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映画「ヤクザと憲法」を観る [映画(や・ら・わ行)]

kenさんの記事を見て興味をもったので都内で唯一上映されている
東中野ポレポレまで見に行きました。

20160105-00042258-nhonz-000-view.jpg 東海テレビ制作


あらすじはYahoo!映画さんより。

大阪府堺市の住宅街に位置する指定暴力団「二代目東組二代目清勇会」の事務所。
以前のヤクザは賭け事の仕切りと祭りの露天商を稼業としていたが、
覚せい剤の密売を行うようになり、昭和40年代前後に組同士の抗争が激しさを増す。
「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴力団対策法)」
「暴力団排除条例」が施行されてからは、ヤクザは銀行口座開設が不可能なため
子供の給食費が引き落とせないといった問題も起きているという。



kenさんの記事を見て映画館まで行ったのですが、

(kenさんの記事)→ http://dvd-diary.blog.so-net.ne.jp/2016-01-22

東中野まで見に行ってよかったと思います。


この作品を観たからといって、反社会的な組織を容認するわけではありませんが、
犯罪者でも基本的人権が認められるこの世の中で、
犯罪者とはいえない彼ら(犯罪を犯して服役して社会に戻ってくれば、その時点で
前科があっても犯罪者とはいえないのではないかと思っています)の
基本的人権が守られていないのは不公平でないかと思いました。
以前勤めていた会社の顧問弁護士の先生がご自身の経験から
犯罪被害者の会を立ち上げられのですが、

(全国犯罪被害者の会)→ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%A8%E5%9B%BD%E7%8A%AF%E7%BD%AA%E8%A2%AB%E5%AE%B3%E8%80%85%E3%81%AE%E4%BC%9A

同じ事件で加害者(犯罪者)が怪我をすると治療費が税金でまかなわれる一方、
被害者は自費で治療しなければいけない、と聞いて驚いたのですが、
事件が起きて、マスコミが被害者についてもプライバシーを無視して取材で
追いかけまわす、公人でもない人を悪いことをしたわけでもないのに晒すような姿勢に
いつも疑問を感じます。

この映画に登場するヤクザは、保険などで細かく書いてあって読み切れない規約を
理由に保険金支払いを拒否されたり、保険金詐欺未遂の疑いで組の事務所が
家宅捜索を受けている光景を見ると、警察の方がよっぽどガラが悪かったりします。
映画に登場する組長の逮捕がきっかけで暴対法ができたといわれていますが、
暴対法で、暴力団をこの世から排除するならすればいいと思います。
ただ、そのために、過剰なほどに税金投入して排除するよりも、
オレオレ詐欺のような犯罪の方が世の中に及ぼす影響は今よっぽど大きいわけで。

昔、台湾に行ったときに台湾マフィアと日本のヤクザの違いについて
話しを聞いたことがありますが、台湾マフィアは一般人も普通に襲う、
でも、日本のヤクザは一般人には危害を加えない、と言われて
ああそういう違いがあるのか、と思いましたが
映画に出てくる新世界の飲み屋のおばちゃんが、
ヤクザの方が警察よりよっぽど頼りになる、というのも印象的でした。

映画の中で、山口組の顧問弁護士をつとめていた方も登場し、
普通なら逮捕などあり得ないような小さなことで逮捕され実刑、
最後は弁護士バッジもはく奪されるという光景が映し出されます。
弁護士事務所に長らく勤める事務のおばちゃんのキャラクターがとてもよいのですが、
そんなオバちゃんを見ていると、今ヤクザをやっていることのメリットって
なんだろう、て思いました。

ヤクザを辞めてもいくところがない、という組長の言葉も確かにそうですが
(一般社会が元やくざを迎えるかというと疑問ですし)
刑務所ではなく、ふつうの社会で生きている人がヤクザだったら、
基本的人権がなくていいのか、と言われればそりゃ人権あるべきでしょう
って思います。

まして、家族となれば、家族はヤクザではないわけで、
銀行口座がつくれない、それで給食費が引き落とせない、などの現実に、
世の中は公平にあるべきなのに、という気持ちで見終わりました。

ドキュメンタリーとしてはよくここまで撮影できたなという驚きもあります。
映し出すだけで突き詰めてない、という感想もありますが、
これを見て、色々考える機会を作ってくれた東海テレビには感謝の気持ちをモテた
「ヤクザと憲法」でありました。


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