映画「フィリップ」を観る [映画(は行)]
予告編を観て気になっていた作品です。
あらすじは映画.comさんより。
ポーランド人作家レオポルド・ティルマンドが自らの実体験を基に1961年に発表し、
その内容の過激さから発禁処分となった小説「Filip」を映画化。
ナチス支配下のポーランドとドイツを舞台に、自身がユダヤ人であることを隠して
生きる青年の愛と復讐の行方を描く。
1941年、ワルシャワのゲットーで暮らすポーランド系ユダヤ人のフィリップは
ナチスによる銃撃に遭い、恋人サラや家族を目の前で殺されてしまう。
2年後、フィリップは自身をフランス人と偽ってドイツ・フランクフルトの
高級ホテルのレストランでウェイターとして働きながら、ナチス将校の夫を戦場に
送り出した孤独な妻たちを次々と誘惑することでナチスへの復讐を果たしていた。
嘘で塗り固めた生活を送るなか、フィリップは知的な美しいドイツ人リザと出会い
恋に落ちるが……。
(予告編 ちょっとエロいので気を付けて観てください)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
時代に翻弄された人たち。
第二次世界大戦を描いた作品は色々観たことがありますし、
ナチスドイツのユダヤ人に対する蛮行についてもある程度の理解はしていたと
思っていましたが、ポーランドのユダヤ人が家族と恋人を殺された後、
ナチスドイツへの復讐のためにフランス人を装いドイツのホテルで働き、
彼なりの復讐をしていく、実話に基づく小説の映画化である今作で、
理解が少しでも深まったような気がします。
原作者のレオポルド・ティルマンド氏についてwikiを読んでみましたが、
(英語版ですがchromeであれば日本語に翻訳できます)
https://en.wikipedia.org/wiki/Leopold_Tyrmand
この映画で描かれているフィリップのような記述が見つからずちょっと拍子抜け、
原作が発禁処分になったのは、復讐(ドイツ将校の奥方と寝る)の場面が
検閲に引っ掛かってしまったのか、戦後とはいえ、ナチスドイツに対する表現が
過激すぎたからなのか、その理由がいまいちよく分からなかったのと、
今の時代に映像化する際の様々な規制に配慮したのか、どこかイメージビデオのような
セリフのない場面がそんな感じにも思えて残酷でずっしり重たい内容であるはずが
思っていたよりも軽めに思えたような、そんな映画でした。
とはいえ、冒頭で、恋人と家族と幸せに過ごしていたときのフィリップの明るい表情が
フィリップ以外がナチスに殺されてしまい、2年後にフランス人としてドイツで働く、
その表情がまったく変わっていたことに俳優さんの凄さ(演出もだと思いますが)を
感じました。
ドイツ人将校の妻と関係を持った後、割礼したフィリップの●●をみて相手が驚き
恐怖の表情を見せる、それがフィリップにとっての復讐なのですが、その表現が
過激過ぎず凄まじい恐怖というほどでもなかったのが個人的には物足りず、
(何か変に期待し過ぎていた自分がいたのかもしれません(笑))
事前予習したあらすじに期待し過ぎていたかもしれない、と思っていたら、
ドイツ人のリザとの出会いでフィリップの気持ちに人としての優しさという感情が
戻ってくる、映画後半ではリザとフィリップがどうなるのかという目線で見ていたら
自分としてはホッとするような終わり方になっていました。
復讐の時は決してキスはしないフィリップが心から好きになったリザとは激しく
キスを交わしながら事に及ぶわけですが、互いを求め愛している様子が感じられて
フィリップは本当にリザを愛しているが故に一人パリに向かうという選択をする、
パリ行の電車に乗る時、駅で戦地に向かう兵士とパリ行に振り分けられる場面を観て
フィリップにも人間の情があったからこその選択とその後の人生が明るい方向に
向かっていくのでは(原作者はその後フランスからアメリカに渡航したようですが)
復讐から前を向いて生きていこうと思ったフィリップにホッとして観終わりました。
フィリップの行動、気持ちの変化に合わせて観るのが軸となった映画ながら、
外国人と寝たドイツ人女性が罰せられるという場面、
あらすじは映画.comさんより。
ポーランド人作家レオポルド・ティルマンドが自らの実体験を基に1961年に発表し、
その内容の過激さから発禁処分となった小説「Filip」を映画化。
ナチス支配下のポーランドとドイツを舞台に、自身がユダヤ人であることを隠して
生きる青年の愛と復讐の行方を描く。
1941年、ワルシャワのゲットーで暮らすポーランド系ユダヤ人のフィリップは
ナチスによる銃撃に遭い、恋人サラや家族を目の前で殺されてしまう。
2年後、フィリップは自身をフランス人と偽ってドイツ・フランクフルトの
高級ホテルのレストランでウェイターとして働きながら、ナチス将校の夫を戦場に
送り出した孤独な妻たちを次々と誘惑することでナチスへの復讐を果たしていた。
嘘で塗り固めた生活を送るなか、フィリップは知的な美しいドイツ人リザと出会い
恋に落ちるが……。
(予告編 ちょっとエロいので気を付けて観てください)
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時代に翻弄された人たち。
第二次世界大戦を描いた作品は色々観たことがありますし、
ナチスドイツのユダヤ人に対する蛮行についてもある程度の理解はしていたと
思っていましたが、ポーランドのユダヤ人が家族と恋人を殺された後、
ナチスドイツへの復讐のためにフランス人を装いドイツのホテルで働き、
彼なりの復讐をしていく、実話に基づく小説の映画化である今作で、
理解が少しでも深まったような気がします。
原作者のレオポルド・ティルマンド氏についてwikiを読んでみましたが、
(英語版ですがchromeであれば日本語に翻訳できます)
https://en.wikipedia.org/wiki/Leopold_Tyrmand
この映画で描かれているフィリップのような記述が見つからずちょっと拍子抜け、
原作が発禁処分になったのは、復讐(ドイツ将校の奥方と寝る)の場面が
検閲に引っ掛かってしまったのか、戦後とはいえ、ナチスドイツに対する表現が
過激すぎたからなのか、その理由がいまいちよく分からなかったのと、
今の時代に映像化する際の様々な規制に配慮したのか、どこかイメージビデオのような
セリフのない場面がそんな感じにも思えて残酷でずっしり重たい内容であるはずが
思っていたよりも軽めに思えたような、そんな映画でした。
とはいえ、冒頭で、恋人と家族と幸せに過ごしていたときのフィリップの明るい表情が
フィリップ以外がナチスに殺されてしまい、2年後にフランス人としてドイツで働く、
その表情がまったく変わっていたことに俳優さんの凄さ(演出もだと思いますが)を
感じました。
ドイツ人将校の妻と関係を持った後、割礼したフィリップの●●をみて相手が驚き
恐怖の表情を見せる、それがフィリップにとっての復讐なのですが、その表現が
過激過ぎず凄まじい恐怖というほどでもなかったのが個人的には物足りず、
(何か変に期待し過ぎていた自分がいたのかもしれません(笑))
事前予習したあらすじに期待し過ぎていたかもしれない、と思っていたら、
ドイツ人のリザとの出会いでフィリップの気持ちに人としての優しさという感情が
戻ってくる、映画後半ではリザとフィリップがどうなるのかという目線で見ていたら
自分としてはホッとするような終わり方になっていました。
復讐の時は決してキスはしないフィリップが心から好きになったリザとは激しく
キスを交わしながら事に及ぶわけですが、互いを求め愛している様子が感じられて
フィリップは本当にリザを愛しているが故に一人パリに向かうという選択をする、
パリ行の電車に乗る時、駅で戦地に向かう兵士とパリ行に振り分けられる場面を観て
フィリップにも人間の情があったからこその選択とその後の人生が明るい方向に
向かっていくのでは(原作者はその後フランスからアメリカに渡航したようですが)
復讐から前を向いて生きていこうと思ったフィリップにホッとして観終わりました。
フィリップの行動、気持ちの変化に合わせて観るのが軸となった映画ながら、
外国人と寝たドイツ人女性が罰せられるという場面、
中学生のころに見た映画、フランス、ドイツ、アメリカ、ソ連を舞台に描かれていて
パリの歌手が戦後ナチスの協力者(ドイツ人と寝た女)として吊るし上げにあい、
頭を丸刈りにされてさらし者で人々の前を歩かされる場面を思い出しました。
今作ではフィリップなどの外国人と関係を持ったということで頭を丸刈りにされた
ドイツ人女性のブランカが描かれているのですが、更に、ドイツ人女性と関係を持った、
という理由でホテルで働くフィリップの同僚、イタリア人のフランチェスコが死刑に
なってしまうという残酷な場面がありました。
外国人がドイツで働く、ドイツ人将校たちの見下した態度もムカつくのですが、
そのムカつく将校が、フィリップの同僚(同じポーランドのユダヤ人でフランス人を
装っている)ピエールがホテルから高価なワインを盗んだという理由でそのワインを
5秒で呑まないと殺すと脅し本当に銃殺するのを目の前で観たフィリップが
フランス人を装って生き延びることに意味を見出せなくなったのか、この将校に対して
自分がポーランドのユダヤ人であることを告白してしまいます。
が、この時のこのドイツ人将校の反応がとても印象的でした。
ユダヤ人であることを隠していたらそれを問い詰めて脅したり殺したりするような
ドイツ人将校が、自ら正直に申告したフィリップに対してはどう接してよいか分からず
困惑したままフィリップが嘘をついたことにして何もしないで終わってしまう、という
場面に、人間の心理(自分の想定していない場面に困惑して何もできない)の面白さを
感じたのですが、起承転結の中ではフィリップにとっての「転」がリザとの出会い、
とこの場面、だったのではないかと個人的には思いました。
というわけで、もっとずっしり重たい作品であると覚悟して観たのもあって、
それほどでもなかったような感覚で観終わったのですが、覚悟していたレベルであれば
その後映画の様々な場面が自分の脳内をリフレインし続けたと思われるので、
歴史を知りながら人間ドラマを垣間見る、という体験が出来たという点では観てよかった
と思った「フィリップ」でありました。
今も世界のあちこちで戦いが続いていますが一刻も争いのない平和な世界になりますように
心からお祈りします。
パリの歌手が戦後ナチスの協力者(ドイツ人と寝た女)として吊るし上げにあい、
頭を丸刈りにされてさらし者で人々の前を歩かされる場面を思い出しました。
今作ではフィリップなどの外国人と関係を持ったということで頭を丸刈りにされた
ドイツ人女性のブランカが描かれているのですが、更に、ドイツ人女性と関係を持った、
という理由でホテルで働くフィリップの同僚、イタリア人のフランチェスコが死刑に
なってしまうという残酷な場面がありました。
外国人がドイツで働く、ドイツ人将校たちの見下した態度もムカつくのですが、
そのムカつく将校が、フィリップの同僚(同じポーランドのユダヤ人でフランス人を
装っている)ピエールがホテルから高価なワインを盗んだという理由でそのワインを
5秒で呑まないと殺すと脅し本当に銃殺するのを目の前で観たフィリップが
フランス人を装って生き延びることに意味を見出せなくなったのか、この将校に対して
自分がポーランドのユダヤ人であることを告白してしまいます。
が、この時のこのドイツ人将校の反応がとても印象的でした。
ユダヤ人であることを隠していたらそれを問い詰めて脅したり殺したりするような
ドイツ人将校が、自ら正直に申告したフィリップに対してはどう接してよいか分からず
困惑したままフィリップが嘘をついたことにして何もしないで終わってしまう、という
場面に、人間の心理(自分の想定していない場面に困惑して何もできない)の面白さを
感じたのですが、起承転結の中ではフィリップにとっての「転」がリザとの出会い、
とこの場面、だったのではないかと個人的には思いました。
というわけで、もっとずっしり重たい作品であると覚悟して観たのもあって、
それほどでもなかったような感覚で観終わったのですが、覚悟していたレベルであれば
その後映画の様々な場面が自分の脳内をリフレインし続けたと思われるので、
歴史を知りながら人間ドラマを垣間見る、という体験が出来たという点では観てよかった
と思った「フィリップ」でありました。
今も世界のあちこちで戦いが続いていますが一刻も争いのない平和な世界になりますように
心からお祈りします。
こちら今日から雨に。
13日も雨模様。場合によってはお迎えしますよ。
by 夏炉冬扇 (2024-07-10 21:36)
夏炉冬扇さん、こんにちは。
天気予報、、ずれてきていると期待していますがやはり雨よりは晴れて
いるほうがいいですね。(^^)
by うつぼ (2024-07-12 16:13)