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映画「沈黙」を観る [映画(た行)]

高校生の頃に読んだ作品の映画化、、どうやって実写化するのか、
作品が重いのであまり期待しないで見に行きました。

沈黙.jpg

あらすじはYahoo!映画さんより。

江戸幕府によるキリシタン弾圧が激しさを増していた17世紀。
長崎で宣教師のフェレイラ(リーアム・ニーソン)が捕まって棄教したとの
知らせを受けた彼の弟子ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)と
ガルペ(アダム・ドライヴァー)は、キチジロー(窪塚洋介)の協力で日本に潜入する。
その後彼らは、隠れキリシタンと呼ばれる人々と出会い……。



沈黙 (新潮文庫)

沈黙 (新潮文庫)

  • 作者: 遠藤 周作
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1981/10/19
  • メディア: 文庫

高校生の頃、読んでここまで酷く扱われていても信心を続ける隠れキリシタン、
なぜだろうと思っていたのですが、今回読み直すこともなく鑑賞。
鑑賞後、読みなおそうと思いながら、昔の文庫って字がちいさくて
既に遠視が進んできている私、、電車で読み進まず、、まだ読み終わってません。(^^;




スコセッシ監督ときいて大丈夫か、ちゃんと作っているのか、と思いましたが、

ディパーテッド [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD


この作品でもうあまりにもガッカリし過ぎちゃったし。( 一一)



ただ、今作は長年にわたって温めていたというので
非常に原作を大事に作っていた印象です。最後はちょっと・・・だったけれど。


高校生のときに読んだ拷問シーン、映像化されると少しマイルドな感じもしましたが
(それは視覚的に耐えられるレベルにするという配慮かと)
隠れキリシタンの話とはいえ、宗教論を語るのではなく、人としてどう生きるか、
そんな話なのかと中年になった私、今作でそんな気持ちになりました。


偶像崇拝で伝播されていたため、踏み絵などで隠れキリシタンをあぶりだす、
そんな様子が描かれていますが、そうではないと言っているロドリゴが
亡くなったときにちいさな木彫りのキリストをもっていたのは棄教していなかったのか、
最初に訪れた村の長老からもらったキリストを思い出として持ち続けていたのか、
キリスト教は救いの為にあるのか、それとも人としてよりよい生活を送るためなのか、
正解がないようにも思いながら、色々考えながら見終わりました。

私自身、実家は仏教ながら実質的には無宗教みたいなもの。
苦しいとき何かにすがりたいとはいえ、死んで天国にいったら苦労から解放される、
そんな気持ちで命を落としていく隠れキリシタンの姿を見て複雑な気持ちになりました。

キリシタンでありながら、自分が生きるために踏み絵も踏むキチジロウ、という男が
出てきますが、彼は一番人間らしいのかもしれない、なんて思いました。

今のように反社会的でなければ信仰は自由な時代であれば、
こういうことはないのでしょうが、隠れキリシタンの弾圧だけでなく、
宗教戦争みたいなものは歴史としてあるわけで、
他の信仰を尊ぶような時代は平和な時代なのかもしれないな、なんて思いました。


配役もなんちゃって日本人ではなく、ちゃんと日本人が演じているのが
ホッとしたポイントですが(あまりにも変な日本人役がハリウッド映画に多いし)
塚本晋也の凄まじい演技に冒頭で驚き、浅野忠信の通訳もよかったのが好ポイント。
なぜか、プロレスラーの高山も出てきて驚いたのですが。(笑)

ただ、芸能事務所の力関係なのか、EXILEのメンバーが出ていて
なんだか軽い感じに違和感。。無理に歌手とか出さないでほしいな、なんて。

文字で読むのと映像とはどうしても同じものは作れないと思うのですが
外国人の監督が原作を尊重しながら作ってくれた作品だと思います。

こういう作品に出演することでキャリアがマイナスになる可能性もあるでしょうに、
アンドリュー・ガーフィールド(最近のスパイダーマン)もよく出てくれたと実感。

まだ公開中なので、早く原作を読んでもう一度見なければ、と思った
「沈黙」でありました。



(アメリカの予告編はちょっと雰囲気違うんだよね)

ちなみに、過剰な音楽は全編流れません。
波の音など、自然な音と最低限の音楽というのはハリウッド映画なのに
よくできました、と高得点。
エンドロールで流れる虫の音がいつまでも作品の余韻を感じされてくれます。


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