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映画「ヒトラーの贋札」を観る [映画(は行)]

タイトルを観て面白そうかな、と思って借りた作品です。

ヒトラーの贋札 [DVD]

ヒトラーの贋札 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD

あらすじはAmazonさんより。
第二次世界大戦中のドイツ・ザクセンハウゼン強制収容所。
ナチス・ドイツがイギリスの経済混乱を狙って企てた
「ベルンハルト作戦」により、ここに送られた者たちがいた。
贋作師のサリー(カール・マルコヴィクス)に印刷技師のブルガー(アウグスト・ディール)、
そして美校生のコーリャなどユダヤ系の技術者たち。
彼らは“完璧な贋ポンド札”を作ることを命じられる。初めこそ成功しつつあったこの贋札作り。
だがやがて、彼らは自分の命を守るために使命を全うするか、正義を全うするかの
究極の選択を強いられることになる…。





実在の事件を描いた映画です。

(ベルンハルト作戦)→  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%B3%E3%83%8F%E3%83%AB%E3%83%88%E4%BD%9C%E6%88%A6


第二次世界大戦中、
ドイツ政府がイギリス経済を混乱させる為に計画した贋札製造、ベルンハルト作戦について、
製造に関わったユダヤ人印刷工のエアドルフ・ブルガーの証言を基に作られたそうです。

冒頭でタキシード姿に身を包んだ男がアタッシュケースに入れた金をカジノですべて使う、
そんなシーンから映画が始まります。




ドイツのザクセンハウゼン強制収容所に贋札作りの為に集められたユダヤ人、
贋札作りのプロのサロモン(カール・マルコヴィックス)、
印刷技師のブルガー(アウグスト・ディール)、
美術学校生のコーリャ(セバスチャン・アーツェンドウスキ)などの技術者たちは、
ナチスドイツのヘルツォーク親衛隊少佐(デーヴィト・シュトリーゾフ)に完全なポンド札を作り
大量に生産することを命じられます。

特殊任務を与えられた彼らには、まともなベッドと食事が支給され、卓球台も使える待遇で、
これまでの強制収容所での日常とあまりにも違う環境でありながら、
卓球で息抜きをしているときにも、壁の向こうで収容されているユダヤ人たちが
意味もなく処刑されている様子を銃声や悲痛な声を聴きながら毎日過ごします。

贋札を作ることは問題なく、直に完成させることはできるだろう、
でも、すぐ作ってしまったら、ナチスが資金を得て有利に戦争を進めてしまう、
離れ離れの家族たちも長くつらい目に遭うことになってしまう、、
そんな気持ちと葛藤しながら、ポンド札を完成させ、バンク・オブ・イングランドからも
ホンモノの札であるというお墨付きをもらって大量生産します。

ある日、贋札用の資材で送られてきた中に入っていた仲間の内の一人の家族のパスポート。
自分たちが受けている待遇と異なり家族たちが受けている残虐な仕打ちを実感する技術者達。
ブルガーはこれ以上ナチスに加担したくないと、決起することを提案しますが、
サロモンは無駄なだけだと反対します。

次に指示があったのはドル札の贋札作り。
ブルガーはナチスに協力できないと作業を拒否し、作業を妨害し始めます。
ユダヤ人技術者たちが、意図的に完成を遅らせていると感じたヘルツォーク少佐は
期日までに完成しなければブルガーを含め選ばれた者を銃殺すると通告します。

その頃、コーリャが結核に罹り、サロモンは薬をもらう為ヘルツォーク少佐に会いに行き、、
戦況不利と判断した少佐がの妻子を国外逃亡させる為、スイスのパスポート偽造を
薬との交換条件で引き受けます。
ドル札の贋札を期日までに完成させ、銃殺を回避し、
パスポートも完成させ、薬を無事もらったものの、病状が悪化していたコーリャは、
他の親衛隊たちに感染防止を理由に殺されてしまいます。。。

それから数日後、連合軍が攻撃しにやってくることを察した親衛隊は作業を中止し、
機材を運び出し去っていきます。。




極限の状況で自分の身を守る、、これは本能的にすることでしょうが、
それが敵に加担し、家族を守れない、という葛藤につながります。

特殊任務についているがゆえに他のユダヤ人たちと待遇が格段に異なっていたことを、
親衛隊たちが去った後サロモン達のところにやってきた収容所にいた他のユダヤ人たちの
痛ましく凄まじい姿を観て愕然とするのですが、
サロモン達も任務をすべて終えた時点で殺されていたでしょうし、
こういうときに全うな判断が自分にはできるのかどうか、そんなことを考えながら観ました。

戦後のサロモンの姿が冒頭のカジノのシーンにつながっていくわけですが、
自分が作った贋札をカジノできれいさっぱり処分したことで彼の気持は晴れたのかどうか、
すっかり晴れることはなかったのではないかな、なんて思いました。

贋札というと、今でもスーパーK(ちょっと古いかも)とか、そういう悪いことをする集団というか
国というか、存在していますし、カラーコピーでちょいちょい作って暗い夜店で使おうとしたり、
なんて人もいますが、敵国の経済を混乱させる為に国家が全面的に作るなんてことが
実際にあったんだなあ、とこの映画で知りました。

1億3200万ポンド分の贋札を作って50%秘密工作で使ったというのですから、
これがドル札まで流通していたら、どれだけ国自体が混乱したんでしょうね。

贋札(ニセサツ)の世界史 (生活人新書)

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  • 作者: 植村 峻
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2004/06/11
  • メディア: 単行本

こういう本もちょっと読んでみようかな、なんて興味が湧きました。

実際の事件を描いた映画ですが、こういう悲しいことが二度と起きないでほしいものだな、と
改めて感じた「ヒトラーの贋札」でありました。



固くて暗いトーンの映画が苦手な方にも一度は見ていただきたい作品です。


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