映画「鑑定士と顔のない依頼人」を観る [映画(か行)]
飯田橋ギンレイホールで観た2本目はこの作品。
あらすじはAmazonさんより。
物語の始まりは、ある鑑定依頼。
引き受けたのは、天才的鑑定眼をもち、世界中の美術品を仕切る一流鑑定士にして、
オークショニアのヴァージル・オールドマン。
それは、資産家の両親が亡くなり、屋敷に遺された絵画や家具を査定してほしいという
若い女性からのごくありふれた依頼のはずだった。
ところが──依頼人は嘘の口実を重ねて決して姿を現さない。
ヴァージルは不信感を抱くも、屋敷の床にもしそれが本物なら歴史的発見となる、
ある美術品の“一部"を見つけ、手を引けなくなる。
やがて、彼女が屋敷の隠し部屋で暮らしていることを突き止めたヴァージル。
決して部屋から出てこない彼女と壁ごしのやり取りを重ね、
我慢できずに姿を覗き見たヴァージルは、 美しいその姿にどうしようもなく惹かれていく。
ところが、ある日、彼女が忽然と姿を消す─。
果たして奇妙な鑑定依頼の本当の目的とは?ヴァージルの鑑定眼は本物か、節穴か?
謎はまだ、入口に過ぎなかった──。
なんですか、この邦題はっ!!!!
原題は“Best Offer”。
最高のオファーってことで、オークションに出される作品のこととか、
ヴァージルの秘書のオジサンが、ヴァージルに結婚とはどんなもんか聞かれて、
自分の妻が自分にとって最高のオファーだったかまだ分からない、って感じで
人生のパートナーみたいになぞらえて(恋愛対象というか)表現するときに
使われているフレーズなので、どうしてこの邦題。。。。。
ま、それは置いといて。(^_^.)
話は面白いくらい、あーあーって感じで主人公がどんどん転落していくのですが、
(もう最後は加速してものすごいスピードで)
まあ、一流鑑定士とはいえ、人を信じない性格で(人対する態度が酷いし)
仲間ビリーにオークションで贋作と偽った作品(実はホンモノ)を安く落札させる、
そういう狡い一面も持った人だったりするので、それが後からまとめて跳ね返ってきた、
そんなことなのかな、と思ったりしながら観終わりました。
仲間ビリーを演じていたのがドナルド・サザーランドですから、
こんな顔が濃いオジサンが出てきて、オークションで落札する仲間で済むはずがなく、
この人、後でなんかやっちゃうんでないの?見ながら思うわけで。(笑)
2時間サスペンスでも、この役者さんが出てきたら、あれ、この人が出てるってチェックするでしょ、
それと同じ感じです。 今作の方が製作費は格段に高いけれど。(笑)
要はビリーの怨恨が積もりに積もって、ヴァージルへ復讐を果たすってことかな。
ヴァージルが原因で、自分が画家になる道を閉ざされたと思い込むビリー、
オークションでヴァージルが落札したい作品で、
応札のタイミングが遅いとヴァージルに詰られるビリー、
こんな光景を合間合間にちょいちょい挟んで作品が進行するので、
なんかあるかなーあるかなー、ってやはり想像はある程度できてしまいます。
ただ、ここまで一気に行くか、って驚きはありました。
だって、みんなグルなんだもん。(笑)
邦題にある「顔のない依頼人」は、中盤くらいで顔が見えてしまいます。
鑑定技術は一流でも、人と接するのが苦手なヴァージルが依頼人に魅せられて
初めて心を許してどこまでも、、、って展開は、出来過ぎかな、と思いつつも
見ていられますが、気になる点もあったりして。
最初に屋敷にヴァージルが足を踏み入れたときに置いてあった数々の美術品、
あれはどうやって調達したのかしら。
ビリーが長年の人脈で借りられたのかな、なんて思ったのですが、そこがちょっと疑問でした。
ビリーを含め、信じた人たちに騙されて心を病んで入院したヴァージルの元に
秘書が郵便物を持ってきたあと、場面が変わって、
ヴァージルがプラハの広場が見える部屋を借りて引っ越す、そして、その近くのカフェに行き、
お一人ですか、と聞かれ、いえ2人、、と言って誰かを待つ、、みたいな感じで映画は終わります。
時系列通りに描いているのであれば、郵便物に偽のクレアからなにか届いたとか、
偽クレアから聞いたカフェがホントにあるのか、観にいって本当にあったので、
そのカフェが見えるところで生活して、偽クレアを待ち続けようと思ったのか、、、、
そんな描き方にも見えました。
ヴァージル演じるジェフリー・ラッシュがまたいい味を出しているのですが、
役名(Virgil Oldman)って、童貞の年寄りみたいな意味も持たせたかったのかな、なんて
思ったりしたのは深読みでしょうかね。
私にとってヴァージルっていうと、
トレーシー一家の三男なんですけどね。
(この映画とは全く関係なく完全に私自身のツボなだけ)
というわけで、ミステリーというと、あちこちおかしいな、って思うことがたくさんあって、
大どんでんといっても、まあそうなっちゃうよね、って感じにも思えたりするので、
そういう点ではイマイチ物足りなさもありますが、イタリアの景色や、
ヴァージルがコツコツ長年集めた女性の肖像画の数々を観るのはかなり目の保養になるので、
そういう点では良い作品かな、と思いました。
もう一度見ると、もっと伏線になった場面などなど見つかるかもしれませんので、
あと一回は見てみようかな、と思った「鑑定士と顔のない依頼人」でありました。