SSブログ

映画「サーカス・オブ・ブックス」を観る [映画(さ行)]

以前NETFLIXでLGBT関連の映画を観たら、
その後、おすすめ作品の表示がLGBTでいっぱいになり(笑)
その中から選んでみたのがこの作品です。


Circus.jpg


あらすじはNETFLIXさんより。


数十年にわたりLAの同性愛者たちに愛されたゲイ・ポルノ専門店。
その経営者である心優しきユダヤ人夫婦が歩んだ道のりを、
彼らの娘である女性監督が振り返る。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

かなりハードなゲイポルノ店なのにそのイヤラシサを感じることなく
店主ご夫婦、カレンとバリーの姿をどこか温かい気持ちで見ることができた作品でした。

面白いのは2人が保守的なユダヤ教徒、知り合ったのもユダヤ人の独身パーティ、
ゲイポルノ店経営にたどり着くまでは新聞記者などの堅い仕事もしていたりと
あくまでもポルノ店をビジネスと割り切ってゲイのスタッフを雇って経営し、
(子供たちにも本屋を経営している程度にしか自分たちの仕事を教えず)
ビデオ普及の頃は、ゲイポルノ映画の製作も行っていたのもあくまでもビジネス、
同性愛者に対する偏見もなく、ゲイコミュニティの交流の場を提供していた姿には
(80年代エイズで多くのゲイの方が亡くなっていたことに心を痛めていました)
偏見もなく同性愛者に対する理解と、彼らから信頼されていることを感じました。
(かつて働いていた従業員たち(ゲイ)のインタビューも合間合間に入っていて
 それがまたご夫婦に対していい印象をもてました)

時代が同じなので、カレンが記者時代にインタビューしたことがあるという、
Hustler創業者のラリー・フリントもインタビューで登場し、
(まだ生きていて驚きましたがかなりおじいちゃんになっていてビックリ)
そうか、検閲とか厳しくて、権力と闘っていたラリー・フリントと同じはずなのに
あまりそういう雰囲気にも見えないご夫婦がまた不思議に思えたりもしました。

とはいえ、息子がゲイであることをカミングアウトするとやはり動揺し、
かといって偏見の目で見るのではなく、その事実をきちんと受け入れるために
カレンが自ら信じる宗教を学びなおすという、それによって息子を受け入れ、
更に、同じ境遇のLGBTの人々や団体の活動を支援するまでになるという、
自分もLGBTの人たちを差別するのはいけないといいう気持ちはあるものの、
身内にいたら心から受け入れることができるのかどうか、改めて考えさせられました。

2人が製作したゲイポルノ映画の主演スター、ジェフ・ストライカーもインタビューで登場し、
(さすがに現在はしわしわのおじさんでしたが)
お店の従業員だけでなく、映画に出ていた俳優までもがカレンとバリーに対して

悪い気持ちがなく、いい思い出だったと語っているのを見ると、ご夫婦の人柄を感じます。

インターネットが普及し、ネット販売で物を買える時代、
映画もネット配信で見られるようになり、お店自体が時代遅れになってくると、
カレンとバリーは閉店を決めるわけですが(最終日の様子は見ていて涙)
時代の流れとともにお店はなくなっても2人の人柄、姿、人間としての在り方を見ると
自分と違うからといって色眼鏡で見たり偏見することのないよう、
人間として相手と接することができるようになりたいな、と思った、
おすすめ作品に並んでいたのを選んでみてよかったと思えた
「サーカス・オブ・ブックス」でありました。





nice!(3)  コメント(0)