映画「ぼけますから、よろしくお願いします」を観る [映画(は行)]
東中野のポレポレで見る機会を逸していたら、田端のCHUPKIで上演していたので
観に行きました。
あらすじはYahoo!映画さんより。
大学進学のため上京して以来、
東京で一人暮らしをするテレビディレクターの信友直子は、45歳で乳がんを患う。
母の支えもあり人生最大のピンチを切り抜けた直子は故郷の両親を撮り始めるが、
やがて母の異変に気付く。
母は2014年に認知症と診断され、90歳を超えた父が母の介護をしながら家事を行う。
父は、仕事を辞め実家に戻るべきか悩む直子に、自分の仕事をしなさいと伝える。
観に行きました。
あらすじはYahoo!映画さんより。
大学進学のため上京して以来、
東京で一人暮らしをするテレビディレクターの信友直子は、45歳で乳がんを患う。
母の支えもあり人生最大のピンチを切り抜けた直子は故郷の両親を撮り始めるが、
やがて母の異変に気付く。
母は2014年に認知症と診断され、90歳を超えた父が母の介護をしながら家事を行う。
父は、仕事を辞め実家に戻るべきか悩む直子に、自分の仕事をしなさいと伝える。
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他人事ではない話。
今の日本が抱える高齢化の問題をドキュメンタリーとして映した作品です。
映画のタイトルは、惚けたお母さんが年明けに娘に向かって言った言葉。
笑いながらいう姿が何とも可愛いお母さんです。
元々、監督の信友直子さんが四十代半ばで乳がんに罹り、それを映像として記録する中で、
お母さんの文子さんも登場するのですが、その映像をドキュメンタリー作品にした後も、
家族を映像で記録していく中で、お母さんがアルツハイマー型認知症と診断され、
そこから惚けていく母、95歳で家事炊事を行うようになる耳の遠い父、
娘として映像に残していくことが自分のやるべきことであるととカメラを回し続け、
時に惚けた母に叩かれ、涙を流しながらも撮影を止めない姿に同じ80代の母を持つ私、
他人事ではないと思いながら私もぐずぐず泣きながら見ておりました。
誰しも惚けたいなんて思わない、でも脳の働きが原因でそうなってしまう、
小さい頃、大叔母さんが認知症を患って最後は私のことも分からなくなった、
そのときにいつも遊んでくれたおばあちゃん(大叔母さんなんだけど)が
どうしてそうなっちゃうんだろう、と泣いてしまったことを思い出しました。
5年近く前に脳疾患で亡くなった父も、病気の後、脳の働きがおかしくなって
暴力的になったり、色々なことを忘れてしまったり、介護していた母も
大変だったのですが、父が亡くなり介護の忙しさから解放されたものの
介護100がゼロになってしまって時間があまりにあまって多少は出かけるものの
急に老け込んで80を超えてから足腰が弱って出かけることも少なくなり、
幸いというか惚けてはいないものの、どうなるか分からない、
兄と私でどう面倒を見るか、きちんと話し合っていないんですよね。
今作の直子さん(監督)は一人娘。
仕事を辞めて実家に帰ろうかという娘に父はお前は好きな仕事をすればいい、
とかえってこなくてよい、と言い切るのですが、そうはいっても日々の家事は
90代半ばのおじいちゃんにはきついわけで、断っていた介護保険を使って
お母さんをデイサービスに、週に1度はヘルパーさんにきてもらうことになると、
お母さんは自分が邪魔な存在なのではないかと怒り泣き叫ぶ。
父もデイサービスに通う前、同じような状態だったことを思い出し、
そんなことでまたまた涙。
仕事ができて手先が器用だったお母さんがどんどん惚けていき、
お父さんが家事をやるようになって裁縫やリンゴを剥いたりする姿、
娘の直子さんはお母さんの惚けを通じて、父のことを知るきっかけになる、
このお父さんが後半でお母さんを怒鳴りつける場面があるのですが、
決して感情的ではなく、お母さんのことを思ったが故の言葉であると、
大正生まれで苦労を重ねたお父さんの姿にも涙しました。
カメラで映されている場面以外(編集でカットされたりカメラが回っていない時間)も
凄まじいことがあったのではと思います。
老々介護の現実を娘がドキュメンタリーとして記録する、
うちに限ってそうはならない、とは絶対思えないわけで、
見たくない場面もありますが、私は観てよかったと思います。
母本人とも今後どうして暮らしていきたいのか話してみたい、
そういうきっかけをもらった「ぼけますから、よろしくお願いします」でありました。