映画「チョコレートドーナツ」を観る [映画(た行)]
本日2本目の記事でございます。
どうしても早い内にアップしたかったので観た翌日に記事アップです。
予告編を観て、これは映画館で観たいなと思って有楽町のヒューマントラストシネマで観た作品。
これは邦題
これは原題
あらすじはYahoo!映画さんより。
1979年カリフォルニア、歌手を目指しているショーダンサーのルディ(アラン・カミング)と
弁護士のポール(ギャレット・ディラハント)はゲイカップル。
母親に見捨てられたダウン症の少年マルコ(アイザック・レイヴァ)と出会った二人は彼を保護し、
一緒に暮らすうちに家族のような愛情が芽生えていく。
しかし、ルディとポールがゲイカップルだということで法律と世間の偏見に阻まれ、
マルコと引き離されてしまう。
静かに涙腺決壊。
号泣じゃないんです、泣きのツボに冒頭からハマりながら観ていましたが、
静かに静かに涙が流れていくような、、、、そういう映画でした。
場内も、途中からグシュグシュ、、みたいな音があちこちからしていましたが、
私も最後の方ではグシュッと鼻水を堪えておりました。
実話に基づく映画だそうですが、同性愛者に対する偏見の描写がえげつなくて、
ちょうど同じくらい(1970年代)の同性愛者のハーヴェイ・ミルクを描いたこの作品でも
偏見に満ちた人たちばかりで最後には悲しい結末となってしまうのを観ていたので
ある程度は今作でも事前に知識はあったのですが、それにしてもひどい。
自由の国、と言いながら、実のところ、有色人種や同性愛者への偏見がはびこるような、
今では同性愛者の結婚を認める州が増えたりしているものの、まったくなくなったわけではないし、
有名人が同性愛をカミングアウトしたり、と少しずつは理解を得られてきているのでしょうが
30年以上も前となればそれは偏見や差別も凄かったんでしょうね。
同性愛者と蔑まされてもそれを隠すことなく自分の言いたいことをはっきり言うルディに対して
(こういう人は当時はまだ少なかったのかもしれませんね)
世間体や仕事を失うのでは、と、同性愛者であることを隠し通そうとするポール、
そのポールの上司、ランバートがポールが同性愛者と見抜いた後にとった行動が
もう法に仕えて仕事をする人とは思えないくらい陰湿だったのが観ていてイラついたと同時に
当時そういう人が多かったとはいえ、あまりにえげつなくて悲しくなりました。
母が逮捕され施設に行くしか選択肢のないダウン症のマルコ、そのマルコを家に迎えいれ、
愛を注いで家族になろうとするルディとポール、、3人で海に行く光景はそれは素敵です。
そうやって一緒に過ごし、沢山の愛情を注がれたマルコが社会性を身につけて
明るい子に成長していき、このまま3人の幸せな時間が続いていく、、と思ったら、
そういはいかないんですよね。
ポールの上司ランバートの策略でマルコの母が仮出所、
ルディとポールの暫定的親権(保護権?)を返せと訴えてきたところから歯車が狂い、
親権となるとやはり実の親が強かったりして。
この作品でも、いくらひどくても実の親が親権をもっているので、
子供に対してあれこれあれこれ、、、なんて感じでしたが、
今作でも実の母親が親権をルディとポールから奪い返しマルコを連れていくんですよね。
ルディとポールはマルコへの接近禁止を言い渡され、
当然のことながらそんな判決に納得できず、マルコと会えるように、また暮らせるように、
と互いの関係(同性愛者)であることを晒して法廷で戦うのですが、
結局マルコは実母の元で暮らすことになります。
麻薬中毒の実母の元に連れていかれるマルコが
「ここは自分の家じゃない」と何回も言い続ける場面がまた切ないのですが、
実母は絵に描いたような展開で麻薬中毒の生活に戻り、
マルコは自分の家(ルディとポールと暮らした家)を探して彷徨いそして悲しい結末に。
汚い部屋で大音響で音楽をかけ麻薬漬けの母と暮らしていたマルコが、
ルディとポールの沢山の愛情に包まれて本当に表情が変わっていく様子、
そして再び実母の元に戻って不安になり、自分の家を探して彷徨う、、、
その様子を演じていたアイザック・レイヴァさんが非常に良く(台詞は少ないのですが)
まるでドキュメンタリーを観ているような気持にもなりました。
ルディを演じるアラン・カミング(ブロードウェイミュージカルではお馴染みの俳優さん)を見たくて
この作品を観たというのもありますが、最後にポールがランバートや判事など、マルコに関連して
接点のあった人達へマルコのその後について手紙を送る場面と、ルディがバーで歌う場面が
交互に投影されるのですが、その時の歌(ボブ・ディラン作)が本当に心にしみます。
(この中の歌詞の一部が原題(Any Day Now)になっているんですね)
同性愛者やダウン症など、マイノリティに対する偏見や差別が少しでもなくなってほしいと思いながら、
血の繋がりが大事な一方、血の繋がりがなくとも沢山の愛情で繋がっていけることもあるのでは、
そんな気持ちになった「チョコレートドーナツ」でありました。
(おまけ)
私が今まで知っていたアラン・カミングと言えばこれ。 退廃的。
(おまけのおまけ)
今回有楽町で鑑賞したのですが、人気のある話題作ということもあったのでしょうか、
はたまたシアターが小さ目(63席)だったいうのもあったのでしょうか、
本編が始まって画面を遮りながら入ってきた人もいないし、
カサカサ音をたてる人もいないし、咳払いする人もいないし、
最近必ずといっていいほど場内に点在するポップコーン食いもいないし、、
(シリアスな作品であの匂いがするのが個人的には苦手)
非常に良い環境で集中して観ることができました。いつもこうならいいのにな。
あ~~、これ、気になってたんです。。
やってる映画館が多くないですよね。
メジャーな人気作品だと、けっこう後から入ってきてとかありますが、
ここは本当に映画好きな方が来るような場所で、
さらにそういう作品だったのではないでしょうか。
甘ったるいポップコーン臭、ワタシも超苦手。。
by lovin (2014-07-05 10:50)
lovin姐さん、こんにちは。
4月から上映されていますが、じわじわと上映館は増えているものの、
一日一回とか、座席少ないとか、色々と難しいかもしれません。
この映画館も含め会員券を作りましたので、今後もまめに通うつもりです。
姐酸にもこの作品、是非みてほしいです。(^_^)
by うつぼ (2014-07-05 17:55)