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映画「あなたを抱きしめる日まで」を観る [映画(あ行)]

予告編を観て気になっていた作品です。

あなたを抱きしめる日まで [DVD]

あなたを抱きしめる日まで [DVD]

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD



あらすじはYahoo!さんより。

1952年アイルランド、未婚の母フィロミナは強引に修道院に入れられた上に、
息子の行方を追わないことを誓約させられてしまう。
その後、息子をアメリカに養子に出されてしまった。
それから50年、イギリスで娘と暮らしながら常に手離した息子のことを案じ、
ひそかにその消息を捜していたフィロミナ(ジュディ・デンチ)は
娘の知り合いのジャーナリスト、マーティン(スティーヴ・クーガン)と共にアメリカに旅出つが……。



原題は“Philomena”.

自分が産んだ子を探しに行く主人公の女性の名前ですが、
こういう邦題もなあ、、結果的に主人公が精神的に息子を抱きしめることができたような気もしますが、
もうちょっと考えてほしいなあ、といつものように邦題に対してしっくりこなかったのですが。

実に穏やかでジンとくる映画でした。

1950年代、私も生まれていませんので日本のことさえ実感できない訳ですが、
同じ頃のアイルランドの田舎、それもカソリックで未婚の母、教会が救いますが
結婚前に異性を関係を持つことについて殊更にシスターに責められ、
子供を産んだ後も子供に会えるのは一日ほんのわずかな時間。
あとは重労働の日々。そしてある日突然、自分の子供が養子で連れていかれ。

そういう時代、宗教でそういうことになった、ということは理解できるのですが、
その後50年経っても息子のことを思い出してばかりのフィロミナがBBCを追われた記者と共に
養子で連れていかれたアメリカまで行くのですが、この記者は無宗教者、
フィロミナの信仰心の強さや息子を連れていかれた話を聞いてもあまり最初は興味なかったのが、
教会近くのパブで、教会が子供を養子縁組で売買していたという噂を聴いて、
俄然やる気を出してフィロミナを取材に連れていきます。

最初は、自分の記者生命を取り戻す為の起死回生&美味しいネタくらいにしか考えていなかった
記者のマーティンも、フィロミナと一緒に過ごしていくうちに彼女の気持を尊重して行動しようと
気持が変わっていく流れが非常に自然でした。

息子が既にこの世を去っていたことは、スタートから1時間くらいで分かります。

あれ、じゃあ、この後どうするのかな、と思ったら、息子と親交のあった人達を訪ね、
どういう暮らしをしていたのか、その人となりなどを聴いて回ります。
(そんなに簡単に話してもらえないんですが、当然のことながら)
そして、息子が実はフィロミナが保護されていた教会に埋葬されていることを知り、
再びアイルランドに戻り、教会のシスターに話をきく訳ですが。

そりゃもう、この教会のバアサン達が見ていてムカつくくらい悪い奴なんですよ。(-.-)

それでも、フィロミナが最後は教会や当時自分の息子を売りとばしたバアサンシスターを赦す、
そんなに信仰心が厚いフィロミナに「仕返ししなさいよ」と画面越しに言いたくなった私です。
フィロミナは赦すことも苦労が要ると言うのですが、彼女がずっと息子のことを思いながら
年を重ねられたのも信仰心があったかなんだろうな、なんて観ながら思いました。

こういう話、息子と再会できてめでたし的な筋書きを思い浮かべながら観がちな私、
1時間で息子がこの世にいないと知り「え?」と驚きながら見続けたのですが、
最後も非常に心地よいというか、誰もが嫌な気分にならないで見られる映画だと思います。

実話の映画化だそうですが、私もほぼ無宗教なので、こういう信仰心を持って生きていくことに
あまり理解は示しづらいのですが、神でもほとけでも日々感謝し手を合わせることの大切さの
ようなものは感じています。

とはいえ、自分にこういうことが起きたらフィロミナのように行動できるか、、、謎ですが。

主人公のフィロミナ、カソリックで殉教した処女の聖フィロミーナからつけられたとすると、
どこか意味深な感じもしますが、重くなりがちなテーマながら、丁寧に描かれていて、
どんよりすることなく、フィロミナを応援したくなる気持で見られる
「あなたを抱きしめる日まで」でありました。


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