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寿輔の「釣りの酒」 [落語・お笑い]

年が明けてからというもの、実はまだ寿輔師匠のご尊顔を拝しておりません。
(正月の寄席はメチャクチャ混んでいるのでず~っと敬遠しておりました)
という訳で、ちょっと古いのですが以前寄席に行った時の記事をアップ。


 

9月中旬の寿輔師匠の「ひとり会」でお腹一杯幸せ一杯になったのですが、
数週間経って禁断症状が出始め、翌月の上席夜の部に出演される師匠に会いに
浅草演芸ホールへ行ってまいりました。

 

折角の休みに寄席に行くのだから、夜の部を最初から見ようと思って早めに自宅を出発、
以前から気になっていた「与ろゐ屋」というお店で
 しなちくラーメンを頂いた後、浅草演芸ホールへ。
スープに柚子が入っていたのが実はあまり好みではないのですが、
魚のダシが強めなのはお好みなので全体的には「美味しい」と思いました。
ただ、常連と思しきオジサンが大声でずっと喋っていたのがちょっとウザかったナ。(笑)

寄席に着くと昼の部の主任、
 三遊亭圓雀の噺「唐茄子屋政談」の途中から
吉原の花魁に入れあげて遂に家を勘当されてしまった若旦那の徳三郎が、
「お天道様と米の飯はついてまわる」と親に啖呵を切ったものの食べるもの無く数日経過、
もうだめだ、、、と身投げしようとしたところを親戚に助けられ、
働いて改心するよう説得されて唐茄子(かぼちゃ)を売り歩くが全く売れない。。。
近所の人達に助けられて何とか売れて残りあと数個、というところで、貧しい親子をみかけ、
売上と持っていた弁当を渡してしまう、、、と続く話なのですが、売り歩いているところで終了。
そこまでだと笑って終わってしまうのですが、貧しい親子と会った後はウルウルする話なので
途中で終わってしまいちょと残念。。

と、ここで昼の部終了。   
暫し休憩の後、16:45頃に夜の部スタート。

最初に前座の桂ち太郎が出てきて「強情灸」を話したのですが、
ベランメエ調がちょっと弱く、あと聴きづらかったかな。もうちょっと頑張ってね、という感じでした。

次に出てきたのは、
 二つ目の三笑亭可女次で「鰻屋」
酒好きの留を兄貴分がタダで飲める店に行こう、と行った先は鰻屋。
以前この店で鰻を頼んだら香々(お新香)と酒が交互に出てくるばかりで鰻が出てこず、
「鰻を出してくれ」というと店主が困った顔をして暫くしてから出てきたのが鰻の丸焼き。
店主に文句を言うと職人が出かけたきり帰ってこないから鰻を割くことができないので
御代は結構ですと酒がタダだった、今日も職人がいないから一緒にタダの酒を飲もうという兄貴。
店に入った兄貴の顔を見て驚く店主は「職人がいないので後で来て下さい」と言うが、
今食べたいからやってきた、鰻を出してくれ、と答える兄貴。
店主は仕方なく鰻を割こうとするがヌルヌル滑って鰻がつかめない。
糠をたっぷりかけても鰻は逃げようとするので手を前に前に出しながら店主は鰻をつかもうとする。
鰻の進む方向に手を伸ばしながら前に進んで歩く店主がとうとう店の入口を出ようとするので
「どこに行くんだ?」と兄貴が聞くと、「前に回って鰻に聞いてくれ」と店主が答えてサゲ。
前座時代に比べると大分うまくなったなー、と感心することしきり。。。

 春風亭美由紀
いつもの歯切れよい都都逸などで景気づけ。

 三遊亭右左喜で「英会話」
この噺、よく寿輔師匠もやるネタなのですが、雰囲気が全然違うというか。
どちらかというと実はあんまりこの噺家さんは得意でないので、このへんでスルー。。。。

 三遊亭右京
ヤクルトの話と軽く漫談、小噺で終了。
初めて聴いた方ですがいつもこんな感じなのかしら、なんて思ってしまいました。

 コントD51
いつもの婆さんネタのコント。
以前は婆さん&リフォーム屋のコントだったのか、今回は婆さん&先生でした。
場内はかなり沸いていましたが、ちょっと見過ぎた感もあり、違うネタが見たくなってます。。。。

 神田松鯉
今回は荒木又右衛門の話。
日本史が大の苦手な私ですが、相変らずの迫力の講談に引き込まれました。。。

 桂歌春は「子ほめ」
いつも鼻の頭がテカっているのが気になって仕方ない噺家さん。
噺は、、、普通に面白くて笑いましたが鼻の方が気になっちゃって。。。(ハンセイ)

ぴろき
牧伸二の後継者は彼しかいないのではないか、と思うウクレレ漫談家。
相変らずの天然まったりとした語り口調と♪あかるく陽気にいっきまっしょう♪というサビが
私の頭の中をずっとグルグルしておりました。。

 三笑亭夢丸は「権助魚」
夫の浮気を疑う女房が、外出する夫について様子を見なさいと使用人の権助に命令するものの
権助は逆に夫からウソをつくように女房からもらった以上の小遣いをもらってしまいそのまま帰宅。
女房に「ご主人様は網打ちをなさって」といいながら、アリバイづくりに買ってきた魚を見せるものの、
それは、海の魚だったり、メザシだったり、茹でダコだったり、、
とても隅田川で釣れたとは思えないものばかり。 という噺。
いつも短い時間の中で真面目に真剣に話す姿に好感を持っているのですが
今回も非常によい話しぶりでした。

ここで一旦仲入り、その後は、

三遊亭遊之介から
噺は「浮世床」。
面白いといえば面白いのですが、ベタっと話す噺家さんなので
もうちょっとテンポよく話してくれるといいのにな、、なんて思ってしまい。

 松旭斎小天華
ロープやスカーフ、造花などを使っての、いつも見る寄席奇術ですが何となくほっとします。。。 

そ・し・て。
 待ってました

「あぁー、突然アマガエルが現れて、さぞや皆さんお力落としのことと思います。
 寄席は4時間はやっているから必ず皆さんをガッカリさせる芸人が
 江戸時代からでることに決まっております。」

前列のオバチャンをつかまえていつもの客いじりをひとしきりやった後、
真面目にネタをやってくれました。 「釣りの酒」。

金がなくてずっと酒が飲めない男、「ああ、酒が飲みてぇな」と思っていると、
近所の中村先生の家に行き、中村先生の好きな釣りの話をすれば
沢山酒を飲ませてもらえると聞き、早速中村先生の家に向かう。
釣りのことはさっぱり分からない男は言われた通り相槌だけを打てば
好きなだけ酒が飲めると思っていたが、中村さんは相槌を打てないような
質問ばかりをしてくる。。。

「得意な魚は?」  「は? 得意な魚といえば、〆鯖ですが。」

「よく釣るのは?」 「ほっけの一夜干しでしょうかねえ。」

「はぜ、あいなめ、きすなんてやったりします?」 「やだなあ、でも、キスは時々。」

「じゃ、きすはいつやります?」  「いつだなんて、普通は夜でしょう。」

「誰とやります?」  「そりゃあ、家内とですよ。」

「じゃ、どこで?」  「奥の四畳間(照)」

「へえ、珍しいところで。餌はどうしてます?」  「先だってはネッカチーフで。」

「じゃ、あじはどうです?」   「あじ、味ですか? この前は餃子の味がしましたな。」

「今度一緒にやりましょうか?」  「いやいや、アタシはおすぎとピーコじゃないから・・・・」

「ところで、さおは何本お持ちで?」  「え、、普通1本じゃないんですか?」

「じゃ、材質は?」  「材質って、普通は皮じゃないんですか。」

という噛みあわない会話のところで終わってしまいましたが、
(本当は酒を飲んだ後、船に乗って釣りに行くところまで噺があるのですが)
中村先生と男の噛みあわない加減が面白く、また、
酒を美味しそうに呑む姿の上手さに感心しながら大笑い大笑い。。。。

と大笑いした後に出てきたのは、
 三遊亭栄馬
噺は「長短」。
寿輔師匠で笑いすぎたせいか噺に集中できないまま終了。。。

栄馬さん、すみませんと思ったところで、
 東京ボーイズ
今回もリーダーの五郎さん(写真中)が入院中とのことで、
六郎さん(左)、八郎(右)さんの2人で頑張っていらっしゃいました。。
2人だと普段全くセリフなく無言で三味線を弾くか後ろ向いて歌うかの六郎さんが
一生懸命話したりするのが面白いといえば面白いのですが、、、
やっぱり3人揃っている東京ボーイズが好きだなあ。。。
と書いておきながら、なんだか気になったので後で調べたところ、
私が観にいった日に五郎さんは亡くなったそうです。
ここ1年くらいは痩せてずっと具合が悪そうだったのですが、原発不明癌でご逝去、とのこと。
八郎さんが「リーダーの趣味は入院」と言って観客を笑わせていたのを思い出すと
闘病する五郎さんを思いながらも2人で頑張っていたのねえ、となんだかジンと来ました。。

 続いて三笑亭夢太朗
噺は「目黒のさんま」。
聴きながら秋刀魚の塩焼きが食べたくなってしまいました。。。

 翁家喜楽(右のオジイチャン)

板にガラスの器を4つ、その上に板を置いて生卵を入れたガラスの器を4つ、
それを長い棒でアゴにのせて支えながら上の板を外すと生卵入りのグラスが
下の器にすとんと落ちるけれど卵は割れない、という、いつもの芸がなく拍子抜けしましたが、
傘の上で鞠や金輪、枡を回したりの芸に色々な意味でのハラハラドキドキ神楽でした。

そして夜の部主任の
 三遊亭小円右
噺は「酢豆腐」。
現在NHKの朝ドラ「ちりとてちん」はこの話の上方版ですね。
腐った豆腐を「珍味」と言われ仕方なく口にする若旦那、不味いといえずに通ぶってほめる姿に
思わず「こういう見栄っ張り、会社にもいるよなあ」なんて思いながら笑ってしまいました。

こうやって記事に書いて思ったのですが、
結局寿輔師匠に集中したせいか、他の噺家さんの噺には半分程度しか集中できず、ということ。
もうちょっと他の噺家さんにも真摯な態度で臨まないと、、、なんてことを考えてしまったのですが、
やっぱり寿輔師匠は私の中ではオンリーワンな存在であることを改めて確認できた
浅草での一席でありました。


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kikuzou

やっぱり、一番好きな方に集中したいですよね。
ってことで正しい楽しみ方ではないでしょうか。
by kikuzou (2008-02-07 01:04) 

堀越ヨッシー

東京ボーイズのリーダー、お亡くなりになられてたんですね...オイラも大好きだっただけにとても残念です。せっかく生で見られると楽しみにしていたのに。グループでのお笑いはこういう時(メンバーが亡くなる)に辛いですよね。
...ん!?、って事は今は2人組として活動しているという事なのでしょうか?。
寿輔師匠のお噺は相変わらず面白そうですね!(^皿^)。
by 堀越ヨッシー (2008-02-07 10:32) 

うつぼさんこんにちは♪
うつぼさんのお好きな寿輔師匠以外の方の感想もひとつひとつ丁寧で(ちょっとキビシメコメントに笑)、凄いなあといつも思います。
この「夜の部」って何時間くらい続くのですか?人気のない演者のときは、お客さんが出て行ったりするのでしょうか(寂)。
私ももう少し暖かくなったら観にいこうと思っています。
by (2008-02-07 12:26) 

ken

今年から久方ぶりに落語を聴くようにしています。ポッドキャストで。
基本は無料の二つ目の落語ばかりですが、やっぱり楽しいですねえ。
これまでいくつか聴いた中での拾い物は、三遊亭歌彦さんの「試し酒」。
今年、真打ち昇進が決まっているだけあって、なかなかの噺でした。
寄席も行ってみようかな。
by ken (2008-02-07 18:49) 

釣りの酒…読みながらニヤニヤしてました(^^;)
寄席って色々な噺家さんが出てきて、4時間もやっているんですか。中味が濃い~ですね!
by (2008-02-07 19:31) 

うつぼ

kikuzouさん、おはようございます。
正しい楽しみ方と言っていただいて自信がつきました。
確かに寄席は色々な人が出てくるので全員を楽しいと思えることは、、、まずないでしょうねぇ。。。。
by うつぼ (2008-02-08 07:51) 

うつぼ

ヨッシーさん、おはようございまっす。
東京ボーイズ、私も謎かけ問答など好きだったので、五郎さんの訃報には驚きましたし残念です。。これからは2人になってしまいますが、寄席で見ることがあれば応援したいですね。
寿輔師匠は相変らずでホホが緩みっぱなしでした。(^^)
by うつぼ (2008-02-08 07:54) 

michael

「権助魚」の話、私はちゃんと魚を釣ってきますよ。中村先生の家に行けば私はきっと大酒を飲ましてくれるでしょう。
by michael (2008-02-08 20:58) 

うつぼ

bonheurさん、おはようございます♪
寄席、早くいきたいのですがなかなかタイミングがつかめず、、ですが今月中にはなんとかいきたいですね。。
>「夜の部」って何時間くらい続くのですか?
17時前から21時までなので4時間ちょっとですね。普段は昼の部からずっと居ても入れ替えがありませんから、極端にいうと12時前から21時まで9時間いることもできますよ。
>人気のない演者のときは、お客さんが出て行ったりするのでしょうか。
お目当ての人を見たら出る、とか、仲入り(休憩)に出るとか、皆さんご自分の都合で出て行くので人気のない演者で出て行くことはないような。私が好きでなくても人気ある人結構多いですしね。
by うつぼ (2008-02-09 08:32) 

うつぼ

kenさん、おはようございます。
私もポッドキャスト、最近ダウンロードしています。(^^) 歌彦さん、面白いですよね。でも、普段は寿輔見たさに落語芸術協会(歌丸が会長)の噺家さんが出ているときしか寄席にいかないので、歌彦さんが所属する落語協会(馬風が会長)の方には殆どいかず、、ですが、真打昇進だったら興行に行ってみようかな、なんて思っています。
やはり寄席はライブですから楽しいですよ。kenさんも是非!
by うつぼ (2008-02-09 08:32) 

うつぼ

うたにさん、おはようございます。
>釣りの酒…読みながらニヤニヤしてました(^^;)
他にもニヤニヤする噺、沢山ありますよ。(^^)
寄席は好きなときに入って好きなときに出られるのがいいですね。1時間に4人でますから1人の持ち時間は15分ですし、そのあたりの手軽さが気にいっています。モチロンハズレかなあ、って人もいますがまだまだ初級者に毛が生えたくらいのレベルの私にとってはベンキョウになることが多いですね。
by うつぼ (2008-02-09 08:33) 

うつぼ

michaelさん、おはようございます。
権助は与太郎と同じ系列なのでトホホな魚を買ってしまうのですがmichaelさんだったら隅田川でも太公望でしょうね。(^^)
ところで、michaelさんは何本さおをお持ちで?(笑)
by うつぼ (2008-02-09 08:39) 

ta-bo

お久しぶりでございます!
あは、もういったいいつの話かと(笑)
五郎さんと同じ頃に晴乃ピーチクさんも亡くなったんじゃ
なかったでしたっけ。ピーチクさんは春にはお元気そうだったので
訃報を聞いたときはびっくりしました。
釣りの酒は一昨年の独演会でやりましたよね。
本当に息つくヒマもないほど笑わせてもらいましたわ。
私もずっと行けてません。。>寄席
by ta-bo (2008-02-11 21:32) 

うつぼ

ta-boさま、お久しゅう。。
ピーチクさんの訃報は新聞で読んで知っていたのですが、五郎さんの訃報には気づかず今回知りました。ピーチクさんも数年前に北千住の連絡通路でドハデな格好で歩く姿をお見かけして以来寄席でも独演会でも楽しませていただいていたのですが、東京ボーイズも同様な位置づけだっただけに、、私の中ではローカル岡の訃報と同じくらい悲しいです。。。
寄席は一昨日あたり浅草に行こうと思っていたのですが、風邪で寝込んで断念。来週から長期出張の為、3月までお預けになりそうです。(ーー;)
by うつぼ (2008-02-12 22:10) 

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