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映画「ポバティー・インク」を観る [映画(は行)]

ミニシアター系の作品を探していて見つけた作品。
渋谷のアップリンクシアターまで公開直後に行ってみました。

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内容はYahoo!映画さんより。

世界中で格差が広がる中、先進国はこぞって慈善活動に力を注ぎ、
貧困産業はけた外れのビジネスに成長した。
ハイチは農業と貿易に関する協定をアメリカと結んだために独自の米作が消滅し、
自国での供給が不可能になってしまう。
一方、同国出身の起業家たちは、ソーラーパネル製造会社「エネルサ」を立ち上げるが、
ライバルは何とチャリティーで送られてくる無料のソーラーパネルで……。




いろいろ考えさせられました。(-_-)


困った人がいれば助けたい、そういう気持ちは自然ですが、
寄付して満足する自分もいたりします。

5年前の東日本大震災の時、日本赤十字への寄付がいいのか迷って
違うところ(支援先がある程度見えるところ)に支援したのですが、
大変だ、助けないと、、と寄付して満足して終わり、、って
よくあることだと思われます。


今作は、アフリカへの寄付を中心に描かれているのですが、

 





これらの活動についても言及されています。

私自身、若い頃、自分の住む地球で起きていることを知る機会になりましたが、
果たして寄付、援助という点でよかったのか、、となると、今はグレーな気持ちです。
大体、アフリカにクリスマス、って別にキリスト教じゃない人には余計なお世話だし
(私も別にクリスマスだから、とかって気持ちはケーキ食べる以外(笑)特にないし)

セレブの活動の中で影響力の大きいU2のボノも登場しますが、
上記の活動に参加し、援助という形をとり続けていて、
それがちがうのではと思い始めたのが最近。

ODAもそうなのですが、先進国と言われる国々からの援助が果たして良いものか、
今作では原題で言われているような「貧困産業」と言われる援助の実態が
これでもか、と描かれています。

援助される側、援助する側、お互いの言い分はあるにしても、
現状の援助する側は、貧困産業により、自国の経済が盛り上がる、
そういう期待があるからこそ援助しようとするだけで、
実際、援助される側が、自立し、復興する助けには全くならない、
そういう図式がこれでもかと描かれています。

自分も反省しなければいけないのは、
アフリカは干ばつで作物もできない、貧しい気の毒なところと
思い込んでいる先進国の上から目線に対する痛烈な批判。

アフリカもとても広い大陸で、色々な面があるのを理解せず、
貧しく可哀想な国、というイメージを持つ欧米の国々。
そんなところから与えることが援助、と与え続け、
自立の機会を与えるどころか、自国で出来る産業まで援助でつぶす、
援助することすべてが悪いわけではないのですが、
本当に援助したいと思うなら、災害直後の援助はさておき、
その後は、経済を自分たちで立て直すサポートをするのが本当の支援。

そんな気持ちになりました。

映画終了後、米川正子さんというアフリカで活動された方のトークショーも聴いて

(こんな方)→ http://researchmap.jp/7000003540/

貧困産業と称される援助についてアフリカの実情も含めて説明を聞きましたが、
色々な問題が起きる元凶も先進国(欧米と最近は中国)の利権に絡むものばかり、
それが表面上見えづらいものの、実際はそんな中で援助が必要になると
先進国がこぞって物資などを支援する、それが戦争を冗長するような事態も招く、
そんな状況に、以前、唯一知ることができたというかしろうとしたスーダンの
ダルフールについて思い出しました。

(きっかけはkenさんが紹介してくれた自主映画)→  http://utsubohan.blog.so-net.ne.jp/2010-02-14
(それをきっかけに読んだ本)→ http://utsubohan.blog.so-net.ne.jp/2010-03-16

自然と鉱物などの天然資源にあふれたアフリカを食い物にしているのは先進国。
それで、クリスマスがどうとか、ウィーアーザ、、みたいなのは
今この年になってこの作品を観ると、、彼らの自己満足的なものだったのかな、
なんて思いました。


そのあたりは、今作に出てくるボノの姿を見た人が各々感じて判断できると思います。


いつもいろいろなドキュメンタリーでつつかれるアメリカ、
今作でも援助によって国を困窮させる筆頭で描かれていますが、
農業ロビイストみたいな存在もいるとは、食品、たばこ、酒、武器などの
ロビイストだけでなくこんなところにもいるんだなと驚きつつ、
他国の幸せより自国の儲け、みたいな構図を変えられないアメリカ自体の問題と
影響の大きさ(ネガティブにね)を改めて感じました。


今、大きな企業には社会的責任とか、環境に対する責任とか、
そういうものを求められることがありますが、やってますといいながら、
実は災害などで困った国をそういう企業が復興させず逆に抑え込む、
そういうことでは決してその国にとって自立する、国民が援助に頼らず
自立していく意味では逆効果であることはよくわかりました。


援助に対する考えも、震災などの直後は物資支援、その後は、被災者の自立支援、
そういうタイミングと段階によって変えていくことが重要ですし、
援助側の都合で一方的に、という現状を変えていかない限り、
援助する側が儲けるだけで本当の援助にはならない、と思った、
「ポバティー・インク」でありました。


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