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映画「少女ヘジャル」を観る [映画(さ行)]

普段見る機会のないトルコ映画を借りてみました。

少女ヘジャル [DVD]

少女ヘジャル [DVD]

  • 出版社/メーカー: ファインフィルムズ
  • メディア: DVD


あらすじはAmazonさんより。

トルコの女性監督、ハンダン・イペクチが、少女と老人のふれあいを描いた感動作。
アパートが武装警官に襲撃され、たったひとり生き残った隣人のクルド人少女と生活を始めた
トルコ人元判事のルファトが、民族的な問題に反発し合いながら交流していく。




クルド人を描いた映画なのですが、クルド人、という言葉は時折耳にするものの
実際のところはよく知りませんでした。

(wikipedia)→ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%89%E4%BA%BA

クルド人の少女とトルコ人の老人とのふれあいを描く作品として
トルコでは観客動員数10万人を超える大ヒットとなったのですが
5ヵ月後に上映禁止となったいわくつきの作品だそうです。


主人公はクルド人の少女ヘジャル。
貧しくヘジャルを育てていけないと判断した祖父が
イスタンブールの比較的裕福なクルド人家庭にヘジャルを預けるのですが、
テロリストの疑いをかけられたその家庭はトルコの警察によって全員殺されてしまいます。

隠れて助かったのはヘジャルだけ。

怪我をして血だらけになって立っていたのを発見したのは、
向かいの家に住む元判事で頑固者のルファトじいさん。(奥さんを亡くして一人暮らし)

さすがに無視できずに家に入れ怪我の手当をするものの、
トルコ語ではない理解不可能の言葉(クルド語)を話すヘジャルに手を焼いてしまいます。

助けてくれたのは家政婦のサキネ。
ルファトにクルド人であることを10年間隠していたことを詫び、ヘジャルの面倒を見ます。

オジイチャンが迎えにくると信じるヘジャルはルファトに全くなつかず頑固、
ルファトもなかなかなつかないヘジャルに苛々が募ります。。。

なんとか、ヘジャルの祖父が住むところをつきとめ、会いにいってヘジャルを託そうとしますが
狭い一部屋に10人以上が一緒に住むような貧しい環境を観たルファトは結局ジャルを連れ帰り、
ヘジャルにトルコ語を教える一方、自分もサキネからクルド語を学び、
2人の距離が縮まっていきます。。。(といってもそうなるのはかなり終盤です(^_^.))

とはいえ、自分も心臓病を患い、先が短いことを友人から指摘され、
父母を亡くし、頼れるのが貧しい祖父だけ、というヘジャルの今後を考え、
社会福祉課とサキネに今後自分になにかあったらヘジャルを頼むとお願いします。

そこに現れたのが祖父。
ラジオでヘジャルを託したクルド人が殺害されたことを知り、ヘジャルを探しにやってきたのですが、
実の祖父との再会を喜んだヘジャルは祖父のところへ行くことを選択し、去っていきます。。。。






ルファトがクルド語を、ヘジャルがトルコ語をおぼえはじめ、少しずつ会話ができるようになっていく、
そんな光景を見て微笑ましい気持ちになったところで、結末は祖父とともに去っていく、、、だったので、
この先ヘジャルは祖父と一緒で幸せだろうけれど、貧しい暮らしで大丈夫なんだろうか、などなど
考えてしまいました。。。

ルファトもサキネがクルド人と知らぬ内はクルド人に偏見を持っていたようですが、
ヘジャルと出会うことでそういう気持ちが薄まっていきます。
テレビで、クルド人掃討作戦が成功した、というニュースを見て悲しい気持ちになって泣く場面で、
ヘジャルがルファトに「泣くな!」とトルコ語で慰めるのですが、
そもそもは、知らないところで不安でたまらず泣いてばかりのヘジャルに「泣くな!」とルファトが
何度も言っていたのをヘジャルが覚えていた、ということで、
最初は親の言葉(クルド語)しか話せず、「クソ食らえ」という汚い言葉も喋っていたヘジャルが
ルファトと暮らすことでトルコ語を覚えていく、、子供は周りの環境でどんどん言葉も覚えるし、
環境に慣れていくのだなあ、なんて思いました。

でも、慣れてきたところで祖父のところに行ってしまったので、思わず見ながら涙。。。。

同じ人間でも民族で差別や偏見、どうしてこんなことがおきるんだろうと思いますが、

ダルフールの通訳 ジェノサイドの目撃者

ダルフールの通訳 ジェノサイドの目撃者

  • 作者: ダウド ハリ
  • 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
  • 発売日: 2008/07/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
この作品でもそれは感じましたが、



こういう紛争で犠牲になるのは子供、フィクション作品とはいえ、
ヘジャルはそういう中で助かった運の良い子だっただけでしょうし、
この作品が上映禁止になったにも関わらず大勢の観客動員を記録したというのであれば、
民族問題を考えるきっかけになってほしい作品だと思いました。


途中で、ヘジャルが猫を拾ってルファトの家で飼うようになるのですが
最初は渋々だったルファトも、ヘジャルが祖父と去っていくときに猫を置いていってほしい、と
ヘジャルにお願いする場面が印象的でした。
クルド語でまた会いにくればいいから、というルファトの言葉に頷いて猫を置いていくヘジャル、
本当はヘジャルがここにきてほしい、と思うからこその言葉だったのかと思いました。

頑固なジイチャンと少女の話、に猫まで加わるのですから、そりゃ、温かい気持ちになれます。


日本にいると、この手の話は遠い遠いところの話、、、と敬遠しがちだと思いますが、
知って考える良いきっかけになると思いますので、
できるだけ多くの人に見てほしいと思った「少女ヘジャル」でありました。

 



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