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NYで「Gershwin's Porgy and Bess」を観る [舞台・ミュージカル]

NY滞在2日目、トリプルヘッダーの2本目は、
メガネヒヨコさんの記事を観てどうしても観たいと思った作品を鑑賞しました。

(メガネヒヨコさんの鑑賞記事)→ http://blog.goo.ne.jp/megahiyo1414/e/bf76ad9e2d9bf7f64eff49e313e7afaf

RIMG2499.JPG“Gershwin's Porgy and Bess”
RIMG2498.JPGオードラ・マクドナルド先生主演

Richard Rodgers劇場って殆ど入ったことがないのですが、
トイレの便座が高くて高くて、背の低い東洋人には辛い。(おまけにあんまりきれいじゃなくて(-.-))

porgy and bess.gif比較的前の方の右寄り
この作品は諸般の事情で期間限定公演だったりするので、人気がとても高く
(ま、オードラ・マクドナルドが主演となれば、観たい人がいっぱいいるもんね)
割引チケットだととんでもなく後ろの席しかなかったので、ここは止む無く定価で購入。
昼のマチネ公演だからかグループでやってくる観客が多く、私の周辺は白人オバちゃんのグループ。
例えが悪くて申し訳ないんですが、車内で大きな声で喋りまくっている関西のオバちゃん、って感じ。
大声で喋って笑ってがはははーみたいな感じが(V)o¥o(V)イラットします。

どーどー、私。

14:05開演、さすがガーシュインと思わせる前奏に続いてほどなくして、名曲「サマータイム」。
これだけでぞくぞくしちゃいました。

で、公演の様子は↓こんな感じです。

リバイバル作品でもともとは古い話なので(1920年代のアメリカ南部の町が舞台)
現代とはかけはなれた感ありありで、やはりどこか違和感はありましたが、

(あらすじはwikipediaでどうぞ)→ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%82%AE%E3%83%BC%E3%81%A8%E3%83%99%E3%82%B9


簡単に説明しますと、

内縁の夫クラウンが人を殺して逃げてしまい、残されたベス(オードラ・マクドナルド)は
足の不自由な乞食ポーギーと暮らすようになり、お互い惹かれていくのですが、
そこに現れたのがクラウン。ポーギーはベスを庇おうとして謝ってクラウンを殺してしまいます。
村人達はポーギーを庇って警察の調査に協力しなかったものの、
ポーギーは警察に連行され1週間取り調べを受け、戻ってくるとベスの姿は無く。。。
ポーギーが警察に連れていかれている間、麻薬の売人、スポーティングライフがベスを唆し
ベスをNYに連れていってしまっていたことが分かったポーギーは、無理を承知の上で
NYに向かう。。。。 

という話です。


だらしないクラウンより、貧しいけれど実直なポーギーにベスが惹かれるのも分かります。
その後、スポーティング・ライフから渡されたクスリの魔力に逆らえずNYにいってしまったベス、
彼女がいずれクスリで廃人になってしまうだろう、ということは想像できますし、
NYまで何千キロも歩こうとするポーギーが途中で死んでしまうだろうなんてことも想像できます。

他の都市でのトライアウト時、あまりに悲しい結末で現代には合わないと思ったのか
(また、観客の受けが悪くなるのを心配してなのか)
演出家が結末を多少明るく期待できるように変更して公演したところ、
(おまけに「Gershwin's」を外したタイトルにしたのもよろしくなかったらしい)
巨匠スティーヴン・ソンドハイム御大がこの変更に激怒し、
ニューヨークタイムズで演出家(脚本家?)と主演のオードラ・マクドナルドを名指しで批判、
投資家が辞退するなど大変なことになってしまったわけで、
結果的には結末を元に戻し、投資家も何とか見つけ、ブロードウェイ公演に
こぎつけた、、って話題。
但し、期間限定になってしまったので、もったいないかな、って気もします。

観た感想としては、悲しい結末ではあるのですが、
最後ににこやかに微笑みながら杖をついて歩いていくポーギーの姿に
「ああ、そんなに頑張ってもあなたはNYに絶対たどり着けないのよ」と思いながらも
ポーギーの優しい気持ちを垣間見た気がしてウルルン、な気持ちになったりしましたので、
明るい結末を期待させるような演出でなくて逆によかったと思います。

主演のオードラ・マクドナルドは、本当に素晴らしかった!!(生で見られてよかった)
ベス、のイメージがか細くて弱くて脆い、、、って感じだったので、
むっちり豊満な体格のオードラ先生はちょっとイメージ違うかな、と思いましたが、
それを補って余りあるくらいの熱い演技と歌に思わずうっとり。。。 
また、メガネヒヨコさんも書いていらっしゃいましたが、
スポーティングライフにNY行きを誘われクスリを手渡されたベスが、
葛藤に勝ってクスリを捨てて手を水で洗ったあと、暫く経って落ち着いた頃に、
その手に残ったクスリのニオイに負けてその後ずるずると堕ちていく、、、、
という場面があるのですが、その時の表情に鬼気迫るものがありました。。。

また、ポーギー役を演じたノーマ・ルイスも実に素晴らしい演じぶりで、
これまたメガネヒヨコさんも書いてらっしゃいましたが本当に足が不自由なんじゃないかと思うくらい。
ベスと一緒に歌う“Bess, You Is My Woman, Now”では心が通じ合う2人の姿に思わず涙。。
porgy&bess.jpgこの場面
また、自由のきかない足でベスを探しに旅立つ姿にも思わずウルウルでしたが、
辛くてもそれが自分の人生と受け入れ、その中で前向きに進もうとするポーギーの姿を
観たような気持です。。。

最後に出演者全員が登場してご挨拶するとき、悪役のクラウン役の役者さんが出てきたら、
場内ものすごいブーイング(そりゃ、ベスにひどいことする役だもんね)だったのですが、
ああ、こういうのってアメリカらしいな、と思っていたら、クラウン役のPhillip Boykinさん、
目をくりっとさせて膝をちょっとまげてお茶目に挨拶されて場内大爆笑の渦。。。。

こういう観客の露骨な反応にもお茶目に反応する役者さん、観客と舞台の関係も面白いですね。

話自体はとにかく切なくて悲しいものではありますが、ポーギーのまっすぐな気持ちに心打たれ
悲しい結末であってもなんだか心が温まった“Gershwin's Porgy and Bess”でありました。


トニー賞ではリバイバル作品賞や主演女優、男優賞にもノミネートされていますので、
是非受賞してほしいものです。(^_^)




 


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