出そうと、持ち主に銀行からと偽り電話をかけ
うまく暗証番号を聞き出して7000ドルの大金を手にする。
喜んで帰宅するとキャンディから妊娠したことを聞かされる。
客との子供ではなく、ダンのケガで仲直りした晩に出来た子だというキャンディ。
驚きながらも喜ぶダンは、生まれてくる子供の為に2人でドラッグをやめようというのだった。

キャンディの両親は子供ができたことを喜びながらもドラッグ中毒の2人を心配するが、
2人は新しいアパートに引越し、新しい生活を始めようとする。
家に篭ってドラッグとの決別を図ろうとするが日を追うごとに禁断症状は激しくなり、
2人で何とか耐えようとしていたが、ある日、キャンディが倒れ下半身から出血してしまう。
病院で告げられたのは、キャンディは既に破水してしまったので止めることができない、
分娩と同じ処置をするが胎児は助けられない、とうことだった。
普通の分娩と同じように苦しんでキャンディが生んだ胎児は息をしていなかった。。。
看護師が連れて行こうとする胎児を抱かせてほしというダン。
足が動いていると医者に訴えるが痙攣しているだけですよ、、と淡々と言われてしまう。
それでも、2人で胎児を抱いて悲しみを堪えながら眠りにつくのだった。。


「地獄」
授かった子供を失ったキャンディとダン、キャンディは再び娼婦に戻って稼いだ金でドラッグを買い、
ジャンキーに戻っていたが、2人でドラッグを断とうと決意し、田舎に引っ越す。
2人で穏やかな日を過ごしているところに現れたキャンディの両親。
食事の用意もちゃんと出来ないなんて、とキャンディを叱る母親と口論するキャンディ。
ずっと我慢していたけれど小さい頃から母親の態度が辛かったと母親に訴える。
(これがきっかけになったのか)キャンディは
 2人の生活に終わりがくると気づいていた。
真面目に働こうとレンガ職人の仕事を見つけて働き始めたダンが帰宅すると、
近所の若い男と一緒にマリファナを吸っているキャンディ。
ダンが咎めるとキャンディは家を飛び出し翌朝に帰ってきて無心に絵を描き始め、
そしてダンに家を出て行くように告げるのだった。
その日もキャンディに詰られながら仕事に行ったダンが帰宅すると、
家中の壁にキャンディが口紅やマニキュアで綴ったダンとキャンディの物語が。。。
 呆然とするダン
2人の物語を読んでキャンディの精神が弱ってしまったことを感じるダン。
いたたまれなくなってキャスパーを訪ね断ったはずのクスリを再び打って寝入ってしまう。
翌朝かかってきた一本の電話。相手はキャンディの父親。キャンディが精神病院に入ったという。
面会い行くダンに反応しないキャンディ。
お前はどうなってもいいが娘が心配だとキャンディの両親に言われ、
自分がキャンディの両親には受け容れてもらえないと悟ったダンがキャスパーのところに戻ると
キャスパーは自分の合成したドラッグのオーバードーズで亡くなっていた。。。

ダンは、中華料理店で皿洗いをしながら施設で療養するキャンディの回復を祈っていた。
月日が流れダンの働くレストランに現れたキャンディは出会った時のように美しい姿に戻っていた。  ぎこちない挨拶の後、キスする2人だったが
ダンが言った。

「もう元には戻れない。君は救われたんだ。そのことを大切に。全てははかないものだから。」 

キャンディから身を引くことを決めたダン。
とまどいながらもキャンディはそれがダンの愛と受け止めてレストランを出て行くのだった。



どうやって2人が知り合ったのか、その辺りは描かれていないので分からないのですが、
出会って幸せだった頃から、どんどん転がり落ちていく様子の描き方が、
まるで本当のジャンキーカップルなのではないか、と思ってしまいました。
(といってもホンモノは勿論知らないのですが、、)
ジャンキーの恍惚感ってああなのか、禁断症状ってこうも凄まじいものなのか、って。

質屋のオヤジと寝てお金を得た後、車に戻ってきたキャンディを心配するダンに
「体が臭かったわ」とサラッと言うキャンディの心の中では本当は辛かったのではないか、
などと思ってしまったり。

これがハリウッド映画だとジャンキーが2人とも死んでしまって終わってしまいそうですが、
この映画は死なずに2人が生きているからこそ、地獄まで墜ちていくのかと思いました。
最後には2人ともドラッグを断って元気になってよかったと思ったら、
結局ダンは愛しているからこそ一緒にいるべきではないと思って別々の道を進むように
キャンディにも伝えたのかと思うと、最近本当に緩くなった涙腺がユルユル。。。。

タイトルのキャンディを演じたアビー・コーニッシュ、今回初めて知ったのですが、
非常にキレイな女優さんながら様々な表情を演じる姿には鬼気迫るものを感じました。
 結婚式で幸せな姿もあれば
 ドラッグの為に体を売る姿も、
 精神に異常を来たす姿もあり、、
また、禁断症状で苦しむ場面などは思わず握りこぶしに力が入った私、
そのくらい最近見た女優の中では印象に残る演技でした。
ダニエル・クレイグ主演のボンド2作目でボンドガールになるかも、といわれているそうですし、
是非ボンドガールで知的でセクシーなキャラクターえを演じるところも観てみたい。

また、ダンを演じたヒース・レジャーといえば、

ブロークバック・マウンテン プレミアム・エディション

ブロークバック・マウンテン プレミアム・エディション

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2006/09/22
  • メディア: DVD

「ブロークバック・マウンテン」しか観ていませんが、この映画でも切なくてウルウルした私。
今回は意外と若く見えて驚いたのですが、1979年生まれと実際若いんですね。(笑)
 ジャンキー姿がホンモノのようだった。
見た目はあまり好きなタイプの俳優ではないのですが、他の出演作品も観てみたくなりました。

作品自体は切なくも美しい話であり、私自身は勿論ジャンキーにはなりたくないけれど、
こうやって自分を熱く思って愛してくれる相手に出会えるのは幸せなことで
そういう点では2人が羨ましくもあり、別れの結末は悲しくもあり、という「キャンディ」でありました。


(おまけ)
映画自体とは全く関係のない話なのですが、
ヒース・レジャーの左側の首筋のタトゥーが気になって仕方ありませんでした。
冒頭の部分から結構大きく映し出されていたので、その後もその部分が気になって気になって。
因みに、そのタトゥー、、、

  の一文字なんです。 しかも明朝体っぽい字体で。

本物なのか映画用に描いたものなのか、、不明ですが、非常に気になりました。。


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コメント 8

kikuzou

そのタトゥーきっと続きがあるんですよ。

「ずんだもち」

とか。
by kikuzou (2007-10-20 07:23) 

すごく面白そうですね、この映画!
今週平日行ってこようかと思います。
素敵な映画の紹介、ありがとうございました。
by (2007-10-20 12:13) 

うつぼ

kikuzouさん、こんばんは。
>「ずんだもち」
あり得ないあり得ない。(笑)
by うつぼ (2007-10-21 20:38) 

うつぼ

bonheurさん、こんばんは。
話自体は救いがないのかもしれないのですが、愛するが故に別れていく、、なんて話を見ると私もう涙腺緩んで、、、という映画でした。
既に入りが今ひとつな感じもしましたので(シャンテの割に)、観にいかれるのでしたらどうぞお早めに。。
by うつぼ (2007-10-21 20:44) 

gohan

高校生くらいの時に観た映画で、タイトル忘れてしまいましたが、恋愛してる女性が、とても幸せで、これ以上の幸せなど世の中に絶対にないと信じて、自殺してしまいました。これ以上の幸せはないということは、残りの人生はこれよりは絶対に不幸になると比較して、それが怖くなって、死の道を選んだということだったようです。このログを読んで、その映画を思い出しましたよ。別の道を歩む愛情というのもあるのですかね。。。それは、フランスかイタリアの映画でした。
by gohan (2007-10-23 12:20) 

うつぼ

gohanさん、こんばんは。
幸せって続かないもんだなあ、と現実では思うのですが、映画の中だけでも続いて、、、と思いつつ、あまり続くと「ウソっぽいなあ」と思う身勝手な私です。(笑) gohanさんがご覧になった映画は悲しい結末ですが、愛して幸せだったことは永遠に続くのでしょうね。
by うつぼ (2007-10-23 20:55) 

再び、失礼します。
一昨日放送していた「ハタチの恋人」というドラマで、明石家さんまと長澤まさみがデートをしているシーンでこの映画を観ていましたよ。その後、映画館の客の入りがどうなっているのか、ちょっと気になります。
by (2007-10-23 21:49) 

うつぼ

bonheurさん、おはようございます。
さんまのドラマは見ていないのですが、こういう組み合わせの男女が観る映画なのだろうか??と思ってしまいました。ちょっと不思議。。。
シャンテは入りに関係なく期間が決まっているようですから、もう少しはやっているかもしれませんが、、、劇場に確認されたほうがよいかも。
by うつぼ (2007-10-26 08:10) 

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