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映画「リコリス・ピザ」を観る [映画(や・ら・わ行)]

YouTubeの広告でよく予告編を見た作品です。(最近このパターンが多い)リコリス.jpg
あらすじはYahoo!映画さんより。

1973年、ハリウッド近郊のサンフェルナンド・バレー。
子役として活動する高校生のゲイリー・バレンタイン(クーパー・ホフマン)は、
ある日学校にやって来た写真技師アシスタントのアラナ・ケイン(アラナ・ハイム)に
一目ぼれする。
「運命の出会いだ」と告白してくるゲイリーを、年上のアラナは相手にせず受け流す。
その後、食事をするなど共に過ごすうちに二人は距離を縮めるが、ふとしたことで
すれ違ったり、歩み寄ったりを繰り返していく。


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爽やかに楽しくてどこか懐かしい作品。

余り事前知識ないままに観たのですが、
ブギーナイツ [DVD]

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  • 出版社/メーカー: パイオニアLDC
  • 発売日: 2002/03/22
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この作品も監督した、ポール・トーマス・アンダーソン監督作品なんですね。
(ファンの方が頭文字をとってPTA監督と呼んでいるのが面白い)
今作で印象的だった(PTA監督作品の常連だった)フィリップ・シーモア・ホフマン、
早逝されてしまったのが残念ですが、彼の息子のクーパー・ホフマンが今作の主役、
というのは、PTA監督が自分の作品で演じてほしいと思っていたのでしょうね。
初の大作出演とは思えない堂々とした演技、今後も違う作品で観てみたいです。

って、上の作品で先輩ポルノ男優を演じていたジョン・C・ライリーも今作に出演して
いたらしいのですが(実在の俳優の役)ショーン・ペンのインパクトの強さのあまり
気づくことができませんでした。(^-^;

また、アラナを演じていたアラナ・ハイム、今まで知らなかったのですが、
サムシング・トゥ・テル・ユー

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  • アーティスト: ハイム
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2017/07/07
  • メディア: CD
有名な姉妹バンドのメンバーなんですね。
可愛いという感じではないのですが(ごめんなさい)動き方や喋り方、
本当にこういう人物がいるのではないかと思うくらいの演技で、バンドも含めて
彼女たちの今後も追いかけてみたくなりました。

物語は15歳の男子が25歳の女性と出会い、年齢の差を超えて意識しあう、
2人がうまくいくのかどうか、連続性があるようなないような、様々なエピソードを
挟みながら2人を軸に進んでいくのですが、よくある年齢の差がある恋愛とは
違っていて、年上のアラナがゲイリーをリードするのかと思いきや、
子役出身でPR会社を経営するゲイリーが大人びていて逆に将来定まらないアラナを
リードする、かと思いきや、ゲイリー(未成年)が仕事に行くときアラナが付き添いを
したり、移動するときの運転するのもアラナ、互いの優位性がころころ変わっていく、
そんな展開が面白く見られました。
1973年の時代設定、後半で描かれるオイルショック、私も思い出したのですが、
アラナとゲイリーがダイナーで新聞を読んでいる場面で、オイルショックで
ゲイリーが会社を作って販売しているウォーターベッド(懐かしい(笑))が
売れなくなるというアラナの説明を理解できないゲイリー、
(ゲイリー、そのとき新聞でエロ広告欄ばかり見ていた)
ビニールや化学製品が石油から作られていることを教えられても緊急事態で
何がおきるかとっさには想像できないというのはやはりお子様なのかな、と思わせる、
そんな場面でしたが、個人的にはオイルショックになってしまったところからの
展開がツボでした。

実在のプロデューサー、ジョン・ピーターズを演じたブラッドリー・クーパーが
もう本当に楽しそうに演じていて映画館の中も笑いに包まれたのですが、
(それより前に登場したウィリアム・ホールデンを演じたショーン・ペンも
 決して悪くなかったのですが、ホールデンのキャラクターに共感できず)

バーバラ・ストラインド

ゲイリーが何度も、サではなく濁点つきのザと発音するのを必死に修正しようとする
ピーターズ(を演じているブラッドリー・クーパー)がおかしくて、
更に、出かけたはずがガス欠でガソリンスタンドで暴れまくる、
その後、(女たらしのキャラクターなので)みかけた女性たちをナンパする、
(ピーナツバターの件はご本人から承諾をとるときの条件だったらしい笑い)
映画を観終わって何日経ってもあの姿が脳裏に残っています。(笑)

ピーターズをアラナとゲイリーたち(トラックでウォーターベッド搬送)が
ガソリンスタンドまで連れていった後、ゲイリーの意向?でガス欠で停車中の
ピーターズの車のところまで戻り、ゲイリーがスパナで車のフロントガラスを
叩きまくってスッキリしたと思ったら今度はトラックがガス欠してしまい、
このままではガソリンを調達したピーターズが戻ってきてしまう!と、

下り坂でトラック逆走(笑)

アラナがのぼってきた坂道をバックで下り続ける場面(ハンドルさばきが凄い)が
ハラハラする、というよりおかしくておかしくて(周囲もみんな笑っていた)
ピーターズに捕まらずに街中まで戻ってきてほっとする場面で、
ゲイリーと未成年の仲間たちがガソリンの入ったポリタンクであほなことを
やっている光景に、アラナとの年齢の差をこんなところでも描いているんだなと
思いながらそれでも笑っておりました。

アラナとゲイリー2人の関係性を描くときに脇役陣たちが盛り上げているのが
この映画では印象的だったというか効果的だったのですが、
お久しぶりのショーン・ペンやブラッドリー・クーパーだけでなく
(ジョン・C・ライリーには気づけなかったけれど)
アラナの姉2人にお父さんお母さんが実の家族(妙にしっくりしていた)も
観ていて楽しい人たちでした。

日本食レストラン経営者を演じていた男が、最初の妻にカタカナ英語で話しかけて
いるのとか、着物(日本食レストランで浴衣きてる)の着方に違和感とか、
日本人差別というレビューも見たのですが、確かに不快とはいえ、
70年代の日本食レストランはこんな感じだったかもしれないし、日本人を妻にして
日本食レストラン経営する男が不快であって、差別を意図して監督が描いている訳では
ないだろうし、当時のカリフォルニアを描く中のひとつだったのだろうと思いました。

映画のタイトルのリコリス、というと、
昔お土産でもらった真っ黒なタイヤゴムみたいな飴(まずい)を思い出しますが、
それをピザサイズまでぐるぐる巻いていくとLP版みたいな形になるので、
リコリス・ピザという名前のレコード屋さんが当時カリフォルニアにあったことから
このタイトルを監督がつけたようで、最初??と思ったものの、LP懐かしいな、
と劇中で流れる懐かしい音楽も併せて、ゲイリーとアラナが走り続ける様子を
どこか幸せな気持ちで観ながら楽しく観られた「リコリス・ピザ」でありました。





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