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映画「すべてうまくいきますように」を観る [映画(さ行)]

ソフィー・マルソー主演の映画、映画館で観ることができました。
すべてうまく.jpg
あらすじはYahoo!映画さんより。

人生を謳歌(おうか)していた85歳のアンドレ(アンドレ・デュソリエ)は
脳卒中で倒れて体が不自由になり、娘のエマニュエル(ソフィー・マルソー)に
人生を終わらせる手助けをしてほしいと頼む。
戸惑う彼女は父の考えが変わることを期待しつつも、合法的な安楽死を支援する
スイスの協会と連絡を取り合う。
一方、リハビリによって順調に回復するアンドレは積極的に日々を楽しみ、
生きる希望を取り戻したかのようだった。
しかし、彼は自ら定めた最期の日を娘たちに告げ、娘たちは葛藤しながらも
父の決断を尊重しようとする。


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ソフィー・マルソーが美しく年を重ねている姿に見惚れてしまいました。
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1、2と映画館で観た世代です。(パンフレットも持ってます(笑))

と、美しい中年女性になった(あちこち疲れる世代を好演しつつも美しい)姿を
羨望の眼差しで観ていたのは本筋の感想ではないのですが、
自分の人生は自分で決める、出来そうで出来ないような、でも自分で決められれば
そこに後悔はないのかな、という気持で観終わりました。

原題は”Everything went fine”、と過去形の文章なので、
原題を先に知っていると先が見えてしまいますね。(^-^;

尊厳死がテーマになっている作品ですが、
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不慮の事故で半身不随になってしまった富豪が尊厳死を選ぶ、という映画と
どこか重なってしまったのですが、今作では脳卒中で思うように動けない自分の人生を
終わらせたいと願う実業家のアンドレの様子が丁寧に描かれていたと思います。
自分の体が思うように動かないことによる自暴自棄、私自身も昨年の骨折で
(いずれこの件については備忘録として記事を書こうと思っています)
思うように動けないことへのイライラがありました。
(当然ですが歩いたりは出来たので、今作ほど辛い状況ではありませんでしたが)

アンドレの人生を終わらせたいという言葉に娘のエマニュエル(ソフィー・マルソー)が
葛藤しながらも願いを叶えてあげよう(翻意する可能性にも期待しながら)と
そのために必要なことはなにか、調べて行動する姿を見ていると、老いた親を持つ自分も
どこか姿を重ねてみていました。

実業家で裕福なアンドレ、長らく別居中の妻(シャーロット・ランプリング!)、
妻の親にゲイと昔罵られたことをずっと恨んでいるのですが、
付き合っていた男性(ジェラール)がまたクズ(DVでアンドレのお金目当てみたいな)で
エマニュエルも遠ざけておきたかったものの父が最期を迎える前にと対面の機会を作る、
自分の気持ちより父の気持ちを慮る姿には自分が母のやりたいことを葛藤しながらでも
叶えてあげられるだろうかという気持ちになりました。

スイスに移動して安楽死の手続きを行う日を決めた後、色々な人に話してしまったが故に
話を聞いた誰か(父の交際相手のジェラールではないかと暗示されますが真相不明)が通報、
実行寸前で警察に呼ばれるエマニュエルと妹パスカル、弁護士に相談するものの
(本人の安楽死の意思表示の動画も撮って公証人に提出していたからなのかもしれませんが)
正直に話すように言われて計画について一通り説明したら帰ってよいと言われ、
その後、アンドレをスイスに向かう車に乗せて見送る、そんなにスムーズにいくわけも
ないと思いながら見ていましたが、エマニュエルの準備に漏れがなかったお陰で警察も
違法だと手出しできなかったのかな、と推測しました。

スイスの尊厳死協会の担当女性(演じていたのはハンナ・シグラ)が、
定年までは司法官として働いていたこと、退職後は友人の活動(尊厳死協会)を手伝って
いることをエマニュエルに説明した後、スイスまで行って計画中止をした人もいる、という
事例を聞くのですが、ここでエマニュエルがこの女性や団体の支援活動について理解できた
ような(信頼を持てるような)表情になったように観えました。

フランソワ・オゾン監督作品でこれまで観たいくつかの作品は、
自分にしっくりくるようなこないような、という感じの作品が多かったのですが、
今作は悲壮感漂うつくりにはなっておらず、どこかクスっとしてしまう場面もあって
内容が内容なのですが、陰鬱な気持ちになることなく観ることができました。

尊厳死を希望してスイスまでいって実行できるのはそれなりに裕福でないと難しそうで、
一般庶民がそう思っても簡単にできる話ではないとは思いますが、
1人の人間としての尊厳をもって死を迎えられるのは幸せなことなのかもしれない、
そう思いながら自分もいつか迎えるときどうしたいのか考えた方がいいのだろうな、
と思った「すべてうまくいきますように」でありました。

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