SSブログ

映画「イン・ザ・ハイツ」を観る [映画(あ行)]

かつてNYにちょくちょく旅していたころ、ブロードウェイで公演されていたのに
結局みないまま、、、だった作品、映画化されたというので観に行きました。
In the heights.jpg
あらすじはYahoo!映画さんより。

ニューヨークの片隅にある街、ワシントン・ハイツ。
祖国を離れてそこに暮らす人々は、ストリートに繰り出しては歌とダンスに興じていた。
うだるような暑さだった真夏のある夜、大停電が発生。
進学、仕事、恋で悩みを抱えながらも夢に向かってまい進していた若者4人の運命が、
停電をきっかけに思わぬ方向へと動き出す。


---------------------------------------------------------------------------------

ミュージカルは楽しい♪

昔からこのブログを読んで下さっている方はご存じかと思いますが、
私うつぼ、新卒で入った会社を辞めるまでの20数年間、毎年NYに通い、
ブロードウェイミュージカルを楽しむという生活を送っておりました。
かなりカツカツな旅行でしたが(自炊&割引チケットで作品鑑賞)
それなりに平凡な毎日にメリハリをつけるという点ではよかったものの
NYのホテル代もミュージカルの鑑賞代も超インフレ状態になってしまい
(自分のお給料はデフレっぽくて上がらないのに)
おまけに自分が転職しているうちに余裕がなくなってしまったりで、
北の蟹工船企業で勤めていたころに辛い現実から逃げたくて(笑)1回(2013年)、
北の蟹工船企業をなんとか辞めてから1回(2014年)、それっきりです。

そして、すっかり遠くなったNYとブロードウェイ。

それがちょっと近くに懐かしく思えた作品でした。
といっても、この舞台版は観ていません。(笑)
TONY賞授賞式でこの作品のパフォーマンスを観た時に、
ラップ、ヒップホップ、ちょっと無理そう、と思ってしまって、
結局舞台を観ることなく今回の映画版を鑑賞したのですが、
字幕がついているので早口の歌詞の意味も分かるという点では
映画版を先に観てよかったかもしれません。

とはいえ、日本人キャストによる舞台版、今年公演があったらしいのですが、
この作品を日本人で観るのはちょっときつそうだなと思います。
(中南米移民を描いている話を日本人が演じていてもパンチに欠ける気がする)

ハーレムよりもっと北に中南米移民のコミュニティが住むエリアがあるというのは
今作で知ったのですが(ハーレムに一度行ったけれどまじ怖かった思い出)
私の中で、移民と聞いて思い浮かぶのは
ゴッドファーザー PART I (デジタル・リストア版) [Blu-ray]

ゴッドファーザー PART I (デジタル・リストア版) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: パラマウント
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: Blu-ray
アイルランド系移民とかよりもイタリア系移民。
初めてNYに行ったときに訪れたリトルイタリーを見て感激したのも遠い昔、
今となってはイタリア移民も新たな移民は恐らく少ない上に、
移民の子孫たちも違うエリアに住むようになったのでしょう、
現在は、隣のチャイナタウンにかなりの部分を侵食されているのを
訪問するたびに観ていましたが、中南米移民というのは
今でもコミュニティとしては非常に大きいんでしょうね。

とはいえ、作品の舞台となるワシントンハイツも地代高騰で
地元密着の美容院もブルックリンに引っ越していくのですが、
コミュニティの中で秀才と期待されていたニーナの父が運営するタクシー会社も
元々はアイルランド系移民が住んでいた場所だったということが後半で明かされて
アイルランド系移民がもっとマンハッタンの中心に近い方に移っていく流れ(多分)の
中で中南米系移民が移り住んでコミュニティを作っていき、土地の高騰とともに
今後は富裕層のエリアになっていくのだろう、と映画では描かれていました。
(他にも白人系による差別も実際あるのでしょうね、作品の中でも描かれていました)
実際はこのコロナ禍でリモートワークで済むようになった人がマンハッタンの
狭い家から郊外や隣のニュージャージー州に引っ越すケースも増えてきて、
NY(マンハッタンの)不動産価格高騰も一段落しているのではないか、
となれば中南米系移民もワシントンハイツから追い出されることなく済むのでは、
(実際はここからコミュニティ以外に飛び出そうとする若者も描かれています)
そんな気持ちで見終わりました。

主人公のウスナビは幼少期を過ごしたドミニカでの日々を最高の日々だったと
思っているのんでいずれ故郷に帰りたいという気持ちを持っていますが、
ウスナビの従弟は移民の子としてNYで生まれながら不法移民だったり、
コミュニティの中でも様残な境遇の人達が混じって暮らしているというのを見ると、
人種のるつぼ、と言われながらも富を求めてNYにやってくることがよいのかどうか、
後半のアブエラ(演じていたオルガ・メレディスは舞台版のオリジナルキャスト)の
小さいころやってきたNYで親に言われ続けた「忍耐と信仰」という言葉を胸に
一生懸命働いてきたことを思い返して歌う場面には、思わずだだ泣きしてしまいました。
日本よりもアメリカは富める者とそうでない者、格差がある国だと思います。
働けど働けど我が暮らし楽にならず、いわゆる社会の底辺に落ちてしまうと上に上がれない、
そんな構図の国で暮らすということはとても大変だと思います。

今の時代だと、オーディション番組やSNSで注目されて一躍有名人、
スポーツで活躍して注目される、なんてこともあるでしょうが、一握りであって、
それ以外の人たちは日々の厳しい暮らしの中でも少しでも明るく過ごそうとする、
そんな姿を今作で描いているように思えました。

主人公のウスナビを演じていたアンソニー・ラモス、ハンサムという感じではないのが
逆に親近感が湧く感じでしたが、この舞台版で(ブロードウェイ以外)ウスナビや
ソニー役を演じていた人なんですね。
Obc: Hamilton

Obc: Hamilton

  • アーティスト: Original Broadway Cast
  • 出版社/メーカー: Atlantic
  • 発売日: 2016/07/19
  • メディア: CD
ブロードウェイ舞台版でウスナビを演じていたオリジナルキャストの
リン・マニュエル・ミランダが今作の次にブローウェイで上演されたこの作品で
TONY賞をたくさん受賞した際、このオリジナルキャストでアンソニー・ラモスが
出演していたというのを今回記事を書く時に知りました。
このHamilton,TONY賞でのパフォーマンスを見て興味がありましたが、
ブロードウェイの初演が2015年、私がもうNYに行かなくなっていたころで
その後、2016年に訪れたシカゴで看板をみかけましたが訪問時よりもうちょっと
先の日程での公演だったので結局観る機会がないまま現在に至っております。

というわけで、リン・マニュエル・ミランダといえば、
モアナと伝説の海 MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

モアナと伝説の海 MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日: 2017/07/05
  • メディア: Blu-ray
このディズニー映画で楽しく心に残る楽曲提供をしていたのと、

メリー・ポピンズ リターンズ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

メリー・ポピンズ リターンズ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日: 2019/06/05
  • メディア: Blu-ray
煙突掃除のお兄さん(オリジナルではディック・バン・ダイクが演じていた)の役、
というイメージの俳優さんでありクリエイターさんというイメージですが、
今回の映画ではさすがに青年という感じでもないのでウスナビを演じることなく
時折登場するかき氷(ピラグア)売りのおじさんを演じていました。
その時、チェーン店のアイスクリーム売りのワゴンの店主がクリストファー・ジャクソン、
イン・ザ・ハイツではソニー、ハミルトンではジョージ・ワシントンを演じているなど、
リン・マニュエル・ミランダとこれまでも共演してきた人なので、かき氷VSアイスクリーム、
この戦いが冒頭から最後までちょこちょこ出てきてメインのあらすじを面白く盛り上げてる
よいアクセントになっていました。

他にも、美容室のオーナー、ダニエラを演じていたダフネ・ルービン=ベガ、
脇役ながら若い登場人物たちを盛り立てるパワフルなキャラクターを好演していたのですが
Rent (1996 Original Broadway Cast)

Rent (1996 Original Broadway Cast)

  • 出版社/メーカー: Dreamworks
  • 発売日: 1996/08/27
  • メディア: CD
RENTのオリジナルキャストとしてMIMIを演じていた人でした。
歳を重ねてこういうインパクトのある演技と歌を見せてくれるのも嬉しいですね。

というわけで、ブロードウェイミュージカルの好きな人には
ある意味ドリームチーム的なキャスティングのように思えたのですが、
故郷を離れても故郷を忘れず日々明るく生きていこうと思う移民たちの姿を
活き活きと描いていてミュージカルってやっぱり楽しいと確認できた
(ミュージカル好きでない人には多分むりだと思いますが(^-^;)
「イン・ザ・ハイツ」でありました。













nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:映画