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映画「侍タイムスリッパー」を観る [映画(さ行)]

予告編を見てどうしても映画館で観たくなった映画です。
侍.jpg
あらすじは映画.comさんより。

幕末の京都。
会津藩士の高坂新左衛門は家老から長州藩士を討つよう密命を受けるが、
標的の男と刃を交えた瞬間、落雷によって気を失ってしまう。
目を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所だった。
新左衛門は行く先々で騒動を起こしながら、江戸幕府が140年前に滅んだことを
知り、がく然とする。
一度は死を覚悟する新左衛門だったが、心優しい人たちに助けられ、
生きる気力を取り戻していく。
やがて彼は磨き上げた剣の腕だけを頼りに撮影所の門を叩き、
斬られ役として生きていくことを決意する。
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最高!(^O^)/

映画愛にあふれた素晴らしい映画でした。

自主制作映画で2600万円という低予算映画と鑑賞後に知って、
え?東映で撮影してかつらに武士の衣装にそれで収まるの???と思ったら、
今作の監督である安田淳一さんの自主制作2作目「ごはん」に出演された、
時代劇で5万回斬られた男、福本清三さんが安田監督の今作の脚本に興味を持ち、
さらに東映京都撮影所でも安田監督の時代劇愛に共感して全面協力してくださった、
というのを知りました。
福本さんはこの作品に出演することなく他界されてしまい、
(東映剣心会にかつて所属されていた峰蘭太郎さんが代わりに好演されていました)
映画や時代劇を愛する人たちによって作られた作品というのは熱量が高いというか
みんなでよいものをつくろうという気持ちが非常に強く感じられた作品でした。

映画を監督された安田淳一さんは京都の城陽市で米農家として米作りしながら
映画もつくるという兼業農家と知り驚きましたが、
今作の中でも会津藩士の高坂が雷に打たれて現代の京都にやってきて、
お寺の親切な老夫婦(住職と坊守にお世話になることになったという場面で、
おなかがぐーぐー鳴ってしまい、坊守に塩むすびをつくってもらって
美味しそうに食べる場面で登場したおむすび、このお米を作ったのも
安田監督の田んぼだったというのを知ってびっくり。
激しい空腹、何が食べたいか、と考えると私も炊き立てのご飯がいいな、と
改めてこの場面で思いました。

今作で印象的だったのはこの塩むすびの場面以外に2つありました。
高坂が現代、しかも太秦の撮影所にタイムスリップして自分がどこにいるのかと
困惑しまくるのですが、撮影所から飛び出て京都の今の街並みを歩いていて
見つけたのが京都の博物館の展示会ポスター。
「倒幕から140年」と書いてあるポスターを観て唖然とする高坂、自分が守ろうと
していた江戸幕府が倒れてしまったことを知った時の高坂の表情がなんともいえず、
いっそ死んでしまおうかと思った後、倒幕した現代で生きていこうと決心する、
本物のお侍さんが時代劇の斬られ役になる、この設定が私にはとても新鮮で、
高坂のその後の行動が気になって最後まで目が離せず見ることができました。

もう1つ印象的な場面だったのは、お寺でお世話になっている高坂が、
住職、坊守と3人で時代劇をテレビで見ながらショートケーキを食べる場面。
甘くてふんわり、幕末に生きた高坂が(というか江戸時代には洋菓子ないけど)
あまりの美味しさに感激して、倒幕後、日本がこんなに豊かによい時代になったと
目頭を熱くする場面でした。

その後の高坂は斬られ役で時代劇で活躍しますが、真面目な性格で俳優仲間にも
信頼されこのまま現代で生きていくのか、、、と思ったら、起承転結の「転」で
まさかの展開に発展していきます。

ここで登場するのがかつて時代劇で活躍した有名俳優の風見恭一郎が
時代劇に復活し、適役として斬られ役の高坂が抜擢されるのですが、
この風見が実は、、、、と知り、そうくるか!自分の想像を超える展開で
この後どうなるの???もうドッキドキ状態で最後まで駆け抜けるように鑑賞。

今作、私が知っている俳優さんが誰もいなかったのですが、
高坂役の山口馬木也さん(大河ドラマにも出演されているとか)、
風見役の冨家ノリマサさんをはじめ、出演者の誰もが素晴らしい殺陣と
時代劇愛を感じる演技で製作費をかければよいというものではないのだな、
監督(脚本、制作など低予算のため11役を掛け持ちされていたそうです)の
熱い映画愛と時代劇愛と共感したスタッフと俳優の皆さんの想いを感じられて
しかもところどころで爆笑(映画館内も時折笑いに包まれていた)して
ホロっとしてすっきりした気持ちで見終われて、これは何度も見たい、と
思った「侍タイムスリッパー」でありました。



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