SSブログ

映画「ONODA 一万夜を越えて」を観る [映画(あ行)]

戦後、日本に帰還した人といえば、「恥ずかしながら」というフレーズが
印象的だった横井庄一さんのイメージの方が強いのですが、
横井さんの後に日本に帰還した小野田さん、顔は覚えているけれど
どうやって過ごしていたのか、実はよく知らず、
今回映画があると知り映画館まで観に行きました。
ONODA.png
あらすじはYahoo!映画さんより。

太平洋戦争末期の1944年。特殊訓練を受けていた小野田寛郎に、ある命令が下る。
それはフィリピン・ルバング島で援軍部隊が到着するまでゲリラ戦を指揮せよ
というものだった。
出発前に上官の谷口(イッセー尾形)から「君たちには、死ぬ権利はない」と
言い渡された小野田は、その言葉を守って終戦後もジャングルで身をひそめていた。
やがてそんな彼の存在を知った旅行者の青年が、ルバング島の山奥に赴く。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

切ないし辛い。(;O;)

3時間くらいの尺(インド映画のように長い)で、冗長になるかと思いきや、
青年時代の小野田さんから中年になった小野田さんへの転換も自然で、

日本に帰ってくるまでの様子をひたすらドキュメンタリーのような気分で
見ていました。

フランス映画ということも過剰な演出がなく、ルバング島での生活が長期化し、
生き延びるために地元民を殺したり家畜や穀物を略奪したり、という場面でも
小野田さんの中では戦争の只中にいるからこその行動なのだろう、と思って
見ていたのです、が。

観終わった後、もうちょっと小野田さんについて知ろうとネット検索し、
wikiを観ながら、マルコス大統領にマラカニアン宮殿に招かれたんだ、とか、
(思わず袖がインパクト大のドレスをきたイメルダの姿も思い浮かべた私)
日本に帰国した後、横井さんのように戦後の日本に適応しづらく、
ブラジルに移住したり、小野田自然塾を開いて子供のための活動も行っていたこと、
全然知らなかったんだなあ、と思ったのですが、

(このサイト)https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67627

このサイトを観たら、小野田さんは戦争が終わったと思っていなかったのではなく、
敗戦後、日本軍が秘密裡に体制を立て直して新たに軍事行動を起こすとき、
ルバング島に再上陸する時に受け入れ体制を整備しておかねばという気持ちで
ゲリラ行動をとっていたという発言に、映画と違っていたんだなあと思いました。

まあ、ドキュメンタリーではないので映画としてのストーリーに変えていくのも
あり得るのだと思いますが、この映画が小野田さんの人生そのものだと思い込むと
それは違う、というわけで上述のサイトを読んでよかったです。(^-^;

小野田さんのサバイバル生活も凄まじいなと思ったのですが、
観ていて怖かったのは、戦争は人の心もおかしくしてしまう、ということでした。
小野田さんが特殊訓練を受けていた時の指導官を演じていたのがイッセー尾形、
この指導官による洗脳、ルバング島に送られ前に指導官が言ったことを心にとめ、
30年以上ルバング島で過ごしていた小野田さんの精神力(と洗脳され加減)が
異常時のこととはいえ、怖いなと思いました。
戦後の指導官の老いた姿、洗脳していた時の姿と同じ人とは思えない、
この役柄をイッセー尾形が演じていたのはキャスティングの妙ですね。

キャスティングといえば、個人的にツボだったのが、
小野田さんの隊にいた赤津役を演じていたのが井之脇海。
俺の家の話 DVD-BOX

俺の家の話 DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2021/08/13
  • メディア: DVD
今年初めにのめり込んでいたこのドラマでプリティ原(プロレスラー)を
演じていた時とは一転、激やせの姿で演じている姿、時折小野田さんから
視線を赤津に移してはガン見している自分がおりました。

鑑賞後に実際とは違うあらすじでの展開だったことを知って少々ショックでしたが、
戦争は人間を狂わせてしまう、平和ぼけの今、命の危険を感じながら緊張感で
ピリピリすることもなく、ぼんやり日々送れることに感謝しなければ、と思った
「ONODA 一万夜を越えて」でありました。














nice!(5)  コメント(2) 
共通テーマ:映画