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シンガポール旅行記09~国立博物館編~ [アジアの旅(シンガポール①)]

シンガポールに行ったからといって呑んで食べていたばかりではございません。

ちゃんとベンキョもいたしました。

てな訳で、シンガポール国立博物館編。

この博物館は2002年のシンガポール旅行の際にも訪れたのですが、
シンガポール建国の歴史だけでなく、
第二次世界大戦で日本が何をしたのかを知ることも出来る場所で
私なりに色々と考えさせられた記憶があったので、
ここだけは日本出発前から行こうと決めていたところです。

最寄駅はドビーゴート駅かシティホール駅。

私はドビーゴード駅から博物館裏手のフォート・カニング・パークを歩いて向かうことにしました。

DSCF1285.jpg 途中の地下道にて発見
地下道をチャリンコ乗ったまま通ると罰金S$1000(6万円)。ひー。

ゴミを捨てても罰金のお国柄、地下鉄に乗っていても、
 DSCF1283.jpg こんな注意書きに遭遇します
車内で喫煙したら罰金S$1000、飲食したらS$500、
可燃物を持ち込んだらS$5000(30万円!!)、そしてドリアンは論外。(笑)
もし、持ち込んだらどうなるんでしょうか。。。罰金欄が空欄というのがコワイ。

で、フォート・カニングというのは、
昔の英国東インド会社の最後のインド総督として仕え
新しい植民地システムの下初代総督となったカニング卿から命名されています、


DSCF1287.jpg  と書いてありました。

古代マレー王朝の要塞が立てられていた小高い丘で、
イギリス植民地時代にはイギリスの要塞が建てられ、
シンガポールを植民地として獲得し自由貿易を行った英国人、
トーマス・スタンフォード・ラッフルズ卿が別荘と政府庁舎を建てた場所でもあります。
現在は国立公園になっていますが野外ステージもあるそうです。。

と、書きながらDSCF1288.jpg 中には入らず
DSCF1289.jpg 外周の道を歩くのみでした
DSCF1293.jpg 巨大ピーマン?が見えたら
DSCF1290.jpg 国立博物館(正面と反対の入口)

因みに正面はDSCF1303.jpg こんな感じです

かなり汗だくだく状態で中に入ると、冷房キンキン。 汗が凍ります。(-_-;)

DSCF1294.jpg そして自販機
DSCF1295.jpg 140円くらなので日本と同じくらいですね。

この国立博物館は植民地時代の1887年にオープンした122年の歴史ある博物館です。
2003年に一旦閉館し、2006年12月リニューアルオープンしたというので、
前回(2002年)に来た時と大分雰囲気も変わっていました。。

リニューアルしたせいか入場料は以前の2倍でS$10になっていました。(^_^;)

DSCF1299.jpg ここは2階部分 広々しています
DSCF1300.jpg 赤いシャンデリアがスイングします

DSCF1297.jpg 正面入口の天井
光が入るとステンドグラス?がキレイ。

DSCF1298.jpg で、こんなイヤフォンガイドを貸してくれます
以前来た時はこんなご大層なものはなかったと思いますが、
これは入場料を支払えば追加料金なしで借りられるので親切です。
リニューアル後からのサービスのようですが、
英語、中国語、タミル語、マレー語、と日本語で展示物の解説が聞けます。
全部聞くと6時間くらいあるそうですが、一日粘れば観られなくもない長さですね。

到着したのが午後2時。
ちょうど英語のガイドツアーが始まる時間だったので私も参加。
(日本語ガイドツアーは毎日10時からの一回のみらしいです)

ガイドは、在シンガポール25年のイギリス人女性。
私が参加していたからか、非常にゆっくり英語を話してくれる親切な人でした。(笑)
私の他にはアメリカ人の中年夫婦のみ、なので3人でツアーとこじんまりです。。

1時間半のガイドで一通り聞いた後、
再び入口に戻ってイヤフォンガイドで更におさらいしたのですが(笑)
やはりイギリス人ガイドはどこか「上から目線」的な雰囲気でした。
イギリス人が植民地化したお陰で、今のシンガポールは自由港として栄えているし
文化的な国になったのよ、という雰囲気での説明で、
こういうイギリス人が一般的なのかもしれないな、などと妙に感心してしまいました。。

展示は、昔シンガポールがタマセック(トマセック?)と呼ばれていた7世紀頃からで
シンガプーラ(ライオンの町)と呼ばれるようになった後、
19世紀にラッフルズ卿が上陸して当時島を支配していたジョホール王国から
1819年島を譲り受け、1826年には海峡植民地に組み入れられます。。
(このあたりのやりとりが結構ズルイというか王様をうまく言いくるめて契約しちゃった感あり)
イギリスの植民地になってからは、同じ植民地のインドやオーストラリア、また中国と貿易を行い、
マレー半島の自然資源(ゴムや錫)の積出港としても栄えていきます。
この発展に必要な労働力として、中国(福建、広東、潮州など)、インド(南インドが主)、
現在のインドネシアなどから移民を受け入れ、他民族国家になっていくのですが、
中国からの労働力を調達するのに活躍したのが当時の中国マフィアだったという展示にビックリ。
日本と同じように秘密結社化して「血の契り」を交わしたりしていたと説明書きにありました。
ただ、大量の華人がやってきたり、で、住環境など衛生面で大きな問題もあったそうです。

また、19世紀後半ごろから、「からゆきさん」がシンガポールにも送り込まれたそうで
当時の女性の写真などが展示されていたのですが、
(九州などの)貧しい農村や漁村に住む若い女性が事情もよく分からいままに
東南アジアに送られ、女衒に搾取されながら客を取らさていたという事実に
同じ日本人でありながら、自分自身よく知らなかったことを反省いたしました。
今は厳しいといいながらも、それなりの生活を送れる我が身ではありますが、
そんな悲しい歴史があったということを忘れてはいけないのだと思いました。

更に、第二次世界大戦時に日本がシンガポールを攻撃し、
ドイツと戦っていたためになかなか派兵できなかったイギリス軍8万5000人に対し、
日本軍は3万人で山下中将の指揮の下、時には自転車も使って機動的に動いて
1942年2月15日にイギリス軍が無条件降伏し、日本が占領します。
「昭南島」と名称を変え、表面的には一般市民に危害を与えない代わり、
反乱分子とみなした者は厳しく罰し、秩序で国を保つ、という名目で、
18歳~50歳までの華人を呼び出し、反乱分子とみなした者はチャンギ刑務所に送り
粛清したと説明にありました。(刑務所の当時のドアも展示されていました)
実際に殺害された華人達(イギリス人でも反抗した人は刑務所に送られたそうです)が
何人いたのかわからない、と展示では言っていましたが、数万人と言われているそうです。

山下中将がイギリス軍を降伏させたことは後のアジア各国の独立に大きな影響を与え、
イギリス軍が簡単に降伏したことが、シンガポール国民に独立の意志を強くさせた、
とも言われますが、日本がした残酷な事の大きさを異国で思い知らされた気分になりました。

その後、第二次世界大戦で日本が敗北し、再びイギリス植民地に戻ったシンガポールでしたが、
戦争でダメージを受けたイギリスも、各地で起こる植民地の独立運動にあわせ
植民地を放棄せざるを得なくなり、1957年マラヤ連邦、1959年イギリス自治領、
1963年にはマレーシア連邦となるのですが、
マレー人優遇政策をとるマレーシア中央政府と、
華人が大半で華人とマレー人の平等政策をとろうとするシンガポール側で軋轢が生じ、
分離独立運動で衝突もおき、結果として、1965年8月9日、シンガポールは独立します。

この時、テレビで独立することを国民に伝える人民行党のリー・クアン・ユーが
涙を流す場面が展示の最後の方で観られるのですが、
この人の独立にかける思いが、
現在に至るまでのシンガポールの大きな経済発展につながっているのだろうな、と
改めて思いました。


前回見学した時よりも、
第二次世界大戦時の日本についての展示がソフトになったような気がしたのですが
日本人の一人の兵士の手紙の展示もあり、日本人であっても戦うことに苦悩し葛藤している、
ということを展示内容に盛り込んであったりと、様々な観点視点で展示されていると思います。

こういう外国の博物館にやってきて、
自分が今ひとつ知らなかった日本について知ることが出来るのは複雑な気分ですね。
こういう事実を学校で学ばない日本人って一体なんだろう、と改めて思います。
シンガポールは、他の(かつて日本が占領した)アジアの国々のようには
政府が表立って今でも抗議し謝罪を求めるようなことはしませんが、
学校では子供達が歴史の一部としてきちんと学習していますし、
日本でも事実として学ぶべきことは学校で教えるべきなのでは、などと
(珍しく)真面目に考えたシンガポール国立博物館でありました。

シンガポール、買い物や観光、リゾートもタイガービールも楽しいですけど、
半日くらいは、ここで歴史について知るのもおススメですよ。(^^)

(足裏マッサージ編につづく)


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Krause

国立博物館へはまだ足を運んだことがないのですが、あの有名なリー・クアンユーの涙の独立宣言がみられるのですね(私も行ってみたくなりました)。シンガポールの独立は、事実上マレーシアから追放を受けたことによるようなもので、リークアンユーの著書を読むとこの時彼がどれだけ悔やんだかが書かれています。しかし、そんな悪条件と思われる状況からここまで立派な国づくりが出来たのですからたいしたものだと思います^^。
by Krause (2009-03-11 04:26) 

snorita

ノー ドリアン.....やっぱそうなのかー。

日本人が、周囲の国にどう思われてるか、日本人はもっと興味を持つべきですよね。ほんと、未だに鎖国してるみたい。


by snorita (2009-03-11 07:12) 

cocoa051

東南アジアの中ではきれいな街並みを誇るシンガポール。
マナーやルールを大事にし、違反するものには厳罰で臨むというイメージを持っています。わがニッポンも見習うべきものが多いかと。
by cocoa051 (2009-03-11 11:54) 

うたに

罰金が高額で驚きました。w( ゚ o ゚ )w
ドリアン禁止ってことは、過去にそういう例があったからでしょうね(^ ^ ;)
4月から首都圏のJRの駅では終日禁煙になりますが、果たしてどの程度まで守られるか・・・。
by うたに (2009-03-11 13:07) 

うつぼ

Krauseさん、こんばんは。
リー・クアンユーの涙の場面は何度も観てしまいました。前回訪れた時にも見たのですが今回は特に感慨深かったというか。。
シンガポールは独立してから自然資源がない分、国民の才能(頭脳)を売ろうと教育に注力し、アジアのハブとなるべくインフラを整備したことが経済発展につながっていったのかと思います。
Krauseさんもシンガポールご訪問の際はゼヒ足を運んでくださいね。(^^)
by うつぼ (2009-03-11 23:06) 

うつぼ

snorita姐さん、こんばんわー。
ドリアンは果物の王様というのに世の中厳しいものですね。(^_^;)
>ほんと、未だに鎖国してるみたい。
日本だけが自分の国のことをちゃんと教えていないのでは、と思ったりしましたね。大人になってから知らない自分を恥ずかしいと思うくらいなら、義務教育の時にちゃんと学んでおきたかった、、と改めて思いました。。。

by うつぼ (2009-03-11 23:10) 

うつぼ

cocoa051さん、こんばんは。
確かに厳しくしているからこそキレイなんでしょうね。
新しい国で国民が同じ方向を見て進もうとしているだけに、これだけ厳罰化していても不平なく守っているところが凄いなあと思いました。
日本もこういう点は見習いたいものですね。(^_^;)
by うつぼ (2009-03-11 23:13) 

うつぼ

うたにさん、こんばんは。
罰金が高額だけでなく、落書きして鞭打ち刑、薬は死刑、、、などなど、
とにかく厳しい国ですね。
>首都圏のJRの駅では終日禁煙
今でも禁煙タイムにタバコ吸ってる人が朝いたりしますし、撤去したところで
なかなか浸透しないのでは、、、と思ったりします。もう少し厳しくしてもいいのにと個人的には思いますね。(^_^;)
by うつぼ (2009-03-11 23:18) 

satokot

国立博物館はいろいろと考えさせられる場所ですね。。。こういう暗い部分は素通りしたくなる気持ちもありますが、過去の事実は事実として受け止めて二度と戦争はしちゃイカンと誰もが心に誓ってほしいものです。
by satokot (2009-03-12 09:28) 

うつぼ

satokotさん、こんばんは。
海外で日本の歴史を知るというのは恥ずかしいものですね。
どうして事実として学校で教えないのか、将来、戦争が起きないように
同じ過ちを犯さないように、そう考えると尚更教えるべきだと思いますね。
平和ぼけしている自分には目が覚める博物館でした。。。
by うつぼ (2009-03-12 22:27) 

bluebird

タイのクワイ川に行った時、おんなじ気持ちになりました・・・

電車の禁止事項、ドリアン笑える。
日本でも、床にすわる、化粧する、大また広げて座る、大声でしゃべる、等々禁止して欲しいですねー!

by bluebird (2009-03-13 23:11) 

うつぼ

bluebird姐さん、なんどもこんばんは、です。
日本について意外と知らない自分を海外で感じることが多いですね。
やっぱり学校でちゃんと教育してほしいものです。。。
>禁止して欲しいですねー!
日本も罰金で縛らないと公共の秩序が守れないような気がしますね。
揺れた電車の中でどうしてアイラインや眉毛が描けるのか、、羞恥心がないのか、、、オバチャン、声に出して問いたい時がございます。(笑)
by うつぼ (2009-03-15 21:27) 

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