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宝塚花組「ファントム」を観る [舞台・ミュージカル]

宝塚ファンの友人に誘われ、花組公演「ファントム」を観る。 

 齢ウン十年にして“生”タカラヅカ初体験。

タカラヅカというと、昔々の小学生時代、日曜朝6時に早起きして観ていた
テレビ番組「OH!タカラヅカ」を真っ先に思い出すのですが、

ベルサイユのばら(5冊セット)

ベルサイユのばら(5冊セット)

  • 作者: 池田 理代子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2003/08
  • メディア: 単行本

当時流行っていた池田理代子の漫画「ベルサイユのばら」がタカラヅカで舞台化され
それがテレビでダイジェスト版として放送されていたのを覚えています。

その時は、確かフェルゼンは鳳蘭でオスカルが汀夏子だった記憶。 

その後、番組が打ち切りとなり、以降すっかりタカラヅカからは遠ざかった私、
現在はBSで放送している様々なタカラヅカ公演を年に1回観るか観ないか程度、
たまに通りかかる宝塚劇場前で整列するファンの皆さんの姿を見ては
「何て行儀の良い人達だ」と感心するだけで劇場内に入ろうとは思わなかったのですが、
今回友人から誘われて、「やっぱり一生に一度は生で観たい」と思い、
遂にヅカデビューと相成りました。

日比谷駅でタッキーの「ONE」(於:日生劇場)鑑賞後の女性の群れをかきわけながら
日生劇場隣の東京宝塚劇場に到着、中に入り中央のカーブした大階段を上り、
更にエスカレータを上った建物の3階が劇場1階席。
A席なので1階後方(後ろから2列目)ですが意外に舞台が近くに観えます。
そして観客の9割以上が女性。 普通の観劇では考えられない比率です。
女性だらけの状況に一瞬怯みつつも、宝塚の特別空間をじわじわと実感する中、
定刻通り15:30開演。

今回の「ファントム」は、ガストン・ルルー原作の「オペラ座の怪人」のミュージカル化で
1991年初演、全米各地で公演され好評を博したものの、
既にロイド-ウェバー版の「オペラ座の怪人」がブロードウェイで上演されていた為、
ブロードウェイでは上演されなかった作品とか。

今回観た宝塚版というかアーサー・コピット(脚本)&モーリー・イェストン(音楽)版は、
以前観たブロードウェイ版映画版と話の展開などかなり異っていました。
因みに、アーサー・コピット&モーリー・イェストンの2人は、
ブロードウェイミュージカル「ナイン」(数年前アントニオ・バンデラス主演で再演)で
数々のトニー賞を受賞している実力派です。

あらすじは、19世紀後半のパリが舞台。
広場で歌う娘クリスティーヌを観たオペラ座のパトロン、シャンドン伯爵が
クリスティーヌの美しい声に歌に惹かれ、オペラ座で歌のレッスンを受けるようにと
支配人キャリエール宛の手紙を渡す。
早速支配人に会いに行くクリスティーヌだったが、キャリエールは既に解任され、
ショレとオペラ歌手で妻のカルロッタが新しい支配人となっていた。
シャンドン伯爵の手紙を見たショレはレッスンを受けさせようとしたが、
クリスティーヌの若さと美貌に嫉妬したカルロッタはレッスンを受けさせず
自分の衣装係にしてしまう。
クリスティーヌは、カルロッタによって歌のレッスンが受けられなくなっても
オペラ座にいられるだけで幸せと、懸命に衣装係の仕事をこなしていた。
ある日、オペラ座の地下に住み幽霊と噂されていたファントムことエリックが
クリスティーヌの歌声を聴いて亡き母の姿と重ね合わせ、惹かれるように
彼女に歌の指導を行うようになる。
ファントムの指導のお陰で歌に磨きがかかったクリスティーヌは試験に受かり、
オペラ座のコーラスとして舞台に立てることなる。

カルロッタはそんなクリスティーヌを陥れようと彼女を主役にするべきだと主張し、
クリスティーヌは主役として舞台に立つことになるが、初演の開幕直前、
カルロッタに飲むように進められた盃を飲み干したクリスティーヌは声が出なくなってしまう。

クリスティーヌの声が出なくなったのはカルロッタの陰謀と気づいたファントムは怒り、
クリスティーヌを地下の部屋へ連れて行き自分の思いをクリスティーヌに伝える。
一方、酷い仕打ちをしたカルロッタには復讐しようとする。。。。


人物の設定や関係が色々と異なっているのですが、たとえば、
ファントムの生い立ちやキャリエールとの関係、
ブロードウェイ版で結構重要な役柄のマダム・ジリーの存在が全く描かれていない点、
などなど、同じ原作とはいえ、演出や解釈で変わるものだなあ、と思いました。

宝塚版は、ファントムの生い立ちと亡き母への思いの強さが前面に出ていたかな、
と思ったのですが、ブロードウェイ版で結構エグイはずのファントムの素顔、
ファントムが仮面をとっても全然醜くくなく、「ああ麗しい」と思ってしまうのは
やはり宝塚の成せる業でしょうか。

最後にファントムが息絶えてしまい、幕、出演者の皆さんの挨拶かと思いきや、
舞台が一転、眩しく明るくなり、ミュージカルナンバーに乗せてダンス&歌のレビュー。
歌って踊って、ニューヨークのロケッツばりのラインダンスに「うぉーっつ」と
口を開けて観ておりました。
ラインダンスの後も、衣装を変えて、これでもかとダンスと歌が続き、
最後に「大階段」を巨大な羽をつけて降りてくるトップスター春野寿美礼。

ここで出演者のご挨拶があって幕。 盛りだくさんでお腹一杯でした。

出演者の皆さんですが、男役トップの春野寿美礼さんも勿論よかったのですが、
歌唱力が求められる重要な役柄のカルロッタの出雲綾さん(専科の方のようです)が
ベテランらしい演技と歌で非常に印象的でした。

と、今回初めての宝塚鑑賞でしたが、
上演時間の長さ(第一幕75分、休憩30分、第二幕80分、計3時間5分)に
座っていただけなのにものすごいエネルギーを消費した気分。
あのように公演期間が長く、長丁場の舞台を(私が行った日は二回公演の日)
衣装を何度も何度も変えながら歌って踊って演じるタカラジェンヌの皆さんの体力を
羨み、皆さんのご自愛を切に願ってしまいました。

また、場慣れしている(ように見える)観客の皆さんの整然として規律正しい姿には
ただただ驚くばかり。トイレの長蛇の列に並んでいても殺伐感がないですし。
規律正しいといえば、終演後の出待ちのファンの皆さんがきれいに整列している
光景にも感心しました。
何列もきれいに整列しているのを見たのは中学校以来かもしれません。
また、劇場スタッフの態度は丁寧で、劇場内の飲食物や土産やプログラムはお手頃、
ボッタクリ感が全然ないし専用劇場ならではの居心地良さを感じたのも非常に新鮮な体験でした。

というわけで、宝塚版もブロードウェイ版も各々の良さがあるのだなあ、と思いつつ、
唯一無比の空間、宝塚を十分に堪能した「ファントム」でありました。


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コメント 6

学生の時に友人に誘われて行ったことがあります。とても気恥ずかしかったのを覚えています。もちろん宝塚劇場でした。
by (2006-09-12 12:55) 

うつぼ

cocoa051さん、
学生の頃に本場の宝塚を体験されているんですか。今頃東京で初体験の身としては羨ましい限りです。。とはいえ、男性には少々異空間かもしれませんね。私が観たときは日曜日でしたので、奥方様の連れと思しき男性がちょろちょろといたのですが、やはり女の園でした。。。
by うつぼ (2006-09-12 22:36) 

ikkoy

「オペラ座の怪人」は、一番のお気に入りです。ロイド-ウェバーの方ですが。
私は明日「ライオンキング」を観てきます。吉本の芸人さんの歌が頭に残っていて笑わないか心配です。
by ikkoy (2006-09-13 16:15) 

うつぼ

ikkoyさん、ご無沙汰デス。
私もこの作品は先に(しかも数回)観てしまったせいかロイド-ウェバー版がしっくり来るのですが、宝塚版はここでしか観られないのと解釈が違う点で希少価値が高く感動できる作品です。
ikkoyさんはお休み中、吉本ご覧になったんですね。私も10年くらい前に、なんばグランド花月で観て爆笑し、それまでの関西弁アレルギーが吹き飛びました。明日(というか既に今日ですね)はライオン・キング鑑賞ですか。ブロードウェイ版は観たことがありませんが四季版は5年くらい前に観ました。ジャングル大帝?と錯覚に陥りそうになりましたが、感動作品でしたよ。どうか笑わぬようご留意下さいませ。
by うつぼ (2006-09-14 00:06) 

おちあい

宝塚って、一度みてみたいと思っているのですが、
チケットが取れないんですよね。
ヤフオクのおかげで、大体、良い席が買えるように
なったんですが、宝塚だけは高騰して、手が出せ
ません (^^;;;


.
by おちあい (2006-09-18 17:17) 

うつぼ

おちあいさん、
今回、チケットは宝塚友の会に入っている友人が取ってくれました。
最近は、ぴあでも売っていますが割当枚数が少なくて買えませんし、ヤフオクに出ているチケットは余りに高いので私も手が出ません。私はA席で観たんですが5500円で観られたのは非常にラッキーだったと思っています。
by うつぼ (2006-09-18 21:04) 

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