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映画「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」を観る [映画(ま行)]

ハリポタ以来、遠ざかっていたシネコンのポイントが消滅してしまいそうだったので
慌ててシネコンに行って鑑賞した映画です。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い.jpg スティーヴン・ダルドリー監督作品


あらすじは、公式サイトより。 

オスカーと父は、親子であると同時に親友だった。
父は少しばかり繊細で生きることに不器用なオスカーを
その個性を壊さずに導いてくれる頼もしい師でもあった。
そんな二人を優しく見守る母。ところが──9.11が最愛の父を奪ってしまう。
オスカーは父が遺した一本の鍵に最後のメッセージが込められていると信じ鍵穴を探す旅に出る。
鍵の入っていた封筒に書かれた文字に従い、ニューヨーク中の“ブラック氏”を訪ね歩くオスカー。
やがて謎の老人が同行者となり
いつしかオスカーの辿った軌跡は人と人をつなぐ大きく温かい輪になっていく。
ついにオスカーは、鍵の真実とめぐり会うのだが──。



 

このポスター、あちこちで見ていたのですが、
「え、なんだろ、この映画」というイメージだけで全然興味が湧かず、
予告編を観てやっと観る気になった作品です。


でも、見てよかったな、と本気で思いました。
(本当はベン・スティラーの「ペントハウス」で笑おうと思っていたのですが、
 こちらの作品にしてよかったな、、なんて思った私)



主人公のオスカー(トーマス・ホーン)は、
アスペルガー症候群かもしれない、と検査を受けたことがあるほど
神経質で人とのコミュニケーションが苦手な少年です。


それを父親のトーマス(トム・ハンクス)が人とコミュニケーションをうまくとれるようにと
オスカーが興味が湧くような調査探検と称した謎解きの課題を与えて
人と触れ合いながら謎を解かせようとします。
自分の一番の理解者を9.11で突然失ってしまったオスカーは父親の死を受け入れられず
一年後、父親のクローゼットから偶然見つけた鍵から父親のことが何かわかるのでは、と
封筒に書いてあった「BLACK」という文字から、NY中のブラックさんを探し始めます。


父親との調査探検の時のように、
オスカーは電話帳からブラックという名前の人(400人以上いる)を探し出し、
電話番号から地区別に分類し、地図にブラックさんの居住地に印をつけ、
それを元に、母親(サンドラ・ブロック)に嘘をついて外に出て探すのですが、
電車は危ないから使わない、おばあちゃんに貰ったガスマスクを持参する、
危険なときの為にとタンバリンを持って鳴らしながら歩く、、その姿を観て
そのくらい少年にとって父親の突然の死、9.11で心が傷ついていたということかと思いました。


最初に訪れたのはアビー・ブラック(ヴァイオラ・デイヴィス)。
こんなに有名な女優さんがいきなり出てくるなんて、この人は話で重要な役割を示すのかな、
 そんな目線で見てしまった私ですが(^_^.)彼女は後で大事な役割を果たします)


突然やってきたオスカーに戸惑うものの、アビーは話を聞いてくれます。
ただ、オスカーの父親には何も知らない、ということでオスカーは次のブラックさんを訪ねます。
アメリカ、しかもNYという土地柄、アフリカ系、ヒスパニック系、アジア系、、、、
色々なブラックさんに出会うオスカー。
オスカーの幸せを祈ってくれるブラックさんもいれば、、怒って追い返すブラックさんもいます。


そういうブラックさん探しの場面の合間に9.11当日のオスカーの様子が描かれます。
学校から早く帰宅するように言われて自宅に帰ったオスカーが留守電で聞いた父の声。
それを誰にも聞かせないように、と同じ形式の電話を買って交換して隠してしまったオスカー。
(全部で6回の伝言が入っているのですが、ここでは全部の内容は分かりませんので、
 なぜオスカーがそういう行動に出たのか理解できませんでしたが、
 後半にその理由が分かります)

父の死後、母親ともうまくいかないオスカーが唯一話ができたのが、
向かいのアパートに住む祖母(ゾーイ・コールドウェル)。
(夜眠れない時に互いの部屋から無線で話をするオスカーと祖母の光景が微笑ましいです)


その祖母が自分のアパートに間借り人として住まわせていた老人(マックス・フォン・シドー)と
知り合ったオスカーはブラックさん探しをいっしょにやらないかと誘います。
ただ、この老人、失語症で話が出来ず、会話は筆談と左右の手に入れ墨された「YES」と「NO」。
歩けないという間借り人に仕方なく電車で移動することになったオスカーと間借り人の老人、
多くのブラックさんを訪ねるものの鍵と父親を結ぶ手がかりは全く見つからないものの、
間借り人との信頼が少しずつ生まれていきます。


そして、父親からの留守電メッセージの話を間借り人に始めるオスカー。
オスカーがいることをわかって留守電から話しかける父親の言葉を聞きながら
電話に出ることができなかったことを後悔するオスカーの話を聞く老人は
ブラックさん探しを止めるようにオスカーに提案します。



そして、ついに鍵の事実を知ることになるオスカーは、ある行動に出ます。




鍵の正体、、見ていて「え、そういうことなの?」と私も驚いたのですが
自分の想像と全然違っていたものの、逆にそういう結果というのが嘘くさくないというか
鍵がなんなのかわかってめでたしめでたし、って感じの大団円的結末でなかったのは
逆によかったと思います。(このあたりを書くと完全ネタバレなので書きませんが)


鍵のことが分かった後、反発されっぱなしだった母親リンダも実は、、的な展開になるのですが
「あらあら、サンドラ・ブロック、最後の最後に美味しいとこどり!(笑)」と思いましたが、
父親から謎解きするように言われて見つからなかったものを最後に探し出したオスカーは
父親の死をやっと受け入れることができて、成長できたのだと思いました。



上映時間が2時間超なので、ちょっと長いかな、という感じはしますが、
お涙頂戴な多額の製作費を投じた超ハリウッド作品とは完全に一線を画している作品で、
若い方は感動しないかもしれませんが、中年にはツボにはまりやすいような気もします。


両親を演じたトム・ハンクス、サンドラ・ブロックがあまり前面に出ていないのがいいというか、
オスカーを演じたトーマス・ホーンの演技がよかったからか感情移入できました。
そして観終わった後も、なんだかほんわかした気分になれて
ノンフィクションとはいえオスカーには強く育ってほしい、、なんて思いながら映画館を出ました。





トーマス・ホーン、とても初の映画出演とは思えない演じぶりにも感心しましたが、
脇を固める間借り人役のマックス・フォン・シドーや、ドアマンのジョン・グッドマン、
ブラックさんの一人、ヴァイオラ・デイヴィスやジェフリー・ライトなどもとてもいい味を出していました。


行った日がレディースデーの前日だったから、なのか、
公開2週目というのに私が観た上映回はたったの11人というのが残念でしたが、
出来れば多くの方に観ていただきたい、じんわりほかほかと心温まる作品、
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」でありました。
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