映画「ぼくを探しに」を観る [映画(は行)]
予告編を見て気になっていた作品です。
あらすじはYahoo!映画さんより。
幼少時代に両親がこの世を去って以来、
言葉を発することができないポール(ギョーム・グイ)は、伯母姉妹に育てられる。
ダンス教室を営む二人はポールをピアニストにすることに夢中で、
彼は過去の記憶を心の中に秘めながら孤独な毎日を淡々と過ごしていた。
そんなある日、彼はひょんなことから同じアパルトマンで生活している
マダム・プルースト(アンヌ・ル・ニ)と出会い……。
淡々と描かれているのに、どこか不思議でファンタジー的な要素の多い作品でした。
フランス映画だからこそ描ける世界なのかな、と思いましたが、
これはハリウッド映画では絶対描けない(製作したら全然面白くなさそう)だろうと。
親の死後、言葉を発しなくなった主人公のポール、なぜ親が亡くなったのか、
自分は親に愛されていたのか、、、そんなことが見て行くうちにわかってくるのですが、
最後はまた話せるようになって、おそらくハッピーエンドだろうという、
ぼんやりした気持ちで見ているものの、親の亡くなった理由が明かされ、
その原因になった楽器(ピアノ)を弾き続けていたこと、
それを知ったポールが自分の手を、、あああああああ、そんなああ、なんて思いながら、
見ているのですが、最後の最後はポールも穏やかに幸せな生活を送っている、
そんな安堵感で見終わります。
自分の両親のこと、偶然出会ったマダムプルーストのお陰で知るのですが、
謎のハーブティーを飲まされると幻覚のように出てくるキャラクターや音楽、
そんなものがわざとらしくなくて、逆に見ていて自分も楽しくなるような、
そんな中で悲しい過去も蘇ってきて、、楽しくて悲しくて切なくて、、
でも幸せな気分にもなれるという、どこか不思議な空間に自分も身を置きながら
ポールの人生を振り返るような映画でした。
両親の死後、ポールを引き取って育てた伯母姉妹も味わい深くて
(伯母さん1人だと物足りないのですが、2人なので結構面白い)
ポールを取り巻く人たちがみな温かい気持ちでポールを見守っているからこそ、
見ている私もいっしょに温かい気持ちになれました。
ネタバレ的にあまり書いてしまうとお楽しみが減ってしまうので書きませんが、
登場人物に悪い人がいなくて(変な人だらけですが)
わざとらしい演出もなく、フランス映画の雰囲気に入り込みながら、
不思議な世界を楽しめた「ぼくを探しに」でありました。