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映画「ありあまるごちそう」を観る [映画(あ行)]

タイトルで選んだ作品です。

ありあまるごちそう [DVD]

ありあまるごちそう [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • メディア: DVD


内容はAmazonさんより。

ドイツ37万人、オーストリア22万人、フランス17万人が見た驚愕の世界!
120億人分の食料が生産され、10億人が飢えに苦しむ、
ゆがんだ食の世界経済の仕組みが明らかにされる!
日本のマスコミが報じない事実が満載の、食料廃棄大国の日本人必見の異色ドキュメンタリー。

スペインのトマトは、貧しいアフリカ移民が育て3000キロメートルのたびを経て市場へ出荷される。
ウィーンでは、オーストリアの大都市全員が食べていける厖大な量のパンが毎日捨てられ、
原料のコムギを輸出するインドは2億人が飢えに苦しむ。大規模生産、不透明な流通と
その先の飢餓という現実にカメラが迫る。飢餓問題の第一人者ジャン・ジグレール教授をはじめ、
世界最大の食品会社、最前線で働く漁師、農家、家畜業者に徹底取材を行い、
飢餓が生れるメカニズムが明らかにされる。


フード・インク [DVD]

フード・インク [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • メディア: DVD


未見ですが、↑の作品と同様、食について製作されたドキュメンタリーの第二弾です。

最初に画面に映されるのはオーストリアの大量のパン。
製造後2日くらい経ったパンがまだ食べられるのに廃棄処分されます。
これらのパンの原料となる小麦粉は、凍結防止用の塩よりも安いという現実が語られます。

スペインのアルメニア地方には一面に広がるトマト栽培用のビニールハウス。
低賃金のアフリカ人労働者が作ったトマトがアフリカに現地産の1/3の価格で輸出され、
現地農家に打撃を与えています。

フランスの小型船の漁師は、EU加盟後、漁の詳細を報告しなければなりません。
漁が終わってすぐ港に戻る小型船の魚は新鮮な一方、大型漁船は何にもかけて漁をする為、
新鮮さで劣るものの、漁業の工業化を図ろうとするEUによって、
小型漁船は年々漁がしづらい環境になってきています。

見栄えが良い野菜の方が売れる、という理由で野菜を交配し、
その種苗を販売するルーマニアの会社、
交配種は見栄えがよいものの、味はもともとの方が美味しいといいながら、
売れる野菜、見栄えのよい野菜にと改良していきますが、種苗は一世代のみ、
二世代目は育たないようになっています。

ブラジルのアマゾンがどんどん切り開かれ土壌を変えて大豆畑にして、
収穫された大豆はヨーロッパや中国、日本の飼料用に輸出され、
農家は大豆の収入で豊かな生活を送っている一方、大豆栽培と関係のない北部の農家は、
貧困に喘ぐような状態で、政府からの援助に頼るような状況にあります。

そして、終盤に登場するのがブロイラーの生産拠点の様子。
卵が孵化してから物凄い勢いで大きくなり、工場に送られて捌かれてバックされていきます。


ドキュメンタリーですが、淡々と画面が映し出されます。(とても地味に進行します)

120億人を養える食糧が生産されながら、年間10億人が飢えでなくなっていく現実。
「食」が商品として豊かなところに集中し、大量に廃棄される一方、
貧しいところには食糧が行き届かず、という現実に
「飢餓は殺人である」という意見も提示されます。

私も食べきれずに残してしまうことがあります。
小さい頃、食べきれずに残すと「ばちがあたる」と親に叱られたのですが、
その頃は飽食、、というほど食卓が豊かではない、そんな中でも残していたんですよね。

大人になった今となっては、社食でも食べきれないといっては残し、
呑みにいってつまみを残し、、、とても無駄なことをしている自分がいます。


映画の終盤のブロイラー工場、、これを観た後、
しばらく鶏肉はダメだ、と敬遠していたのですが、
10日も経てば社食で鶏のから揚げを食べている自分がいます。


映画を見て世の中の理不尽さを感じる一方で、
自分の生活が色々なものに支えられていることも実感します。矛盾しているんですが。

多国籍企業によって食糧がコントロールされる中で紹介されたネスレのトップが、
企業が収益を上げ、従業員の生活を支え、株主への配当を確保するのが責任と言うのですが
そうなんだよね、それは分かるんだけど、もうちょっとバランスよく配分できないものか、
そんな疑問もわきます。
とはいえ、企業は収益を上げないといけないので、結局偏った形で食が配分されるんでしょうね。


自分一人がこうやって悶々と考えても、どうにもならないと思うのですが、
富める方に食が偏ってしまうことが少しでも変わっていってほしいと思いますし、
これから食事をするときは感謝の気持ちを忘れず有難く食べられるような人間に
ならないといけないな、と思った「ありあまるごちそう」でありました。


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