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映画「ハーフ・オブ・イット 面白いのはこれから」を観る [映画(は行)]

引きこもり中の自宅でNetflix限定の映画を観ました。


ハーフ・オブ・イット 面白いのはこれから


あらすじはNetflixさんより。

アメフト男子から頼まれて、ラブレターを代筆することになった
成績優秀なエリー。
お陰で彼との友情は芽生えたけれど、彼と同じ女の子が好きな心の内はかなり複雑..。




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等身大というか、今のアメリカを描いた映画だと思いました。

一昨日、とその前に、青春映画今と昔、みたいな記事を書きましたが、
なにげなく見たこの映画、華々しさはありませんが、
自分の心の中にも深くしみいるような作品でした。

最近在宅勤務で閉塞感とか孤独感が常に漂っている状態で、
映画といっても深く考えないで見られそうなものばかり選んでいて、
この作品をおススメと表示されても積極的に見る気が起きなかったのに
なぜこの作品を観たのか自分でもよく分かりませんが、
マイノリティと言われるアジア系、LGBTを受け入れない田舎町、
そこで繰り広げられる話です。

主人公(中国系)が通う学校は白人だらけでアフリカ系もいない中、
(カトリックの教会が町の宗教的な基盤みたいなところ)
差別まではいかないでしょうが学校でもレポートの代筆を頼まれて
都合の良い存在として認識されているだけでどこか疎外感があるわけで、
学校に通うときに同級生からチュウチュウポッポーと呼ばれてバカにされる、
苗字がチュウ、父親が電車関連の仕事をしているからポッポーと呼ばれる、
冒頭からそんな場面を観ると、エリーの田舎町での立ち位置が見えるような
気がしました。

恋の経験がないものの、様々な文学からひも解く言葉で、
ラブレターの代筆をアメフト男子のポールから頼まれても対応していたのが、
自分もポールと同じ女子(アスター)が好き、そこから自分の言葉で気持ちを
表現するように成長(というのかな)していく様子が温かく見られました。

ラブレター代筆をエリーに依頼するポールが今作ではコミカルな存在で、
それがエリーの苦悩やアスターとの関係をシリアスに描きながらも、
重くなり過ぎず、エリーが成長していく様子を後押しするする感じでした。

あとは、ヤクルトとかでてきてビックリ。
このあたりもアジア系のエリー、というイメージを出すためのものかと
思いましたが、久しぶりにヤクルトが飲みたくなりました。(笑)

ポールがつくるソーセージタコス(ソーセージも手作り)をきっかけに、
ポールとエリーの父が交流していく様子、ポールのことを前に進めようと
自分のできることをしようとするエリー。

エリー、アスター、ポール、だれもがみんないい人です。

エリーの父は高学歴でありながら英語が得意でないという理由で、
小さなコミュニティの中に溶け込むことができませんが、
妻を亡くしてからふさぎがちだったのが、ポールと交流していくことで
明るい表情を見せるようになるという展開が押しつけがましくなくて、
これもサイドストーリーながら観ていて温かい気持ちになりました。

こういうストーリーがどういう結末になるのか、
こういう感じの映画はあざとく結末を想像できなかったのですが、
エリーもアスターもポールも色々な形で成長していくのだろう、
と思わせるような終わり方でした。

ギリシャ神話の人間は2つの顔と4本の足をもっていたけれど、
神様がそれを引き裂いて、地上に降りた人間は引き裂かれた片割れを探す、
といった話の後に、片割れ探しは無意味とエリーがいうのですが、

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ヘドウィグは片割れを一生懸命探していたので、逆なんだわ、と
いろいろな文学が引用される場面になかなか反応できなかったのですが、
この箇所だけは反応できました。(笑)



監督のアリス・ウー氏というと


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この作品が有名らしいのですが、ご自身がLGBTであることからも、
アジア系アメリカ人ということも含めてアイデンティティを表現する、
そういう点からも、結末が想像できてしまうハリウッド映画とは一線を画した、
そう意味ではこの監督作品はチェックしていきたいと思った、
「ハーフ・オブ・イット 面白いのはこれから」でありました。




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