映画「わたしを離さないで」を観る [映画(や・ら・わ行)]
ずーっと前に予告編を観て映画館でみようと思いながら見そびれた、、作品です。
あらすじはAmazonさんより。
外界から隔絶した寄宿学校ヘールシャムは、
他人に臓器を“提供”するために生まれてきた〈特別な存在〉を育てる施設。
キャシー、ルース、トミーは、そこで小さい頃から一緒に過ごしてきた。
しかしルースとトミーが恋仲になったことから、トミーに想いを寄せていたキャシーは二人のもとを離れ、
3人の絆は壊れてしまう。
やがて、彼らに逃れようのない過酷な運命が近づく。
ルースの“提供”が始まる頃、3人は思わぬ再会を果たすが……。
自分はどうして生まれてきたのか? 自分の命は何のための命なのか?
そんなことを考えたこと、今までにあったかな、私、と考えさせられる映画でした。
設定自体はフィクションで、
「そんなことあり得ない!ひどい!」と思ったらもう見ても仕方ないというか、
そういう設定のフィクションと割り切らないと見続けていても面白くないかもしれません。
限られた中で短い命を大切にどう生きていくか、
生きている喜び、を描いた映画なのかと思いました。
自分の命が短く、しかもどうやってその命を閉じていくか、理解しながら生きていく、
本当の愛をもてば猶予期間を申請できると、数年の猶予の為に申請しようとする姿、
非常に淡々と描かれていくのですが、その淡々とした光景に、
彼らの存在が臓器提供の為の特別な存在だとしても、逆に人間的であるように思えました。
キャシーは今までの仲間が臓器提供するのを見届ける介護人を続けながら、
ルースやトミーと再会するのですが、その再会も2人が臓器提供をすでに何度か経て
命の終わりが見えてきた頃、嬉しさはお互いの表情ににじみながらも、
時間の経過を感じさせる、もう時間が戻らないんだな、と感じる切ない場面でもありました。
原題の“Never Let Me Go”は、寄宿舎時代にトミーがキャシーにプレゼントした歌(カセット)で、
キャシーはそれを何度も何度も聞くのですが、いつかなくしてしまい、
大きくなってから、なくしたものが見つかると言われる場所で、見つけます。
なくしたものが見つかると言われた場所、その場所に、キャシーはトミーをなくした後もいくのですが、
トミーの幻想が見えるような、そんな気持ちになりながら静かな気持ちで映画を観終わりました。
臓器提供が嫌なら逃げればいいのではないか、と思ったりもしましたが、
自分の生まれた運命を受け止め、終わりの時まで生きていく、
彼らが幼い頃に過ごした時間がそうさせたのかもしれません。
キャシーを演じていたキャリー・マリガン、
これより絶対こっちの方がいいです。(というか、このリメイク自体がダメだったのもあるけど、私)
ルースを演じるキーラ・ナイトレイと、
トミーを演じるアンドリュー・ガーフィールド(スパイダーマンだっけ)、
この3人が、どこか陰のあるイギリスの風景によくあっているのもプラスの印象になりました。
ファンタジーというには悲し過ぎますが、愛に溢れた作品です。
あり得ない設定と思わず、生きること、愛することを感じたい人にはお勧めの
「わたしを離さないで」でありました。