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映画「チーム・ジンバブエのソムリエたち」を観る [映画(た行)]

タイトルを見て面白そうだと思った作品です。
チームジンバブエ.jpg

あらすじはYahoo!映画さんより。

ジンバブエから南アフリカに逃れた難民の
ジョゼフ氏、ティナシェ氏、パードン氏、マールヴィン氏ら4人のソムリエは、
初めてブラインドワインテイスティングの大会に出場する。
クラウドファンディングの支援を受けたジンバブエチームは、
フランスのブルゴーニュに到着。限られた予算の中で雇ったコーチが暴走する中、
彼らは23か国から集まった一流ソムリエたちに挑む。

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ジンバブエ、名前しか知らない国をちょっとだけ知ることができました。

日本という長い歴史を持つ国で平和に暮らしていることが当たり前、みたいな
心持でいると地球の違うところで起きていること(知らないことばかりです)に
驚くことが多いのですが、今作もそんな驚きに満ちた映画でした。

植民地から独立した祖国ジンバブエ、経済危機とハイパーインフレによる金融危機で
(1か月の給料が1回のバス代より少ないってどういうことなのかと思ってしまった)
祖国を離れざるを得ず、辿り着いた南アフリカ(治安悪い)でも大変な目に遭い乍ら
飲食店での仕事を得てワインについて知識を深めていく4人がテイスティングの
世界大会を目指すという作品。

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観る前はこんな感じの映画なのかと思ったのですが、
彼が背景に抱える事情や置かれている環境を観ると全く違っていて、
難民として南アフリカで辛い思いをしながらもそこで知ったワインの世界、
それこそ育った環境と異なる文化に惹かれて飛び込んでいく姿、
(もちろん彼らの才能を認めて支える人がいるのですが)
私自身、何かのことを突き詰めたい気持ちで学んだことがなく、
その姿勢にはただただ尊敬の念を感じました。

ワインを飲む、ということと、ブラインドテイスティングは全然違うのだなあ、と
今作を観ていて改めて思ったのですが、葡萄の品種からどこで作られて、
それがいつの年代なのかも当てるという、なんでも美味しいと呑んでいるだけの
私からしたら彼らが神のような存在に見えました。

ドキュメンタリー映画なので、なにかしら描きたい構図はあると思いますが、
フランスで開催されるブラインドテスティングの世界大会に4人を参加させるため、
その才能を磨き上げようとする南アチームのコーチに対してジンバブエのコーチを
つとめるフランス人(かつてはテイスティングの第一人者)がよろしくなくて、
映画で撮影されているから目立とうとしているのか、チームメンバーのことを
考えているというより自分が目立ちたい、ワイン業界で自分を売り込みたい、
という態度に見えました。

実際、ブラインドティスティングでも限られた時間で集中しなければならない中、
テイスティングしている4人を煽って焦らせるだけの態度には観ていて不快感を
感じてしまい、この人がいない方がもっと順位が高かったのではないか、
なんて思ってしまいました。

彼らがトレーニングで呑めるワインも産地がある程度限られてしまうので
たとえばイスラエルのワインが出てきても正確に当てることは難しい、
(消去法でいっても国名まで当てるのは難しそうなワインも結構出るみたいです)
そんな中で、ワインで有名な国(イタリアなど)が下位に沈み、スウェーデンや
ベルギーなどが上位になる、という結果も出たりと、テイスティングの能力と
ワインが美味しい国は必ずしも一致しないと思うと、ジンバブエの4人が翌年、
コーチをつけずに出場して順位を上げたというエンドロールで披露される結果に
なんだかホッとして観終わる自分がおりました。

原題が”Blind Ambition”なので邦題にちょっと違和感もあるのですが
(分かりやすいといえば分かりやすいのですが)
ブラインドテイスティングのBlindと、目には見えない?抑えきれない?という
意味のBlindをかけているのかな、と思いました。
彼らの抑えきれないほどの野望があったからこそ、世界大会への費用捻出のために
彼をサポートするクラウドファンディングも成功したのだと思います。

その後の4人はオランダに移住して南アのワインを輸入する仕事をする人もいれば、
クーデターで政権が変わった祖国に里帰りする人もいたり、と様々な様子が
最後に映し出されましたが、厳しい環境でも学ぶ姿は私も見習いたいと思った
「チーム・ジンバブエのソムリエたち」でありました。




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