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NYで「The Book of Mormon」を観る [舞台・ミュージカル]

ダブルヘッダーの2本目は今回のNY旅行でゼッタイ見たかった作品です。

RIMG2549.JPG 昨年のトニー賞で9部門受賞した作品RIMG2630.JPG The Book of Mormon

宗教を扱った作品ってどうなんだろう、って思って昨年の旅行時は念頭になかったのですが
トニー賞でのパフォーマンスとか、メガネヒヨコさんの記事を観たら俄然行きたくなって。(^_^)

(メガネヒヨコさんの記事) 

「メガヒヨ in NY 2011秋その2-1《THE BOOK OF MORMONプロローグ編》」

「メガヒヨ in NY 2011秋その2-2《THE BOOK OF MORMONあらすじ第一幕編》」

「メガヒヨ in NY 2011秋その2-3《THE BOOK OF MORMONあらすじ第二幕編》」

「メガヒヨ in NY 2011秋その2-4《THE BOOK OF MORMON感想編》」

脚本を購入して読み込んで鑑賞されるほどの熱の入り方に私も頭が下がります。。。

私はそんなメガネヒヨコさんの記事を読んで予習してから劇場に向かいました。


ちなみに今回訪れたEUGENE O'NEILL劇場は以前「FELA!」を観た劇場です。


ちょっと古めかしい劇場で、地下のトイレも古めかしく、まあまあそこそこ。(^_^.)
用を済ませてから右ブロックの通路に行って案内係の婆にチケットを見せると
「あなたは一番端の席だからもう一本向こうの通路から座ってね」とボソリ。
客に敢えて大回りさせることを申し訳ないと思わないこの婆にイラットしましたが
仕方ないのでぐるっと大回りして着席。

the book of mormon.gif前から2列目の右から2つめ
超人気作品なのでフルプライスチケットでもこんなに端っこ。
でも、待ちに待った舞台を近くで見られるんだからいたし方ございません。
それより驚いたのが、お隣に座っているのが、超巨漢夫婦だったこと。(;O;)

2人ともデカイんです、とにかく。

私の席の座面をおろそうとしたら、隣の巨漢オバチャンにぶつかるんですよ。
(オバチャン、すぐに避けられないので)
私が座ると肘掛の下からオバチャンの肉がはみ出て私の席まで侵食してきて、
半そで姿からはものすごい放熱。。。。

これもいたし方ございません。巡り合わせですからねぇ。
お行儀良く鑑賞してくださればそれでよし、です。。。。


そんな気になることもございましたが、19:05に開演した途端、
瑣末なイライラが全て吹っ飛ぶくらい楽しい作品でした。

細かいあらすじは、メガネヒヨコさんの記事を読んでいただけると分かりますが、
端折って説明しますと、

モルモン教の聖地(ソルトレイクシティ)で3か月の訓練を終えた若い伝道師たちが
2年間の布教の為、2人一組で世界各地に派遣されることになり、
成績優秀な伝道師エルダー・プライスが組んだのは堕ちこぼれのエルダー・カニンガム。
オーランド(ディズニーワールドのあるところ)に派遣されたいと願うプライスに対して、
言い渡された派遣先は「ウガンダ」。(笑)
book_of_mormon4.jpg旅立つ2人
(右のカニンガムが背負っているのは大事にしているスターウォーズのリュック)
家族たちに見送られたどり着いたウガンダは貧困、エイズ、軍による抑圧などなど、
オーランドとは大違い。(いきなり兵士に所持品を巻き上げられてしまう2人)
村人達は、と「ハッサ・ディーガ・イボワイ」と歌いながら2人を歓待してくれるたものの、、
この言葉の意味は「FUCK YOU, GOD!」。
2人は、神の存在を信じない村人達への布教が難しいことを知らされ、
それでもモルモン書を手に布教活動を行うプライスは村人に全く相手にされない。

一方のカニンガムは、「つまんないから」という理由でモルモン書を読んだことがなく(笑)
村人達に大好きなスターウォーズのあらすじも交えながら作り話をしたところ、
村人達に大うけし、ソルトレイクシティをパラダイスだと思い込んだナバルンギ(村の娘)、
をはじめ、村人達が次々と洗礼を受け信者を獲得していく。。。

プライスは、自分の信仰に間違いがない、と村人が恐れている将軍に布教活動を行い、
将軍の怒りに触れて大変な目に遭ってしまう。
自棄になって禁じられているコーヒー(カフェイン)を飲みまくるプライスに対して、
信者を次々獲得して意気揚々としているカニンガム。(立場逆転ってとこですな)

信者獲得を聞いて喜んだモルモン教の幹部が表彰にやってきたところで、
村人達はモルモン教について学んだ内容を寸劇にして見せたいと演じ始めたものの、
その内容は、カニンガムが村人達を喜ばせようと創作した何から何まで大ウソ。
演じきって大満足の村人に対し、寸劇の内容のひどさに怒った幹部の指示で
ウガンダは閉鎖されることになってしまい。。。

どうするどうするカニンガム?プライス?   


って話。
(ものすごく端折ってますので、細かいあらすじはメガネヒヨコさんの記事を読んでね)


Youtubeで探しても全然動画が出てこないのは、
「ピー」音でかぶせないといけないような言葉や内容が満載だから。(笑)

一番出てくるのはトニー賞でのパフォーマンス。これはピー音があまり要らない曲。



ウガンダにやってきたプライスが、軍人たちの横暴ぶりに強かった信仰が揺らぎ始めるのですが
そこで改めて神の存在を信じて歌うのが“I Believe”(この動画)です。

外国での布教に胸が高鳴るはずだったのに信仰が揺らいだ、自分はどうしちゃったんだ、
貧しい人の力になりたい、これは成長するチャンスだ、なのになぜ怖いんだ?
軍人は顔を狙い撃つ、それがなぜ怖いんだ?神はもっと強く僕の見方だと信じるべきだ、
神を完全に信じなくては、疑いなど持ってはいけない、と高らかに歌うのですが、

神について歌い始めると内容が凄いんですよ。

「神は宇宙を創られた」
「神は御子を遣わし彼の死で僕の罪を清めた」
このあたりまではいいけど)
「大昔ユダヤ人は船を造りアメリカへと航海した
えーっ!)」

さらに自分の不安を払しょくする為に更に歌います。

「神は全ての人間の為に計画をお持ちだ」
「その計画によれば僕も惑星を持てる(笑)」
「大管長は神と直接話せる(!!!)」
「僕はモルモン教徒だ。ひたすら信じることだ!」

と歌ったあと、自分がどうしてここ(ウガンダ)に派遣されたのか今分かった、

「神に問えばいつも答えてくださる、私を信じよ、恐れることなかれ!」

テンションMAXのプライスは、将軍に見つかってもひるむことなく歌い続けます。

「悪魔がとりついてる君たちに!僕は信じる、神がここに遣わしたのだと」
「神は1978年から黒人も認めてくださる
(ブラックピーポー、というバックコーラスつき♪)」
「君も信者になれる、ひたすら信じなさい」
「僕は興奮している。これこそ僕の使命。
    嬉しくてたまらない、信仰を分かち合おう」
「聖書に書いてある、信仰を求めるなら神に尋ねよ、
     疑いを捨てて求めるんだ、魂を成長させよう!」

将軍たちに信仰を説きはじめるプライスはさらにテンションが上がります。

「僕は信じる 神は惑星コロブにおいでだ、
             ジーザスも自分の惑星をお持ちだ」
「エデンの園があったのはミズーリ州ジャクソン郡だ」
「信じれば答えは来る、真実だとわかる、
             感じるんだ、君はモルモン教徒になれる」

将軍は怒り、プライスはこのあと大変な目に遭わされてしまいます。。。


この作品の音楽はどれも楽しいのですが、私が一番ツボにはまったのは
「モルモン・ヘル・ドリーム」です。↓


目の前で人が撃たれたのを観てショックを受けたプライスが、神にあこがれのオーランド行きを
懇願すると、目の前にオーランドの光景が繰り広げられるのですが、
ミッキーマウスの様子がどうも変。 そして「お前は規則を破った」というおどろおどろしい声。
「ミッキー?」と聞くプライスの目の前に現れたのが地獄。声の主は悪魔。
パートナー(カニンガム)を置いてきて一人にしてしまったことを規則第72条違反として咎められます。

そこで上の歌が流れるのですが、
プライスが小さい頃l、夜中に台所でメープル味のドーナツを盗み食いして、
親には弟が食べたと嘘をつき弟が14日間自宅から出してもらえなかったこと、
今度はカニンガムを置いて一人にしてしまったこと、二度の罪を悪魔に咎められ、
更にはキリスト様まで登場してプライスを叱ります。

更に、地獄に住んでいる悪人4人が登場して、自分たちの罪を語ります。

一人目はヒトラー。「戦争を始め、沢山のユダヤ人を殺した」という罪。

二人目はチンギス・ハーン。「中国人を大虐殺した」という罪。

三人目はジェフリー・ダーマー。「男を刺し殺して、その死体とやってしまった」という罪。

四人目はジョニー・コクラン。「OJを無罪にしてしまった」という罪。

(個人的には四人目の罪に思いきりツボにはまってしまい大爆笑してしまいました)

プライスは「二度と規則は破りません」と誓いますが、
スタバのようなデザインのコーヒーカップ(のキグルミ)が近づいてきて、
無理やりプライスに禁じられているカフェインを飲ませようとします。

ああああ、神様ごめんなさーーーーい。と思ったところで目を覚ましますが、
罪の定義が、、、笑っちゃいけないんですがもうおかしくて。。。。。





あまり客席数が多くない劇場にも関わらず、オープンから1年たらず(9ヶ月)で
制作費(1140万ドル)を回収し、黒字化した、なんてニュースを読んで
(こちら)→ http://nytarts.blog.fc2.com/blog-entry-135.html
妙に納得したのですが、とにかくよくできています。

踊りといえば、
book_of_mormon2.jpg先輩伝道師の
book_of_mormon5.jpgタップがとてもよかった。
宗教批判することなく、最後には素敵なエンディングで
book_of_mormon1.jpgハッピーな気分に♪

アドリブなのか分かりませんが(正式オープン後は脚本に忠実にやらなければ、なんて
ことを以前聞いたことがありますが、どうなんでしょう)カニンガム役のジョシュ・ガッドが
「なにやってんだギングリッジ?」と当時大統領候補選出でロムニー優勢、と言われていたので
ロムニーの立場でそんなこと言ったのかな、なんて思いました。


メガネヒヨコさんのお陰で予習して見られたせいか、内容もすんなり頭に入って、
最初から最後まで笑って笑ってほろっとして、、、楽しい作品でした。

The Book of Mormon: The Complete Book and Lyrics of the Broadway Musical

The Book of Mormon: The Complete Book and Lyrics of the Broadway Musical

  • 作者: Trey Parker
  • 出版社/メーカー: Newmarket Press
  • 発売日: 2011/06/07
  • メディア: ペーパーバック



そして、脚本を私も購入。読んでさらに楽しめました!


というわけで、定価のチケットでしたが、払った以上に感激した作品、
なかなかこういう素敵な作品には巡り合えないと思いますが
本当に思い切り楽しめた“The Book of Mormon”でありました。
(オリジナルキャストでもう一度見たいのですが、早くしないと無理そうかな)



(つづく)


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