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寿輔の「地獄めぐり」 [落語・お笑い]

本日の記事は落語(しかも寄席)記事。引きが悪い割にやたら長いです。(笑)

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2月上席後半の昼の部に浅草演芸ホールを訪れたときの話です。
前回浅草演芸ホールを訪れたのがちょうど1年前、
神田松之丞さんが伯山を襲名する披露興行を夜の部に開催していた同じ期間の昼の部、
寿輔師匠が5日間「文七元結」をネタ出ししていたので観に行って以来。
普段は昼夜入れ替え無しの寄席ですが、この時は入れ替え制で、
夜の部はお昼前に整理券配布終了となる大繁盛ぶり、この頃既に感染者が
増えていたころですが、寄席も立見席を入れて興行していたんですよね。
(末廣亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場まで披露興行は続きましたが、
 さすがにその次の国立演芸場はキャンセルになりました)
一方の昼の部は夜の部と合わせてみる人も少ないというか、で結構空いていて、
のんびりみられたものの、師匠が主任で文七元結をやるとネタ出ししているのに
こんなに空いているなんて勿体ないなあ、と思ったことは覚えています。

で、今回どうして寄席に行ったかというと、
寿輔ロスっていうのでしょうか、いつもなら年に一度の独演会もありますし、
(最近は独演会でもぎりの大役も仰せつかっていましたので)
他でも寿輔師匠に会う機会がぽつぽつあったのですが、昨年はさっぱり。
師匠が所属する落語芸術協会のホームページを観たら、浅草演芸ホールの2月上席後半で
師匠が見られるの知り、拝めるときに拝んでおこう、と、足を運んでいた己がおりました。
IMG_2803.JPG中華ぼたんさん 
東武線浅草駅の小さい方の改札を出てちょっと歩いたところにありますが、
帰りはここでギョビーしようと思いながら寄席に向かいました。
IMG_2805.JPG到着
途中の伝法院通りにあるメンチ屋(別に浅草名物でもないのに行列)とか
ホッピー通りは結構人気がありましたが、寄席の前はガラガラ。(笑)
12時ちょっと前、昼の部が始まったころに行きましたが、
1割くらいの入りでした。(木戸銭を払った後、検温と手指消毒あり)
最大5割までという入場規制をされていたので、密になるとは思いませんでしたが
久しぶりのガラガラな状況を見て、四半世紀前の夜の部の浅草の寄席の雰囲気を
思い出しました。(当時はガラガラで酔客が夜は多かった)

今は、はとバスなどの団体予約もないでしょうし、寄席自体は木戸銭が収入源なので
これだけ少ない入りというのは運営も大変ですし、出演される演者の方々も大変だろうな、
というのは容易に想像できます。(芸術芸能関連への公的補助はない?少ないですもんね)

寿輔師匠の大ファンのお姉さん(Mさん)がいらっしゃるかな、と
花番のおじさんに聞いたら、はい、いらっしゃいますよ、と言われたので
前の方に行って座ると、Mさんがこちらを見たのでご挨拶させていただきました。

ちなみに、最前列は飛沫が飛ぶからという理由なのか座れません。
(2列目以降も一席ごとにテープが貼ってあって座れないようになっています)
Mさん、師匠が出演されるときはほぼ毎日寄席に通われるほどの大ファンですが、
ご家族の方にこういう時期に寄席に行くのは、と言われて暫く寄席通いを控えて
いらっしゃったらしく、私が行った日、Mさんも寄席は一年振りとのこと。
滅多に寄席にいかない私と同じくらい寄席とのブランクがあったことに驚いたのですが、
久しぶりの寄席でのライブにとても楽しそうでした。(^-^)

で、私が入ったころは開口一番で前座の立川幸太で「まんじゅうこわい」。
(立川談幸さんのお弟子さん)
談志一門の噺家さんの一部が現在、落語芸術協会に所属されるようになって、
立川と名の付く噺家さんも寄席に上がるようになったとは、隔世の感ありですね。
このネタ、寄席であまり聞いたことがないのですが、丁寧な語り口、開口一番の割に
長いかな、と思ったのですが、素直に笑えました。

続いて、番組表に名前が載る最初の噺家さんが、
柳亭 信楽二つ目の柳亭信楽さん
(お写真は落語芸術協会のホームページよりお借りしました)
楽輔さんのお弟子さんですが、最近楽輔さんの落語も聞いていないなあ、と
ちょっと聞きたくなりました。
(それなら寄席にもっと行けって我ながら思いますが(笑))
最近、オンライン配信の落語会が増えたものの、目の前にお客さんがいないので、
反応がなくて手ごたえを感じられないけれど、今日は寄席でお客さんの前、
重くて厳しい、そんな気持ちです。と言いながらかけたネタは「反対俥」。
昨年末、権太楼師匠のお弟子さんのさん光さんで聞いたネタです。

(車引きの爆走ぶりがすごい)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%8D%E5%AF%BE%E4%BF%A5

久しぶりの浅草のガラガラ状態の寄席、って感じがしたのは、
この時点でいびきかいて寝てるおっさんが前方にいたこと。(笑)
やはり、キャリアの差というのか、さん光さんの方がツボにはまったのですが、
車の爆走シーンが激しいせいか、かなりぜーぜーしながら話していました。
途中で終わってしまい、拍手しようか迷っていたら、なんだかそのまま袖へ。。。
時間の関係もあるんだけれど、もうちょっと続けてくれたらよかったかなあ。
(落語、途中で終わることはいくらでもあるので慣れないといけないんですが)

続いて、
やなぎ 南玉やなぎ南玉さん
(お写真は落語芸術協会ホームページよりお借りしました)
寄席の楽しいところは、落語の合間に漫才や神楽、曲芸、奇術などの
色物さんが入ってくるところなのですが、曲ごま、結構好きだったりします。
南玉さんは結構おじいちゃんの部類に入ると思いますが、
語り口調がソフトで難しい曲ごまをソフトな雰囲気の中で繰り広げてくれるので
あまりドキドキしないで見られます。
開いた扇子の上や、真剣、左右に張った糸の上で回した独楽を渡らせる様子を見ると、
驚きながらもなんだかほんわかした気分になれます。
昔昔亭 A太郎続いて昔昔亭A太郎さん
(お写真は落語芸術協会ホームページよりお借りしました)
桃太郎さんのお弟子さんというのは名前を観ればわかります。(笑)
この時、私の近くに若い女性が座ってみていたのですが、
終わったらいなくなっていたのでA太郎さんの大ファンなのかな。
昨年真打に昇進された時、お披露目に甥が見に来てくれたものの、
一番楽しかったのはボンボンブラザーズの髭のおじさん、と
A太郎さんでないところに惹かれたことにショックを受けたそうですが、
その後、写真撮影タイムを設けたものの撮っていいのか分からず、
(寄席では撮影、録音禁止なので)躊躇していたら残念そうにしながら、
新作落語で「表と裏」をスタート。
その後、私の近くのファンと思しき女性がカシャカシャ写真を撮ると、
「そのタイミングですか」とA太郎さんが言って場内笑いに包まれるなど、
若手(といっても40くらいにはなっていると思いますが)にしては、
観客を引きつける感じが好感持てました。
噺はプロ野球選手がヒーローインタビューを受けたものの、
家族や実母、様々な反応が異なるのでインタビューでどう答えればよいのか、
選手がで困惑する内容で、独特の間が心地よく、大笑いしながら聞けました。
春風亭 柏枝次は春風亭柏枝さん
(お写真は落語芸術協会ホームページよりお借りしました)
柏枝さんって違う人じゃなかったっけ?と思ったら、
師匠の柏枝さんは2014年に柳橋さんに名前が変わっていました。。
自分の寄席通いが如何に少なくて情報アップデートできていないことを実感。
ネタは「六尺棒」。なんどか聞いたことがある噺なのですが、
(道楽息子が久しぶりに帰ってきたときのお父さんの反応が笑える)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AD%E5%B0%BA%E6%A3%92
柏枝さんオリジナルなのか終わり方が不思議で、拍手しようかどうしようかと
思っていたら、ご本人が終わりです、とおっしゃったので拍手をしたものの、
途中の盛り上がりから一転盛り下がったまま終了した感じで残念でした。
江戸家 まねき猫その次に出てきたのが江戸屋まねき猫さん
(お写真は落語芸術協会ホームページよりお借りしました)
柏枝さんの終わり方への観客の反応が鈍かったのを気にしてくださったのか、
出てきて座るなり、柏枝さんの六尺棒の最後はオリジナルなんですよね、
どうか応援してくださいね、とフォローした後に、ガラガラの寄席を観ながら、
これだけ密でないと都内で一番空気がきれいなところかもしれないと笑いをとり、
鶏の鳴き声とやりかたのコツを観客の皆さんに伝授してくれました。
三笑亭 夢花三笑亭夢花さん
(お写真は落語芸術協会ホームページよりお借りしました)
夢丸さんのお弟子さん。
以前、恋生さんか、二つ目の初夢さん時代に観たことがあるかなあ、という
顔は見たことあるけどという程度の記憶の噺家さんで、ネタは「目黒のサンマ」。
噺は知っているものの寄席で聞いたことはあまりなくて、
途中、激しいアクションを繰り返しては観客に拍手を求めてきたように見えて、
逆に引いてしまいました。ごめんなさい。
神田 紅次に久しぶりの神田紅さん
(お写真は落語芸術協会ホームページよりお借りしました)
講談も日本史苦手な私には内容をし切れない部分が大きいのですが、
あの語り口調は好きだったりします。
紅さんの前に登場した夢花さんの目黒のサンマの感想を話した後、
翌日最終回放送予定の大河ドラマ、麒麟が来る、で、麒麟が来るのかどうか、
本能寺の変があって終わるのか、気になりますよねぇ、といいながら、
かけたネタは「春日局」。
こういう時、日本史が苦手な私は聞いていると語り口調は楽しいものの、
内容をすべて受け入れるほどの能力がないので、入場時あれだけ寒かった寄席が
暖房でかなり温かくなってきたのもあって眠気に襲われ始めました。
春日局は明智光秀の末娘で将軍家の乳母、というところまでは聞いていたものの、
途中から気持ちよくふわふわしてしまいました。ごめんなさい。

ここで、換気の為、仲入り。(13時半ごろ)

通常営業であれば、この時間に仲入りはないのですが
(12時前から始まって、仲入りは15時過ぎ)
場内横に設置されたドアを開けて(開けると外の様子が丸見え(笑))換気。
Mさんとご無沙汰しています、とお話ししながら洗手間に2人で向かうと、
神田紅さんがお帰りのところにばったり。
Mさん、ご無沙汰しています、と紅さんがご挨拶しているのを見て、
師匠の出番で毎日寄席に行く人なんだから他の演者さんにも覚えられているよね、
年間パスポートもない寄席で毎日木戸銭を払ってみているMさんこそ、
師匠の熱狂的なファンというのだろうな、と改めて思いました。

このあたりで場内は3割ちょいくらいの入りになりましたが、
前方はガラガラで、みなさん、後方の席に座っていました。
確かに、飛沫、気になりますもんね。

で、仲入り後は、
 できたくんできたくん
(お写真は落語芸術協会ホームページよりお借りしました)
今回一番気になっていたのがこの人です。
発砲スチロール芸人、という紹介なのですが、
電動のこぎりで発泡スチロールを形作る、紙切り芸の発泡スチロール版、
とはいえ、見るのは初めて。
プロフィール写真でかけているメガネも発泡スチロールですが、
最初に発泡スチロールの板を200度の熱でカットする電動のこぎりで馬に形作って
場内を湧かせた後、作品を欲しいと挙手した観客にソーシャルディタンス棒と称した長い棒に
ついた洗濯ばさみに挟んで渡す、舞台に置いて自分が離れてから取りに来てください、
と指示するなど、時節柄の対応で笑いを取った後、観客の希望で、となったのですが、
指名したお客さんの希望が「薔薇」。
えー?じゃあ、スカイツリーを切ります(笑)、といいながら、
音楽に合わせて右足を動かしながら綺麗な一輪の薔薇をきって場内大盛り上がり。
紙切り芸もすごいな、と思いますが、発泡スチロールをここまでこまかくきれいに
切って仕上げるなんて、やっぱり寄席は楽しいなと思った色物さんでした。
ちなみに、捨てるときは燃やせるゴミで捨ててくださいね、と
作品を受け取った観客に注意して更に笑いを取っていました。
三遊亭 圓馬三遊亭圓馬さん
(お写真は落語芸術協会ホームページよりお借りしました)
見たことがあるような見たことがないようなあまり記憶になかった噺家さん。
噺は「ん廻し」。ん、を言った数だけ味噌田楽をもらえると知った呑兵衛が、
一生懸命、ん、のついた言葉を言おうとする話ですが、ふつうに笑えました。
桂 米福続いて桂米福さん
(お写真は落語芸術協会ホームページよりお借りしました)
米丸さんのお弟子さんということであれば、歌丸さんの弟弟子ってことですね。
ネタは「鷺とり」。
おそらく聞いたのが初めてのネタですが、捕まえた大量の鷺の画策で空高く飛ばされ
浅草寺の五重塔の相輪につかまってしまう、という展開が早い口調でついていけず、
気づけば眠気に襲われていました。。ごめんなさい。
 東京ボーイズお次が大好きな東京ボーイズ
(お写真は落語芸術協会ホームページよりお借りしました)
アコーディオン担当でリーダーだった五郎さんが亡くなってからは、
ウクレレ(手前)の八郎さんと三味線の六郎さんの2人で活動されています。
今回、なぞかけ問答がなくて残念だったのと、六郎さんの顔色が悪かったのと
お二人ともお年をとられたなあと見ながら思ってしまいました。
相変わらず二人の掛け合いは面白かったので長く続けてほしいです。
神田 松鯉神田松鯉さん
(お写真は落語芸術協会ホームページよりお借りしました)
昨年、お弟子さんの松之丞さんが伯山襲名と真打昇進のダブルのお祝いで、
松鯉さんのお姿も伯山ティーヴィ―(YouTube)でよくお見掛けしましたが、
初めて見たころ(四半世紀前)に比べると温和な表情に見えます。
ネタは「雪江の茶入れ」。
赤穂義士伝の「天野屋利兵衛」の前日談とのことですが、
このあたりの知識が怪しすぎる私にはついていくのが大変でしたが、
天野屋利兵衛のついた嘘が、他の人への気遣いによるもので、
後の討ち入りを支援したという話ですが、講談だけでなく、日本の歴史、
もうちょっと真面目に勉強します。(^-^;

ここで本当の仲入り。

木戸銭以外に何かできること、といえば、お酒を買うことくらいなので、
売店でビールを購入。
IMG_2807.JPG 美味しくいただきました。
三遊亭 遊子仲入り後は三遊亭遊子さん 
(お写真は落語芸術協会ホームページよりお借りしました)

この日の主任の遊三のお弟子さんなので二つ目で仲入り後にここに出てきたのかな。
ネタは当日のネタ帳によれば「のめる」。
聴いたのは初めてですが、新作落語ではないようですが、
のめる、というのが口癖の男の話ながら、仲入り前くらいに入ってきた酔客が
斜め後ろくらいにいてビニールをカサカサ音を立ててうるさかったのもあって
集中できず、のめる、という口癖で珍事が起きるネタなのですがあまり笑えず終了。
 東 京太・ゆめ子続いて東京太・ゆめ子さん
(お写真は落語芸術協会ホームページよりお借りしました)
寄席通いを始めたころから見ている方なのでそれなりのお年になって
いるのが近くだとよくわかります。
京太さんのボケた感じと、ゆめ子さんのしっかりした感じの対比が面白い、
がんばってまだ寄席に出演し続けてほしいな、と思う漫才です。
三遊亭 遊吉お次は三遊亭遊吉さん
(お写真は落語芸術協会ホームページよりお借りしました)
遊三さんのお弟子さん、師匠が主任のときはこういう構成なんですよね。
ネタは「人形買い」。初めて聴く噺でした。
初節句のお祝いに人形を買いにいって値切るつもりが逆にふっかけられて
帰りに飲もうと思ったお酒も飲めなくなってしまう、という話で、
面白いはずなのですが、斜め後ろの酔客(おっさん)が変な間合いで笑ったり
拍手したり(売店で買った300mlの日本酒を飲んでた)で集中できず、
遊子さんの時と同じような状態で終了。
古今亭 寿輔そして師匠♪
(お写真は落語芸術協会ホームページよりお借りしました)
写真のピンクの羽織は最近お見掛けしませんが、この日は黄色でした。
いつもの客いじりをしているものの、酔客おっさんがマスクしないで大笑い、
拍手も笑いも変に間がずれているので、師匠が皮肉を込めて、
「笑いがリズムを作る」と言っているのにも関わらず当のおっさんは気づかず。
ネタは「地獄めぐり」。
(三途の川を渡って訪れる地獄の風景に笑えます)https://utsubohan.blog.ss-blog.jp/2008-07-13-1
以前、寄席に歌丸の名前が書いてあって??と思ったら「近日来演」と書いてある、
そこで笑いが起きるのですが、歌丸師匠もお亡くなりになって、誰の名前が出るかな、
と思ったら、笑点に出ている黄色のおじさんの名前でいまいちパンチに欠けている感じ、
酔客おっさんのずれまくりの笑いと拍手(振り返るとノーマスク姿が怖すぎて)で
師匠もペースを乱されたまま終了した感あり。

久しぶりにきてこんなことになるなんて。(V)o¥o(V)

 ボンボンブラザース気を取り直してボンボンブラザーズ
(お写真は落語芸術協会ホームページよりお借りしました)
実際はかなり白髪も増えたお二人ですが、和やかな雰囲気で見るジャグリングで
気分も少々盛り返したところで、主任の遊三さんを見ることなく寄席を出ました。
(主任だからなのか火炎太鼓をやったみたいですね)

久しぶりの寄席。
一席ごとに座れないようにテープが貼られた場内を見ると、
こういう時期に工夫して寄席を開けてくださるのことには感謝の念でいっぱいです。
酔っ払って機嫌良すぎてずれたタイミングで笑って拍手してお酒飲んでマスクしない、
こういうおっさんが出歩くから緊急事態宣言が延長されてるんだろう、と思うと
イライラした私ですが、久しぶりの師匠の高座でお姿を拝ませていただけて感謝。

もうちょっとまめに寄席に行こう(毎回そう思っているのに通わないのは分かってる)、
と思った浅草演芸ホールでありました。





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