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映画「愛する人」を観る [映画(あ行)]

年末年始の映画鑑賞で少々弾みがついたというか、
映画館にも足を運ぼうと久しぶりに日比谷シャンテで映画鑑賞。

 愛する人.jpg ロドリゴ・ガルシア監督作品

(映画サイト)→ http://aisuru-hito.com/index.html

 





14歳の時、恋人との間の子どもを生んだカレン(アネット・ベニング)は、
生んだ3日後、母によって子どもを養子に出されてしまう。

それから37年。 

カレンは結婚せず老いた母親の介護をしながら病院でリハビリ訓練士の仕事をしているが
母と素直に接することも出来ず、また、職場の仲間達にも心を開くことが出来ず
生まれてすぐ別れてしまった娘のことを思いながら、届かぬ手紙を書き続けている。

生まれてすぐ養子に出された後、10歳で養父が他界し、
17歳で家を出てからは養母とも疎遠になっているエリザベス(ナオミ・ワッツ)。
弁護士として成功し事務所を移りながらキャリアアップしている。
「自立」することを好むエリザベスはカレンの生んだ娘だった。。。。
新しい事務所で働き始めたエリザベス、仕事も順調だったが、
上司(サミュエル・L・ジャクソン)、隣人夫婦の夫スティーブと寝て妊娠してしまう。
一生結婚はしない、子どもは生まないと、17歳で卵管結紮を受けていたのに
妊娠してしまったエリザベスは、これまで自分が心を閉ざしていた母への思いを意識し、
子どもを生むことを決意し、キャリアを捨て事務所を去る。

同じ頃、カレンの母親が他界し、素直に話が出来なかった母親が、
カレンが生んだ子どもをすぐ養子に出してしまったことを申し訳なく思っていたことを
自宅に通うメキシコ人家政婦から聞いたカレン、何故自分に直接言ってくれなかったのかと
悲しみながら、自分も母親に対して素直になれなかったことを後悔する。

母の死をきっかけに、少しずつ周囲の人たちへ心を開き素直に接するようになったカレンは
職場仲間のパコ(ジミー・スミッツ)と結婚したことをきっかけに、
自分が生んだ娘に会いたいと思い始め、娘を養子に出した教会(斡旋所)に向かう。
養子に出した以上、住所や養父母の情報を教えることができないが、
手紙を書いて預けてくれれば、娘が母に会いたいと思う時に手紙を受け取りにくる、
そうすれば会える、という教会の説明にカレンは手紙を綴って教会に預けるのだった。

子どもが出来ない(アフリカ系の)ルーシー(ケリー・ワシントン)は、
養子をもらう為、(カレンが行った)教会で登録し、紹介された妊婦と会って何度も話をする。
20歳で妊娠してしまったこの女性はルーシーに高圧的に質問するばかりだったが、
ルーシーの真摯な態度に養子縁組を承諾するものの、生んでみると子どもが手放せなくなり
養子縁組を一方的に破棄してしまう。
養子ではなく自分の血を分けた子どもがほしいという夫と意見が合わず離婚してまで
子どもがほしかったルーシーは打ちのめされるが、仲介していた教会のシスターから
身寄りのない他の赤ちゃんを養子にしないか、と提案される。

それは、エリザベスが生んだ子だった。

前置胎盤で帝王切開を勧められたエリザベスは
「自分の力で生みたい。自分の目で子どもが生まれるところを見たい。」と自然分娩を望んだが、
生まれた子どもの顔を一瞬見た後、亡くなってしまったのだった。。

ルーシーはエリザベスの生んだ女の子を養子として受け入れ、育てていく決心をする。


それから1年。。。。。。


エリザベスが顔も知らない実母宛に自分が妊娠していることを記した手紙と写真が
教会で見つかる。 
事務手続きミスでエリザベスが生きている間にカレンに届かなかった手紙が
1年経ってようやくカレンの手元に届く。
そしてエリザベスの生んだ子供の居場所を聞くカレンは会いにいくのだが。。。。



 

原題が「Mother&Child」なのに、邦題は「愛する人」。
ま、分からなくはないのですが、原題の「母と子」は、
実母だったり養母だったり代理母だったり、実子だったり養子だったり、、、と
様々な意味で使われているので邦題がちょっと浅く思えてしまいました。。。

物語は、自分の生んだ子を養子に出した(というか母によって出された)カレン、
カレンの娘、エリザベス、、そして、養子を受け入れようとするルーシー、の3人で、
カレンとエリザベスはいつか出会えるのでは、と思っていたら、ルーシーもそこに関わって
三者三様の姿から「母」という形を描いているのかなと思いました。

物語の前半で仕事バリバリなのに上司やお隣さんと簡単に寝てしまうエリザベスに驚きましたが
自分の生い立ちへの精神的なストレス(本人感じてないかもしれませんが)に対する自傷行為、
そういうものにも見えました。

このあたりは、男性が見るとただエロいだけに見えてしまうかもしれませんが、
同じ中年女性から見るとなんだか痛々しく見えてしまいますね。

子供が要らないと避妊手術を受けていたのに子供が出来たと知ったエリザベスが
どんどん変化していく様子が印象的でした。
上司や事務所を去ってから盲目の少女ヴァイオレットに出会ったことで、
エリザベスの表情が非情に柔和な表情になっていくのを見て、画面越しに見ている私さえ
頑張ってほしいと応援したくなりました。

また、(エリザベスの母)カレンも最初は本当に嫌な感じのオバサンなんですが
母の死を境に、それまでの刺々しい態度から表情豊かな女性に変化していきます。

このあたりの女性の描き方が、

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これらの作品で監督もしているロドリゴ・ガルシア監督らしい女性の描き方で、
めでたしめでたしの大ハッピーエンドにならなくても、前向きに進んでいけるような
見ている人が元気をもらえるような作品でした。

偶然とか話が出来すぎ、、なんて映画レビューも一部見られたりしたのですが
派手派手しい演出もなく、出演する女優陣が役柄になりきって演じているのが
同じ中年女性としてなんだか染みました。。。

若い頃に見てもきっと深く感じて見られないと思うような作品ですが、
私と同じような年頃の姐さま達にはおススメしたい「愛する人」でありました。


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