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映画「ダルフール・ウォー 熱砂の虐殺」を観る [映画(た行)]

2年前、kenさんから声をかけていただいたお陰で
見る機会をいただいた「シング・フォー・ダルフール」をきっかけに
私なりに興味を持ったダルフール戦争ですが、タイトルを見て借りた映画です。

ダルフール・ウォー 熱砂の虐殺 [DVD]

ダルフール・ウォー 熱砂の虐殺 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ケンメディア
  • メディア: DVD



内容はamazonさんより。

アラブ系と非アラブ系の民族が紛争を続けてきたスーダンのダルフール地方。
1956年に独立し、スーダン政府のアラブ化が強まってからは、
二つのグループの内戦がさらに激化する。
アラブ系の攻撃は、非アラブ系の民間人にまでおよび、
ジャンジャウィードと呼ばれる民兵組織が民間人を大量虐殺していく。
そんな中、ダルフールの小さな村に、残虐な戦いの実情を調査するため、
6人のアメリカ人ジャーナリストがやって来る。
取材を終え、帰路につく道中、彼らは武装したジャンジャウィードが村の方へ
向かって行くのを目にし、戦いを食い止めようと村に戻る。
しかし、ジャンジャウィードは彼らの訴えに耳を貸すことはなく、
逃げ惑う村人を片っ端から一方的に銃撃する。
さらには女性をレイプし、子供や赤ん坊までをも無残に殺害していく…





 

ダルフール紛争については、ボブ・ゲルドフLIVE8でアフリカ支援を謳った時に
ちらっと聞いた程度で全く知識もなく、、それが頭のどこかに引っかかっていたのもあって
シング・フォー・ダルフール」の上映会に行ったのですが、
自分が文句たれながらも平和ボケで住んでいる日本と同じ地球のどこかで
争いが起きているということに実感がなかなか湧きませんでした。

まずは関心を持つことから、と、

ダルフールの通訳 ジェノサイドの目撃者

ダルフールの通訳 ジェノサイドの目撃者

  • 作者: ダウド ハリ
  • 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
  • 発売日: 2008/07/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



この本を読んで、同じ人間同士なのにどうしてこんな争いが起きてしまうのか、
やはり理解しきれない自分がいたりしました。

で、今作。 


フィクションなのですが、まるでドキュメンタリーのような作りに驚きました。
脚本がなかったそうで、監督から状況説明をして俳優がそれぞれ演じる、という
方法で撮影されたから、なのかなと思いました。


前半は、アメリカ人ジャーナリスト6人がAUのナイジェリア人警護隊長に案内され
スーダンのある村を訪れ、ジャンジャウィードに家族を殺されたりレイプされたり、と
その様子をインタビューします。
この事実を世界に発信します!という勢いで取材するジャーナリストたちは
インタビューを終えて車に乗り、村を後にします。

と、自分達と入れ替わりにジャンジャウィードの一団が先ほどの村に向かうのを観た6人、
正義感にかられて村に戻ろうとします。

「自分達は国際ジャーナリストだからジャンジャウィードも村を襲ったりしないだろう」

そんな気持ちでAUの警護隊長を説得して2人のジャーナリストが村に戻るのですが、
ジャンジャウィードはジャーナリスト達に村を去らなければ村人達と同じようにするぞ、
と警告し、村を襲撃し、村を去らないジャーナリスト達にも銃を向けます。

ここで、真っ先に村に戻ろうと言い出したジャーナリストは己の正義感を根底から崩され
結局警護隊長もろとも殺されてしまいます。

(監視する立場で武力介入できないAUの)警護隊長が自らの意志でジャンジャウィードに
銃を向けるシーンには思わずググッとしてしまいましたが、
ジャーナリスト達には「あんた達がジャーナリストだ、正義だ、と言い出したから
村や警護隊長まで皆殺しされたじゃないの!」と画面越しに言いたくなりました。
アメリカ人(だからといいたくはないけれど)が自分たちの力を過信したともとれましたし、
彼らの基準がどこでも通じるわけでもないんだよね、なんて思ったり。。。

ジャンジャウィード役(特にリーダー)が本当に憎々しさ満点で、
民族紛争、資源の利権などが絡んだ争いとはいえ、なんでこんなことするんだよ、と
怒りが増幅するばかりでしたが、昨年南スーダンが独立したとはいえ、
この争いが完全に終結した、とも言い切れないのではないかと思います。

前半は海外メディアによる取材のドキュメンタリーのような展開で、
本で読んだりしていたものの、「そんなこともあるんだ」などと更に酷いことを知り
気持ちがどんよりしていたのですが、後半の襲撃シーンには本当に驚きました。
フィクションの映画なんですが、虐殺シーン(レイプシーンも)が凄くて、
途中で見るのをやめようかと何度か思いました。

たとえ民族や宗教が違っていても、ここまでやってはいけないし、
宗教を捻じ曲げて解釈して、敵対すると思ったら虐殺する、
それが人間としてやっていいこととは到底思えないのですが、
こうやって襲撃する人たちは上に洗脳されているのではないかとも思いました。

監督はウーヴェ・ボル、と書いてあったので(残念ながら存じませんで)
wikipediaで調べたのですが、なんだか凄いドイツ人監督なんですね。

(ボルさん)→ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%AB

この方がこういう作品を撮ったことに、以前の作品をご覧になった方々が驚いている記事を
いくつか見つけたのですが、他の作品は未見なので判断しづらいものの、
この作品に関しては立派な監督さんだと思います。


私が住んでいるところから物凄い遠いところの話とはいえ、
やっぱり知るべきと見始めた映画でありながら、あまりの描写に心折れそうになりましたが、
できれば、多くの方に観ていただければと思います。


映画だからなのか、と思ったのですが、村人が一人だけ助かるんですよ。
(さっき皆殺し、って書いちゃったんですが、ジャーナリストのお陰で一人だけ助かる展開)
その子が大きくなったらジャンジャウィードを憎むのは仕方ないとしても
平和なスーダンになるように頑張ってほしいな、なんてフィクションなのに思いました。。


ジャーナリスト役を演じる中に、「ターミネーター2」のエドワード・ファーロングが出ていて
でも、あまりの変貌ぶりに(白くて無精ひげのデブ)まったく気づかず(笑)、
後でクレジットに名前があったのを観て、ああ、あの人が?同じ人なの?えぇ~???
みたいな気分にもなりましたが(あとはターミネーター3のクリスタナ・ローケンとかも出てる)
残酷なシーンがたっぷりなのですが、それを承知の上でも
多くの人に見てほしいと思った「ダルフール・ウォー 熱砂の虐殺」でありました。


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コメント 12

rtfk

ダルフールの悲惨な状態は
報道の隅っこにある程度の情報しか
知りません。。。
民族や宗教の違いで同じ人間を殺すことが出来るという
心理がわからないので観てみたいと思います。。。

by rtfk (2012-03-13 14:10) 

mayu

うつぼさん、こんにちは^^

この辺の国だけに限らず民族、宗教の違いで戦争や殺戮…
日本人には考えられないですよね。
興味があったわけではないですが気になるし、いつの時代でもこんな戦争なくなればいいな、と思いますもんね。
でもドキュメンタリーみたいです!
うん、1度これは観てみたいな!
平和ボケしちゃいけないですね!!!


by mayu (2012-03-13 14:19) 

うつぼ

rtfkさん、こんばんは。
新聞などでもあまり扱いが大きくないのが残念ですが、こういう事実を
日本でも知るべきかと思って記事にしました。
民族、宗教が違うからと敵対する感覚、私も理解しがたいのですが、
こういう争いが少しでも減ってくれるといいなと思います。
by うつぼ (2012-03-14 23:15) 

うつぼ

mayuさん、こんばんは。
ドキュメンタリーみたい? ドキュメンタリー見たい?(どっちかな)
これ、ドキュメンタリーではなくフィクションの映画です。
映像がかなり激しい描写ですので、↑で紹介している本などを読まれるのも
いいかもしれません。。でも、映画も見てほしいです。
by うつぼ (2012-03-14 23:17) 

bluebird

観ると辛くなっちゃいそうですね・・・
内戦の末路はどこも一緒ですね。
虐殺、民族浄化(という名のレイプ)
by bluebird (2012-03-15 11:58) 

うつぼ

bluebird姐さん、こんばんは。
確かに見た後の気分はどんよりです。。。
アメリカ人はやっぱり傲慢だな、と思う一方、こういう現実が同じ地球で
起きていることが悲しいというか残念というか。。。
日本は平和ボケし過ぎてるんでしょうねぇ。
by うつぼ (2012-03-15 20:57) 

ken

「シング・フォー・ダルフール」覚えていて下さってありがとうございます。
いま日本は他所の国のことに構っていられない状況になりましたよね。
自分たちの国のことと、他の国のこと。
抱えている問題に優劣などつけられませんが、僕はこれら両方に気を配ることなんて
出来るんだろうかと、うつぼさんの記事を読みながら思いました。
久しぶりに難しい課題にぶち当たった気がします。


by ken (2012-03-16 19:03) 

うつぼ

kenさん、こんばんは。
あれほどいい映画をご紹介してもらったんですもん、覚えてますよ!
あの映画は一切残虐なシーンもないのに観客の気持ちをぐいぐいと
引っ張る映画でしたので、それから自分なりに意識してニュースや本を
ずっと読んだりしていました。
確かに今は日本も大変なのですが、日本のことだけ考えないように、と
思うようにしています。でも、自分がどこまでできるのか、、大きなことは
できませんが、少しずつ日本やほかの国のことの為に何かできれば、と
思います。。
by うつぼ (2012-03-16 20:53) 

lovin

日本の歴史もちゃんと知らないし、
世界のことも知らないんだよねえ、、って姐さんの記事を見て反省します。
(でも反省だけで。。すみません。)
でも戦争って、どう考えても人殺しだし、
何をもってしても、何の目的でも、それだけはダメなはずなんだけど。
そういうことを訴えようと映画や、音楽や、ってあるのにね。
なんで繰り返すのかなあ。。
by lovin (2012-03-17 11:25) 

うつぼ

lovin姐さん、こんにちは。
私も知らないことがいっぱい有り過ぎて、、ですが、少しでも知ることで
何かできることがあるかもしれない、と思っています。
日本も政府のぐだぐだ加減がひどいので他国の心配をしている場合で
ないのかもしれませんが、虐殺などの非人道的なことがないのは平和だと
思います。。
by うつぼ (2012-03-18 11:45) 

へろーめ

日本は、ほぼ単一民族ですから実感が少ないだけで
民族対立や宗教対立は世界中にあります。
長い抑圧や隷従の歴史を持つ場合もあり
正義という言葉だけでは片付けられなかったり

by へろーめ (2012-03-22 19:11) 

うつぼ

へろーめ兄さん、こんばんは。
確かに、ほぼ単一ですし、宗教がどうこう、ってこともないので、
日本にいるとボケてしまうのかと思いますが、同じ人間どうしでどうして
こうも憎しみ合ったりしちゃうんだろう、と思いますね。
by うつぼ (2012-03-23 21:20) 

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