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映画「エンドロールのつづき」を観る [映画(あ行)]

見そびれていた映画が田端のチュプキさんで上映されているのを知り
観に行きました。
エンドロールのつづき [DVD]

エンドロールのつづき [DVD]

  • 出版社/メーカー: 松竹
  • 発売日: 2023/07/05
  • メディア: DVD
あらすじはYahoo!映画さんより。

インドの小さな町に住む9歳のサマイ(バヴィン・ラバリ)は、
学業のかたわら父親のチャイ店を手伝っていた。
ある日、家族と映画館を初めて訪れた彼は、すっかり映画に魅了される。
ある日、映画館に忍び込んだのがバレて放り出されるサマイを見た映写技師のファザルが、
サマイの母親の手作り弁当と引き換えに、映写室から映画を観ることを彼に提案する。

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自分も映画が好きでよかったなあと思えた作品でした。

原題は”The Last Film Show”。
通っていた映画館GALAXYでのフィルム映写がデジタルに置き換わること、
サマイが廃材を活用して映写機を手作りしそこでフィルム映画を投影すること、
そんなところからつけらた題なのかと思うと、エンドロールのつづきって?
サマイが観た映画のエンドロールの続きに彼がどうするのか、という意味で
つけたのかと思うのですが、いまいちしっくりこない邦題です。
(と毎度のことながら邦題に軽くツッコミを入れてしまいました。(^^;)

予告編を観ると、
ニュー・シネマ・パラダイス 4K UHD+Blu-ray(3枚組)

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どこかこの映画に寄せているのかなと思ったもののそういう感じもあるかなと思いつつ、
今作のパン・ナリン監督が映画で多くの監督名を掲げ称えているところからも
監督が敬愛する映画の世界の人たちに捧げたいという気持を感じるような作品でした。

インドの映画だなと思ったのはカーストについての話が出てくるのですが、
カーストが下の人が成功する、とか、カーストが異なる男女が恋に落ちる、というのは
過去に観たことがあったのですが、今作では、バラモンというカーストでは上に属する
サマイの父が、多くの資産を親戚に騙しとられたしまったことでチャイを売る仕事を
つましく続けている、でも、バラモンであることのプライドは時折表面に出てきて、
という描き方がこれまでになかったので新鮮に思えました。

この父親はサマイが学校をさぼってくだらない映画を観ていることを快く思わない、
それに対して、サマイが出会う映画技師のファザル、と学校の先生から多くのことを
学びます。

ファザルは、映画は物語が全てであること、どう語るかが大事であることをサマイに
伝え、それを聞いたサマイは、線路端で拾った様々なデザインのマッチ箱を使って、
物語を作って友達に聞かせる、その時の輝くようなキラキラした目がなんともいえず、
たくさんの映画を観ること、ファザルからの教えによってたくさんのことを学びます。
そのファザルは映画館のデジタル化への切り替えによって職を解かれてしまいますが、
ファザルに対して感謝の念をもつサマイの機転のお陰で新たに職を得ることができて
見ている私もホッとしました。

サマイにとってもう一人の恩人は、学校の先生で、学校をさぽって映画館に行くサマイの
ことは知っていったと思いますが黙認していたように思えて、そんなサマイに対して、
何かやりたいのであれば、そのために大事なことは2つ、英語を学ぶこと、そして、
この町を出ることとサマイに伝えます。
(先生が「インドには2つの層しかない、英語が出来る層と出来ない層」という言葉が
 カースト制度が現存するインドにおいても大事なことだとしみじみ思いました)

映画の中で一点ひっかかったのは、倉庫に保管されていた映画フィルムを盗んでは
隣の廃駅に運んでは廃材で作った映写機で投影する(友達もサマイに協力)、
という場面で、投影していること自体は楽しそうでよかったものの、犯罪だしなあ、
とここはお国柄なのかさほど深刻には扱われていなかったのがひっかかりました。

という引っかかりがあったものの、ファザルと学校の先生の言葉のお陰で映画をつくる、
やりたいことが見つかったサマイに対し、それまで映画は低俗といっていた父親も
(自身は英語ができないためにチャイの店の経営もあきらめざるを得ない状況になる)
サマイにはやりたいことをやってほしいと親戚や知人にかけあってサマイの背中を
ぐっと押す姿に思わず目頭が熱くなってしまいました。

ずっとサマイを応援してくれた母親のお弁当がなければファザルも映画を見せてくれるか
わからなかったので、サマイの好奇心と行動力が惹きつけたご縁の中には、母親のお弁当が
大きな意味を持っていたと思いますし、その流れをぐっと強くしたのは父親のサマイに
対する応援の気持ちだったのだろうと思います。

サマイが列車に乗って旅経つところで映画は終わりますが、きっとサマイはこの後、
一生懸命英語を学び映画を学び映画監督になるのだろう(そのはず)と思いながら
どこかハレバレした気持ちで観終わりましたが、書きながら調べてみたら、
サマイは今作の監督の幼いころ、殆どが実話、ということが分かりました。

読んで納得。

と思うと、監督自身の話だと理解した上でもう一度見てみたいと思った、
「エンドロールのつづき」でありました。





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溺愛猫的女人

ステキな映画ですね。
by 溺愛猫的女人 (2023-06-19 12:12) 

夏炉冬扇

インドには2つの層しかない。
なるほど、と感じ入りました。
日本だと「英語」じゃないな。幾つの層になるんだろう。
by 夏炉冬扇 (2023-06-19 20:36) 

うつぼ

溺愛猫的女人さん、おはようございます。
自分の知らない世界を観られるのは映画の楽しみです。(^-^)
by うつぼ (2023-06-20 07:29) 

うつぼ

夏炉冬扇さん、おはようございます。
インド映画というとカーストを描いたものが以前は多かった印象ですが
今の時代は英語ができるかどうか、なんですね。
日本だったら、、なんでしょうね。コネ?とか。(^^;
by うつぼ (2023-06-20 07:31) 

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