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寿輔ひとり会に行く [落語・お笑い]

待ちに待った寿輔師匠の独演会「寿輔ひとり会」に行ってきました。
 堀越ヨッシーさんの新作です 
といっても実は、、、、
こうやってイラストを描いてくれるヨッシーさんを置いてta-boさんと行ってしまいました。
ゴメンナサイヨッシーさん、、m(__)m、ホントニゴメンナサーイ。 来年は是非行きましょう。

今回は毎月購読している「東京かわら版」で日程を調べようとしたのですが、
ta-boさんが上野広小路亭に電話して先に日程を調べてくれた上に、
私の分も申し込んでくれたので何もしないまま当日上野広小路亭に行った次第です。
(ta-boさん、ありがとうございます。。。。)

18時半開演なので18時過ぎには広小路亭に到着し、
ta-boさんのお友達3人が遅くなるというので先に2人で中に入ろうとしたら、
入口に寿輔師匠のお姿が。
馴染みのお客さんなのか丁寧にご挨拶される寿輔師匠にウットリするta-boさんと私。
そして「握手してください」とお願いすると一瞬戸惑う表情を見せつつも握手してくれました。
あぁ、何て幸先が良いんでしょう。。。。。
まだ私服(紺の作務衣のような装いでした)姿でしたが、あんなに間近に観て握手まで。。。
すっかり舞い上がった状態で木戸銭を払い靴を脱いで3階の場内に入ると。。。
既にほぼ満席でした。(定員は100人ちょっとかと思われます)
椅子席は空きがなく、前方の座敷席もあと数割で埋まってしまう感じ。
急いで前から2列目の真ん中に陣取ったのですが、遅れる3人分の座席を確保する雰囲気でなく。
昨年は畳敷きに座布団だけ敷いてあったのですが、今年は座椅子付き。
楽チンかと思ったのですが前後がギュウギュウに詰めてあるので座椅子に体育座りです。
これで2時間持つのかしら。。。ちょと心配。

18時半に開演。この時点で既に立ち見も一杯です。。。。
最初は開口一番で前座の三遊亭小笑(コショウ)さんの「子ほめ」。
人に奢ってもらってタダの酒を飲もうとするなら世辞愛嬌が必要だと隠居に言われた八五郎、
隠居から褒め方を教わった通りに道端で会った人に試してみるもののうまくいかない。
それならば、と赤ん坊が生まれたばかりの竹の家に行って褒めようと行ってみるが
これまたうまくいかない、、、という噺ですが、
汗汗でちょっととちったりと初々しい姿に「頑張ってね」と応援したくなりました。

 続いて寿輔師匠の弟子、古今亭錦之輔さん
今回のプログラムに書いてありましたが来年六代目「古今亭今輔」を襲名するそうです。
ネタは久しぶりに行った高校の同窓会で
「ネクタリン(ネクラでノータリン)」と呼ばれていたクボタがやってくると知った3人。
以前苛めていたことを思い出し、また苛めてやろうと待ち構えていると
現れたクボタは強面に変身していた、、、それを見た3人はビビッてしまい。。という噺。
確かこの噺、去年はマクラの部分で軽く話していたような気がするのですが、
場内大爆笑で、来年の真打昇進&今輔襲名に向けて頑張ってほしいな、と思いました。

そして、「さいさい節」の出囃子と共に、
 師匠が登場。 今回はアマガエル色のお召し物。
最初に弟子の錦之輔さんの襲名についてひとくさり。。 今回は「弟子いじり」です。
「パンフレットにも書いたとおりですが、


(パンフレットより)
 今日はうれしいご報告をいたします。
 弟子の錦之輔君が来春真打に昇進させていただくことになりました。
 その上六代目古今亭今輔を襲名という分不相応な結果となりました。
 彼にとってはこんな名誉で嬉しいことはありませんが、私にとっては
 これ程不愉快なことはありません。
 なぜならば・・・、弟子に追い越されたのです
 寿輔なんて芸名は上が「花柳」でならば24Kの金看板ですが、
 古今亭では産業廃棄物みたいな名前です。 (後略)

 

 古今亭今輔という名前はこぶ平さんが襲名された正蔵と同じくらい大きい名前です。
 それを弟子が真打になるのと同時に襲名するというんですからね。
 襲名が決まってから桂米丸師匠に報告にいったら「よかったね、寿輔さん」って
 あたしが襲名すると思われちゃったんだけど(笑)、
 そんな大きな名前を継ぐ錦ちゃん(錦之輔)の噺があの程度でしょ(場内大爆笑)、
 上下関係が厳しい世界で弟子が師匠を踏み越えちゃうんだから。
 おまけに、私の昔の出囃子「さいさい節」だって素晴らしい出囃子なんだけど、
 飽きちゃったのもあって10年前に錦ちゃんにあげちゃったから
 錦ちゃんには名前と出囃子、両方持っていかれちゃったんだよね。
 まったく芸人の風上にも置けない奴なんですよ。
 芸人なんてね、厳しくしないと馬鹿が増長しちゃうんですから。
 寄席ではどんどん苛めないとダメですよ。錯覚と増長が芸人をダメにするんです。
 おーい、錦ちゃん、舞台に出てきなさい(呼び戻して隣に正座させる)。
 ま、来年襲名してからの楽しみは「おい、今輔」って呼び捨てに出来ることですね。
 40年前にやってたら半殺しで噺家やめさせられたけど、弟子だから呼び捨てに出来るもんね。」

こうやって弟子の襲名に不満そうな顔をしている寿輔師匠ですが、
本当は弟子を思う気持というか思いやりというかがひしひしと伝わってくるような一幕でした。

そして、ネタに入ろうとして最前列真ん中の女性(常連のミウラさん)を見ながら
「今日は何やろうかなと考えてるんですけど、
 ミウラさんは講演会とかにも来てくれて録音してあたしのネタ知ってるからねえ。」
と少々迷ってから話し始めたのが「老人天国」。 師匠の創作落語です。

この前、浅草の新仲見世でばったりあった同級生に誘われて六本木に行ったら
夜中も賑やかだし周りは若者ばっかりで高齢化社会なんてウソだと思ったけど
今日この会場を見ると「ああ、やっぱり高齢化社会だ」と思いましたよ。
長生きはいいことだといったって、ボケてしまっては仕方ない。
その点、噺家っていうのはボケた人が一人もいない、、、と思ったら
「生まれつきボケているんじゃないの?」と指摘され返す言葉もありません。。。。
2013年には200万人がお年寄り、名古屋市民全員が年寄りってことになるそうで、
2020年には国の4人に1人が65歳以上と予測される高齢化社会の日本。
このままでは日本はおかしくなってしまうから、対策をしなければならない。

平均年齢未満で亡くなった方には、天皇陛下から勲四等旭日短命章を授与、
平均年齢以上生きちゃった人は、市中引き回し、そして島流し。
もし、100歳以上生きちゃった人は、打ち首獄門。。。

嫁と仲がいいなんていう人はすぐボケちゃう、
だから、ボケ防止の為には、嫁をジャンジャンいびりましょう。
いびられた嫁はどうするか?自分の息子の嫁をいびるから大丈夫。
これこそまさに「輪廻転生」というもの。

化粧品会社のCMで「美しく老いる」なんてフレーズがあるけれど
何かのオイルかと思いましたよ。
美しく老いる訳ないでしょう。老いるのは自然の流れなんです。
老いた時、美人とブスはどちらが得か?
断然ブスがお得です。 美人は若い時と老いた時の落差が大きいし、
美人は3日見たら飽きるけど、ブスは3日見たら慣れるから。。。。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

なんて噺が延々続いて場内はドッカンドッカン大爆笑。
大体、聴いている年齢お高めのお客さんが馬鹿受けしているのですから。。。

師匠が「ボケたくなければ寄席に来て腹の底から笑うといい」と言っていましたが、
確かにそうだよなあ、と思いつつ爆笑した一席でした。。。

ここで仲入り。 
体育座りでお尻が痛くなってしまったので正座して体勢を変えてみたのですが、
10分で後半の部、再び体育座りに戻りました。。。

後半の部はゲスト出演の
 スティファニーの一人、瞳ナナさん(左)
ナゼ、マジックジェミーさん(右)は出なかったのでしょうか。。。
魔女風の衣装で登場し、ステッキを消したりハトを出したりとひとしきりマジックを披露した後、
自己紹介のご挨拶、そして観客参加型のマジックを披露したのですが、
魔法をかける掛け声が「ま・ほ・う・で、ポンッ!」。 それを観客全員で言って下さいって。(汗)
とはいえ、ta-boさんとちゃんと声出して言ってましたが。。。(笑)
最後に、発売したばかりなのか「トキメキ・ドキッ」という歌を歌いながら
5つのリングをつなげたり離したりのマジックを見せてくれたのですが、
曲の途中、瞳ナナさんから「確認してくださいね」と2つ繋がったリングを渡されたのですが、
酔っていないにも関わらず(笑)、何度触っても繋ぎ目など一切わからず。。。。。
2つのリングをお返しすると、最後には5つのリングを5連につなげて拍手喝采。。。。。。
高座だと靴を履いていないのがちょっと笑えるのですが、
お色気あるナナさんのマジックに中年オジサンたちが楽しそうに反応している様子を
マジックと同じくらい楽しめました。。

そして、再び登場の  師匠。
「瞳ナナさんの後にあたしが出てきた訳だけど(場内大爆笑)、
 それは自然の流れなの。
 上野動物園のパンダを見たってちっとも自然じゃないけど、
 中国の山の中にいるパンダみたら泥だらけで汚くて自然なのと同じ。
 奥さん、あ・は・は、じゃないよ。(舞台左最前列の女性がターゲットになってました)」

「最近、私もあちこちと呼ばれて喋る機会が多くなってノドの調子がちょっと悪くって
 今日は湯呑茶碗を置いてもらったんだけど、慣れてないからいつ飲んでいいか
 タイミングが分からないんだよね。(これはちょっと心配です・・)」

「パンフレットの後ろのページに毎回色々書いているんだけど、
 ちょっと分かりにくいこと書いたんだよね。
 “ウソは本当を超え、本当はウソを超えない” これ、どういうことかっていうと、
 映画で寅さんってあるけど、あれって面白いけど身内に居たら大変でしょ、
 それに落語で“時そば”ってあるけど、
 (ズズズズーッ)こんな風に蕎麦すする人なんて実際いないでしょ、
 そういう意味で書いたんですよ。」

師匠が古典、しかも「時そば」をほんの一瞬でもやったのでビックリ。(@_@)

「今日は古い噺(古典)で面白くないから帰るなら今だよ」と言って話し始めたのが
本当にビックリしたのですが古典の「お見立て」。

吉原でも人気のある花魁“喜瀬川”のところに使用人の喜助がやってきて
久しぶりに千葉の房州から杢兵衛お大尽がやってきたという。
金は持っているものの嫌いで顔も見たくないという喜瀬川、
「患って床に伏せている、といって帰ってもらって」と喜助に追い返すように言う。
仕方なくその通りに杢兵衛に伝えると、
「夫婦の約束を交わした仲だ、見舞いたいから部屋に連れていけ」と言い出した。
そのまま杢兵衛の言葉を喜瀬川に伝える喜助だったが、それを聞いた喜瀬川、
夫婦の約束を交わしたのは暮れにお金に困っていたから言っただけで
そんな気はサラサラないんだから「喜瀬川は死んだ」と言いなさい、
上手く追い返したらお前の好きなもの何でも御馳走するから、と喜助に命じる。

仕方なく「実は、喜瀬川は前回旦那と会ってから旦那のことを思い続けていたが、
旦那がその後全然来てくれなかったので恋患いで死んでしまった」と杢兵衛に言うと、
自分を思って死んでしまったと聞いた杢兵衛、
「ならばお墓参りにいきたいから連れて行け、墓はどこだ?」と聞き、
「は、墓は谷中です」と慌てて答える喜助。

急いで喜瀬川のところに戻って墓参りしたいと杢兵衛が言っていること
墓が谷中にあると答えてしまった、と報告する喜助に
「馬鹿だねえ、なんでそんな近くに墓あるなんて言っちまったんだよ」と怒る喜瀬川は、
「どこかの寺で適当のお墓を見繕って案内しなさい、
 大きな花束と線香の煙で墓を隠しちゃえば分からないでしょ」と喜助に杢兵衛の案内をさせる。

渋々、杢兵衛を谷中に案内する喜助。
「どこの寺だ?」と聞く杢兵衛に「ど・れ・に・し・よ・う・か・な」と適当に寺を選び、
適当に墓を選んで花を生け線香のモウモウと立ち上る煙で誰の墓か見えないようにしてから
杢兵衛を案内するが、ナムアミダブツナムアミダブツと唱えながら
「喜瀬川・・・・」と悲しい表情をしながら花をよけて墓碑名を見て、「天保3年・・・」。
違うじゃねーか、という杢兵衛に、「あ、すみませんでした隣でした。。。」と案内すると
今度は戒名が「・・・・童女」。 「子供じゃねーか」と怒る杢兵衛。
「本当の喜瀬川の墓はどれだ?」と聞く杢兵衛に喜助が一言。

「へい、よろしいところをお見立てを願います」と言ってサゲ。

お見立てというのは、張り見世で格子内にズラリと居並んだ花魁を吟味し選ぶことで
その時、若い衆が「お見立てを願います」というのと掛けています。

こうやってツラツラ書くと普通の古典噺なんですが、
寿輔師匠の訛って何言ってるか分からない田舎モン杢兵衛の表情と、
ワガママな喜瀬川、そして間に挟まって右往左往の喜助の3人の演じぶりに
満員の場内は「老人天国」の時以上にドッカンドッカンと大爆笑でありました。
この噺、以前他の噺家さんで寄席で聞いたことがあるのですが、
ここまで面白くなかったし吉原の噺でここまで笑えるのはやはり師匠ならでは。
普段寄席では敢えて古典はやらないと思われる師匠ですが、
こうやって初めて聴いた噺は完全にツボにはまりました。。。。

という訳で、またまた寿輔師匠にドップリ浸かって笑い通しの「寿輔ひとり会」でありました。
来年も是非見たいものです。。。。


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ta-bo

おお、素晴らしいレポート、そしてヨッシーさんの新作!
ありがとうございます!!!

去年も思ったのですが、つくづくミウラさんがうらやましい(笑)
私も講演会などにくっついて歩きたいものです。
そしてそして近い将来、独演会の後に師匠と飲めるときが必ずや
訪れますように。。。。。ま・ほ・う・でポンッ!(笑)
by ta-bo (2007-09-17 01:22) 

ta-bo

ヨッシーさんへ、
来年はご一緒しましょう。
いや、その前にこのイラストをぜひ師匠にご披露して欲しいです!
by ta-bo (2007-09-17 01:24) 

kikuzou

まるで、寄席に居るかの様な臨場感あふれる文章ですね。
あ、富山の情報ありがとうございます。
来週行くので、チャレンジします。
by kikuzou (2007-09-17 07:09) 

堀越ヨッシー

記事を読んでるだけで爆笑しちゃうんだから、実際の現場ではさぞかし笑いの渦が巻き起こった事でしょうね!。オイラも一度だけ志らく師匠の独演会で上野広小路亭に行った事がありますが、確かにギュウギュウ詰めでしんどい思いをしながら落語を聞きました。でも狭い分、近くで迫力ある噺を聞けるのが魅力なんですよね。こればっかりは痛し痒しですね(苦笑)。
来年は是非うつぼさんやta-boさんのお供をさせて頂きたいなと思います、よろしくお願いします(^皿^)。
by 堀越ヨッシー (2007-09-17 10:46) 

いや~、読む前からニタッとするのは不謹慎なのでしょうか。
錦之輔さんの真打の噺からもう頬が緩みっぱなし。どうしようもありません。
しかし寿輔師匠の「時そば」は断然興味ありますよ。珍しく「時そば」は過去にほかの噺家さんで聴いたことがありましたが、寿輔師匠の「時そば」は別の「落語」を想像させますね。聴いてみたいです。
by (2007-09-17 13:54) 

うつぼ

ta-boさん、こんばんは。
普段はかなり遅筆ですが、今回は興奮が冷めぬ内にと急いで書きました。といっても2日遅れなんですが。(笑)
>つくづくミウラさんがうらやましい(笑)
多分ドハデな着物を着る前からのファンじゃないでしょうか。きっと筋金入りなんでしょうね。 
>私も講演会などにくっついて歩きたいものです。
いっそマネージャーになってみたら、ネエサン!ま・ほ・う・で!
by うつぼ (2007-09-17 23:58) 

うつぼ

kikuzouさん、こんばんは。
いつもの寄席より気合が入っているので急いで書きました。(笑)
観客全員が寿輔師匠ファンという普通では考えられない非日常的な雰囲気が私にはもう心地よくて心地よくて。。。。
>来週行くので、チャレンジします。
ハッスルキャバレーはできるだけチャレンジしてほしーです!(笑)
by うつぼ (2007-09-18 00:05) 

うつぼ

堀越ヨッシーさん、こんばんは。
そして今回は本当にゴメンナサーイです。
狭い空間にギュウギュウに人が詰まっているのでドッカンドッカン沸き起こる大爆笑も相乗効果があったというか更にスゴイ状態になっていたような気がします。入口で師匠と握手できたのも本当に良い思い出ですし。。。
来年は絶対一緒に行きましょう!!!
by うつぼ (2007-09-18 00:06) 

うつぼ

cocoa051さん、こんばんは。
読む前からニタッとしていただけるなんて光栄です!
師匠の古典を聞いたのが初めてで本当にビックリしました。時そばのズズズズーッもビックリでしたが、お見立てが面白かっただけに、時そばも通して聞いてみたくなりました。でも、古典は寄席などではきっとやらないだろうなあ、と思うと(そんな気がします)、次に聞けるのは来年の独演会かなー、なんて思っていますが。。
by うつぼ (2007-09-18 00:09) 

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