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ミュージカル「モダン・ミリー」を観る [舞台・ミュージカル]

ブロードウェイミュージカル通のメガヒヨ(メガネヒヨコ)さんから
私が昔ブロードウェイで観た演目が日本人キャストで公演されると聞き
日比谷のシアタークリエまで観に行ってきました。
millie.png

あらすじはミュージカルのサイトより。

1920年代のニューヨーク。
「大切なのはロマンスよりも理性!」をモットーに、モダンガールに憧れて田舎町から
出てきたミリーは、下宿先で知り合ったドロシーや偶然の出会いを繰り返すジミーと
仲良くなったり、玉の輿を狙って就職した会社の社長・グレイドンに猛アプローチを
かけたり、世界的歌手マジ―のパーティに参加したりと新しい生活を楽しむ。
そんな時、ドロシーが行方不明に!
下宿先の女主人ミセス・ミアーズが、下宿にきた身寄りのない女性たちを誘拐していると
知ったミリーたちは、ドロシー救出作戦を決行!果たしてミリーたちの運命は!?
そして、ミリーが見つけた本当に大切なものとは――。
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ブロードウェイ版と日本版は違うのだなあ、としみじみ思いました。
ブロードウェイ版と同じような雰囲気と規模感を味わいたいのであれば、
来日公演(USツアーなど)を期待した方がよいのだろうな、と
比較してはいけないと分かっていながら、あれこれと比較しながら観ている
自分がおりました。

もちろん、ブロードウェイ版と違って日本版もいいな、と思った点も多々あり、
自分の中でブロードウェイ版>日本版、みたいな先入観があるとはいえ、
それを和らげるような箇所もあったのは新鮮で新たな発見となりました。

最初に、思わずブロードウェイ版と比較してしまった点ですが、

●ダンサーの数がブロードウェイ版の半分くらい。
 (ステージが小さいのが理由なのだと思います)

●ツアーで運ぶからなのか、セットが少々簡素というか地味に見えた。
 (ブロードウェイ版はキラキラと煌めくようなセットもあったので)
 エレベータも上に上がらないままだったのがちょっと残念。

●ミリーの衣装替え回数が少なかった、のと、
 ダンサーの方々の衣装も少々簡素というか地味に見えた。(予算の関係?)

●バンド編成(人数)が少なくもうちょっと人数が多くして
 厚みのある音が聴けたらもっと盛り上がれたような気がした。
 (舞台上にあげる演出だったからなのか予算の関係なのか不明ですが)

●ダンスの振付が違う感じで(契約上そうなるんでしょうか)
 タップ少なめ、全体的に激しい感じがなく穏やかなダンス多め、という印象。 
 ブロードウェイ並みのタップダンスを求めてはいないものの華やかさが
 引き算されたように思えてしまいました。

●宝塚の男役トップの方がブロードウェイ版のSutton Foster並みの高音を出すのは
 大変なんだろうな、と思いながら鑑賞してしまった。
 (もちろん、中低音は伸びがあって素晴らしかった)

●ミリーの苗字がDillmount(ディルマウント)が、
 日本人には発音しづらいからなのか、ディルントと和訳されていて、
 これは初っ端から最後までずっと気になりました。

●ミリーがカンザスからNYに来たばかりの場面で、
 ミリーに田舎娘感がなく、いきなり華やかに見えてしまった。
 (宝塚トップスターが演じるとそうなるのかな、と思った)

●フラナリー(ミリーの職場にいるお局さん)の存在が結構好きなのですが、
 一番の見せ所のタップが日本版は( 一一)、、、、な感じだった。
 演じていた俳優さん、いくつもの役柄を演じていて大変だと思うのですが、
 個人的に期待していたので残念。(おそらく期待し過ぎていたんだと思う)

●英語の歌詞を和訳してメロディにのせてスムーズに、というのが難しいのは
 分かっているものの、かなり意訳が多い印象。
 序盤の”Not for the life of me”も和訳しづらいと思ったのですが、
 元の歌詞に入っていない「ニューヨーク」を多用したり、
 「やるっきゃない」という歌詞がしっくりこなかったり、
  (おたかさんを思い出す世代です)
 ”What I need with love"と”Gimme Gimme"はかなり意訳だったような。
 冒頭の”Thoroughly Moder Mille”の”This is 1922”は和訳せざるを得ないので
 「せんきゅーひゃーくーにじゅーにねーん」とリズムにのせていたのが、
 演者さんには少々歌いづらいそうに見えて、英語と違って言葉の音節を
 はっきり発音する日本語に英語から訳すことの大変さを垣間見たような。

気づいたらいっぱい書いてしまいました。。。( 一一) 

でも、日本版のいいところもありました。

〇マジ―役の保坂知寿さんがとてもよかった。
 ブロードウェイ版はアフリカ系の方でかなりパワフルなイメージが強いのですが
 保坂さんが演じていた日本版は、優雅で、でも強さもあって、
 観ていて思わず目の中に[ハート]状態で楽しめました。

〇ミセスミアーズ役の一路真輝さんも、ブロードウェイ版よりコミカルで
 おどろおどろしさはマイルドでしたが日本版ではこのくらいコミカルの方が
 楽しめると思いました。
 終盤、若い子に扮装した保坂さんとのやりとりはブロードウェイ版にはない
 面白さで、宝塚男役トップスターの競演、なんて贅沢という気持で観られました。

〇チンホーがスタイル良すぎ、おまけに顔ちっちゃすぎで驚いたのですが
 中肉中背で目が一重、みたいな典型的なアジア人にしなかったが良かったような
 でもどこか物足りなかったような、でも、ま、いっかという気持で観られました。
 (Dorothyのことを呼ぶときにブロードウェイ版は「ドーローティー」ですが、
  日本版は「ドロチー」、この方が分かりやすいのかなと思いました) 

〇ドロシー役の実咲凛音さんが個人的には今回一番惹かれたキャスティングで、
 ブロードウェイ版よりハマりました。
 今後も実咲さんの舞台があれば観てみたいです。
 
〇トレヴァー、ジミーは若干華奢なイメージもありつつ好演されていた印象。

こんな感じです。

客層は思っていたより男性もいましたが8割くらいが女性、
おそらく宝塚ファンの方も多いと思われますが、保坂さんが登場した途端、
オペラグラスでガン見している女性が前列に2人いて、他の宝塚OBでも同様の
光景が自分の前の方でぽつぽつ見られたのが興味深い光景でした。

10年前に転職してからは、NYには一度しか行けていないのですが、
(毎年NY詣でしていた気持がすっかり途切れてしまいました( 一一))
そうなるとツアーの来日版や日本人キャストの舞台を見て楽しまないと、
という気持にはなっているのですが、和訳の歌詞や演出上での違いなど、
意外と気になるものだなと思ってしまいました。
(気にしない方がもっと楽しめると思ってはいるのですが)

とはいえ、今回の鑑賞でもっとミュージカルを観たいな、という気持になりましたし、
今作のリバイバルがブロードウェイで公演されることがあればNYに行きたいなと
思った「モダン・ミリー」でありました。


(ブロードウェイ版はこんな感じ)


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