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映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」を観る [映画(や・ら・わ行)]

予告編で気になっていた作品。
ヒューマントラストシネマ有楽町で鑑賞しました。

わたしはダニエルブレイク.jpg ケン・ローチ監督作品

あらすじはYahoo!映画さんより。

59歳のダニエル(デイヴ・ジョーンズ)は、
イギリス・ニューカッスルで大工の仕事に就いていたが、
心臓の病でドクターストップがかかる。
失職した彼は国の援助の手続きを進めようとするが、
あまりにもややこしい制度を前に途方に暮れる。
そんな中、ダニエルは二人の子供を持つシングルマザーのケイティと出会う。




かつては税率が高い分、社会保障が充実していたイギリスも今は日本と同じような、
そんな印象を受けました。

(これを読んで更に実感しました/イギリスの失業者事情について)
  → http://www.woman110.com/200807/column31.html

社会的弱者、という言いかたは好きではありませんが、
真面目に働き税金を納めてきた人が困った時に国に支援してもらえない、
面談時間に遅れただけで(不案内な道で迷って遅れても)支援打ち切り、
心疾患で手足が動くというだけで働けなくても支援打ち切り、
求職はインターネットのみで受け付けます、、などなど、
杓子定規な対応が手を差し伸べている人を助けない、日本も同じかな、と。

生活保護を受けられず餓死する人、のニュースを時折聞いて、
ルールはルールというのも公平な扱いとは思いつつ、
個々の事情に歩み寄る気持ちがないのかな、と思います。

今作でも、中には良い人も役所にいますが、大方は上から目線。

ネットで求職しろ、紙は受け付けない、という割に、
相談はコールセンターへ、かけてみたらずっとお待ちくださいのメッセージ、
世の中これだけインターネットでも通信事情が進んでいるのに、
変なところはアナログで、業務効率化を図ろうとしない役所の図っていうのは、
時折市役所にいって色々なことに時間がかかって(職員がスロー)イライラ、
なんてい自分の経験と似ていました。

無駄なことに税金を使うずる賢い役人、一方で財政悪化で社会保障が削られる事実、
矛盾しているんじゃないかと思うのですが、国はそう思わないのか。

役人だって自分自身の生活があるわけで、自分の身が国に守られていると思って
市井の人たちへの思いが足りなくなるのが不思議。
自分がされたらいやだろうってことを平気でするのも、上からの指示とはいえ、
あまりにも配慮に欠けているとイライラしながら見終わりました。

役所の職員以外の市井の人たちの態度はダニエル支援、
という光景にはホッとしましたが。

ダニエルは大工一筋で、机を作ったり木製モビールを作ったり、当然ですが手先が器用、
これまでの職から、ダニエルに合う仕事を探そうという気持ちが職員にあれば、
ダニエルがああいう行動に出て、最後に残念なことにはならなかったかな、と思うと、
フィクション作品なのに、世の中はなぜこうも不平等なんだと怒ってしまい。(V)o¥o(V)

高校生の頃(30年以上前)、イギリスからパンクが流行っていたのですが、
モヒカン姿の若者が仕事もせず、生活保護で暮らしている実情を報じていて、
働かざるもの食うべからず、的な怒りをおぼえたのですが、
サッチャー首相が産業立て直しで国営化企業を民営化する一方で、
社会福祉を拡大しようとして結果的には貧富の差が激しくなり、
失業者も増えて、結果的には社会福祉にも大きく影響した、そんな印象です。

さらに昨今の移民大量流入でEU離脱、と、日本と異なる要因もあったりして、
そういう中で、今作のようなことが起きていることを描きたかったのかな。

ダニエルは、人としての尊厳を失いたくなかったんでしょうし、
そんな中で出会ったケイティと子供たちの状況を見て自分も大変なのに
助けようとする、人としてできることをする、当たり前でもできない人が多い中、
役所がすぐ変わるとは思えないものの、今作で問題提起したかったのかと思います。

個人的には、ダニエルにそんなに不器用で真正面から向かうのではなく、
少し要領よくなれば違ったのでは、、と思ったりしたのですが、
現実でこういう目に遭っている人が少しでも減っていくように、
自分も困っている人がいたらサポートできるように、と思った、
「わたしは、ダニエル・ブレイク」でありました。



 


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