SSブログ

映画「人生をしまう時間(とき)」を観る [映画(さ行)]

久しぶりに田端のミニシアターChupkiで鑑賞した作品です。
何も考えずに予約したら、当日映画終了後に監督が登場してトークショーが開催されました。



人生をしまう.jpg


あらすじはYahoo!映画さんより。

外科医の小堀鴎一郎氏は、国立病院を定年退職後に埼玉県新座市の堀ノ内病院に赴任し
自宅で最期を迎えようとする在宅患者をチームで診て回っている。
孫娘たちをはじめとする家族に囲まれる女性、老境に差し掛かった息子に世話をして
もらっている男性、認知症を患って1年以上も部屋から出ていない女性など、
高齢化社会の医療の現状が浮き彫りになる。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

他人事ではない話。


80を超えて独居のうつぼ母だけでなく、私自身も、人生をどう終えていくのか、
真剣に考えないといけないなと思いました。
うつぼ母と離れて暮らしているので、やはり心配といえば心配ですが、
だからといって長年住み慣れた家と土地から離れて、私は兄のところに引っ越しさせたり
施設に入ってもらったりするのは本人の生きようとするエネルギーを奪うだけだろうと
そういう思っているものの、母に何か起きてからどうするか考えるのでは遅い、
と分かっていながら、母の考えや意思をきちんと確認していないことを反省しました。


様々なケースが次々とスクリーンに映し出されます。


人それぞれ考え方は違いますし、正解というものはないんだと思いますが、
80歳の訪問医師を通じて見ることで自分はどういう最期を迎えたいのか、
真剣に考えないと。(-_-;)

老いて日常生活が不便な中で、介護サービスを使うのはよいことだと思いますが、
使い方によっては逆に生活が更に不便に思えてしまうこともあるんだな、
そんなことも感じました。

一番印象的だったのは、映画の最後に紹介された全盲の娘が肺がん末期で寝たきりの
父を看取る場面だったのですが、庭の柿の木になっている柿の実について、
医師とお父さんが話をする、柿が収穫できる頃までお父さんが命をつないでいけるのか、
お互い分からないのにその話が往診の度に繰り返され、時折映し出される柿の木と
お父さんの表情を観ていると、母が寝たきりになったらどうしたらいいのかな、
全編通して(私と同年代の末期がん患者は除いて)母と重ね合わせて見ている
自分がおりました。

映画が終わった後、監督の下村幸子さんが登場し、映画館Chupki館長さんとの
トークショーが開催されました。

最初、NHKドキュメンタリーで監督自身のナレーションで放送され、
その後再編集してアナウンサーのナレーションつきで放送、
その映像を更に再編集し、ナレーションはつけず字幕のみで作られたのが本作。

撮影前に、患者さんやご家族の方との信頼関係を築いてから撮影したそうですが、
それでも途中で撮影を拒否されたり、ということもあったそうです。



訪問医師の小堀さん(森鴎外のお孫さんとか)の患者さんや家族と向き合う姿勢、
看護師さんやケアマネージャーの姿も観ていて、母も私もこういう人達のサポートを
受けて最期を迎えられたら、と思いました。

トークショーの終了後、下村監督の著書を買ってサインしていただきましたが、
いのちの終(しま)いかた: 「在宅看取り」一年の記録

いのちの終(しま)いかた: 「在宅看取り」一年の記録

  • 作者: 下村 幸子
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2019/09/10
  • メディア: 単行本
映画に登場した皆さんのその後についても丁寧に書かれていました。

今の日本が抱える老々介護の問題なども取り上げられていますし、
誰もがいつかは旅立つことを考えると、多くの人に見てほしいと思った、
「人生をしまう時間(とき)」でありました。







nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:映画